あの、うちのヴェールなんか違うんですけど……。   作:クレナイハルハ

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あの、うちのヴェールなんか違うんですけど……。

ソリッドビジョン、それは遊戯王において必用不可欠な要素だ。

遊戯王デュエルモンスターズにおいて、いや遊戯王のアニメや漫画作品において必ず登場するものでアニメの演出の要ともなる。

遊戯王カードのモンスターを投影するだけでなく、フィールド魔法ならその場所を大きく変化させトラップや魔法ならばその効果と名称に沿った内容がその場に投影される。

アニメでは何度もみてきた、実際に目の前で戦闘を行うそれはとてもかっこ良くてワクワクするものだった。

そう、だった……なのだ。

 

「今日こそは勝たせて貰うぜ!おっさん!!」

 

「まだおっさんじゃねぇって……ったく」

 

そう言いながら、目の前の赤い髪少年は自信満々といった様子で左手に身につけたデュエルディスクから5枚のカードを引く。

そんな彼の行動と周囲にリアルソリッドビジョンと呼ばれるソレが展開されていくのを見た俺は、ため息をつきながらも自分の腕に着けられたデュエルディスクを構える。

それは遊戯王THE DARKSIDE OF DIMENSIONSに出てきた遊戯の装備していたものと似ており、唯一原作のソレと違うのはデュエルディスクの、中央の球体に刻まれたハサミとトンカチをクロスさせたとあるカードテーマのデザインのロゴだろう。

これを刻んだのであろう少女が、両手で握りこぶしを使ってフンスフンスとしている姿が脳裏に浮かびあがる、即座に頭を振って思考を現実に引き戻す。変形したデュエルディスクへポケットにいれていたカードの束、デッキを装填し少年と同じく5枚引く。

 

「いくぜっ!デュエル!!」

 

「対戦お願いしますよっと」

 

少年の元気さに眩しさを感じながらも、最初の5枚のカードを確認して何度目なのかわからないその光景に思わずため息が出そうなのを耐える。

どうやら、今回は少年が先攻らしい。

 

「俺は手札から【重騎士プリメラ】を召喚!!」

 

少年がそう言いながら手札からカードを一枚引いてデュエルディスクへとタン!と力強くセットする。

 

すると少年の前に大きな裏側表示の遊戯王カードが現れるとカードから人影が浮上してくる。

現れたのは太陽に反射され輝く銀色の鎧を纏い長い金髪をツインテールにした赤目の少女。

彼女は片手に持った旗のついた槍をもっていない左手を真打ち登場とばかりに掲げる。

 

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【重騎士プリメラ】

ATK:1600/DEF:1600

光属性 レベル4

魔法使い族/チューナー/効果

このカード名の①③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

①:このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。デッキから「重騎士プリメラ」以外の「センチュリオン」カード1枚を手札に加える。このターン、自分は「重騎士プリメラ」を特殊召喚できない。

②:このカードが永続罠カード扱いの場合、自分フィールドのレベル5以上の「センチュリオン」モンスターは効果では破壊されない。

③:このカードが永続罠カード扱いの場合、自分・相手のメインフェイズに発動できる。このカードを特殊召喚する。

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いや、そんなセットのしかただとカードが傷付くぞ少年よ。スリーブにも入れてないんだしってまぁ、ポケットにデッキを入れてる俺が言えるような事じゃあないか。それにこの世界の遊戯王カード、マジで可笑しいからな。木に刺さったりするくせにちゃんとカードだし、破くことだって出来る。マジで何を使って作ってるのやら。

 

「今度こそ、おっさんに勝とうぜプリメラ!」

 

そんな少年の言葉に、登場した時に行った片手を宙に掲げるポーズで返す重騎士プリメラ。

いまの反応からして、あれはリアルソリッドビジョンではないだろうな。

遊戯王の世界にはカードの精霊と呼ばれる存在がある、特定のカードに宿る意思と言われアニメではクリボーやハネクリボーが有名だろう。

彼のようにカードの精霊と意志疎通が可能なデュエリストはかなり少ない。

 

「プリメラの効果!デッキからセンチュリオンカードを手札に加える!そして加えたカードをそのまま発動だぜ!フィールド魔法【スタンドアップ・センチュリオン!】!!」

 

