あの、うちのヴェールなんか違うんですけど……。   作:クレナイハルハ

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第3話

スマホのアラームで目を覚ました、目を擦りながらも昨日のことを覚えていたからかここがネカフェであることはすぐに思い出せた。

体を起こすと身体中からパキパキと音がなり、自分はまだ二十代であることを考えてもこのいかにも3、40代のような肉体の音に思わず苦笑する。

 

「あれ、おれ毛布なんかかけてたか?」

 

疲れきって完全になにもかけずに暖房だけかけて寝てたはずだが、まぁかけたんだろうな。じゃなきゃ、毛布がかかってる理由に説明がつかねぇし。そう思いながらパソコンを起動して、今の利用料金を確認する。

 

「まだ、ホテルよりは安価だな。取りあえずシャワー浴びてくるか」

 

そういいながら立ち上がり、ルームキーを首から下げて個室からでる。

こういったネカフェは外の日差しがほぼ入らないから朝起きても違和感がすごいんだよなぁ。

運良く空いていたシャワールームに入り、スーツを脱ぎズボンを脱ぐ。

 

『っ!?っ?っ!っっっーーー!』

 

「ん?」

 

Yシャツを脱いでいると、背後に気配を感じて振り返るが誰もいなかった。まぁ、良くあることだなと思いながらシャワーを浴びた俺は個室へと戻ってきた。

 

「ふぅ、取りあえずこれからどうするか」

 

そう呟きながらドリンクコーナーから貰ってきた炭酸飲料、コーラを飲んで空腹を誤魔化す。

小説ではこういった場合、カードショップや公園にいるデュエリストにデュエルを挑んでお金を得るんだろうがあいにくと俺はデッキを持っていない。今あるのは、ここへ来る前に中古品ショップで購入したウィッチクラフトマスター・ヴェールのみ……くそ、中古品ショップでもうちょっとカードを買っておけば良かった。

ともかく、こんな状況だからこそデュエルをすることは出来ない。それにデッキを持っていたとしても、勝負をしたそのデュエルで必ず勝てる自信もなければ、相手が環境デッキを握っている可能性だって捨てきれない。

 

ならばどうするか?

 

ふと、1つの考えに思い当たり即座に目の前のパソコンの検索エンジンで遊戯王のカードパックとその値段を検索する。

 

「この値段、こっちより少し高いがいけるか」

 

『……?』

 

思い付いた案、それは残ったお金の半分で遊戯王のカードパックを買ってパックから出たカードでレアなものをカードショップに売ることだ。

かなりのリスクだが、もしレアカードを複数引いたときのリターンがデカイ。まぁ自爆覚悟の賭けになるけどね。

 

「カードの相場は……うわバカだろマジで」

 

『っ!?』

 

「これなら、ワンチャンを賭けてみるのもありだろうな。」

 

『っ……』

 

この世界、前の世界よりカードの相場がかなり高いし偏りすぎ、巨大化の魔法カードが平気で数万とかするじゃん。

OCGプレイヤーからすれば、バカだろって思うような値段設定と高額カード達だ。

ブラマジや青眼、ブラマジガールならまだこの値段に納得だけどミノタウロスとかカイザーシーホースが8万とか、バカじゃねぇの?

それにカードパックは1つしかなく、そこに全てのテーマとカードが収録されているとか、マジでアホすぎるだろ遊戯王世界。

 

「それに、金さえ貯まればいつかはヴェールのデッキを作れるかもしれないな。まぁ、まだ作れると決まった訳じゃないが。」

 

何千、下手したら何万とあるカードの中から都合よくそのカード達が排出されるなんてどんな確率だよ。普通に考えて道が遠すぎる、つくれてなんちゃってウィッチクラフトになって、他の魔法使い族で辛うじて回せるようにつくれるくらいだ。

 

『?………っ!』

 

それにしても、こんな転売ヤーみたいな事をする羽目になるとはな……転売ヤー嫌いの知人に見つかったら助走をつけたグーで殴られそうだ。

早めにちゃんと仕事をしたいんだが、この世界での身分証とか、色々と聞かれたら困るところがあるし暫くはパック生活か?

