突如現れたビジョンに、ミオは驚きを隠せなかった。
カードを握る指先がわずかに震え、星空を映した瞳が大きく見開かれる。
「どうなってるの、これ? 実際にソリットビジョンに映し出されるなんて……」
その様子に遊幾は眉をひそめる。
「ん? いつもこうなるんじゃないのか?」
「《
興奮と困惑が入り混じった声をぶつけられ、遊幾は思わず後ずさる。
「い、いやぁ……そんあこといわれてもなぁ」
困惑の笑みを浮かべるしかなかった。
やがて、《
ミオは大きく息を吐き、気持ちを切り替えるようにカードを掲げる。
「まあいいわ。デュエルを続けましょ。《
星環の神託
このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードの発動時の効果処理として、お互いのデッキの一番上のカードをお互いに確認し、それが同じ種類(モンスター・魔法・罠)だった場合、お互いに手札に加える。
②:自分スタンバイフェイズにフィールドに光属性モンスターが存在しない場合に発動できる。デッキから光属性の「星環」モンスター1体を手札に加える。
(オリカ)
二人は同時にデッキトップをめくる。
「私のカードは《
「俺も……《トゥインクリボー》。モンスターカードだ」
「同じ種類のカードだった場合、お互いにそのカードを手札に加える。……そしてそれだけじゃないわ」
ミオはカードを引き寄せながら、挑発するような笑みを浮かべた。
「同じ種類だってことは、このデュエルの結末が、さっきのあなたのビジョンのさらなる行先を教えてくれるってことよ!」
遊幾の胸にざわめきが走る。
「どういうことだ?」
「このデュエルであなたが勝てば、あの映し出されたビジョンはあなたの運命を好転させる出来事であり、私が勝てば、あなたの運命を悪化させる出来事ってことよ。どうやらこのデュエルは私が勝つことになるみたいね」
「おいおい待てよ。どうしてそうなるんだよ」
遊幾は思わず声を荒げる。
だがミオはひるまず、星空の下で堂々と言い放った。
「そんなの決まってるじゃない。あんな意味不明なビジョン、あなたをより良きところへ導くはずがないわ。――あのビジョンの中であなた、デュエルディスクを身に付けていた。なら、私に負けたらデュエリストをやめることをお勧めするわ。そうすればあんな場所には辿り着かない。運命は変えられるのよ!」
挑発めいた言葉を前に、遊幾は静かに息を吸い込む。
「そういうことか……、それは面白い。なら、このデュエル……勝てば何の問題もない!」
自信に満ちた表様で遊幾は言葉を返した。
「ならいくわよ。私は《
星環の獅子
【獣族/効果】
このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:自分メインフェイズに発動できる。このカードの攻撃力はターン終了時まで自分フィールドの「星環」モンスターの属性の種類×400アップする。この効果を発動するターン、自分は他の炎属性モンスターの効果を発動できない。
(オリカ)
星環の守り人
【戦士族/効果】
①:このカードがフィールドに表側表示で存在する限り、自分フィールドの「星環」モンスター1ターンに1度だけ戦闘・効果では破壊されない。
(オリカ)
ミオのフィールドにライオン型のモンスターと人型のモンスターが降り立った。
「《
星環の獅子 ATK:1600→2400
→[バトルフェイズ]
「バトルよ。《
星環の獅子 ATK:2400 VS ATK:1600 ホーリー・ドール
「くっ」
遊幾 LP:4000→3200
ホーリー・ドール→戦闘破壊
→[メインフェイズ2]→[エンドフェイズ]
「私はこれでターンエンド」
星環の獅子 ATK:2400→1600
ミオ LP:4000、手札:4
①星環の獅子(ATK:1600)、②星環の守り人(DEF:1000)、③星環の天穹、④星環の神託
遊幾 LP:3200、手札:5
【ターン4】―― 遊幾のターン
→[ドローフェイズ]
「俺のターン」
遊幾 手札:5→6
→[スタンバイフェイズ]→[メインフェイズ1]
「俺は《連弾の魔術師》を召喚。そしてリバースカードオープン、《
連弾の魔術師 ATK:1600→2600
ミオ 手札:4→5
連弾の魔術師
【魔法使い族/効果】
①:このカードがフィールドに表側表示で存在する限り、自分が通常魔法を発動する度に、相手に400ダメージを与える。
