米花町で漫画の原稿の受け渡しをしたその日は、雨が降っていた。
傘を差して米花町を歩いていると、男性が銃撃される瞬間を目撃することになる。
使用されたのは9mmのオートマチックの拳銃で、サイレンサーが装着されていたが、外観からしてFNブローニングM1910で間違いない。
9mmの38口径のタイプであるなら弾倉6発に薬室1発で、最大装弾数は7発。
放たれた銃弾は1発であり、拳銃にはまだ6発の銃弾が装填されているだろう。
目撃者を消そうと考えたのか此方へと向けられた拳銃の銃口。
俺は開いていた傘を使って身体を一瞬隠し、常に持ち歩いている金属製のペンを取り出すと、身を隠していた傘から飛び出し、ペンを投擲。
相手が拳銃の引き金を弾くよりも早く、投擲されたペンは、拳銃の引き金に添えられていた指へと突き刺さる。
銃を撃つどころではなくなった相手が、ペンに貫かれた指の痛みに動きが鈍ったところで、素早く間合いを詰めて拳銃を分解。
此方を殺す為に拳銃を向けてきた相手に容赦をしてやる必要はないので、死なない程度に打撃を打ち込み気絶させておく。
それから警察を呼んでみたが、拳銃を所持していたことに加えて銃撃で死亡した男性を殺害した犯人として捕まった風戸京介。
瞳の中の暗殺者も、序盤で終了したが、これ以上犠牲者が出ることなく、毛利蘭が記憶喪失になることもなかったのはいいことかもしれない。
米花町に来ると劇場版の出来事に遭遇することが多いような気がするが、被害が大きくなる前に防げていることは確かだ。
自宅へと戻り、描いていくのはジョジョの奇妙な冒険の第7部とも言えるスティール・ボール・ラン。
1部から6部までは既に描いて漫画として書庫の本棚にしまってあるジョジョの奇妙な冒険。
毎回毎回部によって絵柄が変わるジョジョの奇妙な冒険は、1部から3部までは劇画タッチな感じで、4部からは独特な絵柄へと変わっていく。
スティール・ボール・ランもまた独特な絵柄であり、ひたすら独特な絵柄を描いて描き終えると完成した漫画。
全巻揃えて書庫の本棚へとしまうが、ジョジョの奇妙な冒険の第1部から第6部まで順番に並べていたところの隣に、並べたスティール・ボール・ラン。
まだスペースは空いているので、第8部のジョジョリオン全巻を入れることもできそうだ。
という訳で、次はジョジョリオンを描いていき、完成させていく漫画の本の数々。
最終話まで描き終えて、漫画の本にしていったジョジョリオン。
本棚にしまわれたスティール・ボール・ランの隣に置いていったジョジョリオンの漫画全巻。
最新作で第9部のジョジョランドはある程度巻数が出てから買おうと思っていたから、ジョジョランドの内容を全く知らないまま、この世界に生まれ変わってしまったな。
コミックス派だったから、掲載紙を買うこともない俺は、完結していない漫画だと知っている内容には偏りがある。
よく買っていたヒロアカは完結する42巻まで買えたのは良かった。
まあ、ヒロアカの最終ファンブックが出る前に生まれ変わってしまったのは残念なことだ。
前世のことを思い出していると、経過していた時間。
今日は料理を作る気分ではないから外食にしようと決めて、自宅を出た俺は回転寿司に向かい、それなりの量を食べて家に帰っておく。
そういえば瞳の中の暗殺者の次の劇場版は、天国へのカウントダウンだったが、ジンである俺と黒の組織が存在していない場合はどうなるのかが分からない。
黒の組織はルパン三世に壊滅させられたとの情報が出回っているが、構成員達が全員死んだとまでは聞いていないから、生き残った面々も何人か居るかもしれないな。
それはそれとして天国へのカウントダウンの犯人が殺人をした動機が確か、丘からの富士の眺めをツインタワービルによって阻害されたことだった筈だ。
