人工の羊は夢を見るか?   作:爆死san

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飛び出していけ、ガチャの彼方。画面を撃ち抜くPlazma(最低保障)







13:契約

 

 

 

 

「はあ? Cクラスに絡まれた?」

 

「ちょっ……神室さん、声が大きい」

 

 周りを見回すが、俺達の会話に興味を持った、若しくは聞き耳を立ててる者はいないようだ。

 

「……具体的にどのような状況でしたか?」

 

「具体的って言われても……コンビニに行こうとしたら、絡まれたとしか」

 

「何それ。普通にカツアゲとほぼ変わらないじゃない。アンタ、よく切り抜けられたわね」

 

「かなり危ない橋だったけどね。何とか逃げ仰せたよ」

 

 龍園さんの取り巻きに殴られそうになって、逆に返り討ちにしましたなんて言えるわけが無い。

 

 あくまで此処は国営の高等学校であり、不良をしばいてのし上がれるような事は一切無いのだ。

 

「そうですか。葛城君の一件で攻撃的というのは分かっていましたが……この()()は必ずしなくてはなりませんね」

 

 やけに『お礼』の所だけ強調するな……というか、さっきから坂柳さんが全く笑ってないの怖すぎるんだが? 

 

「えっと……別に特に酷い目に遭ったわけでは無いんで……そこまで気にする必要は──」

 

「フフっ……勿論です。流石に今から行動を起こすつもりはありません。()()ですが」

 

「わーお……」

 

 おっと、イカンな。本当に背筋がゾクッとしたぞ。

 

「そ、そうだ。テスト範囲の変更! ちゃんと実施されただろ? 尤もそこまで身構えるようなことじゃなかったけど」

 

「そうね……確かに変わったけど、まあ想像よりは呆気なかったというか、全然許容範囲というか」

 

「これは推測に過ぎませんが、この範囲変更の狙いは下位クラスを振るいにかける狙いがあると思われます。実際、私達からすれば拍子抜けも良いところ。しかし、下位クラス──特にDクラスはこの影響を大きく受けるのではないでしょうか?」

 

 この学校において、Dクラスの人間は不良品という烙印を押される。

 

 だが、不良品という蔑称の通りどうしようもない人間が集まっているのかというとそうでもないらしい。

 

「確かにこのままじゃ下位クラス……特にDクラスから退学者が出るのは必至。そこでだ……俺からCクラスへの仕返しも兼ねて1つ提案がある」

 

 ポケットから取り出した端末の電源を点け、ストレージからダウンロードしたファイルを開く。

 

「これは……問題とその解答。慎君、まさか──」

 

「そう、中間テストの()()()。検証用として三年前までのデータが入ってる」

 

「……何処でこれを手に入れたのですか?」

 

「適当に先輩を揺すっただけさ。ちなみに暴力的な手段は一切、使ってないよ?」

 

「アンタ……一体、なんて言って脅したのよ……」

 

「失礼だな。交渉したって言って欲しいね」

 

 今回に関してはミーナさんの情報収集能力には頭が上がらない。

 

 俺としては過去問の確保だけで良かったのに、わざわざ更に過去のデータまで引っ張って来てくれた。

 

「成る程……では、その過去問をどうするのですか? 先程、Cクラスへの仕返しも兼ねると仰ってましたが」

 

「簡単さ。これをDクラスに売り付ける」

 

「は? なんでよりによってDクラスなんかに過去問を渡すのよ?」

 

「今回の俺の一件、そして葛城さんの件も踏まえてCクラスは他クラスへ干渉できる駒を持ってる事が分かった。でも、あくまで駒も人間。無条件で従っている筈がない。あくまで従うことにメリットがあるからだ」

 

「それはそうでしょ。弱みを握られてない限り、誰もが絶対服従の犬じゃないもの」

 

 そう言って神室さんは横にいる坂柳さんを睨む。

 

「おや? 私がどうかいたしましたか?」

 

「……別に」

 

 バツが悪そうに顔を背ける彼女を見て、坂柳さんは何処か楽しげな笑みを浮かべている。

 

 ……ほんと、イイ性格してるよな。この娘。

 

「……話を戻そう。現在、Cクラスの攻勢に対して此方は明確な反撃が出来ていない──というか出来ない状況だ。無理にこっちが動けば葛城さんや他の面々から情報が漏れるからね。……でも、それじゃ面白くない」

 

「面白くないって……まあ、言いたいことは分かるけど、でもどうするのよ?」

 

「だから、DクラスにCクラスの躍進を防いで貰うのさ。あわよくば互いに潰し合ってくれれば、一時しのぎとはいえ、敵を減らせる事に変わりはないからね」

 

