ミーナがヒロインしてるパワポケ13の裏サクセスをやりなさい
今日は比較的、強い風が吹く夜だった。
現在の時刻は午前2:30。当然だが、この時間に出歩いている者はいない筈だ──
夜の暗闇を照らす街灯の薄い光の下、俺は歩いていた。
ふと、俺の背後を横目で見やる。
……いるな。まだ、尾けられている。
相手との距離は目測で15m程だろうか。未だ対象に動きは無い。
現在、俺は何者かに尾行されている。正体は定かでは無いが、相手の数は1人なのは分かっている。
当初は闇討ちを警戒して、仕掛けて来ようとした瞬間に、相手を仕留めるつもりだったのだが、どうも相手にその意図は無いらしい。
向こうから攻撃してくることはなく、ただ此方の様子を伺っている。
俺自身も気付いていない振りをしつつ、どうにか相手の姿を確認しようとしているのだが……
……驚いたな。向こうも隠れるのが上手い。こういった場面に慣れているって事か。
常に此方の死角、若しくは光の差さない暗闇に紛れたりと此方の視界から逃れようとする。
尤も、俺の眼は既に標的を捉えており、何時でも超能力を発動できるのだが。
それに──俺達とカメラのあるエリアから離れた、無言の追いかけっこと終わりにしよう。
街灯が照らす下、物陰に移動しようとした標的へと機関銃を向ける。
「──動くな。少しでも動いたら撃つ」
「ま、待ってください! ワタシです!」
両手を挙げながら、街灯の下に座り込む褐色肌の女性。
「……
「それは私の台詞ですよ。此処に取材に来てみたら、物騒なものを持っている人がいたのですよ……お久しぶりです。
彼女は武内ミーナ──自称、正義と真実を追求するジャーナリストだ。
この依頼を受ける前、彼女の取材の手伝いという依頼を受けて以来、彼女とは何かと交流があった。
とはいえ、この場所で彼女と会うことになるとは思いもしなかったのだが。
「今は別の偽名を名乗ってますけどね。それよりも此処には何を取材しに来たんです?」
「……キーラさんはこの高校がジャジメントと提携を結んでいるというのはご存知ですか?」
「まあ、一応……俺が高育にいるのも此処の理事長からの依頼なんで」
「なら、話が早いです。これを見て貰ってもよいでしょうか?」
ミーナさんから端末を渡されると、其処には物資搬入の写真が写っていた。
高育は埋め立て地に建てられている都合上、その運営に必要な物資は外から搬入する必要がある。
「スクロールしてみてください」
「……これは」
おそらく、夜に撮られた写真なのだろう。少し暗いが、そのシルエットはハッキリと映っていた。
長い砲身と、重厚なキャタピラ──紛れもない
スクロールしていくと、機関砲が取り付けられた自走車両、大口径の榴弾砲らしき野砲。
巨大な巡航ミサイル、おそらくは各種銃器を積載したと思われるコンテナ。
そして、コンテナの搬入口にはロケット砲やガトリングなどの重武装を装備したロボット、小銃を携えた歩兵が警備についている。
どれもが高校という施設に似つかわしくない、物々しい兵器群が搬入されている写真だった。
「……ミーナさんは坂柳理事長とお会いした事は?」
「いえ、ですがその人もおそらく、これについては知らないでしょう。もし知っているようなら──家族も一緒に消されますよ」
「……でしょうね。この写真は何時、撮られたんですか?」
「今年の2月です。写真を撮った時も、事前に此処と外を結ぶ全ての経路が様々な理由で封鎖されています。ですので、この搬入も例年通りの出来事なのでしょう」
「成る程……いやはや末恐ろしいですね。学校の下が兵器貯蔵庫なんてね」
「……どうもこれはそこまで単純な話では無いです。この兵器達はただ
……どういう事だ? 兵器を貯蔵するだけ? 兵器を使うために備えるのではなく?
「もし、例年通りに搬入が行われるのでしたら、使用期限を過ぎた、若しくは旧くなった兵器等は交換される筈です。しかし、此処を離れる列車等にそれらの兵器が載せられているような事はなかったです」
「つまり、搬入しただけ……ということですか」
「はい。まるで戦争……いえ、何か別のモノとの戦いに備えているみたいです」
「……それは以前、話してくれた
『村』──ジャジメントが世界中に建設しているとされる施設の総称。
其処には外部と繋ぐ道はなく、隔絶された環境の中で、住人は人間の生存に必要な食糧及び水といった物資の生産と貯蔵に明け暮れるそうだ。
また、住人達の特徴として、彼らはかつてジャジメントと対立していた立場の人間とのことで。
個人の財産などは全て奪われて、村に送り込まれるらしい。
なのに、村ではどの人も例外なくジャジメント会長──ジオット・セヴェルスを崇拝するようになっているそうだ。
正直、薄気味悪い話だが……あの会長の元で何をされたかについては考えない方が良いだろう。
「分かりません。ですが、決して無関係ではないと思っています」
ミーナさんは確か
カタストロフ──破滅や破局を意味する言葉。
言葉通りに意味を捉えるのなら、この国……いや、人類そのものが破滅に苛まれるという事になるが……
正直、将来は破滅すると言われて、何が起こるかなんて誰にも分からないだろう。
況してや、殆どの人間は与太話として信じもしない。
だが、もし……あらゆる未来を言い当てた人物が、それを予言したのなら?
