──サバイバル2日目、朝7時。
ヴェルデ大自然公園に再び開始のサイレンが響いた。
ここからはメダルの救済措置はない。敗北は、そのまま脱落を意味する。
その事実が、受験生たちの空気を一変させていた。
森は静かだった。
前日のような軽率な挑発も、無謀な奇襲もない。誰もが互いを観察し、確実に勝てる相手を待っている。
結果、デュエルの頻度は大きく減った。
だが、完全に止まったわけではない。
午前中── 遊幾は慎重に機を窺い、一人を撃破。
昼過ぎ── 健斗もまた確実に一勝を挙げた。
しかし、それ以上が続かない。
脱落者は、静かに増えていた。勝負に出た者。追い詰められた者。あるいは奇襲に遭った者。
森のどこかで、確実に人数は減っていく。時間だけが、静かに過ぎていった。
──そして15時頃。1次ラウンド終了1時間前。
大自然公園中央付近。木製のアスレチックが並ぶ、開けた広場。
その中央付近にある大きな滑り台の上に、腕を組んで立つ男がいた。カルロ・ジマーマンである。
(くそっ、この程度の高さじゃろくに人探しなんかできやしねぇか……)
その静かな広場に、足音が近づいてくる。やがて広場に現れたのは、日向ヒロだった。
カルロは滑り台の上からその姿を見下ろし、口を開いた。
「……お前、確かチーム・テンペストの受験生だな」
ヒロは軽く手を振りながら答える。
「これはこれは、よくご存知で。カルロ君」
カルロは広めの階段をゆっくり降りる。
「俺と勝負しに来たのか?」
しかしヒロは、くすっと小さく笑った。
「いやいや、違う違う。残念だけど、君とデュエルしに来たわけじゃないんだ」
カルロの眉がわずかに寄る。
「君、確か……エリオットさんを探してるんだったよね?」
その名前に、カルロの表情が変わる。
「教えてあげようか? 彼の居場所」
「何⁉︎」
予想外の言葉にカルロの表情が固まった。
「ここから北西に小さな滝があるだろ? 確か名前は……うん。“
ヒロは肩をすくめた。
「水がきれいでさ。この公園のちょっとした観光スポットらしいよ。エリオットさん、そこにいるみたいよ」
カルロは黙ってヒロを見つめる。
「……どうしてそんなことをオレに教える?」
ヒロは一瞬きょとんとした顔をしてから、薄く笑った。
「だって君、彼を追っかけてるんでしょ。僕らの間ではこの話、有名だよ。――あれっ? それとも、教えない方がよかったのかな?」
その口調には、わずかな皮肉が混じっていた。
カルロはしばらく黙っていた。
やがて、小さく息を吐く。
「……ふっ、おもしれぇ、ありがとよ」
カルロは踵を返し、森の北西へ歩き出した。
背後からヒロの声が飛ぶ。
「がんばってねー」
ヒロはそう言うと、面白いものでも見るようにカルロの背中を眺めていた。
カルロは振り返らない。だが胸の奥では、警戒を解いてはいなかった。
(あいつら……何を考えている……? まあいいさ。そこに誰がいようと関係ねぇ。オレがやることは、ただ一つ――真っ向勝負だ)
──カルロが歩き出してから十数分後
森を抜けた先で、水音が大きくなった。
やがて視界が開ける。岩壁に囲まれた小さな空間。中央の岩肌から流れ落ちる水が白い飛沫を上げている。
ここが――
滝壺の縁に、一人の男が立っていた。水飛沫を背に、悠然と腕を組んでいる。
エリオット・ヴェインだった。
カルロは足を止める。
(……本当にいやがったか)
その視線に気づいたのか、エリオットはゆっくり振り向いた。そして、口元に笑みを浮かべる。
「おやおや、カルロ君。よく来たね。まさか本当に来るとは」
カルロは鼻で笑った。
「それはこっちのセリフだ。お前が本当にいるとはな。どういう風の吹き回しだ?」
エリオットはくつくつと笑った。
「君とデュエルをしたくなっただけだよ」
その言葉に、カルロの目が細くなる。
「ほう? あれだけオレを避けてたやつが、よく言うぜ」
「くっくっく。君とはここでデュエルしたかったんだ」
エリオットは周囲を見回し、手を広げて、景色を示す。
「いい場所だと思わないか?緑があり、滝も風情がある。そして周囲は岸壁に囲まれている。行き止まりの構造さ」
