星見の丘のテレビには、遊幾とエリオットのデュエルフィールドが映し出されていた。画面の隅に表示された遊幾のライフポイントは、わずか200。
「や、やばいよ……遊幾兄ちゃんのライフ、あと200しかないよ!」
ゲンが声を震わせた。
「もう一撃も攻撃を受けることはできないね……」
タケルも不安げな表情で画面を見つめる。
「遊幾兄ちゃん……」
ユイが祈るように両手を握りしめた。
デュエルフィールドではエリオットが3体のモンスターを従え遊幾と向かい合っている。
「この瞬間、《エンシェント・ドラゴン》の効果発動。直接攻撃によってダメージを与えた時、レベルを1上げ、攻撃力を500アップする」
エンシェント・ドラゴン レベル:4→5
エンシェント・ドラゴン ATK:1400→1900
→[メインフェイズ2]→[エンドフェイズ]
「《シャッフル・リボーン》の効果で特殊召喚したガンナードラゴンはエンドフェイズに除外される」
可変機獣 ガンナードラゴン→除外
「ボクはこれでターンエンドだ」
エリオット LP:4000、手札:0、除外:2
①ウィクトーリア(ATK:1800)、②エンシェント・ドラゴン(ATK:1900)、③センサー万別
遊幾 LP:200、手札:2
【ターン14】――遊幾のターン
「俺のターン」
遊幾 手札:2→3
→[スタンバイフェイズ]→[メインフェイズ1]
「俺は《プリズマン・ディフューズ》を召喚。そして効果発動。デッキから《プリズマン》を手札に加えライフを800回復する」
遊幾 LP:200→1000
プリズマン・ディフューズ
【岩石族/効果】
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①: このカードが召喚した時に発動できる。デッキから「プリズマン」モンスター1体を手札に加える。この効果で手札に加えたモンスターが通常モンスターだった場合、さらにそのモンスターの攻撃力分だけLPを回復する。
②:このカード以外の自分フィールドの光属性モンスター1体と、相手フィールドの光属性モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に戻す。
(オリカ)
プリズマン
【岩石族/通常】
透き通った水晶の塊。光を集めてレーザーを放つ。
「そして魔法カード《光の護封剣》を発動」
何本もの光の剣がエリオットのフィールドに突き刺さる。
光の護封剣
このカードは発動後、フィールドに残り続け、相手ターンで数えて3ターン後の相手エンドフェイズに破壊される。
①:このカードの発動時の効果処理として、相手フィールドに裏側表示モンスターが存在する場合、そのモンスターを全て表側表示にする。
②:このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、相手モンスターは攻撃宣言できない。
「この効果により3ターンの間、相手モンスターの攻撃を封じさせてもらう」
「おやおや……ここでこのカードを引くとは。本当にしぶといねぇ」
→[エンドフェイズ]
「ターンエンドだ」
エリオット LP:4000、手札:0、除外:2
③ウィクトーリア(ATK:1800)、④エンシェント・ドラゴン(ATK:1900)、⑤センサー万別
①プリズマン・ディフューズ(ATK:1200)、②光の護封剣
遊幾 LP:1000、手札:2
【ターン15】――エリオットのターン
→[ドローフェイズ]
「ボクのターン」
エリオット 手札: 0→1
→[スタンバイフェイズ]→[メインフェイズ1]
「ボクはカードを1枚伏せて」
→[エンドフェイズ]
「ターンエンドだ」
エリオット LP:4000、手札:0、除外2
③ウィクトーリア(ATK:1800)、④エンシェント・ドラゴン(ATK:1900)、⑤センサー万別
①プリズマン・ディフューズ(ATK:1200)、②光の護封剣
遊幾 LP:1000、手札:2
【ターン16】――遊幾のターン
「俺のターン」
