漫画の飯を再現してみようかと考えて、買い込んだ食材の数々。
両手に食材が沢山詰まった袋を1つずつ持ちながら自宅へと戻り、手早く食材を冷蔵庫にしまう。
しっかりと手を洗い、手が清潔な状態になってから料理を作ろうとしていると、自宅のインターホンが鳴った。
来客は諸伏と降谷で、今回の2人のお目当ては、俺の料理であるようだ。
「今日は漫画に出てきた料理を作ろうかと思ってるが、それでもいいか?」
「大丈夫ですよ、なあ、ゼロ」
「そうだな、ヒロ。陣さん、料理をしている姿を見ていてもいいですか?」
そんな提案を降谷がしてきたが、公安である諸伏と降谷は、普段食べるものにも気を付けなければいけないのだろう。
「構わないぞ」
降谷からの提案を了承し、調理場に案内した諸伏と降谷が見ている前で、食材を取り出して調理を開始。
今回作るのはゴールデンカムイに登場した料理で、3種類作ると決めている料理。
ジャガイモを土や雪の中で発酵させて作るムニニイモなどは、スーパーに売っていたりはしないので、今回はスーパーで揃えられる食材を使う料理だけだな。
まず最初に作るのは、鮭のオハウ。
オハウの意味は汁物で、沢山の食材を煮込んで作ることになるが、流石にギョウジャニンニクはスーパーに売っていなかった。
鮭、ジャガイモ、大根、白菜、玉ねぎ、人参、昆布、それと塩に水が、鮭のオハウの材料。
レシピはゴールデンカムイの公式ファンブックに掲載されていたものを使用するが、まずは材料を一口大に切り、切った材料を順番に鍋に入れて煮ていく。
煮る順番は鮭、大根、人参、玉ねぎ、白菜、ジャガイモで、急に火にかけると崩れるジャガイモは、時間をかけてゆっくりとかき回して煮る必要があった。
アクを取りつつ、塩を入れながら味付けしていき、具材がしっかりと煮えたところで、鮭のオハウが完成。
次に作るのはジャガイモとイクラの旨味を活かした料理、チポロラタシケプ。
使うのは、ジャガイモ、イクラ、バター、塩、水というシンプルな食材と調味料。
まずはジャガイモが浸る程度にまで水を入れて約25分程度茹でるが、ここで塩を少し入れておくと素材の味がより引き立つ。
茹で上がったら水を捨ててからジャガイモを潰し、温かいうちにバターを入れておく。
最後にイクラを入れて軽く混ぜ合わせれば、チポロラタシケプの完成だ。
3番目に作る料理は、ゴールデンカムイに何回も登場する料理であるチタタプ。
チタタプは我々が刻むものという意味で、ゴールデンカムイの登場人物達は「チタタプ」と言いながら刃物で食材を刻んでいた。
ゴールデンカムイの公式ファンブックのレシピでは新鮮なカラフトマスの頭部でチタタプを作っていたが、流石にスーパーに新鮮なカラフトマスの頭部は売っていない。
生で食べられるくらい新鮮な魚なら問題ないと判断し、レシピをちょっと変えてみて、刺身用の柵を幾つか買ってきていた。
刺身用のマグロとカツオの柵を刻む前にマスクを着用して「チタタプ」と言っても食材に唾などがかからないようにしてから、まな板の上に置いたマグロの柵。
包丁を使ってマグロの柵を細かく刻んでいき、刻んでいく最中にはちゃんと「チタタプ、チタタプ」と言いながら刻んだ。
刻んだマグロに塩をかけて、粘りけが出るまで2本の包丁で刻み続けていき、塊が無くなるほど細かくなったら、マグロのチタタプの完成。
次はカツオの柵も同様に刻んでいき、完成させたカツオのチタタプ。
鮭のオハウ、チポロラタシケプ、マグロのチタタプとカツオのチタタプが完成し、俺の調理作業を見ていた諸伏と降谷は「陣さんが作っていたのはゴールデンカムイの料理だったんですね」と笑っていた。
その後、完成したゴールデンカムイの料理達を食べていった諸伏と降谷は「塩加減が絶妙で美味い」と喜んで「ヒンナ」とも言っていたな。
「ご馳走様でした陣さん」
「ご馳走様です。どの料理も美味しかったですよ」
両手を合わせて言う諸伏と降谷は、料理を全て残さずに綺麗に食べて、満足気だ。
「普段作らない料理だったが、作ってみて楽しかったから、また別の漫画の料理を作るかもな」
そう言った俺に「その時に来れることを願っておきますね」と言って笑う降谷。
なんてことがあった日も過ぎて、連載中のナイトバロンの漫画を描き終えた俺は、気分転換にテレビをつけてみた。
鈴木財閥の蔵からロマノフ王朝の遺産であり「メモリーズ・エッグ」と呼ばれる51個目の「インペリアル・イースター・エッグ」が見つかったと、ニュースで報じられる。
