「いゃぁぁぁーーーーーーーーーーーーーー!!!」
リアムの叫び声が響き渡る。
「ちょ、ちょっと待ってください、それっ、」
「エクゾディアって、今まさに我々が輸送中の特級
一瞬、空気が凍りついた。
「……ああ、悪い悪い」
ゆきとは悪びれもせずに苦笑した。
「レアカードだからな。子供たちに見せてあげたくて、つい」
リアムは顔を引きつらせ、額に手を当てた。
「“つい”で済む話じゃありませんよ! これが本部に知れたら、軍法会議ものですよ!」
そのやりとりを聞いていた子供たちが、ワイワイと騒ぎ出す。
「エクゾディアって確か究極のレアカードの⁉︎」
「えっ⁉︎ そんなすごいカードなの?」
「おれ、遊幾兄ちゃん応援してたけど、エクゾディアも見たくなってきた!」
リアムの目が、無邪気な子供たちの瞳と交差した。
「……くっ……分かりました。ですが、このデュエルが終わり次第、即時回収させていただきます」
「もちろん。助かるよ、リアム」
ゆきとが穏やかに微笑み、そして遊幾に目を向けた。
「遊幾はどうかな?このまま続けてもいいかい?」
「ああ!俺は相手がどんなデッキを使おうと文句を言うつもりはないよ」
遊幾は力強く頷いた。
「むしろ楽しみさ。俺からも礼を言わせてくれ。ありがとう、リアムさん」
そうしてデュエルは再開された。
「俺のバトルフェイズは終了だ」
→[メインフェイズ2]
「俺はカードを1枚セットして」
→[エンドフェイズ]
「ターンエンドだ」
ゆきと LP:5000、手札:5
遊幾 LP:3400、手札:2
①砦を守る翼竜(ATK:1400)
【ターン9】——ゆきとのターン
→[ドローフェイズ]
「僕のターン。ドロー」
ゆきと 手札:5→6
→[スタンバイフェイズ]→[メインフェイズ1]
「さて、パーツも集まってきたことだし、この辺で君の攻撃を封じさせてもらうよ。永続魔法《レベル制限B地区》を発動。このカードの効果でレベル4以上のモンスターは全て守備表示になる」
砦を守る翼竜 攻撃表示→守備表示
レベル制限B地区
①:フィールド上のレベル4以上のモンスターは守備表示になる。
「そしてモンスターをセット、さらにカードを1枚セットして」
→[エンドフェイズ]
「ターン終了」
ゆきと LP:5000、手札:4
②レベル制限B地区
遊幾 LP:3400、手札:2
①砦を守る翼竜(DEF:1200)
【ターン10】——遊幾のターン
→[ドローフェイズ]
「俺のターン。ドロー」
遊幾 手札:2→3
→[スタンバイフェイズ]→[メインフェイズ1]
(くっ、攻撃を封じられ、このターン打つ手がない……)
遊幾は手札を見ながら少考した後、罠カードを1枚手に取った。
(このカードをセットして次のターンに望みをかけるしかない!)