いやいや、探せば日雇いを見つけられるかもだし、でもせっかくこんな遊戯王の世界に来たんだからパックは剥いておきたい。

今はヴェールのみ、だと残りは最低でも39枚。

つまりは8パックは買わないと行けないのか?でもエクストラデッキのことも考えると更に必要か……遊戯王のパックは1ボックスいくらするんだろ。

そもそも遊戯王のアニメでボックス買いの描写が無いからボックスで売っているかも不明だ、パックを買うシーンはあっても1パック買ったり、パックを買い占めたりするシーンのみだ。

 

「賭けてみるか……俺の運命力ってやつに」

 

そう言いながら、俺は壁にあるハンガーにかかったスーツの上着を羽織り先程検索した近くのカードショップへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

近くのカードショップに来た俺は、早くも8パックを購入し誰も使っている様子の無いデュエルコーナーのテーブルを使いパックを開封していた。

時折、視界の隅にカードショップの店員の証であるエプロンを身に付けたやたら元気よく弾けている海老のような髪型の店員がいるのはきっと気のせいだろう。うん、彼がこの世界にいるわけ無い。調べたところZEXAL関係の建物や名前は遊戯王のカード以外一切無かった。

 

「すぅー、なるほど。死ぬのか……おれ」

 

『っ!っ!!っ!っ!』

 

開封したパックを確認して、思わずそう呟いた。

当たったカードで良いものを挙げるならば。

無限泡影(シークレット)、ウィッチクラフトゴーレム・アルル(シークレット)、ウィッチクラフト・ハイネ(シークレット)、ブラックマジシャン(絵違い)、融合(ノーマル)、エルシャドール・ミドラージュ(絵違い)、マジシャンズヴァルキュリア(ゴールドレア)、烙印融合(ノーマル)、カオスソルジャー。

うん、どうなってんの俺のドロー力。まじでこの後死ぬのかってレベルだぞ?ほぼ確定で高いカードいるじゃねぇか!?あと結構ウィッチクラフトテーマが当たってるし、他にも色々と当たってるやがる。取りあえず、まだウィッチクラフトデッキは作れないが素材は集まってるな。

このあと、帰るまで気を抜けないなぁ……帰る家ねぇけど。考えてみればデュエルディスクもないし、デュエルできても暫くは後か。

そう思いながら俺は先程の売れそうなカードの中からウィッチクラフトの2枚だけを抜いてから買い取りコーナーへと向かった。

 

「すいません、このカード達買い取りお願いします」

 

「おうさっき8パック買った人か!どのカードを……って!?うぇええええ!?良いのかよこんなレアカードを!!思いきりがかっとビング過ぎてるぞおまえ!」

 

「アハハ、自分の作りたいデッキテーマには入れられないのでお願いします」

 

「そうなのか、わかった。いま査定するから待っててくれ」

 

「すごい大声が聞こえたけど、どうしたんだい?ユウマくん」

 

「店長!スッゲーカードばっかの査定なんで、お願いします」

 

「分かったよ、ユウマくん。念のため価格を決める相談をしたいから裏にいるユウサクくんとユウセイくんを呼んでくれないかな?」

 

俺は知らない、今出てきて査定に出したブラックマジシャンをみて驚いて此方を見ているヒトデなんて、知らない。

そもそも調べたときライディングデュエルはあってもチーム・サティスファクションも5D'sも検索引っかからなかったし、亀のゲーム店なんて出なかったぞ!?LINK VRAINSもだ。

絶対に気のせいだ、気のせいなんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、かなり高額になったな。ウィッチクラフトの上級モンスター二体も手に入ってデッキのキャラも少し揃って来たな。まだ足りないから、一応他の店にも行かないと」

 

『……♪』

 

カードを買い取って貰い、かなり懐が潤った俺は見ようと思っていたストレージボックスコーナーをすっかり忘れて店を出て少し歩いていた。

あの店、かなりストレージコーナーがあったから見ておきたかったんだが……一度店を出てしまったのだから仕方ない、少し時間をおいてから行こう。

 

「懐も暖かいし、今日はネカフェじゃかくてホテルに泊まりたいな。それも温泉とかある場所とか、朝食のビュッフェ付きとか」

 

『っ!……~♪』

 

取りあえずスマホ調べるとするか、この世界でもスマホだけは使えるようになってて助かってる、何故か充電が減らないのは違和感だけど……そんなことを考えていた時だった。

 

「うわぁぁぁぁぁぁああ!!」

 

