遊戯王OS   作:ペント

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アセンション大陸編
第1話「デュエリストライセンス」


やわらかな潮風が吹き抜ける海岸で、遊幾は一人、水平線を見つめていた。その瞳は、どこか遠くを見据えているようだった。

「この水平線の向こうには、どんな世界が広がっているんだろうな……」

静かなつぶやきが、波音に溶けていく。

それは、エルダ島で育った18歳の若き青年が、世界へと踏み出す前の、最初の一歩だった——。

 

 

今日は日曜日。島の北部にある施設からは、子供たちの元気な声が聞こえてくる。

 

「シルバー・フォングでモンスターエッグを攻撃!」

ゲン LP:600 → 0

 

「負けた〜。やっぱタケルは強いなー」

「いや、いいタイミングでエースモンスターを引けただけさ」

タケルは謙虚に肩をすくめて笑った。

 

ここは児童擁護施設、星見の丘。普段通り休日には子供達がデュエルで遊んでいる。そこへ――。

 

「ただいまー」

 

星見の丘の門をくぐり、ひとりの青年が帰ってきた。

黒髪の前髪が少し目にかかり、明るい笑顔を見せてはいるが、その奥にわずかな影を感じさせる雰囲気がある。

——八上遊幾、18歳である。

 

遊幾の帰宅に子供たちの足音が鳴り響く。

 

「あっ、遊幾兄ちゃんおかえりー」

ツインテールのリボンが揺れ、ぬいぐるみを抱えたまま、小さな女の子が駆け寄ってくる。

メイだ。

 

「新しいカードは手に入ったの?」

落ち着いた声とともに、黒髪を整えた眼差しの鋭い少年が歩いてくる。タケルだ。カードケースを胸元でしっかりと抱え、几帳面そうな雰囲気を漂わせている。

 

「え?あぁ、今日は神社には行ってないんだ。デッキはもう作り終わってるから」

遊幾が答える。

 

「じゃあ、どこに行ってたの?」

わちゃわちゃと駆け込んでくるのは、寝ぐせがついた茶髪を揺らす元気な少年、ゲン。リュックの口が半開きで、中からカードがはみ出しかけている。慌ててそれを押し込んだあと、にぱっと笑って顔を上げた。

 

「ちょっと海岸にね。水平線を眺めてた」

「水平線?」

タケルが問い返す。

「心を落ち着かせたくて。今日はこれからワクワクが止まらなそうだから」

そう言って遊幾は微笑んだ。

 

「おお、おかえり。そろそろ時間じゃないのか?」

和装の作務衣に、首から下がったカードのお守りが揺れる。

声をかけてきたのは、施設長であり、デュエル神社の宮司でもある住吉忠雄だ。

 

「あっ、そうだった。それじゃ、支度してくる」

そう言うと、遊幾は自分の部屋に入っていった。

 

「忠雄さん、遊幾兄ちゃんはC級のライセンスの試験受けるんだよね?」

タケルが訊ねる。

 

「ああ、そうだよ。今日のデュエルに勝てばライセンスをもらえるんじゃ」

 

「じゃあ私たち、応援しなきゃね!」

メイがぴょんと跳ねる。

 

「たしか、ライセンス取るとデュエルの大会に出られるんだよね」

ゲンが目を輝かせながら言った。

 

忠雄はうなずく。

「公式の大会なら全て出場することはできる。といっても、B級やA級のライセンスを持ってないと勝ち上がれない大会もたくさんあるから、そういった意味では出られる大会は限られるけどな」

 

「どうして勝ち上がれないの?」

メイが小首をかしげる。

 

「たしか、より上級のライセンスを取れば、より強力なカードを使えるんだよ」

タケルが答えた。

 

「その通り。だがそれだけではないぞ」

忠雄の声に子供たちが耳を傾ける。

「C級まではライフポイントは4000から始まるが、B級以上になると8000から始められる。使えるカードが増える以外にも色々なメリットがあるんじゃよ」

 

「へー」

ゲンの口がぽかんと開いた。

 