「俺はカードを1枚セットする」
→[エンドフェイズ]
「これでターン……」
「おっと、君のエンドフェイズにこのカードを発動させてもらうよ。速攻魔法《スケープ・ゴート》」
遊幾がダーンエンド宣言をしようとした際にゆきとが速攻魔法を発動した。
「この効果で4体の羊トークンを特殊召喚させてもらうよ」
ゆきとのフィールドに、ポン、ポン、ポン、ポン……と、4匹のふわふわした羊が次々と現れた。モンスターゾーンが一瞬で埋まり、盤面は守り一色になった。
スケープ・ゴート
このカードを発動するターン、自分はこのカードの効果以外ではモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚できない。
①:自分フィールドに「羊トークン」(獣族・地・星1・攻/守0)4体を守備表示で特殊召喚する。このトークンはアドバンス召喚のためにはリリースできない。
「……俺はターンエンド」
改めて、遊幾は静かにダーンエンド宣言をした。
ゆきと LP:5000、手札:4
②〜⑤羊トークン(DEF:0)、⑥レベル制限B地区
遊幾 LP:3400、手札:2
①砦を守る翼竜(DEF:1200)
【ターン11】——ゆきとのターン
→[ドローフェイズ]
「僕のターン。ドロー」
ゆきと 手札:4→5
→[スタンバイフェイズ]→[メインフェイズ1]
「僕はセットしたモンスターを反転召喚」
反転召喚したのは《スケルエンジェル》。
「《スケルエンジェル》のリバース効果発動! デッキから1枚ドローする」
「ドロー!」
ゆきと 手札:5→6
ゆきとは力強くドローする。
スケルエンジェル
【天使族/リバース/効果】
①:このカードがリバースした場合に発動する。自分はデッキから1枚ドローする。
「さらに《スケルエンジェル》をリリースして《光帝クライス》をアドバンス召喚」
光帝クライス 攻撃表示→守備表示
「《光帝クライス》の効果発動! このカードが召喚・特殊召喚した時、フィールドのカードを2枚まで破壊できる。僕は《光帝クライス》と《羊トークン》を破壊する」
「そして破壊されたカードのコントローラーはそのカードの枚数分ドローする。僕は2枚ドロー!」
ゆきと 手札:5→7
光帝クライス
【戦士族/効果】
①:このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、フィールドのカードを2枚まで対象として発動できる。そのカードを破壊し、破壊されたカードのコントローラーは破壊された枚数分だけデッキからドローできる。
②:このカードは召喚・特殊召喚したターンには攻撃できない。
ゆきとはドローしたカードを見つめた後、遊幾に対して言い放つ。
「遊幾、今のドローで僕の手札にはエクゾディアのパーツは4枚になった!」
「すでに4枚だって⁉︎」
思わず遊幾が反応した。
「そしてこのターン、僕はモンスター効果を2回発動した。クラシックレギュレーションの制約により僕はこれ以上モンスター効果を発動することはできない。でも《封印されしエクゾディア》
による勝利はモンスター効果によるものではないから、このターンにエクゾディアが揃っても勝利できる」
封印されしエクゾディア
【魔法使い族/効果】
このカードと「封印されし者の右腕」「封印されし者の左腕」「封印されし者の右足」「封印されし者の左足」が手札に全て揃った時、自分はデュエルに勝利する。
「ああ。分かってるさ」
遊幾が頷きながら答えた。
「なら行くよ! 魔法カード《一時休戦》を発動。お互いに1枚ドローし、次の相手ターンまでお互いの受けるダメージを0にする」
「ドロー‼︎」
ゆきと 手札:6→7
遊幾 手札:2→3
ゆきとが発声と共に勢いよくドローしたのと対照的に、遊幾は無言で静かにドローした。
そしてゆきとは数秒の間ドローしたカードを見つめた。その間、皆ゆきとのドローしたカードに目線をやり、息を呑んだ。
そしてゆきとが口を開いた。
「……遊幾、僕の勝ちだ」
その言葉を放った瞬間、ここにいるゆきと以外の全員が口を閉ざして目を見開いた。
「え? 引いたの?」