遊幾 手札:2→3
→[スタンバイフェイズ]→[メインフェイズ1]
「俺は《ホーリー・ドール》を召喚」
魔法人形が出現する。
ホーリー・ドール
【魔法使い族/通常】
聖なる力を操る人形。闇での攻撃は強力だ。
「そして《プリズマン・ディフューズ》の効果発動。《ホーリー・ドール》と《エンシェント・ドラゴン》を手札に戻す。俺の《エンシェント・ドラゴン》は返してもらうぜ!」
「おぉっと、そうはいかないねぇ。罠発動。《デモンズ・チェーン》! 《プリズマン・ディフューズ》の効果を無効にする」
プリズマン・ディフューズの四肢に鎖が巻き付けられる。
デモンズ・チェーン
①:フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、対象の表側表示モンスターは攻撃できず、効果は無効化される。対象のモンスターが破壊された時にこのカードは破壊される。
(※テキストエラッタ)
「抜け目なく手を打ってくるね……危ない危ない。さっ、次の手はあるかい?」
→[エンドフェイズ]
「くっ……俺はこれでターンエンドだ」
エリオット LP:4000、手札:0、除外:2
④ウィクトーリア(ATK:1800)、⑤エンシェント・ドラゴン(ATK:1900)、⑥デモンズ・チェーン(→①)、⑦センサー万別
①プリズマン・ディフューズ(ATK:1200)、②ホーリー・ドール(ATK:1600)、③光の護封剣
遊幾 LP:1000、手札:2
【ターン17】――エリオットのターン
→[ドローフェイズ]
「ボクのターン」
エリオット 手札: 0→1
→[スタンバイフェイズ]→[メインフェイズ1]
「魔法カード《貪欲で無欲な壺》を発動。墓地の《エア・サーキュレーター》、《星見鳥ラリス》、《冥府の使者ゴーズ》をデッキに戻し、カードを2枚ドローする」
エリオット 手札: 0→2
貪欲で無欲な壺
このカードを発動するターン、自分はバトルフェイズを行えない。
①:自分メインフェイズ1開始時に、自分の墓地のモンスター3体を対象として発動できる(同じ種族は1体まで)。そのモンスター3体をデッキに戻してシャッフルする。その後、自分は2枚ドローする。
エリオットはドローしたカードを確認すると、不敵な笑みを浮かべた。
「遊幾、どうやら決着をつける時が来たようだ」
「何⁉︎」
「ボクは魔法カード《サクリファイス・フュージョン》を発動。この効果で手札・フィールド・墓地のモンスターを融合素材として除外し、『アイズ・サクリファイス』融合モンスター1体を融合召喚する。ボクは墓地の《サクリファイス》と《ヘル・ドラゴン》を融合!」
サクリファイス・フュージョン
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:自分の手札・フィールド・墓地のモンスターを融合素材として除外し、「アイズ・サクリファイス」融合モンスター1体を融合召喚する。
②:自分メインフェイズに墓地のこのカードを除外し、相手フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。自分フィールドの「アイズ・サクリファイス」融合モンスターか「サクリファイス」1体を選び、その効果による装備魔法カード扱いで対象の相手の効果モンスターを装備する。
《サクリファイス》と《ヘル・ドラゴン》が一度フィールドに姿を現すと、次元の歪みに吸い込まれていく。
「千年の魔眼よ、万象を見定め、その力と魂を我が身に封じよ!」
「融合召喚‼︎」
「現れ出でよ! レベル1。《ミレニアム・アイズ・サクリファイス》!」
そして歪みの奥から黄金色の異形が姿を現す。金色の体には無数の眼が埋め込まれ、胴体の中央には、ひときわ大きな
ミレニアム・アイズ・サクリファイス
【魔法使い族/融合/効果】
「サクリファイス」+効果モンスター
①:1ターンに1度、相手モンスターの効果が発動した時、相手のフィールド・墓地の効果モンスター1体を対象として発動できる。その相手の効果モンスターを装備カード扱いとしてこのカードに装備する。