水音が響く。森の音は、ここまでほとんど届かない。
「1次ラウンド最終盤。こんな場所、誰も来たがらない。誰にも干渉されずにデュエルできる。最高じゃないか?」
カルロは肩を鳴らした。
「そうかよ……ふん、なるほどな。確かに言葉に矛盾はねぇな」
エリオットは続ける。
「それにしても、君のほうこそ、罠とか考えなかったわけ?」
カルロは鼻で笑う。
「罠だろうがなんだろうが関係ねぇ。オレがやりたいのは、お前との真剣勝負だ」
一歩踏み出し、デュエルディスクを構えた。そして、起動音を響かせる。
「力と力。戦術と戦術、それがぶつかり合うデュエルを、お前に教えてやるぜ」
カルロの視線が鋭くなる。
一瞬の沈黙。そしてエリオットは、楽しそうに笑った。
「いいね」
彼もまたデュエルディスクを展開する。
「楽しいデュエルになりそうだ。じゃっ、始めようか」
水音が、さらに強く響いた。
二人のデュエルディスクが、同時に光を放つ。
「レギュレーションカード、モダン・レギュレーション発動!」
「レギュレーションカード、モダン・レギュレーション発動!」
「……デュエル承認……デュエル承認……」
「デュエルタイプ、スタンダード・ゲームモード。READY」
「「デュエル!」」
チーム・テンペスト
LP : 4000
VS
チーム・ブラスター
LP : 4000
【ターン1】――エリオットのターン
→[ドローフェイズ]
「ボクの先攻だね。ドロー」
エリオット 手札:5→6
→[スタンバイフェイズ]→[メインフェイズ1]
「ボクは《エア・サーキュレーター》を召喚」
胴体に大型プロペラを備えたロボットが、回転音を響かせながらフィールドに出現する。
エア・サーキュレーター
【機械族/効果】
①:このカードが召喚した時に発動できる。自分は手札を2枚デッキに戻す。その後、自分は2枚ドローする。
②:このカードが破壊された場合に発動する。自分は1枚ドローする。
(※テキストエラッタ)
「そして効果発動。手札を2枚デッキに戻し、2枚ドローする」
エリオット 手札:5→5
「さらにカードを3枚伏せる」
→[エンドフェイズ]
「これでターンエンドだ」
カルロ LP:4000、手札:5
①エア・サーキュレーター(ATK:0)
エリオット LP:4000、手札:2
【ターン2】――カルロのターン
→[ドローフェイズ]
「オレのターン」
カルロ 手札:5→6
→[スタンバイフェイズ]→[メインフェイズ1]
「オレは《ヴォルカニック・ロケット》を召喚。効果発動。デッキから《ブレイズ・キャノン》を手札に加える」
ヴォルカニック・ロケット
【炎族/効果】
①:このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚した時に発動できる。自分のデッキ・墓地から「ブレイズ・キャノン」カード1枚を手札に加える。
翼を持ったミサイル型のモンスターが召喚されると、エリオットはわざとらしく肩を震わせた。
「あわわわわ……!攻撃力1900ってやばいって!ボクのモンスター、攻撃力0なんだけど!?」
しかし、カルロはそれに対して冷静に反応する。
「フン、そうやって攻撃を誘っているのか? 伏せカードが3枚もあるやつの誘いにはのらねぇぜ」
演技を見破られたエリオットは落ち着きを取り戻す。
「おやおや、そうかい。でもさ、ブラフかも知れないよ?」
「ブラフだろうが何だろうが関係ねぇ。オレの次の一手はこれさ。魔法カード《ブレイズ・キャノン》を発動。さらに《ブレイズ・キャノン-トライデント》を《ブレイズ・キャノン》を墓地に送ることで発動」
カルロのフィールドに、三つの砲口を持つ巨大なキャノン砲が展開される。
ブレイズ・キャノン
①:相手フィールドのモンスター1体を対象としてこの効果を発動できる(この効果を発動するターン、自分のモンスターは攻撃できない)。手札から攻撃力500以下の炎族モンスター1体を墓地へ送り、対象の相手モンスターを破壊する。
ブレイズ・キャノン-トライデント