沈黙を破ったのは結だった。
それに対しゆきとが答える。
「いや、引けなかった。でも僕の引いたカードはこれさ」
そう言ってゆきとは引いたカードを公開する。
「《トップ・シェア》! そしてこのカードを発動!」
「この効果でお互いにデッキからカードを1枚選び、デッキの一番上に置く。僕は《封印されし者の左腕》をデッキの一番上に置く」
「遊幾もカードを選んでくれ」
その言葉を聞き、遊幾もカードを選択した。
「俺は《闇・道化師のサギー》をデッキの一番上に置く」
一時休戦
①:お互いのプレイヤーは、それぞれデッキから1枚ドローする。次の相手ターン終了時まで、お互いが受ける全てのダメージは0になる。
(制限グレード3)
トップ・シェア
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
①:デッキからカード1枚を選び、お互いに確認してデッキの一番上に置く。その後、相手は自身のデッキからカード1枚を選び、お互いに確認して自身のデッキの一番上に置く。
封印されし者の左腕
【魔法使い族/通常】
封印された左腕。封印を解くと、無限の力を得られる。
闇・道化師のサギー
【魔法使い族/通常】
どこからともなく現れる道化師。不思議な動きで攻撃をかわす。
「デッキの一番上ってことは、これで次のゆきと兄ちゃんのターンにはエクゾディアが揃っちゃうってこと?」
ゲンが周りに確認するように疑問を投げかけた。
「そういうことになるわね」
結が答える。
「じゃあ遊幾兄ちゃんが勝つためには次のターンでゆきと兄ちゃんのライフを0にしなきゃいけないのか」
ゲンが現在のデュエルの状況を理解し、言葉を発するが、
「でも、それが無理なのよね」
再び結が言葉を返す。
「結姉ちゃん、なんで?」
メイが結に聞こうとすると、
「そうか。《一時休戦》の効果か!」
タケルが気付き、代わりに答えた。
「その通り。《一時休戦》の効果で次のターン遊幾はゆきとにダメージを与えられないんじゃ。そして、それがゆきとの勝利宣言の理由でもある」
忠雄が最後にまとめた。
「そういうこと。このデュエルはターン13で僕の勝ちってことだね」
勝利を確信したゆきとが再び、爽やかに勝利宣言をした。
「僕はカードを1枚セットする」
→[エンドフェイズ]
「これでターン終了だ」
ゆきと LP:5000、手札:5
②〜④羊トークン(DEF:0)、⑤レベル制限B地区
遊幾 LP:3400、手札:3
①砦を守る翼竜(DEF:1200)
【ターン12】——遊幾のターン
→[ドローフェイズ]
「俺のターン、ドロー」
遊幾 手札:3→4
→[スタンバイフェイズ]→[メインフェイズ1]
「遊幾、最後のターンになるけど、やることあるかい?」
ゆきとが挑発気味に遊幾に問う。
「ゆきと兄さん、悪いけどこれが俺の最後のターンになるとは限らないぜ!」
「なに⁉︎」
遊幾の言葉を聞き、ゆきとが真顔で反応した。
「俺は《闇・道化師のサギー》を召喚」
「確かにレベル3のモンスターなら攻撃はできる。しかしどうやったって僕にダメージは与えられないよ」
→[バトルフェイズ]
「へへ、まあ見ててくれよ。《闇・道化師のサギー》で《羊トークン》を攻撃!」
前のターンから一転して表情に余裕のある遊幾が攻撃宣言を行なうと、遊幾は続けてセットしてあったカードを発動した。
「この瞬間、罠発動!《マジシャンズ・サークル》。このカードの効果で、お互いに攻撃力2000以下の魔法使い族モンスターをデッキから特殊召喚する!」
マジシャンズ・サークル
①:自分または相手の魔法使い族モンスターの攻撃宣言時に発動できる。お互いのプレイヤーは、それぞれ自分のデッキから攻撃力2000以下の魔法使い族モンスター1体を攻撃表示で特殊召喚する。
「しまった‼︎」
ゆきとが思わず声を発した。
「俺は《ホーリー・ドール》を特殊召喚」
「あ! 《ホーリー・ドール》だ!」
遊幾が《ホーリー・ドール》を特殊召喚すると、メイが目を輝かせながら反応した。
「く……僕はこいつを特殊召喚する」
ゆうきもしぶしぶ《王立魔法図書館》を特殊召喚する。
ホーリー・ドール 攻撃表示→守備表示