「とはいえ、C級でも正式なデュエリストだからな。それにデュエリストライセンスは身分証明書にもなる。そっちの目的で取る人間も結構おるんじゃよ」

 

しばらくして準備を終えた遊幾が部屋から出てきた。

「じゃ、そろそろ行ってくる」

 

「いってらっしゃーい!」

子供たちが声をそろえて返事をすると、ゲンが代表してエールを送る。

「がんばってね。ボクたちも応援してるから!」

 

「デュエリストになって帰ってこいよ」

 

「おう!」

遊幾は子供たちと忠雄に力強く答え、星見の丘を後にした。

 

 

-----------数時間後、試験デュエル場

試験デュエル場では複数の試験デュエルが同時並行で行われている。観戦も自由にでき、デュエルの内容はネットでも配信されている。C級ライセンスは最も低級のライセンスではあるが、人口の少ないエルダ島ではB級以上の試験が行われないため、島民には人気の催し物となっている。

 

遊幾の試験時刻になり、試験官の男が遊幾の前にやってきた。

「君の試験官を務める剛田マックスだ。よろしくな」

Tシャツに長ズボンという試験官らしからぬ格好だ。大柄で筋肉質、着ているTシャツが今にもはち切れそうだ。

 

「よろしく頼みます。剛田さん」

と遊幾が丁寧に挨拶すると、

「マックスでいいぞ」

と笑顔で返される。

「OK!マックスさん。」

 

試験が始まろうとする中、周囲がざわつき始めた。

 

「おいおい、あれって……」

観客席の後方、立ち見の列の中で、一人の青年がぽつりと呟いた。くすんだ色のシャツに身を包んだ彼は、地味な風貌に反してデュエル場の異変にいち早く気づいた。

「あれは……試験官やめたはずのマックスじゃないか」

その隣で背の高い青年が、確信を込めて言う。整った顔立ちを持ち、自然と周囲の視線を引き寄せる雰囲気を持つ彼は、3人の中でも一歩抜けた存在感を放っていた。

「え? 有名なのか?」

最後に反応したのは、短髪でラフな格好をした青年であった。前の二人についてきたのか、どことなくデュエルにはあまり興味がないようにも見て取れる。

「有名も何も……あの人、自分のガチデッキで受験者と戦うことで話題になったんだよ」

中央に立つ背の高い青年が、少しだけ眉をひそめながら説明した。

「使っちゃいけなかったっけ?」

短髪の青年がさらに問いかけた。

「違反ではないけど、C級ライセンス用に推奨されてるデッキを使うのが普通さ」

中央の青年がやや真面目な口調で応えた。

「そのせいで、あいつとデュエルする受験生の合格率だけ極端に低いんだよ」

物見高い青年が苦笑気味に続けた。

「一昨年あたりからぱったり姿を見なくなったから、てっきり辞めたと思ってたんだけどな……まさか、また戻ってくるとは」

中央の青年が、フィールドの様子を見つめながらぼそりと呟いた。

 

 

同時刻、星見の丘では、

「そろそろデュエルの時間だな」

忠雄がそう言って、テレビでネット配信のチャンネルを開く。メイ、タケル、ゲンを含め、7〜8人くらいの子供たちが続々と集まってきた。

「楽しみだな〜」

ゲンが目を輝かせる。

「遊幾兄ちゃん応援しなきゃ」

メイも笑顔で続く。

「あの試験官……マックスか!」

忠雄が目を細めた。

「忠雄さんの知り合い?」

タケルが尋ねる。

「ああ。昔からの知り合いでな。こりゃ面白いデュエルが見れるかもしれんぞ」

「へーー」

 

 

デュエル場ではマックスと遊幾がデュエルフィールドの両サイドに分かれ、準備が整う。

 

「それでは、デュエルを始めよう!」

マックスがそう言うと、二人はお互いにデュエルディスクを構え、レギュレーションカードを手にした。この世界ではこのカードがないとデュエルを開始できない。

 

そして遊幾とマックスは同時に発声しながらレギュレーションカードを発動する。

「レギュレーションカード、モダン・レギュレーション発動!」

「レギュレーションカード、モダン・レギュレーション発動!」

 