①:このカードは自分フィールドに表側表示で存在する「ブレイズ・キャノン」1枚を墓地へ送って発動できる。自分メインフェイズに、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。手札から炎族モンスター1体を墓地へ送り、対象のモンスターを破壊し、相手に500ダメージを与える。この効果を発動するターン、自分のモンスターは攻撃できない。
(※テキストエラッタ)
「《ブレイズ・キャノン-トライデント》の効果発動。手札の《ヴォルカニック・バレット》を墓地へ送り、《エア・サーキュレーター》を破壊する」
エア・サーキュレーター→破壊
エリオット LP:4000→3500
「《エア・サーキュレーター》が破壊されたことにより効果発動。ボクはカードを1枚ドローする」
エリオット 手札:2→3
「オレは墓地の《ヴォルカニック・バレット》の効果発動。ライフを500払い、デッキから《ヴォルカニック・バレット》を手札に加える。――さらにカードを1枚伏せて」
ヴォルカニック・バレット
【炎族/効果】
①:このカードが墓地に存在する場合、1ターンに1度、500LPを払って発動できる。このカードが墓地に存在する場合、デッキから「ヴォルカニック・バレット」1体を手札に加える。
→[エンドフェイズ]
「ターンエンドだ」
カルロ LP:3500、手札:3
①ヴォルカニック・ロケット(ATK:1900)、②ブレイズ・キャノン-トライデント
エリオット LP:3500、手札:3
【ターン3】――エリオットのターン
→[ドローフェイズ]
「ボクのターン」
エリオット 手札:3→4
→[スタンバイフェイズ]→[メインフェイズ1]
「ボクは《ヘル・ドラゴン》を召喚」
緑色の鱗を持つドラゴンが、唸り声と共にフィールドへ降り立つ。
ヘル・ドラゴン
【炎族/効果】
①:このカードが攻撃したターンのエンドフェイズに発動する。このカードを破壊する。
②:フィールドのこのカードが破壊され墓地へ送られた時、自分フィールドのモンスター1体をリリースして発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。
→[バトルフェイズ]
「《ヘル・ドラゴン》で《ヴォルカニック・ロケット》を攻撃」
「永続罠《スピリットバリア》発動。モンスターが存在する限り、オレは戦闘ダメージを受けない」
スピリットバリア
①:自分フィールド上にモンスターが存在する限り、このカードのコントローラーへの戦闘ダメージは0になる。
ヘル・ドラゴン ATK:2000 VS ATK:1900 ヴォルカニック・ロケット
ヴォルカニック・ロケット→戦闘破壊
→[メインフェイズ2]
「ヘー、いい罠を持ってるね」
→[エンドフェイズ]
「このターンに攻撃を行った《ヘル・ドラゴン》はエンドフェイズに破壊される」
ヘル・ドラゴン→破壊
「ボクはターンエンドだ」
カルロ LP:3500、手札:3
①スピリットバリア、②ブレイズ・キャノン-トライデント
エリオット LP:3500、手札:3
【ターン4】――カルロのターン
→[ドローフェイズ]
「オレのターン」
カルロ 手札:3→4
→[スタンバイフェイズ]→[メインフェイズ1]
「オレは《ヴォルカニック・トルーパー》を召喚」
左手に小銃を持った無機質なモンスターが現れた。
ヴォルカニック・トルーパー
【炎族/効果】
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①: このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。デッキから「ヴォルカニック・トルーパー」以外の「ヴォルカニック」カード1枚を手札に加える。
②: 手札を1枚捨てて発動できる。相手フィールドに「ボムトークン」(炎族・炎・星1・攻/守1000)1体を特殊召喚する。このトークンが破壊された時にそのコントローラーは500ダメージを受ける。
「そして効果発動。デッキから『ヴォルカニック』カード1枚を手札に加える。オレは《ヴォルカニック・カウンター》を手札に加える」
ヴォルカニック・カウンター
【炎族/効果】