王立魔法図書館 攻撃表示→守備表示
ホーリー・ドール
【魔法使い族/通常】
聖なる力を操る人形。闇での攻撃は強力だ。
王立魔法図書館
【魔法使い族/効果】
①:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分または相手が魔法カードを発動する度に、このカードに魔力カウンターを1つ置く(最大3つまで)。
②:このカードの魔力カウンターを3つ取り除いて発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。
「そっか! この手があったんだ!」
結が遊幾の一手に感心していると、
「どういうこと?」
隣で見ていたゲンが聞いてきた。
「じゃあ、ゆきとお兄さんのデュエルディスクをよ〜く見てよっか」
結が中腰になり、ゆきとのデュエルディスクを指差して答えた。
すると、遊幾、ゆきとのデュエルディスクがデッキを自動でシャッフルした。
「あ!」
とゲンが発声すると、ゆきとが悔しそうな声で説明する。
「デッキからモンスターを特殊召喚したプレイヤーは、デッキをシャッフルしなければならない……」
「じゃあ、バトル再開だ! 《闇・道化師のサギー》で《羊トークン》を攻撃!」
遊幾が再び攻撃を行うと、ゆきとが反応した。
<ダメージ計算前>
「速攻魔法《頼もしき守護者》を発動!《羊トークン》の守備力を700アップする」
羊トークン DEF:0→700
王立魔法図書館 魔力カウンター:0→1
闇・道化師のサギー ATK:500 VS DEF:700 羊トークン
遊幾 LP:3400→3200
頼もしき守護者
①:フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの守備力はターン終了時まで700アップする。
(※テキストエラッタ)
「相変わらず、ゆきと兄ちゃんは鉄壁だな〜」
タケルが言葉を漏らすと、忠雄がそれに対して答えた。
「いや、真の狙いは……」
「そっか、《王立魔法図書館》に魔力カウンターを置くのが狙いか! 戦況が大きく変わる中で二人とも的確にプレイしてるのって凄いな〜」
タケルは二人のハイレベルな攻防に魅入っていた。
→[エンドフェイズ]
「まだデュエルは終わらせないぜ! これでターンエンドだ」
今にもエクゾディアを揃えられそうな状況にも関わらず、遊幾は活き活きとした表情でターンを終えた。
ゆきと LP:5000、手札:5
④〜⑥羊トークン(DEF:0)、⑦王立魔法図書館(DEF:2000,魔力カウンター:1)、⑧レベル制限B地区
遊幾 LP:3200、手札:3
①砦を守る翼竜(DEF:1200)、②闇・道化師のサギー(ATK:500)、①ホーリー・ドール(DEF:1000)
【ターン13】——ゆきとのターン
→[ドローフェイズ]
「僕のターン、ドロー」
ゆきと 手札:5→6
→[スタンバイフェイズ]→[メインフェイズ1]
「このドローフェイズでの勝利とはならなかったけど、このデッキの力を見せる時が来た!」
ゆきとはドローしたカードを見て、元気を取り戻したようだ。
「いくよ! 魔法カード《貪欲で無欲な壺》を発動! 《ホーリーエルフ》、《岩石の巨兵》、《速攻のかかし》をデッキに戻し2枚ドローする」
「ドロー‼︎」
ゆきと 手札:5→7
王立魔法図書館 魔力カウンター:1→2
「続けて《成金ゴブリン》を発動!」
「デッキから1枚カードをドローし、相手のライフを1000回復する」
「ドロー‼︎」
ゆきと 手札:6→7
遊幾 LP:3200→4200
王立魔法図書館 魔力カウンター:2→3
「さらに《王立魔法図書館》の効果発動! 魔力カウンターを3つ取り除きデッキから1枚ドロー‼︎」
王立魔法図書館 魔力カウンター:3→0
ゆきと 手札:7→8
立て続けにカードをドローするゆきとに、遊幾とギャラリーは固唾を呑んで見ていた。
貪欲で無欲な壺
このカードを発動するターン、自分はバトルフェイズを行えない。
