イナズマロックフェス2025に行くので初投稿です
「はぁ~...」
部室でPCと相対しすぎて割と大きな溜め息が口から漏れ出す、最近みんなのスケジュール調整、ライブ日程・演出の打ち合わせ、曲作りとやらなきゃいけないことが増えすぎて、疲れてきた。段々と寝る時間が減ってきて鏡を見れば目の隈が目立つようになり、さっきも
「侑くん最近なんだかぐったりしてきてない?大丈夫?」
「もしかして睡眠不足?彼方ちゃん心配だよ~、一緒にすやぴする?」
と心配な顔で言われた
でも自分のケアのためだけに今甘えるのは、直近でライブが控えてる二人の練習時間を犠牲にしてしまうことになるため、なんとか誤魔化してその場を切り抜けたが、歩き去るときにチラッと見えた二人の心配で不安そうな顔を忘れられないでいる。
この佳境を乗り切れば休めるはずだから、もう少し持ってくれ僕の体
[ピロン!]
「?、誰からだろう」
スマホのメッセージ通知が部屋に鳴り響く、送り主は歩夢ちゃんだった
[本当に大丈夫?してほしいことがあったら遠慮しないで何でも言ってね、私侑くんが倒れるのは嫌だから...]
本気で心配している言葉に涙目を浮かべているうさぎさんのスタンプが添えられていたメッセージだった、歩夢ちゃんごめん、でも今はこれを遂行しなきゃいけないからあえて気づかないフリをするため既読はつけないことした
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「ふうスケジュールはこれで組んでと...あ、演出担当の人からメールだ...なになに...」
着々と仕事をこなしていると時間を忘れちゃうな、でもタスクが減っていくにつれて少し気持ちに余裕も出来るようになっていく...なんだか廊下が騒がしいなと思うのもつかの間ドアが開き、見知った4人が入ってくる
「侑先輩~!本当に大丈夫なんですか~!?」
「え!なんで一年生のみんなが!?」
不安そうな顔で1年生の4人が部室に入ってくる、璃奈ちゃんも顔の変化は少ないが明らかに不安な表情をしているのがわかる
「歩夢さんからお話を聞かせてもらいました、どうやら本当に疲労困憊の様子ですね」
「目の下の隈がひどくなっていますよ侑先輩、無理し過ぎは良くないです」
「お願いだから休んで侑さん。倒れちゃったらみんなが悲しんじゃう」
みんな心配の眼差しで僕を見つめてくる
「で、でもそれは...」
「でもじゃありません!長時間の作業は余計に集中力が低下します、それにあなたが無理している姿を見たくはありません...!」
まだやることが残っているし、ここで休んでタスクの進行が遅れると今後の活動に支障がでることが脳裏によぎるが栞子ちゃんに叱責された、その瞳の奥ではかすかに涙ぐんでおり自分のことを本気で心配しているのが分かる、その様子をみて僕の心の奥から罪悪感が生まれた
「侑先輩!辛かったら言ってください!かすみん達じゃ解決出来ない事でも、少しでも先輩の役に立ちたいんです!」
「もっと頼ってほしい、言ってくれればきっと手伝えることがあるはず、だから無理だけはしないでお願い。」
「一人で抱え込まないでください侑先輩、みんなで解決の糸口を探しましょう?倒れちゃいやです...」
一人一人から僕の身を最優先に案じてくれている言葉をもらう、そうだよねこれ以上のみんなの前で無理している姿を晒しつづけたら、気を遣わせすぎてパフォーマンスが下がっちゃうねよね、もっと早くに頼ればよかった、そうすれば悲しませないですんだのに、どこかで気を遣せちゃいけないって思っていたのかな、結局悪い方向に進んじゃったんだけど、これじゃ部長失格だよ
「...ごめんねみんな、心配してくれてありがとう。」
「分かってくれればいいんです、さあ侑さん荷物をまとめてください、私達でお家までお送りします。」
「流石にそこまでは悪いよ...」
「ダーメーでーす!今日はかすみん達と一緒にいてください、見えない所で続きやってたら止めに来た意味がなくなっちゃいます!」
「はい、すみません...」
無理しすぎ人間のレッテルを後輩から貼られ、信頼が失墜することになった、大人しく荷物をまとめて帰るしかないか
「よし、じゃあ帰ろうか...っておっとっと足が...」
久しぶりに立ち上がったせいか、軽いめまいで少々足がもつれる
「大丈夫侑さん?私と手繋いで帰ろう、その方がふらふらしないで歩けるよ」
「そう...だね、お願いしようかな」
璃奈ちゃんからの好意で手を握らせてくれることになった、自分の手よりも一回り小さくて華奢だけどとっても温かい手で癒やされる
「じゃあ侑先輩のもう片方は私が握ってあげますね♪」
反対の手にしずくちゃんの指が絡んでくる、後輩の些細な優しさがとても胸に響く
「あー!先越されたー!」
「うう、私も立候補したかったのですが...無念です」
握れなかった後輩2人が悔しそうな眼差しを璃奈ちゃんとしずくちゃんに向ける、くそっ僕の手が4本あれば...
「では侑さん私がお荷物を預かります、渡してください」
「いいの?」
「はい、構いません。」
「じゃあお願いします」
そう言って通学用のリュックを手渡す
「重くない?」
「問題ないです、さあ行きましょう!」
その掛け声と同時にみんなで僕の家までの帰路につく、両サイドにしずくちゃんと璃奈ちゃん、前方に栞子ちゃんとかすみちゃん、でもどうやらかすみちゃんが悩んでいるような?