①:このカードが墓地に存在し、自分が戦闘ダメージを受けた時に発動する。墓地のこのカードをゲームから除外し、自分の墓地に「ヴォルカニック・カウンター」以外の炎属性モンスターが存在する場合、自分が受けた戦闘ダメージと同じ数値のダメージを相手に与える。
(※テキストエラッタ)
「さらに《ヴォルカニック・トルーパー》の効果発動。手札の《ヴォルカニック・バレット》を墓地へ送ることで、相手フィールドに『ボムトークン』を特殊召喚する」
「おっと、それは困るな。永続罠《デモンズ・チェーン》を発動。《ヴォルカニック・トルーパー》の効果を無効にするよ」
地中から4本の鎖が飛び出し、《ヴォルカニック・トルーパー》の四肢に巻きつき拘束した。
デモンズ・チェーン
①:フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、対象の表側表示モンスターは攻撃できず、効果は無効化される。対象のモンスターが破壊された時にこのカードは破壊される。
(※テキストエラッタ)
「何? 《デモンズ・チェーン》だとぉ?」
エリオットの不可思議な発動タイミングにカルロは頭の中で思考を巡らせる。
(なぜ《ヴォルカニック・トルーパー》の召喚時の効果に発動しない? ――いや、そもそもあのカードは奴が最初のターンに伏せたカード。オレの《ヴォルカニック・ロケット》に対しても発動できたはずだ)
カルロの動きが固まったのを見て、エリオットは内心ほくそ笑む。
(そうだ考えろ考えろ。そして悩め。悩みは決断力を鈍らせる。くっくっく)
(考えられる理由は……そうか! 奴はオレの攻撃宣言を待っている。やはりあの伏せカードは攻撃宣言時に発動するカード、もしくは戦闘ダメージをトリガーとするカードだな……)
「オレは魔法カード《ファイヤー・エジェクション》を発動。この効果でデッキから炎属性モンスターを墓地へ送らせてもらうぜ」
ファイヤー・エジェクション
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
①:デッキから炎族モンスター1体を墓地へ送る。この効果で「ヴォルカニック」モンスターを墓地へ送った場合、さらに以下の効果から1つを選んで適用できる。
●そのレベル×100ダメージを相手に与える。
●相手フィールドに「ボムトークン」(炎族・炎・星1・攻/守1000)1体を特殊召喚する。このトークンが破壊された時にそのコントローラーは500ダメージを受ける。
「そのカードも困るな。カウンター罠《魔宮の賄賂》を発動。魔法カードの発動を無効にし破壊する。そして相手は1枚ドローする」
カルロ 手札:2→3
魔宮の賄賂
①:相手が魔法・罠カードを発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。相手は1枚ドローする。
(まただ。《ブレイズ・キャノン》はいいが、《ファイヤー・エジェクション》は嫌ってことかよ)
「オレは再び《ヴォルカニック・バレット》の効果を発動。ライフを500払い、デッキから《ヴォルカニック・バレット》を手札に加える。カードを1枚伏せて」
→[エンドフェイズ]
「ターンエンドだ」
カルロ LP:3000、手札:2
②ヴォルカニック・トルーパー(ATK:1000)、③スピリットバリア、④ブレイズ・キャノン-トライデント
①デモンズ・チェーン(→②)
エリオット LP:3500、手札:3
【ターン5】――エリオットのターン
→[ドローフェイズ]
「ボクのターン」
エリオット 手札:3→4
→[スタンバイフェイズ]→[メインフェイズ1]
「ボクは《可変機獣 ガンナードラゴン》を召喚」
竜の姿を模した戦車型の大型モンスターが現れた。
可変機獣 ガンナードラゴン
【炎族/効果】
①:このカードはリリースなしで通常召喚できる。
②:このカードの①の方法で通常召喚したこのカードの元々の攻撃力・守備力は半分になる。
「このカードはレベル7だけど、リリースなしで召喚できる。その代わり攻撃力と守備力は半分になっちゃうけどね」