①:自分メインフェイズ1開始時に、自分の墓地のモンスター3体を対象として発動できる(同じ種族は1体まで)。そのモンスター3体をデッキに戻してシャッフルする。その後、自分は2枚ドローする。
成金ゴブリン
①:自分はデッキから1枚ドローする。その後、相手は1000LP回復する。
「よし、今度こそ勝利させてもらうよ。《魔法石の採掘》を発動。手札の《仮面魔導士》と《馬の骨の対価》を墓地に送り、墓地から《トップ・シェア》を手札に加える」
王立魔法図書館 魔力カウンター:0→1
魔法石の採掘
①:手札を2枚捨て、自分の墓地の魔法カード1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。
「そして《トップ・シェア》を発動。その効果で《封印されし者の左腕》を再びデッキの一番上に置く」
「遊幾もカードを選んでデッキの一番上に置いてくれ」
「俺は《スタンピング・クラッシュ》をデッキの一番上に置く」
王立魔法図書館 魔力カウンター:1→2
(魔法・罠カードを破壊するカードか。だけど1枚しか破壊できないのなら……このカードを引けて良かった)
「カードを1枚セットして」
ゆきとは自分のドロー運に感謝しながらカードをセットする。
→[エンドフェイズ]
「ターン終了だ」
ゆきと LP:5000、手札:4
④〜⑥羊トークン(DEF:0)、⑦王立魔法図書館(DEF:2000,魔力カウンター:2)、⑧レベル制限B地区
遊幾 LP:4200、手札:3
①砦を守る翼竜(DEF:1200)、②闇・道化師のサギー(ATK:500)、①ホーリー・ドール(DEF:1000)
【ターン14】——遊幾のターン
→[ドローフェイズ]
「俺のターン、ドロー」
遊幾 手札:3→4
「ゆきと兄さん、このターンで決着をつけるよ!」
「ああ、来い遊幾!」
勝負のターン、お互いが声を掛け合う。
→[スタンバイフェイズ]→[メインフェイズ1]
「手札から《スタンピング・クラッシュ》を発動。このカードはドラゴン族モンスターがいる時、フィールドの魔法・罠カードを1枚破壊し、そのコントローラに500ポイントのダメージを与える!」
「俺は《レベル制限B地区》を破壊する!」
レベル制限B地区→破壊
ゆきと LP:5000→4500
王立魔法図書館 魔力カウンター:2→3
スタンピング・クラッシュ
①:自分フィールドにドラゴン族モンスターが存在する場合、フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊し、そのカードのコントローラーに500ダメージを与える。
(※テキストエラッタ)
「これで攻撃ができるようになった。そしてこいつは、今朝手に入れた新たな仲間だ!」
「来い、《ツイン・ブレイカー》‼︎」
ツイン・ブレイカー
【戦士族/効果】
①:このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、もう1度だけ続けて攻撃する事ができる。
②:このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
「《ツイン・ブレイカー》は守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えていれば貫通ダメージを与えることができる。さらに、守備表示モンスターを攻撃した場合、もう1度だけ続けて攻撃できる!」
遊幾が《ツイン・ブレイカー》の説明をすると、ゆきともそれに反応した。
「だけど、《ツイン・ブレイカー》の攻撃力は1600。仮に2回、羊トークンに攻撃したとしても僕のライフは残る」
「だったら《ツイン・ブレイカー》を強化するまでさ」
「手札から装備魔法《魔導師の力》を発動。《ツイン・ブレイカー》に装備」
ツイン・ブレイカー ATK:1600→3100
魔導師の力
①:装備モンスターの攻撃力・守備力は、自分フィールドの魔法・罠カードの数×500アップする。
→[バトルフェイズ]
「《ツイン・ブレイカー》で《羊トークン》に攻撃!」
「この攻撃が通れば遊幾の勝ちね!」
遊幾の攻撃宣言に結が反応した。
しかし、ゆきともこれに反応する。