②:このカードの攻撃力・守備力は、このカードの効果で装備したモンスターのそれぞれの数値分アップする。
③:このカードの効果で装備したモンスターと元々のカード名が同じモンスターは攻撃できず、その効果は無効化される。
「新たなサクリファイスだって⁉︎」
「そうさ。そしてボクはさらに墓地の《サクリファイス・フュージョン》を除外し、《ミレニアム・アイズ・サクリファイス》の効果を発動させる。《プリズマン・ディフューズ》を吸収しろ!」
《ミレニアム・アイズ・サクリファイス》の
ミレニアム・アイズ・サクリファイス ATK:0→1200 DEF:0→1500
「だが、《貪欲で無欲な壺》を発動したターンは、バトルを行うことができないぜ!」
「くっくっくっ……そうだね。それに君の《光の護封剣》も健在だ。ボクはカードを1枚伏せて」
→[エンドフェイズ]
「ターンエンドだ」
エリオット LP:4000、手札:0、除外:5
③ウィクトーリア(ATK:1800)、④ミレニアム・アイズ・サクリファイス(ATK:1200)、⑤エンシェント・ドラゴン(ATK:1900)、⑥プリズマン・ディフューズ(→④)、⑦デモンズ・チェーン、⑧センサー万別
①ホーリー・ドール(ATK:1600)、②光の護封剣
遊幾 LP:1000、手札:2
エリオットの不敵な笑みを見て、健斗が口を開いた。
「エリオットのやつ、何か仕込んだな……」
アレンも画面を見つめたまま続く。
「おそらくな。そして次のターン、デュエルが大きく動くだろう……」
【ターン18】――遊幾のターン
→[ドローフェイズ]
「俺のターン」
遊幾 手札:2→3
(……このカードは!)
ドローカードを確認した遊幾は、思わずそのカードを凝視した。
→[スタンバイフェイズ]
遊幾がメインフェイズに移行しようとしたところで、エリオットが動いた。
「遊幾、ボクの言葉はハッタリでも何でもない。このデュエル、君の《光の護封剣》が解かれる前に決着さ!」
「何⁉︎」
「ボクは罠カード《妖精の風》を発動。フィールドに表側で存在する魔法・罠カードを全て破壊し、破壊したカード1枚につきお互いに300ダメージを受ける」
妖精の風
①:フィールド上に表側表示で存在する魔法・罠カードを全て破壊し、お互いに破壊したカードの枚数×300ダメージを受ける。
(※テキストエラッタ)
エリオットの目が大きく見開く。
「破壊されるカードは4枚! よって1200のダメージ。これでボクの勝ちさ‼︎」
エリオットが罠カードを発動し、フィールドに風が巻き起こる。――だが遊幾は落ち着いた口調で話し出した。
「エリオット。お前さっき、初めからドラゴン族モンスターを入れるべきではなかったと言ったよな?」
「はぁ?」
「悪いけど、俺にはそれができなくってね。――俺は小さい頃から、何故か魔法使い族とドラゴン族のモンスターと縁があった。神社にお祈りに行った時も、誕生日プレゼントでカードパックをもらった時も……不思議とこの魔法使いとドラゴンが多かった」
エリオットは少しイラついた表情になりつつも、遊幾の話を聞き続けた。
「ずっと一緒に戦ってきた仲間さ。だから俺は信じてデッキに入れた。――そしてこの試験の直前に出会ったのもドラゴンさ」
「何をゴチャゴチャと。君の昔話なんてどうでもいいよ。さっさとデュエルを……」
エリオットが痺れを切らせて言葉を発すると、遊幾は間髪入れずに言葉を返した。
「ああ! 今みせてやるぜ。俺の新たなドラゴンを!」
そして1枚のカードを発動する。
「俺は速攻魔法《オルフェウスの翼》を発動!」
遊幾がカードを発動すると、エリオットの表情が引きつった。
「《オルフェウスの翼》……⁉︎」
(な、なんだ、そのカードは? 見たことも聞いたこともない……)
「このカードは魔法カードの力と同化する竜の翼さ!」
オルフェウスの翼
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