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【スタンドアップ・センチュリオン!】

効果:フィールド魔法

このカード名の②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

①:自分フィールドに「センチュリオン」モンスターカードが存在する限り、このカードは相手の効果では破壊されない。

②:このカードを発動したターンの自分メインフェイズに、手札を1枚墓地へ送って発動できる。デッキから「センチュリオン」モンスター1体を永続罠カード扱いで自分の魔法&罠ゾーンに表側表示で置く。

③:モンスターが特殊召喚された場合に発動できる。「センチュリオン」モンスターを含む自分フィールドのモンスターを素材としてS召喚を行う。

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少年がフィールド魔法のカードをデュエルディスクへと叩きつけた瞬間、少年の前に1つの影が躍り出てきた。それを感じ取ったのか、プリメラは飛び上がると躍り出てきたそれ、銀色の鎧で出来たロボット。重騎兵エメトVI(ゼクス)の上に着地すると腕を組んで仁王立ちを決めた。

うーん、本当にリアルだ。あのエメトVIが現れたときの風が吹いた感じは前の世界じゃあとてもじゃないが感じられないだろうな。

 

「【スタンドアップ・センチュリオン!】の効果発動!手札を一枚捨てて、デッキから従騎士トゥルーデアを永続魔法として罠、魔法ゾーンに表側表示でセットする!そしてセットされたトゥルーデアの効果でトゥルーデアを特殊召喚し、レベルを四つあげる!」

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【従騎士トゥルーデア】

ATK:1000/DEF:2000

闇属性 レベル4→8

炎族/効果

このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

①:自分メインフェイズに発動できる。自分フィールドのこのカードと、「従騎士トゥルーデア」以外の手札・デッキの「センチュリオン」モンスター1体を、永続罠カード扱いで自分の魔法&罠ゾーンに表側表示で置く。このターン、自分は「従騎士トゥルーデア」を特殊召喚できない。

②:このカードが永続罠カード扱いの場合、自分・相手のメインフェイズに発動できる。このカードを特殊召喚する。その後、このカードのレベルを4つ上げる事ができる。

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新たにフィールドに現れたのは長く白い髪でおでこにはまるで一角獣を思わせるような角が生えているへそだしの黒い服装の少女。彼女はプリメラとアイコンタクトを取ると即座に此方を見つめて鋭い目線を送る。

なんども負けたこと、そこまで引きずってんのか?

 

「従騎士トゥルーデアに重騎士プリメラをチューニング!!二人の騎士は強い絆と誓いを結び、新たな姿となりて突き進む!シンクロ召喚!」

 

エメトVIに立つプリメラの背後へとトゥルーデアがそれぞれ勢い良く腕を宙に掲げ伸ばした指を天へと向ける。その瞬間に二人が光に包まれやがて現れたのは1つの巨大な騎士の姿。

 

「スタンドアップ!騎士皇(センチュリオン)レガーティア!!」

 

両肩には大きな盾が浮かび、大きなドリルのようなスカート。そしてプリメラの赤い瞳とトゥルーデアの青い瞳のオッドアイが光る顔。

騎士皇レガーティアはゆっくりと少年の前に降りてくると、両手を組んで佇み始めた。

敵ながらやっぱりこういったロボットはカッコいいと感じてしまうなぁ。

やっぱり合体はロマンだよ、そう感じている間に少年は手札の2枚のカードを魔法、罠ゾーンにセットする。

 

「カードを2枚セットで、ターンエンド!さあ、おっさんの番だ!!」

 

「だからおっさん言うなってーの……ドローフェイズにカードをドロー……」

 

それにしても最初からデッキの主軸カードをサーチ無しで手札に呼べるとは、やっぱりこいつこの世界の主人公だろ。さっきのプリメラとトゥルーデアもソリッドビジョンとは思えない程に動いてたし、カードの精霊としか思えない。

まぁ、そりゃあ遊戯王の世界だしこんな神引きを出来る奴もいるか。

そう思いながら、俺は手札から一枚の魔法カードを発動する。

 

「魔法カード、サンダー・ボルト。相手のモンスターカードを破壊します」

 

「げっ!?」

 

げっとはなんだげっとは、リアルデュエルどころかマスターデュエルですらほとんどの人が使ってる最強の汎用魔法カードだぞ?