レギュレーションカードを発動すると、デュエルディスクから自動音声が流れた。

「……デュエル承認……デュエル承認……」

「デュエルタイプ、スタンダード・ゲームモード。READY」

 

「デュエル!」

両者の掛け声と共にデュエルが始まった。

 

剛田マックス【C級】

LP : 4000

 

VS

八上遊幾【C級(仮)】

LP : 4000

 

デュエルの先攻・後攻はデュエルディスクによってランダムに決定される。今回はマックスが先攻になった。

 

【ターン1】——マックスのターン

→[ドローフェイズ]

「オレの先攻だな。ドロー」

マックスは力強くカードをドローした。

マックス 手札:5→6

 

→[スタンバイフェイズ]→[メインフェイズ1]

「オレは《黒き森のウィッチ》を召喚」

マックスがデュエルディスクにモンスターを召喚すると、デュエルフィールドに黒衣を身に纏い、目を閉じながら佇む魔女が現れた。

 

この世界では、ソリッドビジョンシステムによりモンスターを召喚すると、そのモンスターが立体映像としてデュエルフィールドに現れるのだ。

 

「そしてカードを1枚セットする」

同様にして、カードをセットすると裏側のカードが立体映像としてデュエルフィールドに現れた。

 

 

黒き森のウィッチ

闇属性 レベル4 ATK/1100 DEF/1200

【魔法使い族/効果】

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

①:このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動する。デッキから守備力1500以下のモンスター1体を手札に加える。このターン、自分はこの効果で手札に加えたカード及びその同名カードの効果を発動できない。

 

→[エンドフェイズ]

「これでターンエンドだ」

 

マックス LP:4000、手札:4

①黒き森のウィッチ(ATK:1100)

 
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遊幾 LP:4000、手札:5

 

(さあ、どんなデュエルを見せてくれるのか、楽しみだな)

マックスは顔に笑みを浮かべながら遊幾にターンを渡した。

 

【ターン2】——遊幾のターン

→[ドローフェイズ]

「行くぜ! 俺のターン、ドロー」

遊幾は勢いよくドローするが、その後はゆったりとドローしたカードを手札に加えた。

遊幾 手札:5→6

 

→[スタンバイフェイズ]→[メインフェイズ1]

(《黒き森のウィッチ》は、墓地に送られるとデッキからモンスターを手札に加えることができるモンスター)

(明らかに攻撃を誘われてるけど、マックスさんのデッキも知りたいし、ここは……)

少しの沈黙のあと、遊幾は決意を込めてデュエルを進める。

「俺は《ルイーズ》を召喚!」

遊幾のフィールドにもモンスターが立体映像で現れた。剣と鎧を身につけ、二足歩行で構えるビーバーの戦士だ。

 

ルイーズ

地属性 レベル4 ATK/1200 DEF/1500

【獣戦士族/通常】

体は小さいが、草原での守備力はかなり強い。

 

→[バトルフェイズ]

「《ルイーズ》で《黒き森のウィッチ》に攻撃!」

遊幾が攻撃宣言を行うと、《ルイーズ》が《黒き森のウィッチ》の元へ駆けていき、持っている剣で斬り伏せた。

 

ルイーズ ATK:1200 VS ATK:1100 黒き森のウィッチ

マックス LP:4000→3900

黒き森のウィッチ→戦闘破壊

 

このようにして、モンスター同士の戦闘が立体映像で表現されることがこの世界のデュエルの大きな魅力の一つになっている。

 

(ふむ。攻撃してくるか)

「《黒き森のウィッチ》の効果を発動するぜ。デッキから守備力1500以下のモンスターを手札に加える。オレは《デーモン・ソルジャー》を手札に加える」

モンスター同士の戦闘を静観していたマックスはクールな表情でデッキからカードを手札に加えた。

 

デーモン・ソルジャー

闇属性 レベル4 ATK/1900 DEF/1500

【悪魔族/通常】

デーモンの中でも精鋭だけを集めた部隊に所属する戦闘のエキスパート。与えられた任務を確実にこなす事で有名。

 