「成る程。慎君の考えは分かりました。しかし、仮に過去問を渡したとはいえ、Dクラスの彼らにCクラスの躍進を抑えられる能力があると思いですか? そして、もう1つ──過去問を渡すことで起こり得ること。慎君はAクラスの全員に今回は()()()と、そう言えるのですか?」

 

 坂柳さんはその穏やかな声とは裏腹に、ナイフのような鋭い目を俺へと向ける。

 

 当然だ、この取引はAクラスに大したメリットがないどころか、坂柳さん達にDクラスに勝ちを譲れと言っているようなものだ。

 

「勿論、ただで負けろと言うつもりはない。俺達の最終目標がAクラスの座を守り抜くという事に変わりはない。けれども、今なら敗北の味を知っておく良い機会になる」

 

「……どういう意味でしょうか?」

 

「ただ勝つだけならAクラスは申し分無い能力を持っている。でも、俺達がこの椅子に座り続ける為には正しく勝たつことが必要になる。それが出来なければ……いずれは勝利に足を掬われる」

 

 人類史で、ある国家が戦争で最初は躍進し、最後には敗北していったように──盛者必衰の理は歴史が証明している。

 

「この考えを面と向かって坂柳さんに言うのは俺なりの誠意のつもりだ。一度、坂柳さんに協力すると言った以上、それを撤回するつもりはない。だからこそ、Aクラスは一度は負けておくべきだ。まだ取り返しが付く内にね」

 

 敗北の経験は個々が自身の能力を上げる大きな契機になる。

 

 なればこそ、そのチャンスが転がっている内にその経験を積んでおくべきだ。

 

 彼女達にはまだ次があるのだから──

 

「……分かりました。今回、私から慎君の行動について言及することはしないと約束しましょう。しかし、他の誰かに慎君の動きが露呈し、その責任を追及される事になった場合、私が貴方を擁護する事は一切無い……それだけは留意しておいて下さい」

 

「……ありがとう。俺も坂柳さんに迷惑をかける事は無いと約束するよ」

 

「ふふっ、はい。約束ですよ?」

 

 ……一応、信用されてはいるのだろうな。今回ばかりは仕事の都合とはいえ、彼女に貸しを付くってしまった。

 

 いつか必ずこの貸しは精算するとして……ともあれ、Dクラスに接触する足掛かりは得た。

 

 後は綾小路さんと接触し、ホワイトルームの内情についての情報を得る。

 

 尤もミーナさんの話を聞く限り、彼は其処から抜け出したとされている。

 

 そんな彼がすんなり話してくれる保証は無い……むしろ不干渉を望む可能性の方が遥かに高い。

 

「ちなみになんだけどさ。坂柳さんは綾小路っていう人の事を知っているかな?」

 

「──っ!」

 

『綾小路』という名前を口にした瞬間、笑みを消え去り、その目が見開いた。

 

 その反応……やっぱり知っているな。

 

「……質問を質問で返してしまいますが、慎君は綾小路君と面識がおありで?」

 

「いや、全く無いね。さっきの話だけど、俺はその綾小路さんを窓口にしてDクラスに接触してみようと思ってるんだ」

 

「……何故、でしょうか?」

 

「俺の個人的な見解で申し訳ないけど、Dクラスで一番安定しているのが彼だと思ったからかな。他は一癖、二癖ありそうな面々だしね」

 

 Dクラスに配属された生徒が必ずしも無能という訳ではない。

 

 俺が個人的に調査した所に限るが、確かに能力が低い生徒も多いのは事実だが、運動能力だけならAクラスに並べる生徒もいるし、学力でもAクラスに比肩する生徒もいる。

 

 そして、総合的に見てもBクラス相当の能力を持った生徒も散見されるのだから、Dクラス=失敗作というのは違う。

 

 おそらく、一芸特化であるが故にその他の項目でDクラスに落とされた者や、入学前に何か問題を起こしてしまったといった訳ありの者達が集まっているのだろう。

 

「……そうですね。慎君の見立ては間違って無いと思われます」

 

「その口振りからして、坂柳さんは綾小路さんの事を知っているんだね」

 

「いえ……あくまで私が一方的に知ってるだけで、彼はきっと私の事を知らないでしょう」

 

「そっか……」

 

 ホワイトルームの運営者──綾小路篤臣。

 

 裏から得た情報で、此処の理事長である坂柳成守と交流があった事は分かっている。

 

 彼女が綾小路さんについて知っているのはそれが理由だろう。

 

