マネモブだからと追放されました~俺は500億稼いで灘・真・神影流使えるけど元チーム大丈夫?今更戻ってこいと言われても遅すぎを超えた遅すぎ。いくらなんでも戻るわけねぇだろゴッゴッ   作:マネモブァ

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Battle.17どうでもいいけど…ボボパンってボボかパンだけのパターンの方が多いよねパパ

 

  

 

 

 

 

 

 

 速射砲のような打撃が交差する超音速の打撃戦。その威力はかすっただけでも致命傷。芯を食ったクリーン・ヒットは即死確定か──

 晦冥の回し蹴りが男の頭部に狙いをつける。万事休すか…?いや、かわしたぁ。殺傷能力の高い回し蹴りを数ミリで凌いだあっ。

 

 一旦晦冥の制空権から退去……

 

 見ているだけでもヒリヒリと感じる。じ…次元が違い過ぎる。まさに異次元の闘いだ。二匹の"怪物"の闘いに…私が入り込む余地なんてない。

 

 ──動かない。どちらもが、相手を一発で仕留める力を秘めている。ヘタに動けば、バッサリやられる。

 どっちだ…?どっちが先手を取る…?

 

 ──晦冥だ。晦冥が前へ出たッ。

 凄まじい打撃の応酬。速すぎて肉眼で捉えきれない。しかし、あと二人にはしっかりと見えている。人間レベルを超えた動体視力と反射神経。たとえ嵐の中降り注ぐ雨粒の一粒一粒でさえ見えるであろう、超高速度カメラのような1/1000秒の世界。二人とも、産毛が触れるか触れないかのギリギリで躱している。

 

 ジリジリとだが、二人の距離は徐々に縮まってきている。回避不能の超至近距離。

 

 晦冥のローキックが来る。目で追えない速度から、鉄のハンマーで撃ち抜くような衝撃と破壊力。脚を切断するほど鋭く放たれたローキック…喰らえば骨折は確定か……

 いやっ、ブロックしている。相手の足を壊す膝ブロック。

 そのまま流れるような追撃。後ろ回し蹴りが胸元にヒットした。……晦冥の動きが停止する。

 

 晦冥の腰が落ちた。間違いなく効いている。腰から落ちるのは、本当に効いている証明。だが耐えている。確かにその足で踏ん張っている。

 蹴りには蹴りで返すのが礼儀とばかりに、晦冥のミドルキック。一撃で骨を砕き、内蔵を破裂させるミドルキックが、男のアバラをさらに砕かんと、狙いを定めて飛翔する。

 

「ぐあっ」

 

 体重を乗せた晦冥のミドルキックが、えぐるように男の脇腹へと突き刺さる。

 直撃。アバラ数本は確実に砕かれたはず。肺や肝臓への衝撃も避けられない。

 だが、同時に男の掌が、晦冥の胸骨の中心を撃ち抜いていた。

 

《破心掌》

 

 相撃ち……!

 

 内蔵破裂させる"殺人ミドル"をキャッチして、心臓停止させる"破心掌"での迎撃。ダメージはどちらが甚大か…?

 晦冥が後退…確実にダメージが蓄積している。

 

 ──速いッ!晦冥が引くと同時に、男の蹴りが、頭部を狙って放たれている。しっかりと体重の乗った強烈すぎる蹴り……これは回避不能だ。

 

 ──なにっ、ギリギリで回避している。しかし、明らかに動きが鈍い。

 だけど、それは逆に言えば、その鈍った動きでも回避できるほど、男も弱っているということ。

 

 男が飛び上がった。だけど、どうして?空中からの蹴りはさっき対処されたばかり…ここに来て判断ミスを犯したというの…?

 

 上空からの前蹴り。やはりと言うべきか、晦冥が僅かに頭部を下げたことで回避される。

 ──そのままカウンター…右腕を上空に突き出し迎撃する。どうやって対処する?どんな達人でも空中では動きが制限される。その上、攻撃の後の隙を狙われた形…先程の二の舞を演じる気なの…?