歩いていると、少し先から少年の叫び声が聞こえて思わず足が止まる。

うわぁ、これ絶対に関わりたくない……絶対に主要キャラが負けたときの断末魔だろこれ。

でも、気になるし見てみるか。

聞こえてきた方へ向かうと、道路の真ん中で膝をついて倒れている髪型が特徴的な少年と少年の周りに落ちている一枚のカードを拾い上げるメガネをかけた少年がいた。

 

「これで、このレアカードは僕の物だ。せいぜい高く売らせて貰うよ」

 

「返、せ……俺の」

 

そう言いながら髪型の特徴的な少年が、メガネをかけた少年へ手を伸ばすがその手を蹴り飛ばされてしまい、苦しそうに声をあげて蹴られた手を押さえる。

あー、これはやってるわ。アンティデュエルやっちゃってるね?てかあの少年、確実に主人公だよね髪型からして主人公だよね君。

 

「敗者にはお似合いの姿だよ?じゃ」

 

「トゥルーデァァァァァァアアアア!!」

 

そんなことを心の中で呟いているとメガネをかけた少年がその場から歩き去る、すると少年の近くのカードが一枚浮かび上がり光輝くとその姿が変化していく。

やがて現れたのは、何度でもマスターデュエルの対戦相手に現れては俺のウィッチクラフトモンスター達を蹂躙してきたテーマの要といっても過言ではないモンスターカード。

重騎士プリメラ、センチュリオンと呼ばれるテーマの彼女が黙って散らばったカードを拾い始めた。

か、カードの精霊!?やっぱ主人公じゃないかあのこ。しかもセンチュリオン……どんなテーマが敵ならこうなるんだ?

 

うーん、見てるだけなのもなぁ……仕方ない。

 

そう思いながら俺は彼の元へと歩み寄りつつも散らばったカードを拾う。そんな俺の様子に重騎士プリメラは此方と何故か俺の背後を見ると警戒した様子で睨み付けてきた。

おお怖、取りあえず営業スマイルで返しつつ背後を確認するが誰もいない。

とにかくカードを拾い集めるが、なんでか主人公である彼は俯いたまま動こうとしない。

取りあえず集めきったカードを手に持って少年へと向かう、先程カードを取られた様子だったから一枚カードが足りないだろう。

せっかくだし、センチュリオンのカード……でも彼が待ってた場合は余計なお節介になるよな。でもここで態々「このカードいれてる?じゃあいれとくね」は無粋すぎるし。

 

どーするか……。

 

『ラッキーカードだ、このカードが君の元へ行きたがっている……いやぁ!一度は言ってみたかったんですよねぇいまの台詞!!やっぱりカードを渡すシーンならこの台詞で間違いなし!』

 

そんな時、中古品ショップで店員さんが言っていた言葉と遊戯王のシーンを思い出して自分なりに言うならばと考えながらポケットから先程パックからでた一枚のカードを探してから抜き取る。

このカード、レアカードで売れるかと思ったら低かったしあげても問題なしか。

 

「さっき、カードを取られていたね……見ているだけで何も出来なかった大人だけど」

 

そう言いながら彼に拾ったデッキを怪我してない方の手へと握らせ、先程取り出した一枚をデッキの一番上に置く。

 

「これくらいしか出来ないのを、許してくれ」

 

そう言った瞬間、少年は頬に涙を伝わせながら横を走り去っていった。

 

「えっと、帰ったらまず手を冷やすよう伝えてくれないか」

 

取りあえずまだ近くにたっているプリメラにそう告げると、プリメラは先程と同じ鋭い視線のままお辞儀をすると少年の走っていった方向へと向かっていった。

 

「カードの精霊、こっわ」

 

『っ!?』

 

「取りあえず、ホテル探しに戻ろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トゥルーデアを奪われた次の日、俺……皇絆 遊騎(スメラギ ユウキ)トゥルーデアを返して貰うためまたアイツへとアンティデュエルを挑んでいた。

 

「クッ!」

 

「はは!これで君のモンスターゾーンはゼロ、次のターンで僕のダイレクトアタックで勝ちだ!」

 

目の前ので嘲笑うような笑顔を向けてくる掛値 萬(カケネ ヨロズ)に俺は体に力を入れて立ち上がり、デュエルディスクのデッキトップに指を置く。

 