「だけどそれは通らないさ。リバースカードオープン、《聖なるバリア -ミラーフォース-》!」
「遊幾、君の場の攻撃表示モンスターを全て破壊する!」
ツイン・ブレイカー、闇・道化師のサギー→破壊
聖なるバリア -ミラーフォース-
①:相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て破壊する。
遊幾の攻撃表示モンスターが全て破壊され、しばしの間この場を沈黙が支配した。
そしてゆきとが口を開いた。
「これで君のバトルフェイズは終了だね」
それに対し遊幾はニコッと笑い答える。
「いや、まだ俺のバトルフェイズは終わってないぜ!」
「なに!?」
ゆきとが驚いた表情で反応すると、
「罠発動、《戦線復帰》。墓地から《魔法剣士ネオ》を守備表示で特殊召喚する」
遊幾は墓地からモンスターを蘇生させた。
戦線復帰
①:自分の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。
「無駄だよ。モンスターを守備表示で特殊召喚しても攻撃できない。そもそも僕のモンスターも守備表示、《ツイン・ブレイカー》がいない時点で僕にダメージは与えられない」
「そう……今、フィールドのすべてのモンスターが守備表示」
勝利目前のゆきとに対し、遊幾は不敵な笑みを浮かべながら答えた。
「‼︎ まさか……」
ゆきとの脳裏にあるカードが浮かんだ。
そしてその答え合わせを遊幾が行う。
「ああ! 俺は罠カード《重力解除》を発動!」
「全てのモンスターの表示形式を入れ替える!」
ホーリー・ドール 守備表示→攻撃表示
砦を守る翼竜 守備表示→攻撃表示
魔法剣士ネオ 守備表示→攻撃表示
王立魔法図書館 守備表示→攻撃表示
羊トークン×3 守備表示→攻撃表示
重力解除
①:フィールドの全ての表側表示モンスターの表示形式を変更する。
「すげぇ……本当に全部攻撃表示になった!」
「これが遊幾兄ちゃんの切り札……!」
タケルが息を飲み、メイは両手を握りしめながらつぶやいた。
応援していた子供たちは、まるで自分が戦っているかのように熱中していた。
ゆきとは口を開けたまま固まった。まるで時が止まったかのように、目の前の盤面を信じられない様子で見つめる。
「そんな……そんなことが……」
揃っていたはずの勝利が、音を立てて崩れていく。
そしてモンスターが攻撃表示になったことで遊幾のバトルが再開される!
「《ホーリ・ドール》で《羊トークン》に攻撃! 〝
ホーリ・ドール ATK:1600 VS ATK:0 羊トークン
「くっ……!」
ゆきと LP:4500→2900
羊トークン→破壊
「《砦を守る翼竜》で《羊トークン》に攻撃! 〝火球の
砦を守る翼竜 ATK:1400 VS ATK:0 羊トークン
「うぅ……」
ゆきと LP:2900→1500
羊トークン→破壊
「《魔法剣士ネオ》で《羊トークン》に攻撃! 〝
魔法剣士ネオ ATK:1700 VS ATK:0 羊トークン
「ぐゎぁーーーーーー」
ゆきと LP:1500→0
デュエル終了 勝者:八上遊幾
デュエルの決着がついた瞬間、広場には拍手と歓声が湧き起こった。
「すっげえええええーーー!!!」
「遊幾兄ちゃん勝ったー!!」
「これが本気のデュエルなんだ……!」
子供たちは興奮しながら走り回り、互いに手を取り合って喜び合っていた。
フィールド中央では、遊幾とゆきとが静かに向き合っていた。
「昔と変わらず強いな、遊幾。まさかあの状況から逆転するなんて」 ゆきとが穏やかな笑みを浮かべながら右手を差し出す。 遊幾はその手を力強く握り返した。
「いや、ゆきと兄さんのドローコンボも凄かった。どちらが勝ってもおかしくなかったよ」
二人は互いに健闘をたたえ合い、強い信頼の眼差しを交わした。
そんな中、誰よりも早く動いたのはリアムだった。無言でゆきとのもとに歩み寄ると、エクゾディアのカードを丁寧に回収する。
「……それでは回収させていただきます」
「悪い悪い。だけど、良いデュエルだったろ?」
「ええ……それは否定しません。ただ、カードが無事だったのがなによりです」
