初の戦闘描写ムズカシイ( ;´・ω・`)
「誰かいるのか?」
暗い細道に中年の男の声が木霊する。同時に懐中電灯を向けるも、決して広くない道を照らすばかりだ。
「……気のせいか。少し気を張りすぎかな?」
後頭部を掻きながら、男性は奥へと歩いていく。
懐中電灯の光が遠くなっていく事を確認し、掴んでいたパイプを離す。
「俺、潜入型として造られた訳じゃないんだけどなぁ……」
地面に着地すると、少しの埃が宙に舞う。
思わずしかめていると、右耳のインカムから女性の声が出力された。
「もしもし、キーラさん? 進捗どうです?」
「順調──とはまだ判断しかねる所ですけど……とりあえず件の8番区画には居ますよ。それにしても、随分と警備員が多いですね。此処に保管されてるのって確か生活用品でしょ?」
「私達に伝えられている話ではそうなってます。先日の搬入以降、警備態勢をさらに強化してみるみたいです」
「先日の搬入以降って……前にも忍び込んだ事があるんですか?」
「潜入調査と言って欲しいです。でも、その時は2、3人の巡回程度でした。けど、今は──」
「──そうですね。区画の巡回だけでも10人以上。死角にも監視カメラもありますね……ますますキナ臭くなってきた」
おかげさまでこっちは某潜入ゲームが如く、パイプを伝ったり、物陰に隠れてやり過ごしたりと手間を喰っている。
まあ、ここまで来たら、後は被れるダンボールがあれば完璧かな……
「キーラさんは搬入物については何か言われているのですが?」
「今後の試験に関わるとかなんとか……まあ、わざわざ戒厳令まで出す程かと言われたら、疑問ではあります」
「私達、職員と同様の理由ですね。おそらく、其処にいる警備員も何が搬入されたかまでは知らないのでしょう。高育において、試験が関わると慌ただしくなるのは日常茶飯事らしいので」
「わざわざ、豪華客船を貸切ってまでする試験ですか。世間一般の面々が聞いたら顔を真っ赤にしますね」
「──貸与元がジャジメントでなければ、安心できたのですがね」
それについてはミーナさんに同意するところだ……豪華客船で生徒らを何処に連れていくつもりなのやら。
そういえば、ジャジメントがやっていた実験の一環で、無人島での人体実験というのがあったな。
確か……しあわせ草の使用における肉体強化という内容だったか。
とはいえ、結果としては実験を行っていた下部組織は壊滅し、ジャジメントも超能力者の開発という形にシフトしたとインプットされている。
「少なくとも、ここで超能力に関わる実験はした痕跡はありません。仮にやったとしても真っ先に気付ける筈なので」
「……どうも別の目的があるようですよ。キーラさんは米軍が保管していた大量のしあわせ草のエキスがジャジメントによって奪われた事をご存知ですか?」
「……初耳ですね。何故、急にそんなことが?」
「理由は不明です。現在、ジャジメントにおける超能力開発は殆どが保全と調整といったメンテナンスの面が主になってます。そんな中、急にしあわせ草をかき集め出した。今までとは違う目的があるのは明白です」
現代における各国の軍隊のパワーバランスにおいて、米軍は現在も圧倒的な地位を保持している。
いくらジャジメントといえど、直接的にぶつかるのは避けたいと思う筈だ。
そんな米軍から奪うともなれば、ジオット直属のSランク相当の高位能力者を投入したとみて間違いない。
「カタストロフ対策……にしては物騒すぎますか」
「詳細は分かりません。ただ、カタストロフは災害とされてますが、具体的にどのようなモノなのかは一切が不明です。……これは仮定の話でしかありませんが、もしかしたらカタストロフは
「……つまり、人災だと?」
仮定とはいえ、あまりにも突拍子もない話だ。
裏で散々対策を講じていた側の筈が、あろうことか破滅を引き起こそうとする側だというのは……いくらなんでも矛盾が過ぎる。
「あくまで仮定の話です。確たる証拠はありません……ただ、組織というのは大きくなればなる程、トップの指示というのが伝わりづらくなります。ですが、それを逆手に取ることも出来ます。トップが下を切り捨てるつもりなら尚更ですよ」
「ジャジメントも一枚岩ではない……それが別の形で露呈しただけ──というわけですかね」
「そうですね……キーラさん、非常事態です。私、尾行されてます」
「……数は?」
「2人です。1人は何かを持っているのでしょうか……とはいえ両者ともに尾行には慣れていない様子です。もしかしたら、一般人が紛れ込んでしまったのかもしれません」
こんなところに一般人? Cクラスの不良連中が付いてきたのか?