『頼むユウキっ!アイツを、トゥルーデアを取り返してくれ、アイツは私がいなきゃ……アイツがいなきゃ、私たちは……うさぎさんチームは』

 

このドローでプリメラか増援を引かないと負ける……友達が言ってた、デッキを信じろって。

相棒(プリメラ)が言ってた、アタシが信じたユウキを信じろって。

 

「俺は、負けないっ……約束したんだ!プリメラと、トゥルーデアを取り返すって……だから!」

 

だから、俺は最後まで諦めない。最後まで前を向いてデュエルするが、それが俺のデュエルなんだ。

 

「負けられないんだっ!」

 

そう言いながらドローしたカードを確認する、だがそのカードはデッキへ入れた覚えがない初めて見るカードだった。カードイラストから、センチュリオンに関連するカードなのは間違いない。

急いで効果を読み、俺の脳内で1つの勝利への道が開けた。

 

「俺は死者蘇生を発動!対象は、お前が融合で墓地に送った【従騎士トゥルーデア】だ!」

 

「なんだと?」

 

魔法カード死者蘇生によって俺のフィールドにトゥルーデアが返ってくる、トゥルーデアは不安と一時的には戻れたことへの安堵から涙を流している。

 

『ユウキっ!わたしっ……』

 

彼女に頷いて返しつつ、更に手札から一枚のカードをデュエルディスクへとセットする。

 

「速攻魔法発動!【誓いのエンブレーマ】!!」

 

──────────────────────

【誓いのエンブレーマ】

効果:速攻魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

①:以下の効果から1つを選択して発動できる。

●デッキから「センチュリオン」モンスター1体を永続罠カード扱いで自分の魔法&罠ゾーンに表側表示で置く。このターン、この効果で置いたカードまたはそのカードと元々のカード名が同じカードが自分フィールドに表側表示で存在する間、自分は「センチュリオン」モンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。

●デッキから「センチュリオン」魔法・罠カード1枚を自分フィールドにセットする。

 

──────────────────────

 

現れたのは、嘗てプリメラとトゥルーデアがエメトVIの肩へと彼女たちのチーム名の象徴であるうさぎの顔を描いているイラストのカード。

 

「【誓いのエンブレーマ】の効果でデッキから「センチュリオン」モンスター1体を永続罠カード扱いで自分の魔法&罠ゾーンに表側表示で置く事が出来る!」

 

「そのカードは一体……こんなデータは無かったはず!?」

 

「選ぶのは【重騎士プリメラ】!そしてプリメラは自身が罠カードとして魔法罠ゾーンに存在するとき、メインフェイズに特殊召喚できる!こいっ!プリメラ!!」

 

その言葉と共にデッキから引いたプリメラを魔法罠ゾーンに置いた後、バトルフィールドのトゥルーデアの隣にセットする。

 

『待たせたなユウキ、行くぞトゥルーデア!』

 

『うん、プリメラっ!』

 

そして現れたプリメラは隣に立つトゥルーデアを見る、見詰められたトゥルーデアはそんなプリメラを見て頷くと互いに片手を宙へと掲げる。

 

「そして俺は更にフィールドにモンスターが2体以上存在することで手札から【Em(エンタメイジ)ハットトリッカー】を特殊召喚!これで条件が揃った!!」

 

──────────────────────

【Emハットトリッカー】

ATK1100/DEF1100

地属性 レベル4

魔法使い族 / 効果

①:フィールドにモンスターが2体以上存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

②:自分にダメージを与える魔法・罠・モンスターの効果が発動した時に発動できる。このカードにEmカウンターを1つ置く(最大3つまで)。その後、その効果で自分が受けるダメージは0になる。

③:このカードにEmカウンターが置かれ、そのEmカウンターが3つになった時に、このカードの攻撃力・守備力は3300になる。

──────────────────────

 

「あ、あり得ないあり得ないあり得ない!これじゃあ……」

 

「俺は【従騎士トゥルーデア】と【Emハットトリッカー】に【重騎士プリメラ】をチューニング!!二人の騎士は強い絆と誓いを結び、新たな姿となりて突き進む!シンクロ召喚!」

 