「かすみんも何かしてあげたいけど...そうだ!侑先輩、コッペパン食べます?」
そういうとかすみちゃんがバックから手作りコッペパンを取り出す、具沢山で食べごたえのある僕好みのコッペパンをいつも作ってくれているかすみちゃんには頭が上がらない
「じゃじゃーん!かすみん特製先輩のためのコッペパンです!どうぞ召し上がってください!」
「いつもありがとうかすみちゃん、いただくよ...と言いたいけど両手が塞がってるな...」
「じゃあ食べさせて上げますね、はいあ~ん♡」
かわいい笑顔で口までコッペパンを運んでくるありがたさを感じながら、口に頬張る
「んむんむ...すっごくおいしい!最高だよかすみちゃん!」
「や~ん嬉しいです~♡侑先輩すきすきっ!」
おいしいものを食べれたからなのか、さっきよりかは気持ちが安らいで普段通り接することが出来るようになった、人と触れ合うことが心の回復になっているのが実感できる、それくらい今まで体を酷使してきたのか自分一人じゃ絶対に気付けなかったであろう
「そういえばさっき歩夢ちゃんに聞いたって言ってたけど、もしかして気づかれてた...?」
「はい、実はですね...」
栞子ちゃんが部室に来る前のことを話し出す
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いつも通りしずくさんと他愛のない話をしながら部室へ向かっている最中、部屋の前で右往左往しながら動揺している歩夢さんを目撃する、明らかに何かを不安がっている様子、何があったのか聞いてみましょう
「歩夢さんどうなさいましたか?」
話しかけると、焦った顔でこちら側に振り向き、人を見つけられたからなのか少し安堵している
「あ、栞子ちゃんにしずくちゃん!良かった~...」
「何かあったんですか歩夢さん?」
しずくさんも何か異常を察知したのか怪訝そうなご様子
「ちょっとあれ見てくれる?」
指を差した方向は部室と廊下を繋ぐドアについている小窓だった、ドアの向こうにはパソコンと向き合っている侑さんが写っていた、その目の下には隈がくっきり見え、背中も必要以上に丸まり、その姿は明らかにやつれていた
「先輩...!どうしてそんなになるまで...!」
しずくさんも侑さんのあまりにもショッキングな姿に口元を両手で抑えて、悲しそうな表情を浮かべている、侑さんもこの状態が続けば、いつか倒れるのは火を見るより明らかだ
「歩夢さん...これは一体?」
「うん...実はさっき侑くんと会ったとき元気がなくって、いつもだったら気づく変化も最近一緒にいる時間が少なかったから、そこでようやく侑くんがどこかおかしいことに気づいたの、それで近くにいた彼方さんと一緒に心配して声をかけたら、誤魔化されちゃって理由を聞けなかったんだ...」
「メッセージは送ってみたのですか?」
そう言うと歩夢さんは、侑さんとのトーク履歴を私達に見せてくる
そこには既読のついていない心配のメッセージが送付されていた。
「送ったんだけど既読つかなくて...多分今すっごく無理しているんだと思う...昔から自分よりも他の人の事を優先して、自分の身を顧みず一人で抱え込んで周りが見えなくなっちゃう子だから...」
「何か止める手立てはないんですか?このままじゃ侑先輩が...」
「じゃあ二人から...ううん、出来れば1年生のみんなで侑くんのことお願いしてもいい?多分私が1人で行っても、もしかしたらまた誤魔化されちゃうかもしれないから...大人数で行けば、きっと話を聞いてくれると思うの」
歩夢さんは私達の方を見ながら解決策を提案してくださった、ですがその目は涙目でたえず潤っている、侑さんのことを本気で心配しているのでしょう、一刻も早く安心させてあげなければいけない
「分かりました、歩夢さん私達に任せてください!」
「先輩は私達が止めてみせます!」
「ありがとうしずくちゃん、栞子ちゃん...侑くんのことお願いね、私はこれから練習に戻っちゃうからお手伝いできないけど、みんななら止めてくれるって信じてるから」
泣いている姿を見せたくないのか私達の方へ振り返らず、そのまま走り去っていく
だが走る際に零れ出た涙の一滴が視界に入り、本当は練習を投げ出してでも侑さんの無茶を止めたいはずなのに、ライブの成功を優先して私達に止める役目を任せてくれるなんて、きっと今でも心配で胸が締め付けられているのでしょう、ご安心を歩夢さん絶対に私達が止めてみせます
「とりあえずかすみさんには私が連絡いれるね」
「分かりました、璃奈さんは任せてください」
あれこれ今二人で考えても仕方ないので、早急に二人で電話をかけて呼びつける、璃奈さんもかすみさんも二つ返事で部室前に来てくれることを約束してくれてほっとした、学園内にまだ居たらしく数分でこちらのもとに集まってくれた
「しず子〜!先輩が危ないって本当!?」
「栞子ちゃん詳しく聞かせて」
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「と言った経緯です」
「...本当にすみませんでした」
誤魔化した結果歩夢ちゃんを自分の想定以上に悲しませてしまっていたことに後悔の念で胸が一杯になっている
「その言葉はかすみん達にだけじゃなくて、歩夢先輩と彼方先輩にも絶対に言ってくださいね!」
「はい...」
当たり前だ、本当は頼って良かったのにその気持ちを無下にしたのだから頭を下げて謝るのは人として当然のことである、体調が落ち着いたら真っ先に会いに行こう、とりあえずメッセージに返信しよう、[心配かけてごめんね、もう大丈夫だよ体調が戻ったら会いに行きます]っと...よし送信
「ところで侑先輩、お家に着いたら私達にしてほしいことってあります?」
「何でも言ってね、とりあえず出来る範囲で分担して侑さんのお仕事を消化する?」
「うーん、そうだなぁ他の子でも対応できそうなことをお願いしようかな、ああもちろんやり方は僕が教えるから安心して」
「分かった任せて、璃奈ちゃんボード「きりり」」
「他にもお任せ出来ることはないのですか?遠慮なさらないでください」
「え?いいの?」
「もちろんです、侑先輩のためにならなんだってしちゃいます!」
かすみちゃんと栞子ちゃんから期待の眼差しを向けられる、でも他にやらせてあげられることって言うと...でもいいのか?そんなことに後輩たちを使って...でも遠慮するとまた気持ちを裏切っちゃうし...い、言ってみるか...