 とはいえ、俺はあくまで部外者。彼、彼女の過去に踏み込むことは出来ない。

 

 それに──何を優先して、何を切り捨てるべきなど考えるまでもないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 当然ではあるが、いきなり他クラスに踏み入るというのは緊張するものだ。

 

 それもその筈、この先にいるのは馴染みの無い顔ぶればかり。

 

 アポ無しで突撃した所で、『誰この人』となるのは必至だろう。

 

 とはいえ、俺も廊下で立ち往生している訳にもいかない。

 

 意を決して、教室から出てきた眼鏡をかけた女子生徒に声を掛けた。

 

「失礼、俺は1ーAの篠坂慎というんだけど、綾小路さんって教室にいるかな?」

 

「えっ!? あ、綾小路くんですか……? いますけど……ちょっと他の人とお話し中で……」

 

「長話はしないつもりなんだけど……結構、向こうも込み入った話をしてるのかな?」

 

「えっと……それは……」

 

 ……しまった。声をかける相手はもう少し考えるべきだったか。

 

 気弱そうな見た目に反さず、この生徒はかなり気弱な性格らしい。

 

「オレに何か用か?」

 

 女子生徒の背後から茶髪の男子生徒が顔を出す。

 

 身長は同年代と比較して、少し高め。体格は特に突出した点は見受けられない。

 

 成る程。確かによく出来てる、世代としては第3……いや、第4世代──いや、待て。俺は何を考えている? 

 

「あっ……じゃ、じゃあ……私はこれで……」

 

「引き止めてごめんね。助かったよ──では、改めて1-Aの篠坂慎です。よろしく、綾小路さん」

 

「ああ、よろしく……それで何か用か?」

 

「次の中間テストについて、君達に有益になり得る取引を持ってきたんだ。もしこの話に興味があるのなら、今日の放課後に君を含めたクラスの代表者を連れて、特別棟3階の第2教室まで来て欲しい」

 

「取引? 生憎だが、オレよりも平田や櫛田に言った方が良いんじゃないのか?」

 

「この取引はAクラスとしてではなく、あくまで俺の個人的なものだからね。あまり目立つ事はしたくないんだ。無論、君が興味ないと判断したならば、この話は忘れてくれて構わない」

 

「……分かった。代表者はオレが選んで構わないのか?」

 

「勿論。不安に思うなら、1人でも2人でも連れてきてくれて構わないよ。此処へ来た用件はそれだけさ。それじゃ放課後にまた会おう」

 

 そう言って、少し足早で彼らの教室から離れる。

 

()()の約束は取り付けた、それは良い……そもそもDクラスの現状を考えるに、形振りは構ってられないのは予測するまでもない。

 

 俺が思索しているのは其処ではないのだ。

 

 綾小路 清隆──俺は本能的……いや、直感的という方が正しいだろうか。

 

 初対面のあの時、俺は彼をアンドロイドだと無意識に認識した。

 

 いやそれがおかしい。彼は至って人間の筈だ。なのに……何故? 

 

「……一体、なんだあの感覚は」

 

 周りに人がいないことを確認し、懐に仕込んだ拳銃のグリップを手に取る。

 

 ほのかに暖かいその手触り──それもその筈、彼と会話してる最中、俺は拳銃を握っていた。

 

 もし、何か仕掛けてきた瞬間、すぐ応戦出来るように。

 

 綾小路 清隆とホワイトルーム……彼が其処でどのような教育を受けていたのかは知らない。

 

 だが、彼から感じた異質な感覚……彼も普通の人間では無いという事は断言できよう。

 

 ……何はともあれ、当初の目的は達している。後は俺の交渉次第。

 

 結果として鬼が出るか、はたまた蛇が出るのかはこれからといった所か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この特別棟の3階には監視カメラが無い。

 

 だから生徒同士もしくは、校則に触れかねない密談をするには打ってつけの場所だ。

 

 手の中の端末を弄びながら、外の廊下へと耳を傾ける。

 

 ──複数の歩行音、数は3人。同時に会話……男子生徒が2人、1人は女子生徒か。

 

 中でもこの女子生徒が先程から、男子生徒2人に愚痴……だろうか? 2人に対して喋り掛けている。

 

 そして、その声の主は此方へと近づき、やがて教室前のドア向こうで止まる。

 

 そして、ドアが2回叩かれた。

 

「……例の件で来た。いるか?」

 

「いるよ。別に面接なんかじゃないんだから、そのまま入ってきなよ」

 

「ああ。分かった」

 

 ドアが開かれると、3人の生徒が入ってくる。

 