確実にXデーは近づいている……とはいえ、全くと言って良いくらいに情報が足りない。
仮にカタストロフを災害だと仮定しても、何のために兵器を貯蔵する必要がある?
さらには以前、聞いた『村』も施設の設備は旧時代的なものばかりだったという。
ミーナさん曰く、迫る危機に備えるというより、その危機で滅びるように作られたようだと。
「……キーラさん。私、しばらくの間、取材も兼ねてこの学校に滞在するのです」
「大丈夫ですか? 貴女にとって、此処はかなり危険な場所ですよ?」
ミーナさんはその活動の関係上、ジャジメントに命を狙われている。
現在は支持者の所を転々とする形で難を逃れているようだが……此処も最早ジャジメントの施設だ、今まで通りにはいかない。
「普段は変装してますので大丈夫ですよ。それに今回の取材では助っ人がいます。そのおかげで偽造の身分とはいえ、此処の従業員として動けてます」
「……まさか、取材を手伝えなんて言わないでしょうね?」
「オウ、流石、キーラさん。話が早いですね。貴方も此処で学生として活動するなら、試験などの情報が必要になりますね? もし、協力してくださるなら、私が取材の課程で得た情報を貴方へお渡しします。どうです?」
「はぁ……分かりました。とはいえ、俺も先約があります……踏み込んだ協力は出来ませんが、出来る範囲でならお応えしましょう」
「素晴らしい。交渉成立ですね。私、日中は映画館にいます。もし何かご用ありましたら寄ってください」
成る程。彼女は日中、映画館の従業員として働いてるそうだ。
何か情報が必要になったら、彼女と会うと良いかもしれない。
「あっ、そうでした。此処では武内ミナと名乗ってます。キーラさんは何とお呼びすれば?」
「篠坂です。篠坂慎と今は名乗ってます」
「篠坂さんですね。分かりました……では、またお会いいたしましょう」
ミーナさんは軽く会釈すると夜の闇の中へ駆けていった。
……以前、依頼を受けたときも思ったが、嵐のような人だな。
とはいえ、あれくらいの行動力でないと反ジャジメントの活動は続けられないのだろう。
命を磨り減らしながらも、自らの信念を貫く姿には素直に感服するものだ。
「命か……」
後、俺はどれくらい磨り減らせる命が残っているのだろう?
もしかしたら、明日には寿命を迎えて死んでいるかもしれない。
とはいえ、もう長くないのは分かりきっている。
俺達、アンドロイドは老いる前に死ぬ──それは変えられない運命だ。
何時、
4月が終わり、5月に差し掛かると新入生らは沸いていた。
それもその筈。生徒は今月に入ってから振り込まれたポイントが入学時と比較して下がっているのだ。
酷い場合には1ポイントも振り込まれなかった者もいるらしい。
とはいえ、あくまでこれは他クラスに限った話で、俺達Aクラスは下がったとはいえ、先月と差程、大差無いポイントが振り込まれている。
「よっ、おはようさん。篠坂も聞いたか? ポイントの話」
「おはよう、橋本さん。勿論、聞いてるよ。支給ポイントが下がっているらしいね。クラスによっては1ポイントも入らなかった所もあるらしいし」
「いやー……怖いねえ。今月に入ったら無一文なんて」
「ポイントの変動は予測通りですが、そこまで酷いクラスがあったのは少し驚きました」
0ポイントの件で騒いでいるのは大方、Dクラスの生徒だろう。
まあ、俺としては彼らがどうなろうと別にどうでも良いのだが……最悪の例があるというのは、今後の展望を予測する上で役に立つ。
まさに、『物は使いよう』……いや、この場合は『馬鹿と鋏は使いよう』の方が正しいか。
そうこうしている内にチャイムが鳴り、それと同時に真嶋先生が教室に入って来た。
「諸君、おはよう。さて、これからHRを始めるが、まずはこれを見て欲しい」
そう言って先生は大きなプリントを黒板へと張り付ける。
そこには1年の各クラス。横には最大3桁の数字が記載されていた。
1-A 960
1-B 680
1-C 480
1-D 0
「これに記載されている数字は
まあ、そうだろうな……といっても実際、見せられると極端な並びだと思う。
A、B、Cはともかく、Dクラスの0という数字は悪い意味でよく目立つ。
「おそらく、今朝支給されたポイントが減少していた事が諸君らの話題に挙がっていたと思うが、その理由がこれだ。諸君らに支給されるポイントはこのクラスポイントと連動している」