このカードの発動に対してカードの効果は発動できない。
①:「オルフェウスの翼」の効果で特殊召喚できるドラゴン族の融合モンスター1体をEXデッキから選び、そのカードに記された自分フィールドの表側表示の魔法カード1枚とこのカードを墓地へ送り、そのドラゴン族の融合モンスターモンスター1体をEXデッキから特殊召喚する。
(オリカ)
遊幾の前に、五指の骨組みの幻想的な翼を持った一頭の青い龍が出現した。
「俺は《オルフェウスの翼》と《光の護封剣》を合体!」
地面に突き刺さっていた光の剣が宙へ浮かび上がり、龍の翼の骨組みへと次々に収まっていく。
「光の聖剣よ、蒼き龍の翼となりて天空を舞え!」
やがて剣の刀身から眩い光が溢れ出し、骨組みの隙間を埋めるように、光り輝く翼が形作られる。
それと同時に、龍の青い体もまた光に包まれていく。白銀と黄金の輝きを帯びた鱗が全身を覆い、その姿は神聖な光を宿す竜へと変貌した。
「飛翔せよ! レベル7、《シャイニングソード・ウィングドラゴン》!」
輝きに満ちた壮麗な龍が光の翼を大きく広げ、天高く舞い上がる。
シャイニングソード・ウィングドラゴン ATK:2700
「何だよ……このドラゴン……」
その姿に唖然とするエリオット。
「俺のフィールドから《光の護封剣》が消えたことにより、破壊されるカードは3枚だ!」
センサー万別→破壊
デモンズ・チェーン→破壊
プリズマン・ディフューズ→破壊
「「ぐぅぅ……」」
エリオット LP:4000→3100
遊幾 LP:1000→100
ミレニアム・アイズ・サクリファイス ATK:1200→0 DEF:1500→0
「くっ、でもそのモンスターの攻撃力ならまだ……」
→[メインフェイズ1]
「俺は魔法カード《マジカル・スター・イリュージョン》を発動。全てのモンスターは、そのコントローラーモンスターのレベルの合計×100、攻撃力をアップする」
マジカル・スター・イリュージョン
①:自分フィールドのモンスターの数が相手フィールドのモンスターの数以下の場合に発動できる。自分及び相手フィールドのモンスターの攻撃力は、ターン終了時までそのモンスターのコントローラーのフィールドのモンスターのレベルの合計×100アップする。
「遊幾のフィールドのモンスターのレベルの合計は11」
「エリオットは10だな……」
健斗とアレンが呟いた。
「ボクと君のモンスターのレベルの合計の差はたった1。そんなカードを発動したところで……」
「この瞬間、《シャイニングソード・ウィングドラゴン》の効果発動! 通常魔法カードが発動した時、そのカードを永続魔法に変換しフィールドに残すことができる!」
「な……」
エリオットの表情が一瞬固まった。
(こいつ……さっきから一体何をしようとしてるんだ?)
エリオットは遊幾のプレイングに困惑しながらもその隙を見逃さなかった。
「おっと、今のはミスじゃないかい? 君のモンスターの効果が発動したことによって、《ミレニアム・アイズ・サクリファイス》の効果を発動させてもらうよ。君の効果モンスターを吸収だ!」
「無駄だぜ。《シャイニングソード・ウィングドラゴン》は相手モンスターの効果の対象にならない。そして《ホーリー・ドール》は通常モンスター、どちらも吸収できないぜ!」
「くっくっく、構わないさ。《ミレニアム・アイズ・サクリファイス》は墓地のモンスターも吸収できる。ボクが選択するのは君の最強のモンスター、《プリズマン・オーバースペクトル》さ!」
再び
プリズマン・オーバースペクトル→ミレニアム・アイズ・サクリファイスに装備
ミレニアム・アイズ・サクリファイス ATK:0→3200 DEF:0→3500
すると今度は《シャイニングソード・ウィングドラゴン》が遊幾が発動した魔法カードに光の剣を放ち、フィールドに固定した
マジカル・スター・イリュージョン→永続魔法化
シャイニングソード・ウィングドラゴン ATK:2700→3800
ホーリー・ドール ATK:1600→2700
ミレニアム・アイズ・サクリファイス ATK:3200→4200