「じ、実は最近多忙だったせいで、部屋が結構散らかっててしかも、食べるものもそろそろ底をつき始めて、大分ピンチなんだよね...」
あ~自分でも情けないこと言ってるってのが分かって辛いなぁ~
「?、つまり私達にご奉仕してほしいってことですか?お安い御用です♪」
「ほ、本当に?嫌だったら無理しなくていいんだよ?」
「全然嫌じゃない、困ったときは助け合いだよ」
「任せてください、先輩にはかすみん特製のお料理フルコースを味わってもらいます!」
「そのフルコース私にも手伝わせてください!かすみさん」
「み、みんな...!ありがとう~!」
本当に、ほんっとうにいい後輩に慕われているんだなって改めて実感する、普通だったら異性の世話を快く引き受けてくれる人なんてそうそういないのに、みんな笑顔で引き受けてくれるなんて優しすぎるでしょ、絶対に大事にしなきゃいけない
「奉仕っていえば、この前の栞子ちゃんとかすみちゃんのメイド姿とっても可愛かったなあ」
ふと思い出される記憶、二人の猫耳装着のメイド姿可愛すぎて爆発するかと思ったよ
「...!いいこと思いついちゃいました♪みなさんお耳を借りてもいいですか?」
しずくちゃんがそういう言うと、他の子達も集まり耳を貸しはじめ内緒話をしている
「いい案だよしずくちゃん賛成」
「かすみんもオッケーだよ!楽しみ~!」
「わ、分かりました!頑張ります!」
どうやら全員了承したみたい、.一体何の話なんだ気になる~!
「え、なになに何の話?」
「秘密ですっ、お家まで我慢しててくださいね」
口の前に人差し指を添えていたずらっぽくウィンクされて答えられた
よっぽどすごいことなんだろうか...?
あれこれ話しているうちにバスで家に向かい無事に到着する
鍵を開けてみんなを招くか...汚いからあんまり見られたくないけど
「さあどうぞ、本当に汚いから足元気を付けて」
一同口を揃えておじゃましまーすと言いながら入ってくる。床には衣類やペットボトル、溜まった洗濯物、出しっぱなしの書類などで部屋は散乱状態、一人暮らしも大変だ...
「これは尽くしがいがありますね...とりあえず先輩は少し仮眠をとっててください、私達は準備があるので」
「いやでもせめて掃除くらいは自分で」
「も~!ご奉仕するって言ったじゃないですか~!先輩は寝ててください!」
かすみちゃんの叱咤され、腕を掴まれてベッドに押し倒され強制入眠の体制にさせられる
「うお...横にさせられると急に眠く...」
長期にわたる睡眠不足のせいで、横になった瞬間そのまま気絶するように眠ってしまう
段々意識が遠のいていく...
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「...様!ご主人様!起きる時間ですよ?ご主人様~!」
これは...しずくちゃんの声...?ご主人様って夢でも見ているのかな...
「う、うーん...って...わぁ!?」
体を起こし眠い目をこすりながら声のする方へ振り向くとそこには、メイド服を着た1年生のみんながこちらを見つめている
「おはようございますご主人様♪本日はわたくし桜坂しずくめが侑様のお世話をさせていただきます、どうぞお見知りおきください」
す、すごい完全に役に入り込んでいる仕草も完璧!一瞬でも自分がお金持ちの家の人になった気分になるくらいリアルな演技力だ
「侑先ぱ...じゃなかった、ご主人様!今日はかすみん達がいーっぱい癒して上げますからね♡期待しちゃっててください!」
「ご主人様、私達頑張るから見ててね、璃奈ちゃんボード「むん!」」
「は、はい!し、しおにゃんも精一杯頑張ります...にゃん!」
おお他のみんなもとっても可愛いけど...なぜか栞子ちゃんとかすみちゃんには猫耳と猫尻尾が生えている
「みんな...世界一可愛いよーーー!」
好きで好きで堪らない後輩ちゃんたちの、愛おしい姿を目撃して大好きの感情が溢れ出し、勢いで手前に居た猫耳メイド2匹を抱き寄せ愛で始める、頭を撫で頬を擦り合わせるなどリミッターが外れた機械のごとく過剰なスキンシップを繰り返す
「やーん♡ご主人様ってば、そんなに激しくしなくても逃げたりしませんよー♡」
「だってこんなに可愛いんだもん!メロメロになっちゃうよー!すきー!」
「~~~~!!せんぱぁ〜い!かすみんもすきすき~♡だいすきですぅ~♡」
僕が今の思いを洗いざらい叫ぶと、かすみちゃんもそれに呼応するかのように愛を叫んでくれた、嬉しすぎる!これが相思相愛って言うのかな?
「...ご主人様、しおにゃんももっといいこいいこして欲しいです...にゃん。」
「!!!」
声が出なかった、上目遣いでおめめうるうるさせて、構ってほしそうに僕を見つめるその眼差し、完全にときめいちゃった!!栞子ちゃんも甘えん坊さんだったんだね!
「栞子ちゃんもとっても可愛いよ~~~!寂しかったら僕がそばにいてあげるからね~~~!!」
寂しがらせまいと両手で精一杯抱きしめて安心させる、抱きしめられて嬉しかったのか安心したのかはわからないけど、栞子ちゃんも抱き返してくれた
「...!はい、私も侑さんのおそばにずっと居させてください...♡」
さっきまで溜めてた涙が零れ落ち、まるで一生離さないぞと言わんばかりに彼女の精一杯でぎゅっと抱きしめられる、こんなに一途で優しい栞子ちゃんならきっと将来はいい人と結婚できるだろうなぁ
「ああ!ご主人様!この卑しきメイドにもどうかお慈悲を!」
栞子ちゃんを構っていると今度はメイドに入り込んでいる不安そうな顔をしたしずくちゃんが布団の上に乗っかってくる、演技とは思えないその愛欲の眼差しは僕の庇護欲を刺激をした
「しずくちゃんもお衣装が似合ってて素敵だよ~~~!かわいすぎ!」
「!!、お褒めいただきありがとうございます♪ご主人様♡」
賛美の言葉を投げかけると、先程までの曇り顔がぱあっと晴れ、にこにこの笑顔をこちらに向けてくれた、しずくちゃんが喜んでくれて僕も嬉しい
「...ご主人様私も忘れちゃ...ダメ」
しずくちゃんと見つめ合っていると突然誰かに耳元に囁かれ背後を抱きつかれた感触が走る、振り向くとそこにはかわいいかわいい璃奈ちゃんがくっついていた、もしかしてちょっぴりムスッとしていらっしゃる?