可変機獣 ガンナードラゴン ATK:2800→1400 DEF:2000→1000
→[バトルフェイズ]
「《可変機獣 ガンナードラゴン》で《ヴォルカニック・トルーパー》を攻撃」
「そうはいかないぜ。永続罠《アストラルバリア》を発動。《可変機獣 ガンナードラゴン》の攻撃をオレへの
アストラルバリア
①:自分フィールドのモンスターが攻撃対象に選択された時に発動できる。その攻撃を自分への直接攻撃にする。
(※テキストエラッタ)
可変機獣 ガンナードラゴン ATK:1400 → カルロ LP:3000
「だがオレのフィールドには《スピリットバリア》がある。ダメージは受けない」
カルロ LP:3000→3000
→[メインフェイズ2]
「あらあら、2つのバリアで君のフィールドは鉄壁ってわけか。ボクは魔法カード《七星の宝刀》を発動。この効果で《可変機獣 ガンナードラゴン》を除外してカードを2枚ドローする」
エリオット 手札:2→4
七星の宝刀
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
①:手札及び自分フィールドの表側表示モンスターの中から、レベル7モンスター1体を除外して発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。
「さらにカードを1枚伏せて」
→[エンドフェイズ]
「ボクはターンエンド」
カルロ LP:3000、手札:2
②ヴォルカニック・トルーパー(ATK:1000)、③スピリットバリア、④ブレイズ・キャノン-トライデント、⑤アストラルバリア
①デモンズ・チェーン(→②)
エリオット LP:3500、手札:3、除外:1
(あくまでもフィールドにモンスターを残さないことで《ブレイズ・キャノン-トライデント》を回避する戦術か。面白ぇ)
【ターン6】――カルロのターン
→[ドローフェイズ]
「オレのターン」
カルロ 手札:2→3
→[スタンバイフェイズ]
カルロのターンだが、エリオットが先に動いた。
「ボクはこの瞬間、永続罠《ソウルドレイン》を発動。このカードはライフを1000払い、お互いに墓地と除外状態のモンスター効果の発動を封じるカード」
エリオット LP:3500→2500
ソウルドレイン
①:1000ライフポイントを払って発動できる。このカードがフィールド上に存在する限り、ゲームから除外されているモンスターの効果及び墓地に存在するモンスターの効果は発動できない。
「君のデッキの下級モンスターは、墓地でその真価を発揮するカード。それを封じさせてもらうよ」
→[メインフェイズ1]
「だが、《ブレイズ・キャノン-トライデント》を無力化され、墓地を封じられてもまだオレには手段があるぜ。魔法カード《ファイヤー・ソウル》を発動。相手が1枚ドローする代わりにデッキのモンスターを除外し、そのモンスターの攻撃力の半分のダメージを与える。俺は《The blazing MARS》を除外し、1300のダメージを受けてもらう」
エリオット 手札:3→4
「うぅ……」
エリオット LP:2500→1200
ファイヤー・ソウル
①:相手はデッキからカードを1枚ドローする。自分のデッキから炎族モンスター1体をゲームから除外し、除外したモンスターの攻撃力の半分のダメージを相手に与える。このカードを発動するターン、自分は攻撃宣言できない。
(※テキストエラッタ)
The blazing MARS
【炎族/効果】
このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①: このカードが手札・墓地に存在する場合、自分の墓地からこのカード以外のモンスター3体を除外して発動できる。このカードを特殊召喚する。この効果の発動後、ターン終了時まで自分はモンスターを特殊召喚できない。
②:自分メインフェイズ1に、自分フィールドの他のモンスターを全て墓地へ送って発動できる。墓地へ送ったモンスターの数×500ダメージを相手に与える。