小さくため息をついたリアムは、カードケースをしっかりと胸に抱えてそのまま軍用艇へと歩いていった。
しばらくしてリアムが再び広場に戻ってくると、場の空気はすっかり落ち着いていた。皆が自然と輪になって座り、言葉を交わしていた。
「自己紹介、してない人もいるよね」
結の提案で、皆が順番に名前と簡単な挨拶を交わしていく。笑顔と笑い声があちこちで弾け、距離が縮まっていくのが感じられた。
「さて、そろそろ夕飯の話でもしようかのう」
忠雄が立ち上がり、手を叩きながら言った。
「今夜はせっかくだし、バーベキューでもどうかな?」
「やったー! バーベキューだー!」
「お肉いっぱい食べるぞ!」
バーベキューという言葉に子供たちが再び盛り上がる。
「少し時間は早いが、先に準備だけ済ませておこうか」
忠雄はそう言うと、皆に指示をはじめた。
「椅子やテーブルは納屋にあるから、男子はそっちの運び出しを頼む」
「皿やコップ、調理器具は台所から持ってきてくれ。女子は分担して洗ってくれると助かる」
「はーい!」
「了解!」
元気な返事が飛び交い、それぞれが散っていく。
タケルとゲンは納屋へ走り、結とメイは台所の扉を開ける。みんなが楽しそうに動き回る中、ふとゲンが忠雄の方に向き直って質問した。
「ねえ忠雄じいちゃん、食材は? お肉とか野菜とか、どこにあるの?」
「あと鉄板も! 前に見たときはサビて使えなかったよー?」
メイが指を立てながら付け加える。
「ああ、それか。ふふん」
忠雄はニヤリと笑い、胸を張って答えた。
「食材も鉄板も、心配いらん! 今夜のために、助っ人を呼んである!」
「助っ人⁉︎」
「誰か来るの⁉︎」
「それは来てからのお楽しみだな」
忠雄の言葉に子供たちは分かった、と首を縦に振った。
子供たちは再び賑やかに動き出し、それぞれの役割を分担し始めた。リアムも一息つき、手伝いに加わっていく。
おおよその準備が整いつつあるころ、遊幾とゆきとは少し離れた場所に腰を下ろしていた。
「ゆきと兄さん、ひとつ聞いてもいい?」
「なんだい?」
「……どうして、今日は星見の丘に立ち寄ったの?」
遊幾の問いに、ゆきとは少し黙って空を仰ぎ、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「理由は三つあるんだ。一つ目は、星見の丘の仲間たちに会いたかったから。ただ純粋に君たちの顔をもう一度見たかったんだ」
「……うん」
「二つ目は、ここで暮らす君たちに、世界の広さを伝えたかったから。星見の丘の外には、まだまだたくさんの景色と可能性がある。そのことを少しでも感じてほしくてね」
「……それだけでも、今日来てくれて本当に嬉しかったよ。」
遊幾は静かに頷きながら言った。
「そして三つ目は……」
ゆきとが三つ目の理由を答えようとした時、
「おーい、ゆきと。みんながお前の話を聞きたがっとるぞ」
忠雄がゆきとを呼ぶ声が聞こえた。
「ちょうどいい。三つ目はみんなに話そうと思ってたんだ」
「みんなに?」
「別にそんな重大な話ってわけでもないさ。さあ行こう」
不思議そうな顔で見つめる遊幾にゆきとは笑顔で答えた。
遊幾とゆきとが合流すると、すでにテーブルと椅子が綺麗に並べられていた。そしてゆきとが口を開いた。
「みんな座りながらでいいから聞いて欲しいんだ」
そう言うと、忠雄、遊幾、結、子供たちが今準備したばかりの椅子に座った。
「ゆきと兄ちゃんの世界での活躍聞かせてくれるのー?」
ゲンがテーブルに身を乗り出しながら聞くと、
「あはは。その話はご飯を食べながらでもしようか。今はちょっと真面目な話をするね」
「真面目な話?」
メイが首を傾げる。
「忠さん、3年前にここの神社で盗難事件があったでしょ?」
「ああ。神社に祀ってあったカードが盗まれた。よく知っとるな」
「そりゃ、忠さんのところで起きた事件だ。僕の耳にも入るよ」
「確かカード名はえっと……」
忠雄がカード名を思い出そうとしてると、
「《
ゆきとの隣にいたリアムが確認した。
「おお、それだそれ」
忠雄がうなずく。
光と闇の竜王
【ドラゴン族/融合/効果】
??????