(※テキストエラッタ)
奇跡の軌跡
①:自分フィールド上に表側攻撃表示で存在するモンスター1体を対象として発動する。相手はデッキからカードを1枚ドローする。ターン終了時まで、そのモンスターの攻撃力は1000アップし、1度のバトルフェイズ中に2回までモンスターに攻撃する事ができる。そのモンスターが戦闘を行う場合、相手プレイヤーが受ける戦闘ダメージは0になる。
(※テキストエラッタ)
→[バトルフェイズ]
「バトル。まずはやっかいな守備モンスターからだな。《連弾の魔術師》で《
連弾の魔術師 ATK:2600 VS DEF:1000 星環の守り人
「でも《
「ならもう一度攻撃だ。《連弾の魔術師》で《
連弾の魔術師 ATK:2600 VS DEF:1000 星環の守り人
星環の守り人→戦闘破壊
→[メインフェイズ2]
「私の《
「ああ、問題ない。だがその前に、俺もフィールド魔法の効果を使わせてもらうぜ。《
トゥインクリボー
【悪魔族/効果】
①:自分・相手ターンに、このカードを手札から捨て、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードはターン終了時まで魔法・罠・モンスター効果以外の効果を受けない。
(オリカ)
「クリリー♪」
トゥインクリボーは元気よくフィールドに現れたが、すぐさまフィールドの景色を見渡し、興奮気味に遊幾に訴えかける。
「クリリー! クリクリー!」
「どうしたんだトゥインクリボー? ――お前もしかして、この空間を知ってるのか?」
「クリリ!」
遊幾の問いに、トゥインクリボーは体全体を使って頷きながら返事をした。
「ねえ、何をぶつぶつ言ってるの?」
トゥインクリボーが見えないミオは遊幾の行動を不思議がった。
「ああ……いや、何でもない。俺は続けて魔法カード《光の護封剣》を発動。この効果により、相手モンスターは3ターンの間、攻撃できないぜ」
遊幾が《光の護封剣》を発動すると、ミオのフィールドに複数の光の剣が突き刺さった。
「さらにこの瞬間、《連弾の魔術師》の効果により、相手に400ポイントのダメージだ」
ミオ LP:4000→3600
光の護封剣
このカードは発動後、フィールドに残り続け、相手ターンで数えて3ターン後の相手エンドフェイズに破壊される。
①:このカードの発動時の効果処理として、相手フィールドに裏側表示モンスターが存在する場合、そのモンスターを全て表側表示にする。
②:このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、相手モンスターは攻撃宣言できない。
→[エンドフェイズ]
「ターンエンドだ」
ミオ LP:3600、手札:5
④星環の獅子(ATK:1600)、⑤星環の天穹、⑥星環の神託
①連弾の魔術師(ATK:1600)、②トゥインクリボー(DEF:200)、③光の護封剣
遊幾 LP:3200、手札:3
【ターン5】――ミオのターン
→[ドローフェイズ]
「私のターンよ」
ミオ 手札: 5→6
→[スタンバイフェイズ]→[メインフェイズ1]
「ふーん、やるじゃない。《
ミオはそう言うと、手札から新たなモンスターを召喚する。
「私は《
翼を持った少女のモンスターと、両手に口径の大きな銃を持ったモンスターが現れた。
星環の乙女
【天使族/効果】
このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:自分メインフェイズに発動できる。ターン終了時まで、このカードと属性の異なる自分フィールドの「星環」モンスターは相手の魔法・罠カードの効果を受けない。
(オリカ)
星環の魔砲士
【戦士族/効果】
①:自分フィールドにこのカードと異なる属性の「星環」モンスターが存在する場合、このカードは直接攻撃できる。
②:このカードが直接攻撃で相手に戦闘ダメージを与えた場合に発動する。フィールドに存在する魔法カードの数×300ダメージを相手に与える。
(オリカ)
「《
「なに⁉︎」
「さらに、《
星環の獅子 ATK:1600→2800
→[バトルフェイズ]
「《
星環の獅子 ATK:2800 VS ATK:1600 連弾の魔術師
「くっ……」
遊幾 LP:3200→2000
連弾の魔術師→戦闘破壊
「さらに《
遊幾 LP:2000→1600