フィールドのモンスター達が1つの巨大なモンスターへと変化する、両肩には大きな盾が浮かび、大きなドリルのようなスカート。プリメラの赤い瞳とトゥルーデアの青い瞳のオッドアイが光る顔が特徴的な騎士。

 

「スタンドアップ!【騎士皇(センチュリオン)レガーティア】ァァアアアア!!」」

 

──────────────────────

騎士皇(センチュリオン)レガーティア】

ATK3500/DEF2000

光属性 レベル12

機械族/シンクロ/効果

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカード名の①③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

①:このカードが特殊召喚した場合に発動できる。自分は1枚ドローする。その後、相手フィールドの攻撃力が一番高いモンスター1体を破壊できる。

②:攻撃力2000以下の自分のモンスターは戦闘では破壊されない。

③:自分・相手のエンドフェイズに発動できる。自分の手札・墓地からSモンスター以外の「センチュリオン」モンスター1体を永続罠カード扱いで自分の魔法&罠ゾーンに表側表示で置く。

──────────────────────

俺の叫びに答えるように現れた【騎士皇(センチュリオン)レガーティア】はその片腕を宙へと掲げ、プリメラやトゥルーデアのようにポーズを取る。

 

「レガーティアの召喚されたときの効果、一枚カードをドローし相手のモンスターの中で一番攻撃力の高いモンスターを破壊する!」

 

相手のフィールドに存在する一体のモンスターがセンチュリオンの放った槍が貫いて爆発する。これで、アイツのフィールドにモンスターはいない。

 

「バトルフェイズ!」

 

「い、良いのかー!?僕の魔法罠コーナーにはカードが2枚伏せてあるんだぞ!?こ!攻撃しても良いのかなぁ!?」

 

確かにアイツの魔法罠コーナーには2枚の伏せカードがある、それでも時にはその危険を踏み越えることが大切なんだ。

もうコイツに負けたときの俺じゃない、だから!

 

「レガーティアでダイレクトアタックっ!エクエス・イクト!!」

 

「こ、この僕ががぁぁぁぁぁぁあ!?!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無事、トゥルーデアを取り返した俺はプリメラやトゥルーデアと一緒に家への道を歩いていた。

 

『ユウキユウキ!ユウキはいつの間にあんなカードを手に入れたの?』

 

「あんなカード?」

 

『【誓いのエンブレーマ】のことだよ!私が奪われるまであんなカードはデッキに入ってなかったよ?』

 

『確かに、でもあの後でカードを補充したタイミングなんて無かったはずだよな?』

 

「うーん、二人も?実は俺もなんだ、誰に貰ったのか覚えてな──」

 

『さっき、カードを取られていたね……見ているだけで何も出来なかった大人だけど』

 

脳にフラッシュバックした記憶、それはヨロズに負けたときの事だ。

カードが取られたこと、負けたこと、悔しかったこと、悲しかったことがごちゃごちゃになっていたあの時、声をかけてくれた人がいた。

申し訳なさそうな声で、散らばったデッキを渡してくれた人。

 

『これくらいしか出来ないのを、許してくれ』

 

その人はそう言いながら俺のデッキの一番上に一枚のカードを。

 

「あ!!!」

 

『ユウキ?』

 

『何か思い出したのか?』

 

「このカードくれたの、あのおっさんだ!?」

 

『誰?』

 

『アイツか……』

 

俺がそう言うとプリメラは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ、トゥルーデアとユウキは首をかしげる。

 

『どうしたのさプリメラ、そんな顔しちゃって!』

 

「あの人がどうかしたのか?」

 

『ユウキはあの時に気付いて無かったと思うが、あの人間の後ろにもアタシ達と同じカードの精霊がいた』

 

「それが、どうかしたのかよ?」

 

前に学校であった人もカードの精霊を連れていたし、そんなに問題になりそうな様子は無さそうだが。

 

『あの人間の精霊、凄い傷付いてた』

 

「え、」

 

『……』

 

『あんなに傷付いてる精霊なんて、連れてる人間はろくでもない奴に決まってる』

 

プリメラの言葉に、おれは言葉を失った。

俺が負けたとき散らばったカードを拾ってくれて、あのような声をかけてくれたおっさんがカードを、精霊を傷付ける存在なんて……俺にはそうは思えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日

 

「え゛!?【誓いのエンブレーマ】たっか!?……あのカードあげなきゃよかった」

 

『…………』





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