観客席の後方。フィールドでの展開に、再び3人の青年たちが反応した。

「あちゃー、《デーモン・ソルジャー》ってことは……闇の魔界デッキじゃねえか!」

物見高い青年が、頭の後ろで手を組みながら声を上げた。

「闇の魔界デッキ?」

短髪の青年が少しだけ首をかしげながら問い返す。自分はあまり関心がないようだが、それでも一応は流れを追っている。

「悪魔族と魔法使い族で構成された、マックス試験官の本気デッキだ。今でもそれを使ってるってことは、受験生相手にまるで手加減なしってわけだな」

中央の青年が、軽くため息をつきながら解説する。その口調には、少しだけ呆れと警戒が滲んでいた。

 

→[メインフェイズ2]→[エンドフェイズ]

「俺はこれでターンエンド」

 

マックス LP:3900、手札:5

 
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遊幾 LP:4000、手札:5

①ルイーズ(ATK:1200)

 

「ねえねえ、《デーモン・ソルジャー》って確か……」

「うん。攻撃力1900のモンスターだよ」

モンスターの強さを思い出そうとしているメイに、デュエル映像を凝視していたタケルが軽くメイの方を向きスマートに答えた。

「えー!そんなモンスター加えられたのに、遊幾兄ちゃん伏せカードも出さないのー?」

タケルの方に目をやりながら、不満な表情を浮かべるゲン。

 

「……」

子供たちが不安げな顔で映像を見ているが、忠雄は静かにデュエルの内容を注視している。

 

【ターン3】——マックスのターン

→[ドローフェイズ]

「オレのターンだ、ドロー」

マックス 手札:5→6

 

→[スタンバイフェイズ]→[メインフェイズ1]

(ふん、フィールドには《ルイーズ》1体だけか……。C級のデュエリストがどんなカードを使うのか教えてやらなきゃな)

「《デーモン・ソルジャー》を召喚。さらに伏せていたカードを発動する。《闇・エネルギー》。《闇・エネルギー》を《デーモン・ソルジャー》に装備する」

マックスはポンポンと軽やかにモンスターと装備魔法を展開した。

 

闇・エネルギー

装備魔法

悪魔族モンスターにのみ装備可能。

①:装備モンスターの攻撃力・守備力は300アップする。

 

デーモン・ソルジャー ATK:1900→2200 DEF:1500→1800

 

「ふん。マックスのやつ、《デーモン・ソルジャー》だけで攻撃力が十分上回ってると言うのに……」

マックスの性格を知っている忠雄がニヤけながら呟いた。

 

→[バトルフェイズ]

「これでライフを大きく削ってやる!」

元気よくバトルフェイズに入ったマックス。

「《デーモン・ソルジャー》で《ルイーズ》を攻撃!」

 

デーモン・ソルジャー ATK:2200 VS ATK:1200 ルイーズ

遊幾 LP:4000→3000

「くっ」

遊幾の体に風が吹き抜ける。

昔は映像だけであったが、近年ソリッドビジョンの技術が進歩し、ダメージを与えると、風を発生させるようになった。そしてこの風はダメージ量に応じて強くなるようだ。

ルイーズ→戦闘破壊

 

→[メインフェイズ2]

「オレはカードを1枚セットして」

 

→[エンドフェイズ]

「ターンエンドだ」

 

マックス LP:3900、手札:4

①デーモン・ソルジャー(ATK:2200)、②闇・エネルギー(→①)

 
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遊幾  LP:3000、手札:5

 

「序盤から攻撃力2200のモンスター!やっぱC級ってすごいなー!」

大きなダメージを受けながらも感心する遊幾にマックスも笑顔で答える。

「ガッハッハッハッハ。このレベルに満足してくれるのは結構結構。さあ、お前のターンだ!」

 

【ターン4】——遊幾のターン

→[ドローフェイズ]

「ヘヘ、楽しくなってきた!俺のターン、ドロー」

遊幾に笑顔があふれる。

遊幾 手札:5→6

 

 

→[スタンバイフェイズ]→[メインフェイズ1]

