メイド・イン・エアプ~A級探窟者チームから追放されたけど、SS級探窟者に拾ってもらえて幸せです~   作:ナナチかわいい

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最後まで走りきるように頑張ります


捨てる神あれば拾う神あり

「リコ、お前をパーティから追放する」

「えっ?」

 

どういうこと?あまりに唐突過ぎて頭が働かない。

私たちの探窟者チーム、『黄金の剣』は探窟を成功させて探窟者ギルドに戻って来たばかりだ。

そしてこれから、持ち帰った遺物や魔獣から採取した素材を納品するはず『だった』。

しかし、唐突に追放すると宣言され納品の予定が書き変わる。

 

「な、なにかの冗談だよね…?」

「俺が今まで一度でも冗談を言ったことがあるか?」

 

ボントの表情は真剣で冗談を言っているように見えない。

他のパーティメンバーに縋るように視線を向けるがアリナもガルも、ボントと同じ真剣な表情で私を見つめていた。

混乱のあまり「なんで」「どうして」と口が動いた。

そんな私に追い打ちをかけるようにボントは追放の理由を話し始めた。

 

 

「なんで?どうして?そんなこと決まっているだろう。

お前が汚らわしい孤児だからだ。

既に新しい仲間も見つけてある。

もうお前に居場所はないんだよ」

 

「あ、アリナは?ガルは!?私が居なくなることに賛成なの!?」

 

「くすくす、そんなの当たり前じゃない。

確かにあなたの探窟者としての技術はすごいけど、もう必要ないの。

だって新しい仲間は貴方より遥かに高度な教育を受けているもの」

 

「我も同じ考えだ。チームに荷物持ちは二人も要らぬ、報酬が減るからな」

 

「そ、そんな」

 

「てゆーか、もしかして今日の報酬三人で山分け!?

超ラッキー♡」

 

「まったく、今更気づいたのか」

 

本当に唐突過ぎる。

今まで『黄金の剣』のメンバーとは助け合ってきたつもりだ。

ボントはどんなときも冷静でチームをまとめ上げることができるし、アリナはいつもは楽観的だけど仲間の危険には敏感でなんども危機を助けられた。

ガルは剣の腕前がすごくて魔獣からチームを守ってくれた。

そんな彼らが私が孤児だという理由で追放するとは思えない。

なにか、別の理由が―――。

 

 

「早く失せろ」

「あうッ」

 

 

頭に何かをぶつけられた。

ぶつけられた場所がずきずきと痛む。

痛い、私は何を投げつけられたの?

投げつけられたものに目をやるとそれは一緒にアビスの深層を目指すと約束した証、星の羅針盤だった。

星の羅針盤が指し示す先はアビスの奥にある。

そういうとみんな私を笑ったが、『黄金の剣』のメンバーだけは笑わなかった。

投げつけられた星の羅針盤をみてようやく現実を受け入れられた。

私はもう『黄金の剣』のメンバーではないと。

 

「わかった、じゃあねみんな。今までありがと」

 

せめて、最後は笑顔で別れたい。

私は床に落ちた星の羅針盤を握りしめて走ってその場から逃げだしたが、視界が滲んでいたせいかギルドの入り口で人にぶつかってお尻から転んでしまった。

 

 

「ひどい顔だな。大丈夫か?」

「大、丈夫です!すみませんでした!」

「君何か落とし―――」

 

 

今はとにかくこの場を離れたかった。

転んだ私を助けるように差し出された手を無視して自分の力で立ち上がると私は今度こそ、その場から逃げ出した。

 

 

「やれやれ、まったく度し難い」

 

 

 

 

 

 

これからどうしよう。

鉄格子に前のめりに体重をかけながら夢から遠ざかった未来について考える。

私は悩み事があるとき、アビスが一望できるこの場所に来て星の羅針盤を眺めて過ごす。

羅針盤の指し示す先が空の果てではなく、星の底を指し示している、そう考えているうちに悩みなんて吹っ飛んでしまうからだ。

 

「…?あれ…?」

 

気晴らしに星の羅針盤を眺めようとして気づく。

星の羅針盤がない。

リュックサックを逆さまにしても出てくるのはお金と探窟道具だけだ。

落とした?

もしかして、さっきぶつかったときに…?

 

「君が探しているのはこれか?」

 

焦っておろおろしている私にスッと声が差す。

声の方向を見ると、黒いフードを被った120cmほどの人影が立っていた。

顔はフードに隠れてよく見えないが、手には私の落とした星の羅針盤が握られている。

見た目も声もさっきぶつかった人と同じだ。

 

「星の羅針盤、持ってきてくれたんですか!」

「その様子だと正解だったようだな。ほら、もう落とすなよ」

 

拾った人がいい人で良かった。

彼が私に星の羅針盤を持った手を差し伸べる。

私は星の羅針盤を受け取ろうと手を伸ばしたが、寸前のところでヒョイっと取り上げるように遠ざけられた。

 

「あーー!なんでぇー!」

「ふん、君だってさっきぶつかったとき僕の手を取らなかっただろう?その仕返しだ」

 

そうかもだけど、そんな細かいこと私覚えてないよ!

過去からやってきたまさかの刺客だ。

でも……

 

「…ありがとう、なんか元気出たかも」

「やれやれ、何を勘違いしているのか。

僕はただ仕返しがしたかっただけだ」

 

いつまでも、悩んでいてもしょうがないよね!

私の思い出や経験までなくなったわけじゃないし、アビスの最奥を諦めるにはまだ早い。

今日はこの子と一緒にご飯でも食べて、また明日から新しい仲間を探そう!

 

「ところで、貴方の名前は?」

「名前を聞くなら先に自分から名乗るのがマナーだろう?」

「それもそうだね!私はリコ!よろしくね!」

「なっ、君がリコ…?よく見れば他の特徴も一致する…」

「…?そうだよ」

「…本当はこの遺物をただで返すつもりだったが気が変わった。

僕はSS級探窟者『極光』のレグ。

もしこの遺物を返してほしければ、僕の仲間になってくれ」

「え?」

 

私、SS級探窟者にスカウトされちゃった!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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