「私のメイドさん衣装似合ってる?見てくれないと寂しい璃奈ちゃんボード「しゅん」」
「寂しがらせてごめんね璃奈ちゃん!もちろんすごく可愛くて似合ってるよ!こんな僕だけどこれからも一緒にいてくれる?」
「...うん♡ずっといっしょだよ侑さん、ず~~っといっしょ♡」
「私もずっと一緒ですよご主人様♡」
璃奈ちゃんの抱きしめる力が強くなっていき、しずくちゃんも抱きついてくる、璃奈ちゃんもしかして今笑った!?小さな変化だけど口角があがっている気がする、しずくちゃんも甘えたがりの笑顔でスリスリしてくるの可愛すぎ!あまりにも愛おしい姿を見せられたものなので、一旦恍惚して上の空の栞子ちゃんとかすみちゃんを離し、今度は璃奈ちゃんたちへのスキンシップを開始する
「あなたの手で触れられるととっても落ち着く、もっと触ってもいいよ」
さっきから女の子に触りすぎなのか、シャンプーの匂いのせいなのかよくわからないけど、ちょっと気持ちがポワポワしだしてきた、すると璃奈ちゃんに手を掴まれて、頭の上に乗せられる
「ナデナデしてご主人様」
璃奈ちゃんが真っ直ぐな眼差しでおねだりしてくる、言われるがままに頭を撫で始めるとまるで子猫ちゃんみたいに甘え始めた、こんな可愛い後輩を独り占めできていいのか...?
「...しあわせ」
本人がご満悦ならそれでもいいか
「先輩、私にもしてくれなきゃ嫌です...」
愛娘を見つめるみたいな視線を璃奈ちゃんへ向けていると、とうとう構ってもらえずしびれを切らしてしまったのか演劇モードがオフになった素のしずくちゃんが服の裾をひっぱってくる
「ごめんねしずくちゃん、おいで」
璃奈ちゃんもしずくちゃんが甘えたいことを察知したのか一旦離れてくれた、真正面から彼女を抱きよせると愛おしそうに抱き返してくる
「先輩、侑先輩!」
抱きしめた途端、感情のダムが崩れてしまったのか迷子の幼い子供が居なくなってしまった母親を呼ぶかのように自分の名前が連呼される
「ど、どうしたの!?」
「...私不安だったんです、先輩が目を開けないでこのまま眠り続けたらどうしようって...」
「...」
もしかしなくても昼間のやつれた姿を見ての発言だろう、それほどまでにしずくちゃんは僕のことを心配してくれていて、今の今まで不安を抱えていたんだと思う
「もう先輩の居ない人生なんて考えられないんです...だから今日だけは...!ずっと私のそばに居てください!」
僕の胸の中で今の気持ちを吐露しはじめるしずくちゃん、埋めているせいで顔は見えないけど、ほのかに服が湿っていく感覚がするので、涙を流しているのは間違いない、女の子を悲しませてしまうなんて自分が嫌になってくる、二度とないように気をつけねばいけない、だってみんなのことを幸せにするって約束したのだから、その後しばらく落ち着くまで抱きしめることにした。
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「申し訳ございませんご主人様、お見苦しい姿を」
ひとしきり感情を出し切った後、また演劇モードのスイッチが入り丁寧に謝罪をしてくる、だが泣いた後なのでちょっと目元が赤い
「謝らないでしずくちゃん、もとはと言えば僕の過失だから」
「いえ侑さんだけのせいではありません、私達も早くに気づければこんなことには...」
「もー!しお子も先輩も、これ以上誰が悪いのとかは言いっこなし!分かった?」
「「はい...」」
またネガティブになりかけたところにかすみちゃんからの叱咤をもらう、過ちをこれ以上気に病むことはない、ただ認めて次回絶対に起こさなきゃいいだけだみたいなことを、せつ菜ちゃんに見せてもらったロボットアニメのキャラクターが言ってた気がする、反省しなきゃ
「そういえばご奉仕って何をしてくれるの?」
「それにつきましてはまずご主人様がお休みになられている間に私どもがお部屋のお掃除と洗濯を済ませておきました」
しずくちゃんメイドが淡々と状況を説明し、部屋をよく見るように手で促され、見渡してみると寝る前まで荒れ放題だった部屋の床がきれいに掃除されており、耳をすませば洗濯機が回転している音が聞こえてくる本当にみんながやってくれたんだ
「ありがとうみんな...!今度お礼するから何でも言ってね!」
あまりの嬉しさに泣きそうになりながらみんなにお礼を言うと、それぞれが温かい眼差しを向けてくれた
「じゃあ今度5人で遊びに出かけたい、いっぱい思い出作ろう」
「りな子、いいこと言うじゃん!かすみんも思い出つくりたーい!」
「ふふ、では近い内に行きたいところを皆さんで決めましょうか私も楽しみです!」
「じゃあお出かけの最後は私のお家でお泊り会しちゃいましょう!」
1年生のみんなが和気あいあいしながら、どういったお出かけにしたいか話し合っている、和やかな光景だなぁ、楽しみにしてくれていて僕も嬉しい
「!いけない、話に夢中で今後どうするのか伝えてなかった、璃奈ちゃんボード「あわわ」」
「そうでした!では私から説明します、ご主人様はお料理が出来るまで璃奈さんと一緒に横になっていていただきます」
「璃奈ちゃんと?」
「はい4人で分担することにしたんです、私とかすみさんは料理、しずくさんはお洗濯、璃奈さんは抱き枕といった感じに分けたんです」
「だ、抱き枕...?」
料理と洗濯の中に一つ謎の役職があることに疑問をしめすと、璃奈ちゃんがこちらにくっついてくる
「うん抱き枕、私のこと抱きながら寝ていいってことだよ」
自分の横にちょこんと座り両手を広げハグ待ちの体勢でこちらに向けてきた
「ぐぬぬりな子が羨ましい~!!」
「ダメだよかすみさん、もう決まったことなんだから」
かすみちゃんが璃奈ちゃんに羨望の眼差しを向けている、やっぱ若干の不幸体質気味だよねかすみちゃん、そこがまた可愛らしいんだけど
「うう~料理振る舞うって言わなければ今頃先輩の抱き枕だったのに~!!こうなったらとびっきりの料理作って先輩のこともっとメロメロにしてやる~!!いくよしお子!!」
「わっ!急に引っ張らないでくださ~い!」