富士山の眺めを阻害されたから殺人をするというのは随分と身勝手な殺人の動機だと思うが、そんな理由で殺人事件を起こすなよと言いたくなるような殺人動機が多い米花町の住人に言っても意味はないだろう。
なんてことを考えているとツインタワービルのオーナーである常盤美緒から黒山剛昌宛に届いた招待状。
黒山剛昌の漫画のファンであるらしい常磐美緒が直々に用意した招待状には、是非ともツインタワービルに来てほしいとも書かれていた。
特に断る理由もないのでツインタワービルへと向かうと、毛利小五郎と毛利蘭の父娘と工藤新一に鈴木園子も呼ばれていたようで、ツインタワービルの入り口で顔を会わせることになった。
銀髪で強面な体格がいい男という外見な俺に警戒して身構えていた初対面の毛利小五郎。
そんな毛利小五郎とは対照的に「黒山さんも呼ばれたんですね」と笑顔で話しかけてきた工藤新一。
「探偵ボウズの知り合いか」
そう言うと警戒を解いていた毛利小五郎は、工藤新一をそれなりに信頼しているらしい。
その後、ツインタワービルに入るとオーナーである常盤美緒から歓迎されていた俺は、サインを頼まれ、色紙に黒山剛昌のサインとシャーロック・ホームズにモリアーティを描いて常磐美緒に渡すと大感激された。
やたらと話しかけてくる常磐美緒に対応していると「部屋でじっくりと話しませんか」と熱っぽい目で此方を見ながら言い出した常磐美緒。
夜に市議会議員の大木岩松がスイートルームで刺殺される筈だったので、ツインタワービルに居れば現行犯で犯人を捕まえることも出来るかもしれない。
そう考えて常磐美緒の誘いに応じ、VIPルームに向かうと酒を用意していた常磐美緒から受け取ったグラスで乾杯し、会話を続けていると常磐美緒は徐々に距離を詰めてくる。
ほぼ初対面なのに距離が近いな、と思いながら、やんわりと夜のお誘いを断っていると、スイートルームの大木岩松の部屋まで移動する気配を感じた。
素人ではあるので隠しきれていない殺気を漏らしながら移動する気配。
目撃者は多い方がいいかと考えて、常磐美緒を連れて階層を移動し、急いで大木岩松の部屋まで向かって扉を開くと、ちょうど如月峰水によって大木岩松が刺されているところであり、明らかに致命傷を負っていた大木岩松は助からない。
「常磐さん、警察を呼んでください」
大木岩松を刺し殺した刃物で自殺しようとした如月峰水を止めて、取り抑えておき、常磐美緒に警察を呼ぶように指示を出す。
如月峰水が殺人をしたことに戸惑い驚きながらも常磐美緒は警察を呼んだ。
やってきた警察に、ツインタワービルでの殺人の現行犯として逮捕された如月峰水。
殺人の目撃者であることで行われた警察の事情聴取も終わって解放された俺は、落ち込んでいた常磐美緒に慰めの言葉をかけておく。
なんとか前を向くことができた様子を見せていたので、もう大丈夫だと判断し、立ち去ろうとした俺に「また会えますか?黒山先生」と問いかけてきた常磐美緒。
「そうですね、会おうと思えば会えると思いますよ。いつでもね」
そう言って笑いかけた俺に、常磐美緒は「それならまた、お会いしましょう黒山先生」と笑みを浮かべた。
そんなことがあった日から、定期的に黒山剛昌へと届くファンレターとツインタワービルへの招待状の送り主は、どう考えても常磐美緒だろう。
ツインタワービルの最上階にあるVIPルームへの招待状は、VIPしか入れない場所に入ることを可能とする招待状であり、限られた相手にしか渡されないものだ。
折角貰ったものではあるので、気が向いたらツインタワービルに向かうとしよう。
犠牲者は出てしまったが黒の組織による被害もなく天国へのカウントダウンも終わり、死ぬことが無かった常磐美緒。
ツインタワービルで爆弾騒ぎが起こらなかったのは黒の組織が壊滅していたからだろうな。
先の話になるかもしれないが、黒の組織が関わる劇場版は起こらない可能性が出てきたことは確かだ。
まあ、それは悪いことではないと思う。