「そしてこの瞬間《
「ぐあぁぁぁぁ」
遊幾 LP:1600→700
→[メインフェイズ2]
「これでライフの差は大きく開いたわ。やっぱりあなたはデュエリストをやめるべきのようね。私はカードを1枚セットして」
→[エンドフェイズ]
「ターンエンドよ」
星環の獅子 ATK:2800→1600
ミオ LP:3600、手札:3
③星環の乙女(ATK:1000)、④星環の獅子(ATK:1600)、⑤星環の魔砲士(ATK:400)、⑥星環の天穹、⑦星環の神託
①トゥインクリボー(DEF:200)、②光の護封剣
遊幾 LP:700、手札:3
【ターン6】――遊幾のターン
→[ドローフェイズ]
「俺のターン」
遊幾 手札:3→4
→[スタンバイフェイズ]
スタンバイフェイズにミオが動く。
「私もあなたの攻撃を封じさせてもらうわ。永続罠《星々の天恵》。このカードの効果により、私のフィールドにいる『星環』モンスターと同じ属性のモンスターが相手フィールドに存在する限り、相手は攻撃できない。そのクリボーちゃんには足枷になってもらうわ」
星々の天恵
①:このカードが魔法&罠ゾーンに存在し、自分フィールドの「星環」モンスターと同じ属性のモンスターが相手フィールドに存在する限り、相手モンスターは攻撃宣言できない。
(オリカ)
「クリィー」
トゥインクリボーが申し訳なさそうな顔で遊幾を見つめた。
「大丈夫、大丈夫」
遊幾が優しく言葉を返す。
→[メインフェイズ1]
「俺は《魔法剣士ネオ》を召喚。そして速攻魔法《ディメンション・マジック》を発動、《トゥインクリボー》をリリースし、手札から《プライム・マジシャン》を特殊召喚する」
遊幾が魔法カードを発動すると、鎖で縛られた棺が現れ、トゥインクリボーがその中に収められたかと思うと、次の瞬間、2や3、7、11といった数字が描かれたローブを身に纏った魔法使いが棺の中から現れた。
「さらに《ディメンション・マジック》の効果によって《
星環の獅子→破壊
魔法剣士ネオ
【魔法使い族/通常】
武術と剣に優れた風変わりな魔法使い。異空間を旅している。
ディメンション・マジック
このカードは発動後、フィールドに残り続け、相手ターンで数えて3ターン後の相手エンドフェイズに破壊される。
①:自分フィールドに魔法使い族モンスターが存在する場合、自分フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。その自分のモンスターをリリースし、手札から魔法使い族モンスター1体を特殊召喚する。その後、フィールドのモンスター1体を選んで破壊できる。
プライム・マジシャン
【魔法使い族/効果】
このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:自分フィールドのモンスターが魔法使い族モンスター2体のみの場合に発動できる。相手フィールド全てのモンスターの攻撃力は1100ダウンする。
②:自分フィールドに攻撃力または守備力が1700の魔法使い族モンスターが存在する場合、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。
③:このカードをリリースして発動できる。自分の墓地からレベル7の魔法使い族の通常モンスター1体を特殊召喚する。
(オリカ)
《プライム・マジシャン》の特殊召喚により、遊幾のフィールドに光属性と闇属性の魔法使い族モンスターが並んだが、そのことに疑問を呈したミオが指摘する。
「あら、《プライム・マジシャン》をアドバンス召喚しておけば私に攻撃できていたのに、《魔法剣士ネオ》を出したのはあなたのミスのようね」
「いや、ミスなんかじゃない、《プライム・マジシャン》は《魔法剣士ネオ》がいることで発揮できる能力がある。――《プライム・マジシャン》の効果発動。自分フィールドに攻撃力または守備力が1700のモンスターが存在する時、フィールドのカードを1枚破壊できる」
「何ですって⁉︎」
ミオが反応した次の瞬間、《魔法剣士ネオ》が《プライム・マジシャン》に魔力のエネルギーを捧げ、《プライム・マジシャン》がそれを解き放つ。
「俺は《星々の天恵》を破壊する!」
星々の天恵→破壊
「これでこのターン攻撃ができる!」
「でも、まだ……」
自信に満ちた遊幾に対し、ミオも食い下がりながら言葉を返す。
