転生特典を原作を良くするために使った結果 作:パンダ三十六か条
一誠には右腕がちゃんとあります。動かないだけで感覚もあります。
ちゃんとした説明が無かったので分かりづらかったと思います。どうもすいませんでした。
追記
改変しました。
「……ど、何処に?」
俺は今、非常に混乱している。何故なら今、俺は女の子から「付き合ってください」と言われたからだ。
え? 付き合って? うぇ?
一体何処に付き合うの? 事務所にでも? 俺、高い金出して英語教材でも買わされちゃうの?
「え? あの、付き合うって……何処に?」
「へ? ……いや、違います! そういう意味じゃないです!」
そう言って慌てながら必死に否定する彼女。
「え? じゃあ……どういう意味?」
「私と交際してほしいという意味です!」
高裁? 香菜? 公債? 虹彩? 光彩? 弘済?
いや交際か。なるほど、交際ねぇ……
「は、はあっ⁉︎ 交際ぃぃぃい⁉︎」
え? ちょ! 待ってよ?
これって、つまり……告白ってやつですか? 今まで16年間生きてきて一度も受けたことなんかなかったから、てっきり都市伝説か何かだと思ってたのに!
なんでぇ⁉︎ もしかして俺、人生で初のモテ期到来したの?
「あの、兵藤一誠さん。その……付き合って、いただけるんでしょうか?」
「ファッ⁉︎」
目を潤ませながらこっちを見つめる女の子。その瞳は真剣味を帯びていた。
「……えーっと、別に構わないけど」
実質これは一択だ。可愛い女の子のお願いを断るなんてことは地球上の
「本当ですか⁉︎」
その瞬間、笑顔がパッと花開いた。満開の笑みを浮かべて嬉しそうにする彼女に、俺は不覚にもドキッとする。
「ただ、俺、君の名前も知らないんだ。だから、教えてもらってもいいかな?」
「あっ、そうでした! うっかり告白の方に夢中で忘れていました!」
そう言って、彼女は俺の目を真っ直ぐに見つめると、自分の名を名乗った。
「天野夕麻です。これからよろしくね、イッセー君!」
*****
家に帰って五人で夕飯を食べた後、俺はイリナを呼び止めた。
「なあ、イリナ? ちょっと良いか?」
「どうしたの? イッセーくん?」
「ちょっと、話したいことがあるんだ」
俺はイリナの手を掴んで、自分の部屋へと向かう。
「え‼︎ 何⁉︎ いったいどうしたのイッセーくん?」
イリナは顔を赤らめながらも、俺の後ろを付いてきた。
部屋の中に2人で入ると、俺はベットに腰掛けた。イリナも何故かソワソワしながら俺の隣に座る。
「あの、イッセーくん? 一体どうしたの?」
何を話すのか気になってしょうがないのだろう。どことなく落ち着かないようで、毎日来ている俺の部屋なのにどことなく緊張しているようだった。
「イリナ。俺、お前に言っておきたいことがあるんだ」
「言っておきたい事? やだ、まだ心の準備が……」
「俺さあ、彼女できたんだ」
「その、初めてだし、優しく…………え?」
イリナは目を丸くした。予想もつかないことを言われてフリーズしているようだった。
「イッセーくん、彼女って……三次元の?」
「当たり前だろ。この写真に写ってる子だよ」
そう言って、俺はさっきの告白の後で撮らせてもらった夕麻ちゃんの写真を見せる。
「え? 嘘……どうして? なんで彼女なんて……」
イリナは顔を青ざめて、ブツブツと呟いている。あまりに衝撃的な事を聞いて、理解が追いついていないのだろう。
正直、俺もまだ信じられない。「どっきりでしたー!」などと後から言われても、やっぱりそうだったのか、と納得できるだろう。
俺の周りの女の子はイリナとアーシアぐらい。アーシア経由で何人かとは知り合っているが、その人たちは只の知人でそこまで仲がいいわけでもない。
そんな女っ気のない俺にこんな美少女の彼女が出来るなんて、信じられないのも無理はない。
「なあ、イリナ」
「……何? イッセーくん」
こちらを見るイリナの目はとても虚ろで、未だに現実を受け止められていないようだった。
「イリナはさあ、いつも俺に構ってくれてたよな。俺をいつも助けてくれてたよな」
「うん、だって私は約束したから……」
そう、約束。
『私が隣にいるから! ずっとイッセーくんの側にいるから!』
あの時、右腕が動かなくて泣いた時、只々悲しくて、辛くて、何にも分からなかった。それでも、イリナの言葉は鮮明に思い出せる。あの言葉があったお陰で俺は今まで絶望することも無く生きられたのだ。
「イリナ、今までずっと俺の側にいてくれてありがとう。俺のことを助けてくれてありがとう。俺の隣で笑ってくれてありがとう」
こんな言葉じゃ足りない。10年分の感謝はこの程度の言葉じゃ語り尽くすことはできない。だって、何年も何年も、俺は彼女の人生を紫藤イリナのためでは無く、兵藤一誠のために使わせてしまったんだから。
「もう、大丈夫だ。俺は1人でも頑張れる。だから……」
イリナに甘えるのも、これでおしまいだ。
今まで、ずっと一緒に俺達は過ごしてきた。イリナの優しさに漬け込んで、ずっと彼女の隣でいたいと思っていた。
そうして、彼女の優しさに甘えてしまう自分が、俺は大嫌いだった。
夕麻ちゃんから告白された時、俺は考えた。
彼女が出来ればイリナと離れられるんじゃないか、と。
本音を言えばいつまでも一緒にいたい。だけどそれじゃあイリナを俺がダメにしてしまうような気がした。俺がいるせいでイリナは幸せになれないと思った。
「イリナはもう、俺に罪悪感を感じる必要は無いんだよ」
だから、決めたんだ。これを機に、彼女から離れようと。
10年間もの間、イリナは俺のとなりにいてくれた。
だけど、それも今日で終わり。これでイリナは……。
その瞬間、目の前の彼女の姿がいきなりブレた。そして俺の体は勢いよく吹っ飛んで壁に激突した。
理解が追いつかなかった。イリナにおもいっきり強くビンタされたと気がついたのはそれからしばらくしてからの事だった。
「いてぇ……。イリナ、何するん……」
その時、イリナの顔を見て、俺は驚愕した。
「イッセーくんは私が罪悪感で一緒にいると思ってたの?」
なあ、なんでそんな顔をするんだ?
「イッセーくんは私をそんな風に見ていたの?」
君はもう自由になったんだ。それなのに……
「ふざけないでよ……。私は、私は……」
どうしてそんなに悲しそうな顔をするんだよ?
「そんな感情で、貴方のそばにいたわけじゃない!」
そう言って、イリナは部屋の外に飛び出そうとする。
「おい! 待ってよ! イリナ!」
俺は彼女の手を掴んで引き止めようとした。彼女を悲しませたままにしておけないと思った。
「離してよ!」
だけど、俺の左手はたやすく振り払われて、彼女はそのまま階段を降りていく。
「イッセーくんの馬鹿! 大っ嫌い!」
今までで初めて、彼女から受けた本気の拒絶。俺はそれを聞いてその場から動けなくなった。
嫌われてしまった。その事実が俺の胸に深くのしかかる。
俺は走っていく彼女を追いかけることが出来なかった。