ウィクトーリア ATK:1800→2800
エンシェント・ドラゴン ATK:1900→2900
「これで《ミレニアム・アイズ・サクリファイス》の攻撃力が《シャイニングソード・ウィングドラゴン》の攻撃力を上回った。いずれにせよ、次のターンで終わりさ」
→[バトルフェイズ]
「いいや、このターンで終わりさ!」
「は⁉︎」
遊幾の宣言に、エリオットは思わず目を見開いた。
「俺は《シャイニングソード・ウィングドラゴン》で《ミレニアム・アイズ・サクリファイス》を攻撃!」
「攻撃力が上の《ミレニアム・アイズ・サクリファイス》に攻撃宣言だって? 迎え撃て、《ミレニアム・アイズ・サクリファイス》!」
エリオットが叫ぶと、黄金の異形が無数の眼を光らせ、迫り来る竜を迎え撃とうとする。
「《シャイニングソード・ウィングドラゴン》の効果発動! このカードが戦闘する時、お互いの魔法&罠ゾーンの魔法カードを全て墓地へ送り、その枚数1枚につき300、攻撃力をアップする!」
シャイニングソード・ウィングドラゴン
【ドラゴン族/融合/効果】
このカードは「オルフェウスの翼」の効果で自分のフィールドの「光の護封剣」を墓地へ送った場合のみEXデッキから特殊召喚できる。
このカードのコントローラーは相手エンドフェイズ毎に、手札・フィールドの魔法カードを1枚墓地へ送るかこのカードを破壊する。
このカード名の②の効果は1ターンに3度まで使用できる。
①:このカードは攻撃対象及び相手モンスターの効果の対象にならない。
②:通常魔法カードが発動した時に発動できる。その通常魔法カードが発動後に墓地へ送られる場合、墓地へ送らず永続魔法カード扱いとしてそのまま表側表示で置く。
③:このカードが相手モンスターと戦闘を行うダメージステップ開始時からダメージ計算前までに発動できる。お互いの魔法&罠ゾーンに表側で存在する魔法カードを全て墓地へ送り、このカードの攻撃力をターン終了時まで、この効果で墓地へ送ったカードの数×300アップする。
(オリカ)
「何だって⁉︎ じ……じゃあ、さっきの効果はこのための……」
エリオットは青ざめ、表情から余裕が消えた。
マジカル・スター・イリュージョン→墓地
プリズマン・オーバースペクトル→墓地
シャイニングソード・ウィングドラゴン ATK:3800→4400
ミレニアム・アイズ・サクリファイス ATK:4200→1000 DEF:3500→0
「〝セイクリッド・マジックレイ〟!」
ホーリーソード・ウィングドラゴンが大きく翼を広げる。翼に収められた数多の剣が眩い光を放ち、その光が《ミレニアム・アイズ・サクリファイス》へと収束し、その体を貫いた。
シャイニングソード・ウィングドラゴン ATK:4400 VS DEF:1000 ミレニアム・アイズ・サクリファイス
「ぎぁぁーーーーーー」
エリオット LP:3100→0
デュエル終了 勝者:八上遊幾
デュエルフィールドを覆っていたソリッドビジョンが消え、二人の姿のみが映し出される。
「勝者、八上遊幾!」
試験官の宣言が響き渡る。
星見の丘では、遊幾の勝利に歓声が上がっていた。
「やったあ! 遊幾兄ちゃんの勝ちだ!」
ゲンが飛び跳ねながら喜ぶ。
「遊幾兄ちゃん、やったね!」
メイも興奮した様子で声を上げた。
「すごいよ! 最後のドラゴン、めちゃくちゃ格好よかった!」
タケルも画面に身を乗り出し、満面の笑みを浮かべた。
「最後まで諦めず、見事に勝ちを掴み取ったのぉ!」
忠雄も満足そうに頷く。
「がっはっは。C級ライセンスをとってからわずか2週間でクアドラ・サバイバルを制するとは――本当に大したもんだぜ、お前は」
マックスも大きな声で遊幾を称えた。
結は画面に映る遊幾の姿を、じっと見つめていた。
(すごい……。あんなに追い詰められていたのに、最後まで諦めずに勝ちを掴み取るなんて……)
遊幾の勝利に感心する一方で、結の胸には別の思いも湧き上がっていた。
(これが、B級ライセンス試験のレベル……。私も、もっと頑張らなきゃ……!)