「いや、《プライム・マジシャン》の力はこれだけじゃない! 《プライム・マジシャン》のさらなる効果を発動、自分フィールドに存在するモンスターが魔法使い族モンスター2体だけの場合、相手フィールドの全てのモンスターの攻撃力を1100ポイント下げる!」
星環の乙女 ATK:1000→0
星環の魔砲士 ATK:400→0
「なんですって⁉︎」
→[バトルフェイズ]
「さあ行くぜ、バトル! 《魔法剣士ネオ》、《プライム・マジシャン》、《
魔法剣士ネオ ATK:1700 VS ATK:0 星環の魔砲士
ミオ LP:3600→1900
星環の魔砲士→戦闘破壊
プライム・マジシャン ATK:1900 VS ATK:0 星環の乙女
「きゃぁぁーー」
ミオ LP:1900→0
デュエル終了 勝者:八上遊幾
光の粒が夜空に溶け、星々の輝きが静かに消えていく。
ミオはその様子を見つめながら軽く呟く。
「ってことは、あのビジョンって……」
その言葉に遊幾が反応する。
「ああ、俺の運命が好転する分岐点、ってやつだろ?」
そう言って苦笑すると、ミオは目を瞬かせ、ふっと笑った。
「なるほどね。私の予感、当たっちゃったみたい」
「どういう意味だ?」
「あなたが《
ミオはデュエルディスクを外し、笑顔で続ける。
「安心して。私の占いは当たるんだから。あのヴィジョンの場所に辿り着いても、力強く前に進むといいわ」
「そうか、それは心強い。ありがとな。ミオ」
遊幾が差し出した右手を、ミオは小さく握り返した。
「こちらこそ。こんな鮮烈なデュエルできて楽しかったわ」
彼女の笑顔に、遊幾も自然と頬をゆるめる。
「じゃあ、またどこかで会えるといいな」
「ええ、そうね」
そう言って二人はそれぞれ別の方向へ歩き出した。午後の陽射しが、木々の間から優しく差し込み、静かな風が吹き抜けていく。
──その頃。
大自然公園の北部、古代遺跡のような石造りの建物の前に、一人の少年が立っていた。健斗だ。
重厚な石壁には苔がむし、古い紋章のような模様が刻まれている。
「なんだこれ……遺跡か?」
興味を惹かれて壁沿いを歩いていると、建物の角を曲がったところで――
「うわっ!」
ぶつかった衝撃に、互いに少しよろける。
「わっ、ごめん!」
「こっちこそ悪い。大丈夫か?」
目の前にいたのは、海を思わせるような青い髪の青年だった。落ち着いた表情をしているが、その瞳にはどこか鋭い光が宿っている。
「僕は海原 陸(うなばら りく)。チーム・タイダルのメンバーだ。君も受験者だろ?」
「ああ、俺は大源寺健斗だ」
「君、もしかしてこの建物に興味があるのか?」
陸の問いに、健斗は肩をすくめて笑う。
「ちょっと気になっただけさ。……でもせっかくだし、デュエルしないか?」
「ふっ、いいね。僕も、退屈してたところだ」
二人はデュエルディスクを構え、同時に展開させた。
遺跡の前に風が吹き抜け、砂埃が舞い上がる。
「ヘヘッ、行くよ!」
「おう、望むところだ!」
「レギュレーションカード、モダン・レギュレーション発動!」
「レギュレーションカード、モダン・レギュレーション発動!」
「……デュエル承認……デュエル承認……」
「デュエルタイプ、スタンダード・ゲームモード。READY」
「デュエル!」
チーム・タイダル
LP : 4000
VS
チーム・レドックス
LP : 4000
【ターン1】――陸のターン
→[ドローフェイズ]
「僕の先攻だね、ドロー」
陸 手札:5→6
→[スタンバイフェイズ]→[メインフェイズ1]
「僕は《スクリーチ》を召喚。カードをセット」
スクリーチ
【爬虫類族/効果】
①:このカードが戦闘によって破壊された場合に発動する。デッキから水属性モンスター2体を墓地へ送る。
(※テキストエラッタ)
→[エンドフェイズ]
「これでターン終了だ」
陸 LP:4000、手札:4
①スクリーチ(ATK:1600)
健斗 LP:4000、手札:5
【ターン2】――健斗のターン
→[ドローフェイズ]
「俺のターン」
健斗 手札:5→6
→[スタンバイフェイズ]→[メインフェイズ1]
「俺は《切り込み隊長》を召喚。さらに《切り込み隊長》の効果発動! 手札から《コマンドナイト》を特殊召喚する」
切り込み隊長
【戦士族/効果】
①:このカードが召喚した時に発動できる。手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する。
②:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手は他の戦士族モンスターを攻撃対象に選択できない。
(※テキストエラッタ)
コマンドナイト
【戦士族/効果】
①:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分フィールドの戦士族モンスターの攻撃力は400アップする。
②:自分フィールドに他のモンスターが存在する限り、相手はこのカードを攻撃対象に選択できない。
切り込み隊長 ATK:1200→1600
コマンドナイト ATK:1200→1600
「いきなりモンスターを2体召喚だって⁉︎」
少し、驚いた表情の陸に健斗が反応する。
「え? そんな驚く様なことか?」
健斗は少し間をおいた後、陸に尋ねる。
「……陸、もしかしてお前、デュエルを始めたの最近なんじゃないか?」
陸は尋ねられると、肩をすくめ、少しだけ視線を逸らした。
「そうだね……確かに僕はデュエリストになってまだ日が浅い。去年までは漁の手伝いをしてたんだ」
そして陸は少し空の方へ目線を向けて話を続けた。
「僕の出身は、海沿いの小さな村でね」
「村?」
「うん。そこでは、代々“海の底に沈んだの都”の伝承が語り継がれている。僕も、子どもの頃から両親に何度も聞かされて育ったよ」
陸の声はどこか懐かしさを帯びていた。潮風の音、夕暮れの波打ち際――そんな情景が、彼の言葉から自然と浮かんでくる。
「ある日、砂浜に見たこともないカードが流れ着いてたんだ。濡れた砂の上に、五枚ほど。……それが、伝承に出てくる“守り手”にそっくりなモンスターだった」
健斗は思わず目を見張る。
「カードが、伝承と関係してた……?」
「そう。僕は思ったんだ。このカードを集めれば、あの伝承の真の姿――つまり、この世界の過去と繋がる“真実”に辿り着けるんじゃないかって」
陸はデュエルディスクの上に指を滑らせながら、小さく息を吐く。
「だから、僕はデュエリストになった。……とはいえ、まだ経験も浅い。最初のターンにモンスターを二体並べられたの初めてだったから、この試験のレベルの高さを実感したよ」
その言葉に健斗は少し目を丸くしたあと、ふと笑みを浮かべた。
「そうだったのか。でもよ、カードを集めることで真実に辿り着くって話、それって考古学ってやつじゃないのか⁉︎」
予想外の方向からの反応に、陸が首をかしげる。
「考古学?」
「ああ、俺の知り合いに考古学の先生がいてな。伝承だけだと考古学にはならないが、そこに物証が合わさることで考古学になるって言ってた気がする。そのカードが過去の史実に関連しているのなら、お前がやってることは考古学だぜ」
健斗の言葉に、陸は一瞬驚いたような表情を見せ、それから静かに笑った。
「フフッ、じゃあそうなのかも知れないね。僕はね、過去を知ることで、この世界の真の姿が見えてくると思ってる。……まあ僕のチームには未来を知ることの方が大事だっていう子もいるんだけどね」
「未来?」
「ああ、いや……何でもない。こっちの話だ」
陸は軽く首を振って話を打ち切った。
「ちなみにその伝承って、どんな話なんだ?」
健斗がさらに尋ねると、陸の表情がほんの少しだけ陰を帯びた。
「……それは、デュエルを続ければ分かるよ。言葉より、戦いの中で見せたほうが早い」
そう言って、彼はまっすぐに健斗を見据える。波間のように揺れていた瞳が、今は静かに燃えていた。
「なるほどな。だったら、デュエル再開だ」
健斗はそう言うと手札のカードを1枚デュエルディスクに差し込み、発動した。
「俺はさらに永続魔法《強者の苦痛》を発動。この効果で相手フィールドのモンスターの攻撃力は、そのモンスターのレベル×100ポイントダウンする」
スクリーチ ATK:1500→1100
→[バトルフェイズ]
「行くぜ。《切り込み隊長》で《スクリーチ》に攻撃」
切り込み隊長 ATK:1600 VS ATK:1100 スクリーチ
陸都 LP:4000→3500
「だけどこの瞬間、《スクリーチ》の効果発動。デッキから攻撃力1500以下の水属性モンスター2体を墓地に送る。僕が選ぶのは、《イマイルカ》と《キラー・スネーク》だ」
イマイルカ
【海竜族/効果】