「このダメージはいただけないね。ボクは手札の《ダメージ・メイジ》の効果を発動。このカードを特殊召喚し、受けたダメージ分、ライフを回復する」
エリオット LP:1200→2500
ダメージ・メイジ
【魔法使い族/効果】
①:カードの効果によって自分がダメージを受けた時に発動できる。このカードを手札から特殊召喚し、受けたダメージの数値分だけ自分のライフポイントを回復する。
「ほぅ、しっかりバーン対策はしてきているようだな。だが特殊召喚は良くねぇな。お前のフィールドに新たなモンスターが出現したことにより、オレは《ブレイズ・キャノン-トライデント》の効果を発動。手札の《ヴォルカニック・カウンター》を墓地に送り、《ダメージ・メイジ》を破壊する。そして500ダメージも受けてもらうぜ」
ダメージ・メイジ→破壊
「く……」
エリオット LP:2500→2000
→[エンドフェイズ]
「ターンエンドだ」
カルロ LP:3000、手札:1、除外:1
③ヴォルカニック・トルーパー(ATK:1000)、④スピリットバリア、⑤ブレイズ・キャノン-トライデント、⑥アストラルバリア
①デモンズ・チェーン(→③)、②ソウルドレイン
エリオット LP:2000、手札:3、除外:1
【ターン7】――エリオットのターン
→[ドローフェイズ]
「ボクのターン」
エリオット 手札:3→4
→[スタンバイフェイズ]→[メインフェイズ1]
「ボクはカードを1枚伏せて」
→[エンドフェイズ]
「ターンエンド」
カルロ LP:3000、手札:1、除外:1
③ヴォルカニック・トルーパー(ATK:1000)、④スピリットバリア、⑤ブレイズ・キャノン-トライデント、⑥アストラルバリア
①デモンズ・チェーン(→③)、②ソウルドレイン
エリオット LP:2000、手札:3、除外:1
カードを1枚伏せただけのエリオットを見たカルロは不穏な流れを感じていた。
(デュエルが動かなくなりつつあるな――お互いがお互いを牽制し合う形になっているから自然な流れとも言えるが……何か嫌な予感がするぜ)
【ターン8】――カルロのターン
→[ドローフェイズ]
「オレのターン」
カルロ 手札:1→2
カルロはドローしたカードを見て目を見開いた。
(よし、このカードならこの状況を動かせる!)
→[スタンバイフェイズ]→[メインフェイズ1]
「オレは再び《ヴォルカニック・トルーパー》の効果発動。手札の《ヴォルカニック・バレット》を墓地へ送り、『ボムトークン』を特殊召喚するぜ」
「おいおい……どこかで頭でも打ったのかい? 君の《ヴォルカニック・トルーパー》の効果は《デモンズ・チェーン》の効果によって無効化されてるだろ?」
カルロは《ヴォルカニック・トルーパー》の効果を発動したが、エリオットの言うとおり、何も起きない。
「ふん、そんなことはわかってるぜ。オレは《ヴォルカニック・トルーパー》をリリースし《ヴォルカニック・ハンマー》をアドバンス召喚」
炎を纏った恐竜型のモンスターがフィールドへ降り立つ。
「《ヴォルカニック・ハンマー》の効果を発動。こいつは1ターンに1度、墓地の『ヴォルカニック』モンスター1体につき200のダメージを与えることができる。オレの墓地の『ヴォルカニック』モンスターは6体。よって1200のダメージを受けてもらおう」
《ヴォルカニック・ハンマー》が6つの火球をエリオットに放った。
「ぐぅぅぅ……」
エリオット LP:2000→800
ヴォルカニック・ハンマー
【炎族/効果】
①:1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。自分の墓地の「ヴォルカニック」モンスターの数×200ダメージを相手に与える。この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない。
(※テキストエラッタ)
「くっ……そういうことか。さっきの《ヴォルカニック・トルーパー》の効果は、墓地の『ヴォルカニック』モンスターを増やすためにわざと……」
「そうさ。効果が無効にされてもコストを払うことはできるからな」
(これで奴も動かざるを得ない。さあ、どう来る?)