「撒けます?」
「撒けます。ただ、この様子では私を追ってる方々は程なくして警備員に見つかるでしょう。その為、警備状態が変わる恐れがあります。どうかご注意を」
「了解です。では……何かあればまた通信で」
「はい」
通信が終わり、暗い細道を道なりに進んでいく。
常に何かを持っている一般人……まさかね。
彼女がわざわざこんなところに来る理由はない。少なくとも、彼女が自身でこんな危険な橋を渡るとは思えない
まあ、誰かは知らないが、好奇心は猫を殺すというのを警備員の方々から説教で学んで欲しいものだ。
「……さて、俺もあそこにはどうやって入ったものかね」
双眼鏡で覗き込んだ先の倉庫の入り口には、2人の警備員。
警備員の死角になる物陰の対角線上には、監視カメラが設置されている。
正面から行けば、もれなく発覚……かといって警備員をどうにかしないと此処から出ることも出来ない。
それに此処にもいずれは巡回の警備員がやって来る。
そして、そもそもの侵入路は──
「2階の連絡路の窓……開いているのか?」
閉めきった窓が並ぶ中、中年の窓のみほんの少しだけ隙間がある。
どうにか彼処までたどり着ければ、抉じ開けて入ることは出来そうだ。
よし、侵攻路は決まった……次は常駐した警備員をどうにかしないとな。
無論、この任務の都合上、殺傷はおろか、此方から攻撃することは出来ない。
どうにかして、彼処から剥がさないと……しかし、どうしたもんか。
ゲームでは無いのだ、石を投げる程度じゃ、1人の気を引く程度が精一杯だろう。
それだけでは駄目だ。石なんかよりももっと大きな──
「おい、あのガキども……燃えるごみにラジコンなんかいれてんじゃねえよ」
「今のラジコンってこんなのあるんだな……外じゃ幾らするんだコレ?」
少し離れた所からの近くの作業員の会話に耳を傾ける。
成る程……生徒の生活を支える面々も大変だ。
尤も、今の俺もその生徒の1人として彼らの世話になっている身である。
それを踏まえて、今回ばかりは彼らに心から謝罪をしておこう。
「まあ……損害賠償は理事長に送ってくれよ?」
そうして、彼らが離れたと同時に小石を廃棄ボックスへ放り投げる。
放物線を描いた小石はボックスの中へと吸い込まれていく
そして、その瞬間──ボックスが大きな炎を吐いた。
「な、なんだ!?」
「なんで火が……!?」
「おい! お前ら何やってんだ!?」
「ち、違う! 俺らじゃない!!」
突然の出火騒ぎに警備員もそちらへと向かう。
よし、釣れた……後は彼らが下手なことをしないよう祈ろうか。
警備員の背後を駆け抜け、監視カメラの視界に入る直前に隣の倉庫の外壁へと跳躍する。
そして、もう一度外壁を強く蹴り、窓の隙間へと手を伸ばす。
「っと……はあ、スリル満点。二度とやりたくないけど」
窓枠を掴んだまま、もう片方の手で窓を抉じ開ける。
経年劣化、あるいはそういう作りなのかは不明だが、ギシギシと軋みながら開いた。
埃臭い……いや、室内特有のどこか変わった臭いが鼻腔を過る。
「……中は誰もいないのか?」
外の出火騒ぎに対して、倉庫の中から出ていく人影はない。
連絡路の奥も照明が一切、付いていない……どうやら警備は外にいるものだけのようだ。
「まあ、俺としてはそっちの方が助かるんだけど……よし、ミーナさんと俺の撮影センスには期待しないでくれよ」
懐からカメラを取り出し、照明が一切無い倉庫内部へと足を踏み入れていく。
足音のみが木霊する中、機関銃を構えながら慎重に歩みを進める。
幸い、俺の眼球は第3世代サイボーグ用の生体義眼を使っているため、暗視機能が備わっている。
補正された視界では、様々なな段ボール、ビニール包装された家電、プラスチック製の箱といった物が所狭しといった様子で敷き詰められていた。
今のところら特段、おかしいものは無さそうだけど……
でも、何故だろうか。妙な胸騒ぎがする──それも悪い意味で。
そして倉庫の一階へと降りていくと、2階とは打って変わって、大型の貨物、コンテナが鎮座している。
「大型の家電とは言っても……にしては大きすぎるし、そもそもビニール包装した方が安上がりだよな」
機関銃を脇に抱え、カメラをコンテナと貨物群へと向けて、シャッターを切る。