 

 

  

 

  

 

 ──耳を劈く衝撃音。

 圧倒的迫力に、まるで自分がその攻撃を受けたのではないかと言う錯覚にさえ陥る。

 

 だが、ダメージを貰ったのは晦冥だ。

 さっきの数秒……男は晦冥の反撃が迫る中、先程とは反対の足で蹴りを繰り出すことでそれを弾いたんだ。

 ──空中での二段蹴り!いや、違うッ!!既に初段の足を戻している。再装填からの、三発目…!

 

 ──空中三段蹴りッ!

 

 そんなことが有り得るの…?動きの制限される空中で、軸をぶらさず攻撃する……いや、並の人間には不可能だ。それを可能としたのは……あの脚か。超人的な力強さによる跳躍、圧倒的軽やかさによる素早い蹴撃。そして、柳の如きしなやかさによる空中での変則的な軌道。

 それら全てが合わさることによる、超破壊的空中殺法。回避不能の三段攻撃。

 

「おおっ!晦冥が蹴り飛ばされていく!男の放った"変則空中三段蹴り"が効いてるんだっ」

 

 あまりにレベルの高い攻防に、思わず声張り上げる。

 人間レベルを超越した、それでいて、夢や幻なんかじゃない現実(リアル)の闘い。

 

 空中三段蹴りをまともに喰らった晦冥は、一瞬宙に浮き、そのまま地面へと叩きつけられた。激しい土煙が舞い上がり、その漆黒の体躯が埋もれていく。視界が遮られる中、私の心臓は嫌な音を立てていた。

 何かがマズイ。何か、致命的な"何か"が今変わった。

 

 ──土埃が晴れた時、既に晦冥は立ち上がっていた。

 

 "それ"は、姿形はさっきまでと同じでも、その身に纏うオーラが違っていた。先程までは、自由意志のない、それでいて執着を表す、黒の混じった半透明のオーラだった。けれど、今は"攻撃性"を表す赤色になっている。それも、限りなく血の色に近い赤色。

 それでもオーラなら男も負けていないっ!しかし…一体何…?このオーラは…?"信心"を表す緑色のオーラ、"慈悲"を表す黄金色も見える。赤色はわずかしかない!

 この空間は、2人のオーラが充満しきった、様々な色が混じりあう虹色(レインボー)空間!!

 

 双方駆け出した!

 

 っ…視界が歪む。2人が近づくにつれオーレがぶつかっているッ。空気が揺れ動いているッ。

 

 ジリジリと距離が詰まっていく。それでも、双方間合いには入らない。

 "間合い"は"魔会い"つまり魔に会う。下手に近づけば殺られる。"魔"に会うのはどちらか……

 

  ──先に動いたのは、晦冥だった。

 

 放たれた拳の一撃。その軌道は正確に、男の顔面に狙いを定めている。

 しかし……おおっ、常人では目で追うこともできないであろうその打撃を、男の反応速度は確かに捉えている!

 腕を挟み込むようにガード姿勢を取る男。

 防いだ、という確信。一瞬の安堵。その、刹那。

 

 強烈なボディ・ブローが、男に突き刺さっていた。

 

 初めから、狙いは顔ではなかった。

 男が意識を集中する、その隙こそが狙い。必然がら空きとなる胴体こそを、晦冥は狙っていたのだ。

 

「ぐうッ…」

 

 重すぎる打撃。男の体が宙に浮かぶ。

 やはり、打撃の威力においては晦冥の方が1枚上手。一発一発の破壊力が違う……

 滅多打ちだ。ここが勝機とばかりに、一気に畳み掛ける!

 ありったけの打撃を男の骨身に叩きつけるッ!!

 

 攻撃と攻撃の間に一瞬の間も与えない超絶怒涛の乱打。

 まるで連射砲の乱射。ヒットする度に男の血が、汗が飛沫する!!