→[エンドフェイズ]
「オレはターンエンドだ」
カルロ LP:3000、手札:0、除外:1
③ヴォルカニック・ハンマー(ATK:2400)、④スピリットバリア、⑤ブレイズ・キャノン-トライデント、⑥アストラルバリア
①デモンズ・チェーン、②ソウルドレイン
エリオット LP:800、手札:3、除外:1
【ターン9】――エリオットのターン
→[ドローフェイズ]
「ボクのターン」
エリオット 手札:3→4
→[スタンバイフェイズ]→[メインフェイズ1]
「ボクは魔法カード《マジック・プランター》を発動。《デモンズ・チェーン》を墓地へ送り、カードを2枚ドロー」
エリオット 手札:3→5
マジック・プランター
①:自分フィールドの表側表示の永続罠カード1枚を墓地へ送って発動できる。自分は2枚ドローする。
「くっふっふっふ。さっきは面白いことしてくれたね。――それじゃボクもお返しに、とっておきのコンボを君に見せてあげるよ」
「ボクは《プラズマ・ボール》を召喚」
電気を帯びた球体のモンスターが現れた。球体の内部に浮かぶ目が、怪しくカルロを見つめる。
プラズマ・ボール
【雷族/効果】
①:このカードは直接攻撃できる。
②:このカードが直接攻撃で相手に戦闘ダメージを与えた場合に発動する。このカードを破壊する。
(※テキストエラッタ)
「攻撃力900のモンスターか。だがどんなモンスターが来ようとオレのやることは変わらねぇぜ。《ヴォルカニック・ハンマー》への攻撃は
「悪いけど、それには及ばないよ。《プラズマ・ボール》はそもそも元から相手に
「何?」
→[バトルフェイズ]
「《プラズマ・ボール》でプレイヤーに
大きな爪を持った悪魔族モンスターが場に姿を現す。
エリオット LP:800→1800
ジュラゲド
【悪魔族/効果】
このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:自分・相手のバトルステップに発動できる。このカードを手札から特殊召喚し、自分は1000LP回復する。
②:自分・相手ターンに、このカードをリリースし、自分フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力を次のターンの終了時まで1000アップする。
(※テキストエラッタ)
「さらに続けて《ジュラゲド》の効果を発動。このカードをリリースすることで《プラズマ・ボール》の攻撃力を1000アップする」
《ジュラゲド》が消え、《プラズマ・ボール》の放電が激しくなった。
プラズマ・ボール ATK:900→1900
プラズマ・ボール ATK:1900 → カルロ LP:3000
カルロ LP:3000→3000
《プラズマ・ボール》の攻撃もカルロの二重のバリアに阻まれるが、エリオットは、わざとらしくパチパチと拍手をしながら話し始めた。
「いや〜すごいよ、カルロ君。このコンボを完璧に防がれたのは今回が初めてだよ」
「どういうつもりだ。その攻撃が届かないことくらいわかってるはずだ。何が狙いだ? ライフ回復か? だがこの状況でそんなライフは一時凌ぎに過ぎないぜ」
→[メインフェイズ2]
「くっふっふ。まあ、たしかにその狙いもある。だが真の狙いはこいつさ。魔法カード《実力伯仲》!」
エリオットは珍しく勢いよくカードを発動した。
「《実力伯仲》は、お互いのフィールドの攻撃表示の効果モンスター1体ずつを対象として発動する。そのモンスターの効果は無効化され、その2体がフィールドに残っている限り、戦闘で破壊されず効果も受けず、攻撃と表示形式の変更もできない」
実力伯仲
①:自分及び相手フィールドの表側攻撃表示の効果モンスターを1体ずつ対象として発動できる。その2体のモンスターの効果を無効にする。その後、その2体のモンスターがフィールドに表側攻撃表示で存在する限り、それらのモンスターは戦闘では破壊されず、このカード以外のカードの効果を受けず、攻撃と表示形式の変更もできない。
(※テキストエラッタ)
「ボクが選ぶのは……いや、選ぶも何も、お互いにフィールドのモンスターは1体しかいないか。対象は《ヴォルカニック・ハンマー》と《プラズマ・ボール》さ」
《ヴォルカニック・ハンマー》と《プラズマ・ボール》はお互いがお互いを睨み合い、動かなくなった。