悔しがっていたかと思ったら、すぐさまその悔しさをバネに謎の闘争心を湧かせて栞子ちゃんの腕を掴みキッチンへ向かっていった、もうすでにメロメロなんだけどな...これ以上魅了されたらどうなっちゃうんだろう、もしかして可愛さのキャパオーバーで爆発するかも
「まあかすみさんたら、ふふとっても張り切っていますね、ではご主人様わたくしは洗濯物を干して参ります、どうぞ璃奈さんとごゆるりとおすごしください」
スカートの裾を軽く持ち上げつつ頭を下げその場を去っていく、仕草から口調にいたるまで完璧にメイドを演じているしずくちゃんは流石演劇部と言わざるをえない、さてとどうしたもんかなかすみちゃんと栞子ちゃんは向こうのキッチンでわいわいしながら料理してる、時折悲鳴に似た何かが聞こえるけど大丈夫だろうか?しずくちゃんは黙々とベランダで僕の洗濯物を干している、下着とかも顔色一つ変えずに取り扱われているのがちょっと恥ずかしいな...璃奈ちゃんは瞬きしていないんじゃないかってくらいの熱い目線で僕を見つめている
「どうしたの?早く寝よう」
「う、うん」
璃奈ちゃんに言われるがまま彼女を背後から抱きしめて床につく、実際仮眠程度の時間しか寝てないのでまだ眠気がある
「ねえねえ侑さん」
「?」
「向きこっちがいいな」
そう言うとともに璃奈ちゃんは向きを反対に変えて顔同士が向き合うように動いてくる
改めて近くで見ると璃奈ちゃんのお顔とっても綺麗だ、もちもちお肌に愛らしい目で高校生にしてはあどけなさが目立つけどそれも彼女の魅力の一つだと僕は考える、今まで一番近くで見守ってきたんだから間違いないはずだ
「...そんなに見つめられるとちょっと恥ずかしいかも///」
眉をひそめて目線をちょっと外しながらチラチラとこちらの様子を伺う璃奈ちゃん、頬も桜色に染め上がって今恥じらいを感じているのだろう、少しでも顔を動かすと唇同士が接触してしまうくらい近ければ仕方のないことである、時折彼女の緊張の吐息が頬にあたるのもあり、段々こっちまで恥ずかしくなってきた
「あなたも緊張してるの?」
「そりゃまあ...うん」
「私もすごい緊張してる、ほら」
密着している体をさらに密着させ、彼女の胸が自分の心臓と重ね合わせられる、璃奈ちゃんの鼓動は心臓が早鐘を打つかのように時を刻んでいる
「聞こえる?私ね侑さんと一緒にいるといつもこうなっちゃうんだ」
「いつも?」
「うん、あなたとこれまで一緒に過ごしていくうちにいつの間にかこうなっちゃったんだ、これが恋するってことなのかな?」
「恋...」
まさか彼女の口から恋をすると言う言葉が出てくるのは予想できていなかった、正直自分でも恋の感情はまだ理解ができていない、確かに璃奈ちゃん含めて同好会みんなのことはもちろん大好きだし、幸せにしたいと思っている、でもこれはお互いの絆が成り立っている上での信頼関係だと思うし、まさかこれが「恋」と呼べる代物なのだろうか?でも自分だけの一方的な思い込みでメンバーのみんなを傷つけたくはない、うーん考えれば考えるほど頭がモヤモヤになる
「ねえ、私のこと好き?」
「もちろん好きだよ」
「本当?でもそれってLikeの好きって意味じゃない?私はLoveの方が知りたいな」
「え!?」
慌てた拍子に今璃奈ちゃんの唇と自分の唇が軽く触れ合う感触が走った
「あ、今当たっちゃったね。じゃあこうしよ、私のこと本当に好きならこのお口侑さんので塞いでほしいな」
「それってキ───」
僕が何かを言いかけようとする瞬間、璃奈ちゃんの人差し指で口を塞がれる
「しーっ、あまり大きな声出しちゃうとみんなが気づいちゃうよ」
そうだった、この状況がバレると間違いなく他の1年生のみんなが我も我もと絶対に群がってきてさっきよりも大変なことになっちゃう!特にかすみちゃんは負けず嫌いで一番になりたい子だから、今ここにいる璃奈ちゃんを引っぺがしてでも唇を奪いに来るだろう
「落ち着いた?じゃあはい、んーっ♡」
全然心の準備もなにも出来ていない中こっちの返答を聞かずに、キス待ちの顔を作る璃奈ちゃん、その彼女の鼓動は先程よりも早鐘を打っており、表情には出ずともすごく緊張しているのが伝わってくる、まだ自分の中で恋するってどういうものか結論が出ていないのに、雰囲気に流されて接吻をしてしまっていいのか、女の子にとって人生で一番大事なシーンを、何も分かっていない僕が消化してしまうのはどこか忍びなく感じてしまうもっと自分より璃奈ちゃんに相応しいフィアンセだっているはずなのに本当に僕が初めてでいいんだろうか、でも彼女は真剣に僕の愛を求めている、他の誰でもなく今ここにいる自分のことを伴侶として認め一途に愛してくれている、その気持ちを無下にすることは出来ない
「...分かった」
覚悟を決めた、この胸の高鳴りと高揚感きっとこれが恋なんだ、今ひたすらに璃奈ちゃんのことが欲しい、絶対に他の男に渡したくない、たとえどんなことがあっても璃奈ちゃんと添い遂げたい
僕の心の中が璃奈ちゃんへの大好きの気持ちで溢れ出した瞬間、2人の唇同士が重なり合った
「ん...♡」
彼女の唇はとても柔らかくそれでいて少ししっとりとしていた、本当は溢れんばかりの感情に身を任せたキスをしてあげたいが周りの目もあるため今回は軽いキスで終わらせることにした、短い間だったが2人の唇の間には薄く唾液同士が混ざりあった糸が張っていた
「やっとあなたに私の思いが伝わった、すっごく嬉しい♡」
「大好きだよ璃奈ちゃん、末永くよろしくね」
「うん、ずっとずっと一緒にいようね侑さん♡」
感情が高まりすぎているせいなのか、璃奈ちゃんの声は嬉しさの限界突破で震えていた
「続きはまた今度だね、それじゃ侑さんおやすみ」
「ありがとう璃奈ちゃんおやすみ」
逆に興奮しすぎて寝れないかと思ったけど、璃奈ちゃんのぬくもりを感じていたら段々と瞼が重くなっていき、そのまま2人でご飯が出来るまで就寝することになった
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「...様ー!ご主人様起きてくださ〜い!」
うーん...なんかデジャヴのある寝起きだなぁ...