 1人は綾小路さん、そして女子と男子の2人──

 

「初めまして、篠坂さん。僕は平田洋介っていいます」

 

 平田……成る程、彼が女子の話題になっていた生徒か。

 

 確かに第一印象としては見た目通りの好漢だ。女子の人気が高いのも頷ける、

 

 そして、もう1人──

 

「……堀北よ。堀北鈴音」

 

 ──此方はこっちで見た目に反さずキッツい性格してそうだな……

 

「改めて……1-Aの篠坂です。綾小路さんから訳を聞いてると思うから、早速本題に入るとしようか……中間テストについて、君達はどれくらいの事を知っているかな?」

 

「どれくらいの事って……何か変更点があると言うの?」

 

 おっと……これは想定外、この面々はテスト範囲の変更について知らないのか。

 

 Dクラスだけに教えられていないのか、或いは担任が伝えていないのか……それは定かではないが、今回については逆に都合が良い。

 

「テスト範囲の変更。君達はそれすらも知らないわけだ」

 

「ハッタリね。そんな重要な事を担任の先生が伝えない筈が──」

 

「なら是非とも他の先生方に聞いてみると良い。誰もが変更された範囲について教えてくれるからさ」

 

 堀北さんに明らかに動揺の表情が浮かぶ。焦り、不安が入り雑じった様相。

 

 成る程……思った以上に分かりやすいなこの人。

 

 でも、これは公的な事実。その点で彼らに嘘は吐いていない。

 

「それで……篠坂さんは僕達に何を持ち掛けるつもりなのかな? それを伝えるためだけに僕達を呼び出した訳じゃないよね?」

 

「話が早くて助かるね。でも、百聞は一見に如かずと言うくらいだ。一度、これを見て貰っても良いかな?」

 

「これは……」

 

「過去問だよ。この中間テストのね」

 

「過去問って……貴方、これになんの意味があるというの?」

 

「おや、今回のテストはさっき言った範囲の変更も含めて、例年同じ問題が出される事も知らないのかい?」

 

「なっ……」

 

「……成る程な。つまり今回のテストは下位クラス、要は俺達Dクラスを振るいに掛ける目的がある。そして、例年共に抜け道が用意されている」

 

 綾小路さんはこの取引におけるメリットに気が付いたようだ。

 

「篠坂さんの言うことが事実として……何故、僕らなんだい?」

 

「君達こそが今、一番これが必要になるだろう相手だからね。現に君達のクラスには退学になり得る面々が複数居る。違うかい?」

 

「それは……」

 

 平田さんがバツが悪そうに俯く。まあ、Dクラスの全員が無能では無いとはいっても、学力的に不安な者はいるだろうし、そもそもどうしようもない者だっている。

 

 本人らも認めたくないだけで、それは痛いほどに理解している筈だ。

 

「生憎なことに、俺は値切られるのが嫌いでね。今なら15万ポイント。Dクラスがこの額を支払うことを約束してくれるのなら、過去問とその解答を譲渡しても良い。代金については即時支払ってくれても良いし、利息付きになるけど期限を長くしたって構わない」

 

「15万……」

 

「これでも君達の事を考慮して値下げしたつもりだよ。これを手に入れるのも少し苦労したのは確かだからね。確か、君達は放課後に勉強会を開いてるらしいね。でも、ここに来て今までの努力は無駄でしたって言えるかい?」

 

「……それでも認められないわ。過去問の確保だけなら、他の上級生に当たることは出来るもの」

 

「今の君達に上級生が取り合ってくれるかな? 現に断られたんじゃないのかい?」

 

「貴方、何を言って──」

 

 その瞬間、後ろの綾小路さんの目が細まる──成る程。どうやら彼は既に試したみたいだ。

 

 それにしても、先輩方も律儀なものだ……おかげさまで楽に事が進んだな。

 

 テスト範囲の変更が発表されるよりも前に、彼らが頼るであろう上級生に目星を付けて、ある契約を結ばせている。

 

 ① 契約締結後、1-Dに対して、一切の協力、協働をしない。

 

 ② 上記について遵守するのなら、指定日に遵守した者に対して、2万ポイントを即時支払う。同様に違反者には違約金として同額、遵守者へ即日支払う。

 

 ③ 如何なる理由においても、第三者への口外の一切を禁ずる。これが守られない場合、契約者の違反行為を含めた全ての不正を告発する。

 

 ④ 契約期間は5月23日迄とし、以降は失効する。

 

「……ちなみに何故、そのような値段設定なんだ?」

 

「ちょっと、綾小路君。貴方──」

 