今朝、支給されたポイントの総額は96000ポイント。
つまり、単純計算でクラスポイントの100倍が支給される。
そして、話題になっていたDクラスはそもそものクラスポイントが0のため、0ポイント支給という運びになる。
「さて、薄々気付いていた者もいるようだが、クラスポイントは諸君らに支給されるポイントを決めるためだけにあるのではない。先に話した通り、このポイントはクラスの評価を数値化したもの。つまり、クラスの順位というのもこのポイントで決定される」
今後、このポイントの数値が他クラスに逆転されるような事があれば、俺達はAクラスの座から降りなくてはならない。
そのため、俺達がAクラスの恩恵を受け続ける為にはこのポイントの首位を守り続けなくてはならないのだ。
「この学校が各々の希望に沿った進学、就職に応えるという話は有名だが、その恩恵を受けられるのはあくまでAクラスで卒業した場合に限られる」
当然と言えば当然だろう。企業も大学も無能な人間を欲してはいない。
「そして、このクラスポイントを増やす手段だが、直近だと中間テストだな。この試験の成績次第で最大100ポイントのクラスポイントが支給される。また、部活動において大会などで優秀な成績を修めた場合でも増加する事がある。そして──」
先生は言葉を区切り、生徒達を一瞥する。
「──この中間テストにおいて、平均点の半分以下。つまり赤点となった生徒はその時点で退学となる。この点についてはくれぐれも留意しておくように」
赤点、そして退学という言葉に生徒達からも驚愕の声が漏れる。
況してや、後者など余程の事がない限り、縁がない筈の言葉だ。
「参考までに先日、実施した小テストの結果で例えよう。このクラスの平均は84点。正直、見事な出来だが、これが中間テストとなると平均点の半分──つまり42点以下の生徒は退学処分だ。そして、退学が受理されれば、後に如何なる理由が挙がっても覆ることはない」
貼り出されたプリントにはトップに坂柳さんの名前があり、その下に俺の名前──と各々の順位が記されている。
坂柳さんはともかく、俺に至っては製造段階での圧縮教育、脳のCPUが自動的に演算するため、俺の本来の学力という訳では無いのだが。
まあ、そこはアンドロイドの利点というべきか、その利点が使えるのだから使う……それだけの話だ。
だが、先生の言い方が引っ掛かるな。退学が受理されれば……つまり救済手段があるという事か。
まあ、その救済も生徒のポイント、クラスポイント……はたまたその両方という対価があるのだろう──それも尋常でないほど多額な。
尤も、俺個人は卒業まで居ようが居なかろうが、任務に差し障りなければどうでも良いし、もし仮に坂柳さんが退学となった場合、その時点で本校での仕事は終わると言っても過言ではない。
故に俺にとってはそこまで重要にならない要素だ。
つまり、俺がすべき事は今まで通りにクラスに貢献しつつ過ごせば良いということ。
何も変わらない……なら、何も憂慮すべき事はない。
──今、思えばこの日が始まりだったのだろう。
──俺が終わる、
いつもの雑談コーナー
どうもパワポケで一番好きなキャラは千羽矢です。
「前書き意味ないじゃないですか! もう私、表じゃヒロインになれないのに!」
パワプロクンと二次創作に希望を託してください。もう15年の歳月が流れてるんですよ?
「止めてください!聞きたくないです!」
はい、今日来てくださったのは武内ミーナさんです。
……義妹はヒロインにはなったんですけどね、人としてはアレだけど。
では質問へ行きましょう。
『野球しないの?』
「パワポケは野球バラエティーですので」
真面目な話、野球するのはパワポケの主人公の役割だと思っています。それに彼の超能力だとゲーム自体が崩壊するので。
仮にやっても超能力使って相手チームをボコボコにするだけのワンサイドゲームになるし、そもそも身体能力が人間を凌駕してるんで……
「キーラさんの超能力、球技関係で使うとチートですからね」
そういうことです……では次。
『篠坂君の寿命』
言っちゃアレですが、延命処置を受けられて無い以上、もう長くはないです。
下手したら1年も保たないかもしれません。
「とはいえ、第2世代でここまで生きているのは幸運と言うべきか、ジャジメント様々と言うべきでしょうか……」
別の方の言葉ですが……運命は変わらないけど、意味は変えられる……深い言葉だと思います。
それではまた次回!