エッグは大阪で展示することが決まったみたいだが、怪盗キッドからエッグを盗み出すという予告状が届いたこともニュースになっているようだ。
特に俺は大阪に向かうつもりはないので、自宅で漫画を描いて仕事をしていると、数日後の朝テレビに電源を入れると流れたニュース。
世界各国でロマノフ王朝の財宝を盗んでいる連続強盗殺人犯スコーピオンを工藤新一が捕まえたことが報じられており、ICPOにより国際指名手配されていたスコーピオンを捕まえた工藤新一には感謝状が贈られるらしい。
世紀末の魔術師も無事に終わったようだが、今回は俺が関わらなくても、武術を身に付けた工藤新一が居れば問題なかったみたいだ。
武器で武装するのは犯罪になることがあるが、身体を鍛えて武術を身に付けることは犯罪ではないので、護身術は覚えておいて損はないだろう。
まあ、米花町では爆弾や拳銃による犯罪が起こることもある為、護身術だけでは足らないかもしれないな。
そんなことを考えながら描き終えたナイトバロンの漫画の原稿を、担当者に届けにいく。
原稿を受け渡す場所は今回は米花町ではなかったが、たまに米花町に向かうこともある為、油断はできない。
担当者に漫画の原稿を渡し、軽く打ち合わせをしてから、自宅へと戻った俺。
仕事も終わって空き時間もあるので、書庫の漫画を増やそうかと考えて、描いていった漫画。
今回はエアマスター、ハチワンダイバーを増やしておき、全巻が揃ったところで、書庫の本棚に入れておく。
様々な漫画が収められている本棚には、前世で俺が読んできた漫画の数々があり、これからも時間があれば増えていく漫画達。
「エアマスターとハチワンダイバーか、絵柄は似てんな」
今日も俺の自宅にやって来た松田は目敏く新しく増えた漫画を見付けたようだ。
「陣さん、この2つはどんな漫画なんだ?」と聞いてきた松田。
「まずエアマスターは、エアマスターと呼ばれるストリートファイターの話で、ハチワンダイバーは、将棋で金を稼いでいた男が受け師さんという将棋の強い女性と出会ってから話が始まっていくな」
「そんな感じか」
「まあ、全部説明されるよりかは読んでみるのがいいと思うぞ。オススメはエアマスターを読んでから、ハチワンダイバーだな」
「それが陣さんのオススメなら、そうしとく」
頷いてからまずはエアマスターから読み始めた松田は、漫画のエアマスターを読み進めていき「坂本ジュリエッタはヤベェ奴だな」と言っていた。
「深道も戦えるのか」とエアマスターの登場人物の意外な強さに松田が驚く。
「時田が強くなって再登場するとは思ってなかったな」と強くなって再登場したエアマスターのキャラに意表を突かれていた松田。
エアマスターを読み終えた松田は「面白い話だったな。言動と行動がヤベェ奴が多かったが」と笑う。
「さて、次はハチワンダイバーだな」
ハチワンダイバーの漫画を手に取って、開いた松田は漫画を読み始めた。
「将棋漫画にしては登場人物がまたヤベェだろ」
読み進めている漫画、ハチワンダイバーに対して思ったことが口から出ていた松田。
「ジョンス・リーが出てきたぞ。だからエアマスターを先に読むのがオススメって言ってたんだな」
更に時間をかけて読み進めていった漫画にエアマスターに登場した人物が出てきたことで、俺がエアマスターから読むことをオススメしていた理由に松田も気付いたらしい。
「将棋漫画にしてはブッ飛んでるが、ハチワンダイバーも面白かった」
ハチワンダイバーも全巻読み終えて本棚に戻した松田は、満足気な顔で笑みを浮かべていた。
「どうだった?エアマスターとハチワンダイバーは」
「どっちも登場人物ヤベェ奴が多くてブッ飛んでたけど、そこがまた面白かったな」
エアマスターとハチワンダイバーを読んだ感想を松田に聞いてみたが、そんな答えが返ってくる。
確かにエアマスターもハチワンダイバーも登場人物はヤベェ奴が多いので、そんな感想になってもおかしくはない。
それでもエアマスターとハチワンダイバーが面白い漫画であることは確かだ。
エアマスターとハチワンダイバーと同じ作者の人が描いている東島丹三郎は仮面ライダーになりたい、は完結していなかったがアニメ化するみたいだった。
だが、この世界に生まれ変わってしまった俺にはアニメも漫画の続きも見れない。
それは、とても残念ではあるな。