「いままで犯人の手がかりも何も掴めない状況だったけど、もしかしたら解決できるかもしれないんだ。もしそうなったら大陸本部のセキュリティーがカードの照合を行うためにここに来ることになる」
「照合って?」
タケルが尋ねる。
「そうだね。そこから説明しよう」
タケルの問いにゆきとが丁寧に説明を始めた。
「僕たちがデュエルモンスターズのカードを入手する方法は3つ。一つ目はカードショップでの購入。二つ目は人からの譲渡または交換。そして三つ目はデュエル神社でお祈りをしてブランクカードに宿ること」
「《
「ああ、そうじゃな」
忠雄がうなずきながら答えた。
「となると、それは精霊界から新たに降臨したカード、ということになる。そしてそれを使用するためにはデータベースに登録しないといけない」
「登録しなかったらどうなるの?」
今度はメイが尋ねた。
「登録せずにデュエルしようとすると、デュエル開始時にエラーが起きてしまうわね」
結がメイの疑問に答えた。
そしてゆきとが説明を続ける。
「そう、そしてその登録はデュエルディスクを使って行う。カードの登録状態とデータはデータベースに記録されるけど、どのデュエルディスクから登録されたかの記録はデュエルディスクの方でされるんだ」
「なるほど。つまり盗まれたカードかどうかを確認するためには、デュエルディスクを調べる必要があるのか!」
遊幾が納得した様子で反応した。
「そういうこと。だからセキュリティーがここに来る可能性が出てきたんだ。みんな、ちょっと怖いおじさんたちがここに来ることになるけど、大丈夫かな?」
「全然平気だよ。だってエルダのセキュリティーのおじさんなんてモンスターみたいな顔してるよ」
ゲンがゆきとの問いに答えると、周りの子供たちがくすくすと笑い出した。
「なら良かった。ついでに星見の丘の防犯強化もお願いしようと思ってるんだ。最近色々と物騒だからね。費用は僕が負担するから。いいかな、忠さん?」
「ああ、もちろん。それはありがたい。ただ、少し話は戻るが、事件が解決されそうとはどういうことじゃ?犯人が見つかったのか?」
忠雄が事件の真相に迫った。
それに対し、ゆきとが説明を始めた。
「実はディスティア王国のとある非公式のデュエル大会で、2年前から《
「その大会はアンティルールが採用されていて、レアカードを集めまくっているらしい」
「アンティルールって何?」
メイが質問する。
「お互いに自分の持ってるカードを賭けてデュエルするルールさ。ここヴァルシアでは違法ルールだし、そもそも公式大会では認められていない」
遊幾が答えた。
「時期的にも一致するし、あのレアカードをそんな大会で使用するなんて普通は考えられないから、盗まれたカードである可能性が高い。今、セキュリティーがそのデュエリストの身辺を洗ってるんだ」
ゆきとが今捜査が進められていることを伝えると、遊幾が何かひらめいた顔で切り出す。
「ゆきと兄さん、その大会って次いつ行われるか分かる?」
「確か1ヶ月後くらいっだったはずだよ。でもなんで?」
「アンティルールってことは、その大会に出て勝てば、そのカード取り返せるんじゃないかと思ってさ」
遊幾が発案するが、ゆきとは渋い表情で返す。
「確かにそのデュエリストは2年連続で優勝している。大会に出て勝ち進めば当たる可能性は高い。だけど一つ問題がある」
「問題?」
遊幾の反応にゆきとが再び答える。
「その大会はB級以上のデュエリストしか参加できないのさ」
「あれ、ライセンス持ってたら全部の大会に出られるんじゃないの?」
ゲンが質問する。
「それは公式の大会の場合ね」
結がゲンに答えた。
「B級か〜、俺C級取ったばかりだけど、すぐにB級の試験とかって受けられるのかな?」
「……そうだね。ヴァルシアで試験があれば受けられるとは思うんだけど……調べてみようか」
ゆきとがタブレットを手にして調べようとしたところ、
「おっと、調べる必要はないぜ。そういったことならオレに任せろ!」
突如、ゆきとの後方から男の大きな声がこの場に響いた。
──盗まれたカードの行方、そして遊幾たちの前に現れた人物とは──