遊幾は手札を見つめながら、幼い頃の父との会話を思い出していた。

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

「遊幾、弱いモンスターの強みが分かるか?」

「えぇ? 弱いモンスターは弱いから弱いモンスターなんじゃないの?」

「ハッハッハ。そうだな。でも弱いモンスターにも強いところはあるんだ。それは”弱さ”そのものなんだ」

「ん〜。よく分かんないや」

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

当時は理解できていなかったが、今の遊幾には十分理解できていた。

 

「マックスさん、知ってるか? 弱いモンスターには”弱さ”という長所があり、強いモンスターには”強さ”という短所があるんだ!」

「‼︎」

少し自慢げに話す遊幾に、マックスは思わず息を呑んだ。遊幾の言葉が聞き覚えのある内容だったからだ。

 

そして遊幾は得意げにプレイを再開する。

「俺は《プリズマン》を召喚。そして、魔法カード《強制転移》を発動。《プリズマン》と《デーモン・ソルジャー》のコントロールを入れ替える!」

 

「《強制転移》だと!」

マックスが大きな声で反応する。

 

プリズマン

光属性 レベル3 ATK/800 DEF/1000

【岩石族/通常】

透き通った水晶の塊。光を集めてレーザーを放つ。

 

強制転移

通常魔法

①:お互いのプレイヤーは、それぞれ自身のフィールドのモンスター1体を選ぶ。そのモンスター2体のコントロールを入れ替える。このターン、そのモンスターは表示形式を変更できない。

 

マックスは何かに気づいたように、目を細めた。どうやら、誘われていたのは自分の方だったと悟ったようだ。

 

→[バトルフェイズ]

「《デーモン・ソルジャー》で《プリズマン》を攻撃!」

 

デーモン・ソルジャー ATK:2200 VS ATK:800 プリズマン

マックス LP:3900→2500

「うぅっ」

プリズマン→戦闘破壊

 

「うまい!遊幾兄ちゃんはこれを狙ってたのか!」

「イェーイ!」

目を見開いて喜ぶタケルの前で、メイとゲンが声をそろえてハイタッチした。 

 

→[メインフェイズ2]

「こっちも、しっかり返させてもらったよ!マックスさん」

遊幾はしてやったりの表情でマックスに言葉を放った。

「俺はカードを2枚セットして」

 

→[エンドフェイズ]

「ターンエンドだ。」

 

マックス LP:2500、手札:4

②闇・エネルギー(→①)

 
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遊幾 LP:3000、手札:2

①デーモン・ソルジャー(ATK:2200)

 

【ターン5】——マックスのターン

→[ドローフェイズ]

「フフ、やるじゃねーか。オレのターンだ、ドロー」

マックス 手札:4→5

 

→[スタンバイフェイズ]→[メインフェイズ1]

「《ガーゴイル・パワード》を召喚だ」

マックスは相も変わらずテンポよくモンスターを召喚する。

 

ガーゴイル・パワード

闇属性 レベル4 ATK/1600 DEF/1200

【悪魔族/通常】

闇の力を得て強化されたガーゴイル。かぎづめに注意!

 

→[バトルフェイズ]

そしてこれまたテンポよくバトルフェイズに入る。

「そのままバトルだ!《ガーゴイル・パワード》で《デーモン・ソルジャー》を攻撃!」

「何⁉︎ 《デーモン・ソルジャー》より攻撃力の低い《ガーゴイル・パワード》で攻撃?」

遊幾はデュエルディスクに手をやろうとするが、少し考えて取りやめた。

 

〈ダメージ計算前〉

「ここで罠発動!《鼓舞》。《ガーゴイル・パワード》の攻撃力を700アップ!」

「‼︎」

絶好のタイミングで罠カードを発動するマックスに遊幾の表情がわずかに動く。

 

 

 

鼓舞

通常罠

①:自分フィールド(表側表示)のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで700アップする。

(※テキストエラッタ)

 

ガーゴイル・パワード ATK:1600→2300

ガーゴイル・パワード ATK:2300 VS ATK:2200 デーモン・ソルジャー

遊幾 LP:3000→2900

デーモン・ソルジャー→戦闘破壊

 