 

 だが耐えている。男は"地獄の苦しみ"には慣れている!

 圧倒的質量の波状攻撃の中、虎視眈々と反撃の暇を探っている。打撃を受けながら、()()タイミングを探っている。

 

 ──耐える!耐える!耐える!耐える!耐える!耐える!耐える!耐える!耐える!耐える!耐える!耐える!耐える!耐える!耐える!耐える!耐える!耐える!耐える!耐える!

 

 ──そして、その瞬間は訪れた。

 

 一撃。……晦冥の拳がわずかに逸れた。

 それは、ほんの数ミリ単位での"ズレ"。けれど、男にとっては、十分すぎるほど大きな隙だった。

 

 パチーンッ

 

 空を叩く音がした。

 耳をつんざくような轟音に、一瞬思考が麻痺する。気づいた時には、既に晦冥は後ろに大きく弾かれていた。

 

「いつ打ち込まれたこともわからないだろう。これが灘神影流(なだしんかげりゅう)"超鞭(ちょうべん)打ち"」

 

 すごい……まるで見えなかった。まだこんな力を残していたのか…

 

 鞭の先端速度は音速を超える。 これは、鞭を振るうエネルギーが先端に集中することで速度が増し、空気の抵抗を打ち破るためである。

 先程の打撃……それは、鞭の原理と同じだった。極限・究極と呼べるほどしならせた腕に、踏み込みによって生じたエネルギーを軸足、さらには腰の回転を利用し増幅させたものを集中させたのだ……

 そしてそれを、完璧なカウンターで決めた。

 ただでさえ想像を絶するそのエネルギーに、自分の打撃のエネルギーを上乗せされ食らった形になったんだ。

 

 しかしその攻撃も、理論値程大きくはダメージを与えられていない。

 いかに大きな衝撃を出そうと、後ろに弾かれたと言うことは、それ相応にエネルギーが消費・分散されたということ……それならば、晦冥ならきっとすぐに立ち上がるはず……

 

 だったら男はどうする?完璧なカウンターでも、晦冥には、さほどダメージになっていない。いくら男が超人的強さを持っていても、所詮それは人間レベルの話……ホンモノの怪物には届かない。このままじゃ生物的基礎戦闘能力(スペック)の差でいずれ押し潰される。

 今男が生きているのは、灘神影流(ワザ)があるからに過ぎない。その手札が切れる前に倒しきらなければ、確実に敗北する。

 男だってそれは理解(わか)っているはず……なら、次はどんな手札を切る?

 

「灘神影流"夜叉燕"」

 

 おぉーーッ、なんだ男のあの構えは!?

 左足を1歩分前に出し、前方に右手を突き出している。構え自体に、それほどおかしなところは見受けられない。だが、男の体には、異様なオーラが漂っている。

 これには、如何に怪物と言えども、迂闊に近寄ることが出来ないだろう……

 

 なにっ!? 晦冥が、構わず突っ込んだッッ!!

 

 距離を詰めることに一切の躊躇がない。あの異様な構えを目にしてもなお、足を止める素振りすらない。いや、それどころか──むしろ喜んでいるようにさえ見える。

 

 晦冥が男の構えに対し、一瞬の躊躇もなく飛び込んだ。その漆黒の巨体が、異様なオーラを放つ男へと迫る。それはまるで、獲物を見定めた捕食者の動きだ。

 男は微動だにしない。右手を突き出した"夜叉燕"の構えは崩さず、迫りくる晦冥を静かに見据えている。その表情には、いまだ余裕さえ感じられた。

 

 そして、両者の間合いが──重なった。

 晦冥が男の間合いに入った瞬間、男は左脚を晦冥の腹に向けて突き上げるッ。

 視認できない速さでの前蹴り。槍を思わせるほど鋭い前蹴りが、完全に晦冥の腹部に突き刺さった!