どうやら伏せたカードはトラップのみか?トラップは伏せて1ターンが過ぎないと使えないカードだしな。センチュリオンだから速攻魔法とかで怖そうだが、まぁまだ始めたばかりだしいくらでも打てる手立てはある。

俺は手札にある一枚の魔法カードをデュエルディスクへとセットする。

 

「魔法カード【ウィッチクラフト・クリエイション】を発動します。」

 

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【ウィッチクラフト・クリエイション】

効果:通常魔法

このカード名の①②の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

①:デッキから「ウィッチクラフト」モンスター1体を手札に加える。

②:このカードが墓地に存在し、自分フィールドに「ウィッチクラフト」モンスターが存在する場合、自分エンドフェイズに発動できる。このカードを手札に加える。

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自分の目の前にウィッチクラフト・クリエイションのカードが投影されたのを確認し、デュエルディスクからデッキを取り出して目的のモンスターカードを引いてシャッフルしてからデュエルディスクへと戻す。

 

「効果でデッキからウィッチクラフトモンスターを一枚手札に加えそのまま召喚します。【ウィッチクラフト・ポトリー】を通常召喚」

 

自分の目の前に現れたのは幼い見た目で小さなモンスターらしき存在をつれた少女だった。

 

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【ウィッチクラフト・ポトリー】

ATK:0/DEF:2000

地属性 レベル2

魔法使い族/効果

このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

①:自分・相手のメインフェイズに、このカードをリリースし、手札から魔法カード1枚を捨てて発動できる。デッキから「ウィッチクラフト・ポトリー」以外の「ウィッチクラフト」モンスター1体を特殊召喚する。

②:自分の手札が0枚の場合、墓地のこのカードを除外し、自分の墓地の「ウィッチクラフト」カード1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。

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「【ウィッチクラフト・ポトリー】をリリースし、手札の魔法カードを一枚墓地に送って、効果を発動します。デッキからウィッチクラフトモンスターを一体特殊召喚します」

 

「ってことは、くるのか!?」

 

デッキから選んだカード、俺の使うデッキテーマの主役とも言っていい彼女を選ぶ。ポトリーがいた自分の正面のモンスターゾーンの床にトンカチとハサミが重なっていることが特徴的なマークが浮かび上がると、そのマークを中央に位置させた魔法陣が回転しゆっくりのそのモンスターの姿を露にしていく。

 

「【ウィッチクラフトマスター・ヴェール】を攻撃表示で特殊召喚します」

 

やがて現れたのは風に靡く水色の髪に水色の杖、白と青のカラーリングが特徴的なドレスを着た幼い見た目の少女。

【ウィッチクラフトマスター・ヴェール】はオドオドした様子で両手で杖を正面に向けて構えながら、何度も確認するように振り返り、不安な様子を取り繕うようにぎこちなく笑顔を浮かべた。

 

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【ウィッチクラフトマスター・ヴェール】

ATK:1000/DEF:2800

光属性 レベル8

魔法使い族/効果

このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

①:自分の魔法使い族モンスターが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時に発動できる。カード名が異なる手札の魔法カードを任意の数だけ相手に見せ、その自分のモンスターの攻撃力・守備力をターン終了時まで、見せた数×1000アップする。

②:自分・相手ターンに、手札から魔法カード1枚を捨てて発動できる。相手フィールドの全ての表側表示モンスターの効果をターン終了時まで無効にする。

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俺はそんな彼女とデュエルディスクへとセットしたカード、そして彼女の姿が描かれた魔法カードのイラストを思いだしながら見比べ、心の中で独り言を溢した。

 

やっぱり、うちのヴェール……なんかちがくない?

 

 

 





主人公
創魔 遊導(ソウマ ユウビ) 25歳
ウィッチクラフトテーマのデッキを愛用していた遊戯王マスターデュエルのプレイヤー。
仕事帰りに中古ショップでウィッチクラフト・マスターヴェールが傷ありとはいえかなり安価で売っていた為に購入、その後に何故か遊戯王の世界に迷い込み遊戯王の世界で生きることとなった。

ウィッチクラフトマスター・ヴェール(傷)
何かがあったヴェール、主人公に手放されること売られることを酷く恐れている。

皇絆 遊騎(スメラギ ユウキ) 13歳
主人公と出会いデュエルし敗北してから、いつか主人公を倒す事を目標にカードの精霊である重騎士プリメラと共に闘志を燃やしている。
少し前から中学校に変な噂が流れており、友達と共に噂について調べている。

???? ??歳
レストランを経営している両親の息子、店を次ぐことを夢見て料理の修行中。学校では食べ物を題材としたテーマでデッキを組んでいるのだが……。



ご愛読ありがとうございます、クレナイハルハでございます。リアルがようやく落ち着き、ふと浮かんだアイディアをそのままにするのも勿体ないと思った為に執筆した作品です。

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