フィールドの巧みな応酬に、観客席後方でもどよめきが広がっていた。

「受験生も見事だったけど、マックスもなかなかやるな……」

物見高い青年が腕を組み、感心したように呟く。

「ああ。おそらく受験生は攻撃反応型の罠カードを仕込んでたんだろうが、それをさせないためにダメージ計算前に《ガーゴイル・パワード》の攻撃力を上げた」

中央の青年が静かに説明を続けると、

「なるほど……攻撃力が上がってない状態の《ガーゴイル・パワード》からの攻撃に対しては罠カードを発動したくないよな」

短髪の青年が、デュエルの内容に興味が湧いてきたのか、楽しそうに頷いた。

 

→[メインフェイズ2]

「オレはカードを2枚セットする」

 

→[エンドフェイズ]

「これでターンエンドだ」

 

ガーゴイル・パワード ATK:2300→1600

 

マックス LP:2500、手札:2

①ガーゴイル・パワード(ATK:1600)

 
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遊幾 LP:2900、手札:2

 

 

【ターン6】——遊幾のターン

[ドローフェイズ]

→「俺のターン、ドロー」

遊幾 手札:2→3

 

→[スタンバイフェイズ]→[メインフェイズ1]

「俺は罠カード《戦線復帰》を発動。その効果で墓地から《ルイーズ》を守備表示で特殊召喚する」

「さらに《ルイーズ》をリリースして、《ヴァルキリー》をアドバンス召喚!」

先ほどのマックスのテンポを受け継いだかのように、遊幾がゲームを進める。

 

戦線復帰

通常罠

①:自分の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。

 

ヴァルキリー

光属性 レベル5 ATK/1800 DEF/1700

【天使族/通常】

神話に出てくる闘いの天使。手にする槍で天罰を下す。

 

「すげー。上級モンスターだ!初めて見た!」

目を丸くして興奮するゲンに忠雄が反応する。

「おぉ、そういえばライセンス未所持者はレベル4のモンスターまでしか使えないんじゃったな。お前たちが見るのは初めてか」

「うん!」

子供たちが口をそろえて答えた。

 

→[バトルフェイズ]

「いくぜ!《ヴァルキリー》で《ガーゴイル・パワード》に攻撃!」

 

ヴァルキリー ATK:1800 VS ATK:1600 ガーゴイル・パワード

マックス LP:2500→2300

ガーゴイル・パワード→戦闘破壊

 

→[メインフェイズ2]

「俺はカードを1枚セットして」

 

→[エンドフェイズ]

「ターンエンド」

 

マックス LP:2300、手札:2

 
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遊幾 LP:2900、手札:1

①ヴァルキリー(ATK:1800)

 

 

「この2ターンは比較的穏やかに終わったな」

観戦していた3人の中央に立つ青年が静かに口を開く。

「だけどお互いに伏せカードが2枚ずつ。次のターン、このデュエル大きく動くかもな」

短髪の青年がやや身を乗り出しながら話すと、

「ああ、俺もそんな気がするぜ」

と、物見高い青年も同調した。

 

そしてこの観戦者達の予想は的中することとなる。

 

【ターン7】——マックスのターン

→[ドローフェイズ]

「オレのターン、ドローだ。」

マックス 手札:2→3

 

→[スタンバイフェイズ]→[メインフェイズ1]

「これはいいカードを引いたな。」

マックスは少し笑みを浮かべ、ドローしたカードをそのまま発動する。

「オレは永続魔法、《絶対魔法禁止区域》を発動!このカードの効果により、フィールドの通常モンスターは魔法カードの効果を受けない!」

 

「そして《死者蘇生》を発動。墓地の《デーモン・ソルジャー》を攻撃表示で特殊召喚!」

 

絶対魔法禁止区域

永続魔法

①:フィールド上に表側表示で存在する全ての効果モンスター以外のモンスターは魔法の効果を受けない。

 

 

死者蘇生

通常魔法

①:自分か相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。

 

「さらに永続罠、《悪魔の憑代》を発動。このカードの効果によりレベル5以上の悪魔族モンスターをリリースなしで召喚することができる。」

 