 そのまま流れるような追撃。蹴り足を跳ねさせ、顔面に正確な狙いを定めた、冷酷無比な一撃ッ。

 

 まさしく──地獄の二弾蹴り。

 突き刺す前蹴りから……天空への蹴り上げ!!

 これが、『夜叉燕』の正体…

 

 クリーン・ヒット……晦冥の頭部がグニャリと歪み、その漆黒の体躯は、弧を描きながら宙を舞う!!

 ──晦冥がノック・ダウン。難攻不落の怪物が、『夜叉燕』によって、硬いタイルの上に沈む。

 

 男もその隙は見逃さない。一気に前へ出る!!

 晦冥もそれに反応。手を付き、起き上が──らせないッ。立ち上がる猶予さえ与えず、再び蹴り倒すッ!!

 

 バギャィッッ

 

 乾いた、鈍い破裂音──

 

 男の蹴りが晦冥の顔面を鮮烈に捉えた。

 地面に這いかけていた晦冥の頭部が再び跳ね上がり、後頭部から地面へ激突。

 晦冥が、まるでサッカーボールのように、何度もバウンドしながら吹き飛んでいく。

 

 壁を破りながら、数メートル先まで吹き飛ばされた晦冥の巨体が、甲高い摩擦音を響かせながら床を削り、ようやく止まる。

 砕け散ったタイルと壁材の破片が、粉雪のように降り注ぐ。

 

 それでも──晦冥は動いていた。

 全身から黒い蒸気のようなモヤを吹き出し、頭を振りながら、ゆっくりと立ち上がる。

 

 そして、すぐさまタックルへと移行するッ!

 まるで、重戦車がいきなりトップギアに入って猪突猛進!!

 

 なら、ここからが男の真価を問われる……圧倒的質量と、それを感じさせぬ程の速さを兼ね備えたロケット・タックルに、男はどう対応して見せるのか…?

 

 な…なにっ、モロに食らったっ!

 まずい!男がどんな技を持っているかはよく知らないが、晦冥ほどの質量を持った物体が、全体重を浴びせながら行う胴タックルには、そう簡単には対処できないはず…

 いや!フロントチョークだ!! 男の腕が、晦冥の太い首に巻きついているッ!!

 

 ダメだ……効いていない。そもそも晦冥は呼吸を必要としていない。

 いくら首を締めようが、晦冥は落ちない……

 

 ああーッ、晦冥が首をとられながら、男を持ち上げたあッ!!

 そして、そのまま地面に──

 

 

  

 

 

 

 

 終わった──。こんなに硬い床の上に頭から投げ飛ばされたんだ……上手く受け身を取らなければ、頚椎の損傷及び、頭蓋骨骨折は避け難い。

 受身を取るにしても、致命傷を避けるならば、前提条件として肩から落ちなければならない……が、それは不可能だ。 今現在、男の胴はガッチリと掴まれている。その状態で体制を変えるには、残された時間が圧倒的に足りていない。

 ならばせめて、首に巻き付けている腕を外し、頭部の裏に滑り込ませて衝撃を少しでも緩和させる必要がある……が、これも不可能だろう。先程も言ったが、男の胴は、晦冥によってガッチリと締めあげられている。それには、胴体をプレス機に掛けられているのと同レベルの苦痛に等しいだろう。

 今男の体には、想像を絶する痛みが襲っているはず……

 

 さて、少し話を逸らすけれど、人間というのは、痛みに()()()()()ように作られている。問題はその方法……人は、痛みに耐えようとする時に、体を硬直させてしまう。

 筋肉を強張らせ、歯を食いしばり、全身で衝撃に備える。それ自体は反射的な自己防衛だ。

 けれど、その防衛反応によって男の身体は、今現在動けなくなっている。

 

 ──故に、受身を取ることは叶わない。

 

 断言してもいい。

 この勝負──男の負けだ

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