「あ!やっと起きました〜、かすみんとしお子特製の手料理が出来ました!食べてみてください!」
「ふぇ?ホントに?」
眠い目を擦りながら、部屋のテーブルに目を向けるとそこには豪勢な手料理が並んでいた
「おお、すごい...オムライスにハンバーグにスパゲティ...これ全部2人で?」
「はい!頑張って練習したんです、レシピ通り完璧です!」
「かすみんがコッペパンだけしか作れないと思ったら大間違いですよ〜」
自慢げに料理の出来を語る2人、ここまで完成度の高い料理をお出しされて自分でも驚いてる、相当数練習したに違いない
「じゃあ最後にネコちゃんメイド2人から愛のおまじないです!」
そういうとかすみちゃんはケチャップを取り出しオムライスに文字を書いていく、メイドカフェでよく見るやつだ!なになに...ゆうさん...?
「ほらほら、うまくいかなかったところは変わってあげたんだから後半は頼んだよしお子」
「が、頑張ります...!」
ど、どういうことだ...イマイチ状況が掴めていない間に栞子ちゃんはかすみちゃんの文字に続くようにオムライスに続きを書いていく、緊張で手がすごい震えていながらも、字がブレないように慎重にゆっくりと書き綴る一生懸命な姿を見てなんだか言葉に出来ない愛おしさを感じてしまった
「出来ました!どうでしょうか?」
「うんうん、完璧だよしお子!やるじゃん!」
「ありがとうございますかすみさん♪それでは侑さん、どうぞ召し上がってください♡」
「!!!」
一生懸命で可愛い栞子ちゃんを眺めてたら一体どんな文字を書いていたのか分からず、今話しかけられて目線をオムライスのほうへ向けるとそこには”ゆうさん大好き♡”の字が書いてあった、あまりの嬉しさで言葉がでなかった
「いかがでしょうか、私のあなたへの気持ちをオムライスに乗せてみたのですが...」
「だ、だいすき...?」
「はい♡かすみさんに侑さんへの気持ちを伝えるにはどうすればいいのか相談したんです、そうしたら料理に乗せるのが一番と言われました」
こんなにも栞子ちゃんは僕のこと思っていてくれていたのか...なんか璃奈ちゃんにもそうなんだけど自分の鈍感さに呆れてくる、よくかすみちゃんににぶにぶって言われる理由が今わかったよ...
「日頃から好きって言ってくれるあなたへ私からのお返しです♪いつまでも言われっぱなしじゃありませんよ」
栞子ちゃんがするには珍しいイタズラっぽい笑顔を浮かべ、料理を差し出してくる
「しお子あーんだよ!あーん!」
「!、そうでした、はい侑さんあーん♡」
何かを思い出したのか一瞬閃きの顔を見せた後、スプーンでオムライスをすくい僕の口まで運んでくる、これ新婚さんとかカップルがやるものなのでは...!?
「どうしました侑さん、もしかしてまだ寝起きでお腹に入りませんか?」
衝撃の連続でフリーズしていると栞子ちゃんのぱあっと晴れていた笑顔に、少々の曇りがはいる、これ以上悲しませないためになんとか意識を保ち、いざオムライスを食すため差し出しれた料理に向かい口を開ける
「あむ...」
食べると口の中に広がるケチャップライスと卵のハーモニーがとても美味しい、彼女からの手料理は長期間の不摂生で弱りきった体には効果が抜群で、だんだんと目頭の奥が熱くなり気づけば涙を流していた
「うん...うん...美味しいよ栞子ちゃん...」
「侑さん...!」
泣き始めたのを見かねたのか、栞子ちゃんは咄嗟に僕のことを抱き寄せる
「泣くほどお気に召されたのですね、私今とても幸せです...!」
「僕もこんなに美味しいオムライスを食べさせてくれてとても幸せだよ」
二人して幸せの感情をハグという形で返しあって感傷に浸る最中、それを良しとは思わないかすみちゃんが阻止しにかかる
「ちょっとちょっと!くっつきすぎ〜!かすみんだってぎゅーしてもらいたいのにー!」
「どうどうかすみちゃん、オムライスを頑張って作りきったのは栞子ちゃんだから今はそっとしておくべき」
「む〜!逆になんでりな子はそんなに冷静なの?」
「...内緒」
さっきのことを思い出しているのかちょっぴり頬を赤くしている璃奈ちゃん、なんか見てるこっちも恥ずかしくなってきちゃった...栞子ちゃんにはちょっぴり悪いけど、一旦離して貰ってかすみちゃんが頑張った料理を食べようと思う
「ごめんね栞子ちゃん、かすみちゃんが寂しがってるから一旦離してもらっていいかな?」
「す、すみません!夢中になってしまいました...」
「大丈夫、またいつでもしてあげるからね」
「...はい。///」
最後離したとき、あわあわした栞子ちゃんを見て頭を撫でてから彼女の前を後にしたその際のはにかんだ表情もとても愛らしかった
「せんぱ~い♡来てくれてとっても嬉しいですー!ささ、かすみん特製のハンバーグですよ~」
怒って少々拗ねているかすみちゃんのところに行くと、主が来てくれてすごく嬉しそうな子犬ちゃんみたいに甘えだし、丹精込めて作ったハンバーグをお出しされる、一瞬尻尾のようなのも見えたような気が、まだ寝ぼけているのかな...