マックスが言葉を発し終えた瞬間、デュエルフィールドに突如として不穏な気配が満ちる。空間が軋み、地を這うような低い唸りが鳴り響くと、黒炎が渦を巻いて天へと昇る。その中から無慈悲な双眸(そうぼう)であたりを睥睨(へいげい)する悪魔があらわれる。

 

「オレが召喚するのは《デーモンの召喚》だ!」

 

「攻撃力2500!」

遊幾は《デーモンの召喚》の攻撃力の高さに興奮気味に叫んだ。

 

悪魔の憑代

永続罠

①:このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分はレベル5以上の悪魔族モンスターを召喚する場合に必要なリリースをなくす事ができる。この効果は1ターンに1度しか適用できない。

②:通常召喚したレベル5以上の悪魔族モンスター1体のみが破壊される場合、代わりにこのカードを墓地へ送る事ができる。

 

デーモンの召喚

闇属性 レベル5 ATK/2500 DEF/1200

【悪魔族/通常】

闇の力を使い、人の心を惑わすデーモン。悪魔族ではかなり強力な力を誇る。

 

マックスのフィールドに攻撃力2500と1900のモンスターが並んだ。

 

「ついに出てきちまったな……」

「ああ……」

物見高い青年と、中央の青年がため息交じりに話す。

 

「これぞ、オレのエースモンスター、《デーモンの召喚》だ。どうだ?このフォルム、かっこいいだろう?」

「…………」

自分のモンスターを誇らしげに話すマックスに対して遊幾は言葉を返せなかったが、《デーモンの召喚》の放つオーラはひしひしと感じていた。

 

「おっと、言い忘れるところだったぜ。《悪魔の憑代》にはもう一つ効果がある。通常召喚したレベル5以上の悪魔族が破壊される場合、このカードを代わりに破壊することができるのさ」

「つまり《デーモンの召喚》は1度だけ破壊されないってことか!」

「フフ、そういうことだ」

 

→[バトルフェイズ]

「さあ、行くぞ。バトル!《デーモン・ソルジャー》で《ヴァルキリー》を攻撃!」

デーモン・ソルジャー ATK:1900 VS ATK:1800 ヴァルキリー

遊幾 LP:2900→2800

ヴァルキリー →戦闘破壊

 

「これでお前のフィールドはガラ空きだな」

「《デーモンの召喚》でプレイヤーに直接攻撃(ダイレクトアタック)! 〝魔降雷(まこうらい)〟!」

「そうはさせない! リバースカードオープン、《次元幽閉》。除外なら《悪魔の憑代》の効果は利用できない。《デーモンの召喚》には次元の彼方へ消えてもらうぜ!」

待ってました、と言わんばかりの遊幾だったが、即座にマックスも罠カードを発動し応戦する。

「ハッハッハ。やはり罠を仕掛けていたか。だがそれは通らないぜ。罠発動、《暴君の威圧》! このカードを《デーモンソルジャー》をリリースして発動する。この効果で《デーモンの召喚》は罠カードの効果を受けない!」

 

次元幽閉

通常罠

①:相手モンスターの攻撃宣言時、攻撃モンスター1体を対象として発動できる。その攻撃モンスターをゲームから除外する。

(※テキストエラッタ)

 

暴君の威圧

永続罠

①:自分フィールド上に存在するモンスター1体をリリースして発動する。このカードがフィールド上に存在する限り、フィールド上に表側表示で存在する元々の持ち主が自分となるモンスターは、このカード以外の罠カードの効果を受けない。

 

「なんだってーー⁉︎」

 

デーモンの召喚 ATK:2500 → 遊幾 LP:2800

「うわぁぁーーーーーー」

遊幾 LP:2800→300

 

マックス LP:2300、手札:0

①デーモンの召喚(ATK:2500)、②暴君の威圧、③悪魔の憑代、④絶対魔法禁止区域

 
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遊幾 LP:300、手札:1

 

吹き抜ける風が、試験会場を包み込む。

 

──試験官の鉄壁の布陣によって形勢は一気に傾く。このデュエルの結末やいかに──

 

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