「くっくっく。これで君の《ヴォルカニック・ハンマー》は無効化され、ボクの《プラズマ・ボール》も《ブレイズ・キャノン-トライデント》の効果を受けない。ボクはカードを1枚伏せる」
→[エンドフェイズ]
「さあ、君のターンだ」
カルロ LP:3000、手札:0、除外:1
③ヴォルカニック・ハンマー(ATK:2400)、④スピリットバリア、⑤ブレイズ・キャノン-トライデント、⑥アストラルバリア
①プラズマ・ボール(ATK:1900)、②ソウルドレイン
エリオット LP:1800、手札:1、除外:1
【ターン10】――カルロのターン
→[ドローフェイズ]
「オレのターン」
カルロ 手札:0→1
→[スタンバイフェイズ]
「ボクは再び君のスタンバイフェイズに罠を発動。《生贄封じの仮面》。この効果でお互いにモンスターをリリースできない。せっかく睨み合ってくれているモンスターに退場されては困るからねぇ」
生贄封じの仮面
①:このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、お互いにカードをリリースできない。
→[メインフェイズ1]
「オレは魔法カード《貪欲な壺》を発動。墓地の《ヴォルカニック・バレット》3体と《ヴォルカニック・ロケット》、《ヴォルカニック・トルーパー》をデッキに戻して2枚ドローする」
カルロ 手札:0→2
貪欲な壺
①:自分の墓地のモンスター5体を対象として発動できる。そのモンスター5体をデッキに戻す。その後、自分は2枚ドローする。
「そして再び《ヴォルカニック・トルーパー》を召喚し、効果発動。デッキから《ヴォルカニック・バレット》を手札に加える」
「さらに《ヴォルカニック・トルーパー》の効果発動。《ヴォルカニック・バレット》を墓地へ送り、『ボムトークン』を特殊召喚だ」
「おおっと、ここまでだね、カルロ君」
エリオットはそう言って口角を上げた。
「このデュエル、終わりにしようじゃないか」
「んん? 何を言っている?」
「ボクは永続罠《宇宙の収縮》を発動。互いのフィールドに出せるカードの枚数はそれぞれ5枚までになる。これによって『ボムトークン』は特殊召喚されない」
宇宙の収縮
①:それぞれのフィールド上に存在しているカードが5枚以下の場合に発動する事ができる。お互いにフィールド上に出せるカードの合計枚数は5枚までになる。
「なんだと⁉︎ そうか……《実力伯仲》を使ってモンスターを残したのはこれが狙いだったのか!」
(オレのフィールドのカードは5枚。身動きを封じられた……)
何もできないカルロはそのままエンドフェイズへとターンを進める。
→[エンドフェイズ]
「はーい、エンドフェイズに移行したね? それじゃ種明かしをしようか」
エリオットはニヤつきながら、どこか興奮した様子で話し出す。
「君がずっと警戒していたこの伏せカードを教えてあげようじゃないか」
そう言ってエリオットは最初のターンに伏せていた最後のカードを発動する。
「正体はこれさ。罠カード《グラヴィティ・バインド-超重力の網-》」
グラヴィティ・バインド-超重力の網-
①:このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、レベル4以上のモンスターは攻撃できない。
(※テキストエラッタ)
「な……なんだこれは?」
予想外の罠カードにカルロの表情が固まる。
カルロ LP:3000、手札:1、除外:1
⑥ヴォルカニック・トルーパー(ATK:1000)、⑦ヴォルカニック・ハンマー(ATK:2400)、⑧スピリットバリア、⑨ブレイズ・キャノン-トライデント、⑩アストラルバリア
①プラズマ・ボール(ATK:1900)、②グラヴィティ・バインド-超重力の網-、③生贄封じの仮面、④ソウルドレイン、⑤宇宙の収縮
エリオット LP:1800、手札:1、除外:1
(発動する効果のない永続罠だと? これじゃ、オレだけでなく、奴も身動きが出来ないじゃないか⁉︎)
フィールドの動きが停止した。
まるで、滝から流れ落ちる水だけが、この世界の時間が止まっていないことを伝えているかのようだった。
──エリオットがフィールドをロックし、お互いに身動きが取れない状態に。エリオットの狙いは一体⁉︎──