「はい、あ~んしてください♡」
「あーん...んむ」
「どうですか~?ソースも手作りなんです!」
おいしい、流石普段から料理を嗜んでいるだけある、かすみちゃんって家事一通りこなせてよく他人の世話を焼いてくれるから結構メイドさんが板についているんじゃないかな、後何と言っても可愛いし
「うん最高だよかすみちゃん!毎日作って欲しいくらい!」
「~~~♡♡♡や〜ん、先輩すきすきー!先輩のためならかすみん毎日手料理作っちゃいます~!えへへ」
いつものように褒めちぎると両手を頬につけて、体を横にフリフリしながら喜んでからこちらに抱きついてくるかすみちゃん、本当にかわいいよ
ひとしきり抱きついた後何度かあーんをしてもらいながら料理を食べ進めていると、そのうちかすみちゃんは僕の首元を注視し始める
「あれ?先輩首のここ赤いですね、虫に刺されちゃいましたか?」
首をつんつんされたところを見ると確かに赤かったが、特にかゆみや痛みは感じずなんともなかった、最近掃除してなかったからダニとかかな
「ちょっと待っててください、今かゆみ止めの塗り薬持ってきます」
その場を立ち上がって自分の荷物を漁るかすみちゃん、そこまで大したことないのに割と心配されているのが心にしみる、でもなにかに啄まれたような痛みな気が...まさか...
もしやと思い璃奈ちゃんに視線を向けてみると
「...///」
露骨に視線を外される、これで確信した正体は璃奈ちゃんがつけたキスマークだ...!
まさか寝てる間にこっそりつけちゃったのか...意外と強引なんだね
「ありました~さあ侑先輩、ちょっと首失礼しますね」
丁寧にスティックタイプのかゆみ止めを塗られているけど、言えない!これがキスマークだなんてあまりにも申し訳なさすぎて言えない!
「はいこれで大丈夫です!またかゆくなっちゃいましたら、遠慮しないで言ってくださいね」
「う、うん...ありがとうかすみちゃん」
役に立てて嬉しかったのかルンルン気分で薬を仕舞いに行くかすみちゃん、ごめんね本当に
その後栞子ちゃんとかすみちゃんに囲まれて料理を味わっていき、気づけばあっという間に完食をしてしまい、2人からとても喜ばれた
「ごちそうさまでした、本当にありがとう2人共」
「お粗末さまです♪また作らせてください」
「いつでも食べさせてあげますよー♪」
あまりにもできた後輩にこんなにも慕われてとても幸福を感じている、そういえばしずくちゃんはどこに行ったんだろう?食べてる最中姿が見えなかったけど
「ご主人様、料理は堪能できましたでしょうか?」
なんて考えていると脱衣所の方からメイドしずくちゃんがひょっこりと姿を表してくる
「うんとっても美味しかった!」
「それは何よりです、不躾ながらわたくしがお風呂掃除と浴槽に湯船を張らせていただきました、どうぞお入りくださいませ」
言われたとおり風呂場をみると確かに清潔に掃除されてあり、湯船も出来上がっていた。しばらく浴槽掃除をサボって全然風呂に浸かる機会がなかったのでこの機会にゆっくりと羽を伸ばそうと思う
「何から何まで本当にありがとうしずくちゃん、みんな」
「もったいなき御言葉ありがとうございます」
そう言うと脱衣所から去るしずくちゃん、早速着ていた服を脱ぎ、シャワーを浴びてから湯船に浸かる。
はぁ〜生き返るぅ〜...長時間の疲れが一気に吹き飛んだ感覚に襲われる、よく御老体が言う極楽ってこういう事を言うんだなあ...これからは定期的に湯船に浸かろうそうしよう。
数十分浸かってから湯を上がり、体を拭いて脱衣所にいくと綺麗に畳まれた寝間着が置いてあった、きっとしずくちゃんが用意してくれたんだろう何から何までお世話してくれてほんとにありがたいかぎりだ、着替えてから寝室に戻ると床一面に布団が敷いてあり、その上に寝間着に着替えた一年生のみんなが座っていた
「侑先輩おかえりなさい♪お湯加減がどうでしたか?」
「うん気持ちのいいお風呂だったよ、ありがとう!」
「お役に立てて光栄です、また頼ってくださいね」
「せーんぱい♡かすみんと一緒に寝ましょー♡」
しずくちゃんと会話しているとかすみちゃんが甘えながら抱きついてくる、もしやと思うが...
「これ5人で寝る感じ?」
「はい、勝手ながら閉まってあったお布団を敷かせていただきました、皆さんで話し合って本日はこちらで5人横になって就寝しましょうってことになったんです。もちろん真ん中は侑さんですよ♪」
「もちろん一緒に寝るのは構わないんだけど、どういった順番なの?」
「それを今栞子さんとかすみさんと話し合っていたんです」
「璃奈ちゃんは?いいの?」
「うん、一緒にお昼寝したから夜はみんなに譲るよ」
ちょっと勝ち誇っていそうな璃奈ちゃん、まああそこまでしちゃったらこうもなるか...