「綾小路さんに言った通りさ。この取引はあくまで俺が個人的に持ち掛けた話。これについてAクラスは一切、関係が無いんだ。謂わば君達に対する口止め料だね。取引成立後、Aクラスに取引の一切を口外しない事を約束する。逆に君達によって、この取引が他者へと口外されるようなことがあれば──()()()()()()?」

 

 堀北さんが口を噤む。言葉にしては無いが、俺が言わんとしていることは分かっているのだろう。

 

「……堀北さん。篠坂さんの話、僕は受けてみても良いと思う」

 

「平田君、貴方……」

 

「確かに15万ポイントは大金だ。でも、それに見合う価値……いや、それ以上の価値がこの取引にはあるよ」

 

「おや、平田さんは話が分かるようで嬉しいよ。それなら、平田さんに免じて1つ条件を変更しよう。支払いに利息は付けない。即時でも長期的でも、確実に15万ポイントが払われるのなら良いよ」

 

「……俺達が踏み倒すと思わないのか?」

 

「踏み倒された場合は仕方ない。学校側にこの件を自首するだけだね。その際には俺も君達もただじゃ済まないだろうけど……あっ、後はおまけでAクラスの矛先が君達へ向かうかな?」

 

 いかに彼らのクラスメイトで、Aクラスに比肩する人材がいたとしても、その連携が取れないなら瓦解は必至。

 

 あっという間にDクラスは不良品のまま、崩壊することになる。

 

「……この取引を証明する物はあるのかしら? それが無ければただの口約束に過ぎないわ」

 

「ああ、大丈夫。それに関しては安心して欲しい」

 

 胸ポケットにしまっていたソレを卓上に置いた。

 

「ボイスレコーダー……何時から録音してたの?」

 

「君達がこの教室に入ってきた時からかな。今も録音してるよ。それに後ろも見てみると良い」

 

 堀北さん達が後ろを振り向くと、彼らを見つめる無機質な視線が1つある。

 

「そのビデオカメラ、ジャジメントの最新型らしいよ。長時間の録画も出来るし、その音声もクリアだしね」

 

「……っ」

 

「それでも信用ならないなら、書面で残したって良い。俺にとって重要なのはこの取引に君達が乗るかどうかだからね」

 

 さて、既に堀北さんにはチェックが掛かっている──他の2人も同様かな。

 

「……少し議論しても良いかしら?」

 

「幾らでもどうぞ。バッテリーはまだ切れないからね」

 

 手元のペンを弄びながら、卓を離れる彼らを見つめていると──

 

「……」

 

 ──ふと綾小路さんと目が合う。ひどく無機質でありながらも、強い殺気が込められた眼差し。

 

「綾小路君。何してるの?」

 

「……ああ、今行く」

 

 流石、ホワイトルームの出身と言うべきか。俺の意図はしっかりと伝わったらしい。

 

 尤も、彼から同施設の情報を引き出すには、これまた骨が折れそうだが……

 

 さて、彼らの議論は如何ほど掛かるものかね。待ちぼうけになるのは勘弁だが……

 

 指から離れたペンが空中を舞う──

 

 彼らが安寧を求めるのなら、差し出した俺の手を取る他無い。

 

 この盤上において、チェックはおろか既にチェックメイトは付いている。

 

 後は彼らがそれを認められるか、それだけだ。

 

 ──床へと落ちていく筈のペンは、手の内に吸い込まれた。

 

 





いつもの雑談コーナー


俺は勝利者になれない……長いですね、今回。

「それにしても、投稿がまた遅くなっているようだが?」

仕事の疲れで、キーボード叩く気力すらありませんでした(´・ω・`)

「それでも原神とゼンゼロのログインは毎回やるのだな」

……それは日課だし、というか両方ともガチャ控えてるし、石貯めなきゃだし……

「これこそ怠惰だな。とジナイダは思うぞ」

ジナイダさん、もしかして最近ラノベ読んでます?

「ノーコメントだ」

だそうです、はい。じゃ、質問いきますよ。

『どうやって上級生に契約を呑ませたの?』

暴力的な手段は使ってないよ。ホントだよ……でも、別に脅してないとは一言も言ってないよ?

「力こそ王の故よ。とジナイダは最近思ってるぞ」

やはりパワー、パワーは全てを解決する……では次。

『パワポケキャラは出るの?』

ぼちぼち出していくつもりです。ミーナさんも出てるのでヒーロー組もそろそろかなと。

「ジナイダは出れるのか?」

出しても良いんだけど……パワーバランスがね。

「……強すぎるのも罪なのだな」

それではまた次回!





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