目の前で繰り広げられた激しいデュエルを思い返し、結はそっと拳を握る。
1階の大型スクリーンの前でも、健斗が拳を握りしめていた。
「よっしゃあ! やったな、遊幾!」
隣に立つアレンも、画面に映る遊幾を見ながら微笑んだ。
「あの状況を覆すとは……さすがだな」
「へへっ、あいつには驚かされてばっかりだぜ。でも、俺だって負けてられねえ!」
健斗は拳を強く握り直す。
「ふっ、俺もだ。今回の結果を見て、改めて自分の未熟さを思い知らされた。もっと強くならなければな」
「おう! 次は俺たちがもっと強くなって、あいつらを驚かせてやらねーとな!」
健斗の言葉に、アレンも力強く頷いた。
一方、デュエルフィールドでは、エリオットが砕け散った《ミレニアム・アイズ・サクリファイス》のいた場所を見つめていた。
「このボクが……負けた……?」
「エリオット……」
遊幾が声をかけると、エリオットは少し間を置いた後、ゆっくりと顔を上げた。
「くっふっふっふっふ。ああ。負けだね、ボクの……」
エリオットは笑いながら話すが、いつもの余裕を感じさせる笑みはなく、その表情には悔しさが滲んでいる。
「そういえば君たち、どこの出身?」
「俺と健斗のことか? エルダさ」
「なるほどね。まったく……ノーマークだったよ」
エリオットは小さく息を吐いた。
「エルダ島……あの小さな島にこれほどの実力者が二人もいるなんて、思いもしなかったよ。――今回の敗因は、ボク自身の調査不足さ」
「それが、お前のスタイルだったんだな……」
遊幾は静かに言葉を返す。
気持ちの整理がついたのか、エリオットは肩の力を抜いた。
「まあ負けは負けさ、そこは認めないとねぇ。でも、次はこうはいかないよ。今度こそ、君に勝ってみせるさ」
「ああ。俺も負けるつもりはないぜ」
遊幾はまっすぐにエリオットを見返した。
「ふふっ、またどこかで会えることを願っているよ」
そう言い残し、エリオットはデュエルフィールドを後にした。
──その後、遊幾は5階の大広間へと案内された。
そこで試験委員から新しいデュエリストライセンスを受け取る。カードに記されたランクは、これまでのC級からB級へと更新されていた。
「これで、君も正式にB級デュエリストだ。合格おめでとう」
「ありがとうございます!」
遊幾は新しいライセンスを手に、嬉しそうに頷いた。
「それから、チーム・レドックスで最高ポイントを獲得した君には、特別賞を贈ろう」
そう言って差し出されたのは、一枚のカードだった。
《巌征竜-レドックス》
巌征竜-レドックス
【ドラゴン族/効果】
このカード名の①~④の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
①:手札からこのカードと地属性モンスター1体を墓地へ捨て、自分の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。それを特殊召喚する。
②:ドラゴン族か地属性のモンスターを自分の手札・墓地から2体除外して発動できる。このカードを手札・墓地から特殊召喚する。
③:このカードが特殊召喚されている場合、相手エンドフェイズに発動する。このカードを手札に戻す。
④:このカードが除外された場合に発動できる。デッキからドラゴン族・地属性モンスター1体を手札に加える。
遊幾は差し出されたカードを受け取った。
「これは……」
「君はドラゴン族モンスターを多く持ってるんだったよね? このカードも君の力になると思うよ」
遊幾は授与式を終えた後、身支度をして試験会場を後にした。
辺りはすっかり暗くなっていた。
遊幾は、試験前日にも宿泊したホテルへと戻ってきた。長い二日間を終え、ようやく一息つけると思ったそのとき、スマートフォンの着信音が鳴った。画面を見ると、マックスからの電話だった。
「もしもし?」
『おう、遊幾か! まずはお疲れさん。――そして、B級ライセンスの取得、おめでとう!』
「ありがとうございます。マックスさんのおかげです」
『がっはっは! いやいや、お前自身の実力だぜ!』
電話越しに響くマックスの豪快な笑い声に、遊幾も思わず笑みをこぼした。
『ところで遊幾、実はお前に一つ提案があるんだが……』
──見事にクアドラ・サバイバルを勝ち抜いた遊幾にマックスが提案を持ちかける。その内容とは一体?──