①:フィールドのこのカードが相手によって破壊され墓地へ送られた場合に発動する。自分のデッキの一番上のカードを墓地へ送る。墓地へ送ったカードが水属性モンスターだった場合、さらに自分のデッキから1枚ドローする。
(※テキストエラッタ)
キラー・スネーク
【爬虫類族/効果】
「キラー・スネーク」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが墓地に存在する場合、自分スタンバイフェイズに発動できる。このカードを手札に戻す。次の相手エンドフェイズに自分の墓地の「キラー・スネーク」1体を選んで除外する。
「だけどお前のフィールドはガラ空きだ。《コマンドナイト》で
「罠発動! 《リミット・リバース》。墓地から《イマイルカ》を特殊召喚する」
イマイルカ ATK:1000→800
リミット・リバース
①:自分の墓地の攻撃力1000以下のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚する。そのモンスターが守備表示になった時、そのモンスターとこのカードを破壊する。このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。そのモンスターが破壊された時、このカードを破壊する。
(※テキストエラッタ)
「ならば《コマンドナイト》で《イマイルカ》に攻撃だ」
コマンドナイト ATK:1600 VS ATK:800 イマイルカ
「くっ……」
陸 LP:3500→2700
イマイルカ→戦闘破壊
リミットリバース→破壊
「だけど《イマイルカ》にも効果がある。デッキの一番上のカードを墓地に送りそれが水属性モンスターだった場合、カードを1枚ドローする」
「墓地に送られたのは《
陸 手札:4→5
海竜神
【海竜族/通常】
海の主と呼ばれる海のドラゴン。津波をおこして全てを飲み込む。
→[メインフェイズ2]→[エンドフェイズ]
「俺はターンエンドだ」
陸 LP:2700、手札:5
①切り込み隊長(ATK:1600)、②コマンドナイト(ATK:1600)、③強者の苦痛
健斗 LP:4000、手札:3
【ターン3】――陸のターン
→[ドローフェイズ]
「僕のターン、ドロー」
陸 手札:5→6
→[スタンバイフェイズ]
「僕のスタンバイフェイズに墓地の《キラー・スネーク》の効果発動。このカードを手札に加える」
→[メインフェイズ1]
「さらに魔法カード《強欲なウツボ》を発動。《キラー・スネーク》と《アンモ・ナイト》をデッキに戻し、デッキから3枚ドローする」
陸 手札:6→7
強欲なウツボ
①:手札から水属性モンスター2体をデッキに戻してシャッフルする。その後、自分は3枚ドローする。
「フフッ、これでようやく僕のデッキを君に見せることがができるよ」
戦いの準備が整ったのか、陸は軽く笑みを浮かべ、手札のカードを発動する。
「僕は手札から《アトランティスの戦士》の効果を発動。デッキから《伝説の都 アトランティス》を手札に加え、そしてこれを発動!」
アトランティスの戦士
【水族/効果】
①:このカードを手札から墓地へ捨てて発動できる。デッキから「アトランティス」フィールド魔法1枚を手札に加える。
(※オリジナルエラッタ)
伝説の都 アトランティス
このカード名はルール上「海」として扱い、「アトランティス」カードとしても扱う。
①:フィールドの水属性モンスターの攻撃力・守備力は200アップする。
②:このカードがフィールドゾーンに存在する限り、お互いの手札・フィールドの水属性モンスターのレベルは1つ下がる。
(※オリジナルエラッタ)
陸がカードを発動した瞬間、周囲の空気が一変した。 重く、湿った風が吹き抜け、足元の砂が青白い光に包まれて波紋のように揺らめく。
「……っ、これは……!」
健斗が思わず息をのむ。
目の前の遺跡が、音もなく形を変えていく。石畳に水流が走り、壁面に刻まれたレリーフが淡い光を放ったかと思うと――次の瞬間、天井のない空間が透き通るような海の底へと変わった。
古びた柱に珊瑚が絡みつき、遠くには崩れた神殿が見える。 魚たちが群れを成して泳ぎ抜け、無数の泡が立ち昇るたびに光が屈折し、幻想的な青の世界を描き出していった。
「そう、これこそ僕の村で語り継がれた伝承。大暗海(だいあんかい)に眠りし伝説の都市、アトランティス!」
──陸の故郷で語り継がれし都市、アトランティス。海底デュエルの結末やいかに──