「かすみん先輩の隣じゃなきゃやだー!」
「もう、さっきじゃんけんで決めるって言ったでしょかすみさん、私だって先輩の隣がいいもん!」
「たとえお二方でも譲れないものがあります!負けませんよ!」
今3人の間に熾烈な電撃が走っているのではないかと思うほど空気感がピリピリしてきた、そんな中こっそり密着してくる璃奈ちゃん、譲ったはいいもののちょっぴり寂しいんだろうか
「むう〜わかってるってば...じゃあ行くよ!しず子、しお子!せーの」
「「「じゃんけん、ぽん!!!」」」
結果は───まさかのかすみちゃんの一人負けで勝負の幕が閉じた
「~~~!?!?!?」
かすみちゃんはあまりのショックで声にならない声で叫び眼の前の現実に対して絶望の表情を浮かべている
「ごめんなさいかすみさん、今度は譲ってあげるからね」
「可哀想ですけど、勝負は勝負なので今晩は私に譲ってください」
勝者からの慰めも虚しく、ただただかすみちゃんの虚無感が加速するだけだった
「せめて最後に先輩を吸わせてください~」
よろよろのかすみちゃんがこちらに寄ってきてそのままなだれ込むように真正面から抱きついて顔を埋めてくる。数分経って気が済んだのか引き締まった顔で自分の元を離れて栞子ちゃんとしずくちゃんのほうに振り返る
「次は絶対負けないから!!」
二人への宣戦布告を言い切ると返事も聞かずに5つある枕の一番端に寝っ転がり睡眠の体勢をとる、一度負けてもへこたれないかすみちゃんらしい振る舞いだなぁ
「そろそろ寝ましょうか皆さん」
「そうだね夜も遅いし寝よっか」
2人が顔を見合わせて少し微笑んだ、あの落ち込みようだったから心配だったたんだろう
想像以上に落ち込んでいたらどっちかが場所を変わってあげようと考えてもいたのか、でもその思惑は杞憂で終わり安堵の顔を浮かべている。
それぞれが自分の場所に伏せたあと部屋のリモコンで消灯をすると横2人が僕の腕に抱きつき耳元で囁く声が聞こえる
「おやすみなさい侑さん」
「いい夢見て下さいね先輩♪」
「うんおやすみ二人共」
就寝の挨拶を返し目を閉じて入眠する、やはりまだ疲れが残っているのか僕の意識は数分でなくなり夢の世界へ堕ちていく───
・
・
・
「ん...」
寝付いてから何時間経ったのだろう、夕方に仮眠を取ってしまったせいか妙に目が冴えてしまい真夜中に目覚めてしまう、しずくちゃんと栞子ちゃんの腕は自分の下から離れており、顔を覗き込むと幸せそうな顔でぐっすり眠っていた
(かわいいなぁ)
後輩達の愛らしい顔に軽く酔い始めてうっとりしてしまう、ふと部屋を見渡すと璃奈ちゃんの姿が見えなかった、どこにいってしまったのか探してみるとベランダにピンクの髪をなびかせる少女が夜風にあたっていた、璃奈ちゃんも変な時間に目が冴えて気分転換をしているんだろう、せっかくだから僕もお邪魔しようかな
寝ている子を起こさないように慎重にベランダに出ると、窓が開いたことに気づいたのか璃奈ちゃんがこちら側へ振り返る
「侑さんも起きちゃったの?」
「うんちょっとね」
流れるように彼女の横に立ちベランダの柵に肘を乗せて物思いにふけってみる
「ねえねえ、手繋ごう」
「いいよ」
肘をついてない手も柵に乗せると、その上に璃奈ちゃんのちっちゃい手がかぶさってくる
「こういうことしてみたかったんだ」
「本当に?もっとしたいこと言っていいからね」
「じゃあ少し屈んでほしいな」
「?これでいい───んむ!?」
言い切る前に璃奈ちゃんの唇で口を塞がれてしまった
「んちゅ...ちゅっ♡」
先程の唇だけのバードキスとは違い、舌を口の中に入れ込まれて中をかき回すような濃厚な接吻を施される
くちゅ、ちゅ、ちゅぶ...ずじゅるるっ!
唾液を流し込まれ口の粘膜が吸い付きあう淫靡な音が静かな夜に響き渡る、しばらく経って息が続かなくなったのかようやく離してもらえた
「はーっ...はーっ...はぁ...」
璃奈ちゃんがとろけた瞳でこちらを見つめてくる、僕達の間には目に見えてわかるほど濃い透明な厭らしい唾液の橋がかかっている、その姿はいつものかわいくてあどけない姿とは違う、あでやかで妖艶な雰囲気を醸し出していた、月光に照らされてるからなのかよりそう思えてしまうほどの魅力を璃奈ちゃんから感じる
「どう...かな?」
すべてを出し切って酸欠になってしまったのか少々虚ろな目で問いかけてくる
「すごく良かった...璃奈ちゃんがこんなにも僕のこと求めてくれてるんだって思ってずっと胸が高鳴ってた」
「...嬉しい♡じゃあこれから毎日しようね...ちゅっ」
ダメ押しと言わんばかりにもう一度キスを貰った
「侑さん、大好きだよ♡」
「僕も愛してるよ璃奈ちゃん」
二度と離さないと言わんばかりに抱きしめ合う二人、その仕草だけで、僕の心は満たされていく、ただそばにいるだけで、璃奈ちゃんと一緒なら大丈夫だと確信できる。それが僕にとって、何よりも確かな愛の証だった。
・
・
・
「璃奈ちゃん」
「どうしたの?」
「もしかしなくても僕って同好会みんなから結構な好意を持たれてる...?」
「ちょっと...いや、だいぶ気づくの遅いかも、璃奈ちゃんボード「ガーン」」
やっぱりそうだったのか...昨日1年生のみんながやけに積極的だったのに納得がいく
「早く同好会みんなに愛を伝えるべきだと思う」
「でもそれって12人全員娶ることになるんじゃ...そういうのって不誠実じゃないかな?」
「じゃあ私含めてみんなが他の男の人の手に渡って幸せに暮らしてる姿見たいの?」
「それは...嫌かも。みんなのこと誰よりも大好きだって思ってるから...正直一人だけなんて選べないよ」
「じゃあ、みんな大好きなままでいいんじゃない?だって全員幸せにするんでしょ?前に言ってたよね」
「確かに言ったけど...本当にいいの?」
「いいよ、あなたが代わりようのない大切な存在なのは分かっているから、そのかわりずっとずっと愛してくれなきゃヤダ」
「もちろんおばあちゃんになっても一緒だよ」
「...璃奈ちゃんボード「てれてれ」」
恥ずかしさを誤魔化すようにボードで顔を隠されてしまった
「同好会の未来は侑さんにかかってるよ、一緒に頑張ろうね」
「分かった、僕も覚悟を決めるよ。でもとりあえず寝よっか」
「そうだねじゃあ一緒に戻ろう」
璃奈ちゃんに手を引かれて寝室へ戻っていく
同好会のみんなを幸せにする物語はまだはじまったばかりだ───