どうも、此処にあるのは生活用品では無いのは確かだ、
どうにかコンテナの中を見れたら良いんだが……
「──っ! 誰だ」
機関銃の銃口を視界の端に捉えた影へと向ける。
いや、正確には人間では無いだろう──コレが人間であるものか。
「これは……」
無骨な鋼鉄で構成された骨格と、中央に光彩を失った双眸。
「
Tシリーズ──前行型であるTXシリーズにて露呈した知能の高さ故の自己保全と自己生産能力への対策として生産されたタイプ。
具体的には、知能は任務遂行に関するものに留め、工場における生産に絞ることで、自己増殖の危険性を排除している。
性能としては、正直なところTXシリーズの劣化と言わざるを得ないが、安価で大量生産が可能のため、数を以てその不足を補っている。
「生活用品の中身はジャジメントのロボット兵……とんだスクープだな」
鎮座するTシリーズをカメラに収め、同時にシャッターを切る。
此処に鎮座する10体前後……おそらくこの場所以外にもコイツらがいると見て間違いない。
下手したら、この周囲の倉庫も……
「よし……早いところミーナさんと合流を──」
まるで金属が転がるような甲高い音が倉庫内に木霊する。
本来、する筈の無い音──既に機関銃を構え、トリガーに指を掛けている。
何かが動いている……それもすぐ其処に。
「──っ!!」
そして──背後へと向き直り、トリガーを引いた。
まるで電動ノコギリのような銃声が倉庫内に反響し、放たれた7.62mmの弾丸が金属の身体を穿つ。
フレームはひしゃげ、頭部からチップや細かな部品を溢しながら、ソレは地に臥せる。
「いきなり起動した……?」
周りから響くカシャッという軽い金属音、鎮座していたTシリーズの双眸に紅い光が灯る。
「……おい、馬鹿言うなよ。此処の外には一般人だっているんだぞ?」
唐突に灯った紅い視線が一斉にこちらへと向く。
無機質な殺意向けてくるソレに対して、対話という選択はない。
「おい!! 誰だ!? 此処で何をしている!!」
モーターの駆動音と共にシャッターが上がり、警備服を着た男性が怒鳴り声と共に倉庫へと入ってくる。
警棒を携えているとはいえ、特に武装した様子はない。
「ダメだ! 中に入っちゃ──」
その瞬間、男の胸から腕が生えた──金属の腕が鮮血に濡れ、外からの光で乱反射する。
TXシリーズと比較して性能は劣るとはいえ、軽々と人間の身体を持ち上げることはおろか、容易に刺し貫く事が出来る程の力は備えている。
胸を貫かれた警備員の後方にも、血を流して倒れている者が数名──出血量からして既に絶命しているのは明らかだ。
「クソッ!!」
尚も向かってくる機械の兵隊達に向けて、機関銃のトリガーを引く。
失態だ……まさか、こんなにも早く直接的に仕掛けてくるなんて。
俺とミーナさんの動きが筒抜けだった? いや、事前に監視の目が無いのは確認してある。
殺人機械をスクラップへと変えながら、外へ飛び出す。
今のところ、外に出ているのは6体……付近に生存者はいない。
放たれた銃弾は吸い込まれるように、頭部と胸部を穿ち、内部で爆ぜていく。
……仕方無いか。これも仕事だ。
「──6から24まで誘導開始」
その号令と共に宙を翔んでいた銃弾が不規則な軌道を描きながら敵へと向かう
自分の意思を持っているのかのように、さながら誘導ミサイルのように──鉄の雨が機械兵に降り注いだ。
いつもの雑談コーナー
ようやく戦闘シーンです。頭脳戦は考えるの頭疲れるんすよ……
「なんや。そんな難しいこと考えてないやろ」
だまらっしゃい! 無い頭でモノを考えるの大変なんじゃ!
「というか、今回はどしたん? それなりに早かったやん」
まあ、ここら辺は初期構想で一番、早く纏まった所なんで……
「成る程な。要はこの展開は始めから出来てたっちゅうわけやな」
むしろ……此処まで持ってくために色々、考えたっていうか。
まあ、制作についてはこれくらいにして……戦闘描写ムズカシイっすね( ;´・ω・`)
「表現のレパートリーもあるやろうけど、上手い人はホント引き込まれるんよ」
悲しきかな。それがないことは胸を張って言えるんですよね。
「そこで胸張ってどうするんや……」
今回はダークスピアさんに来てもらいました。それと今回は質問なしです……
「急にどしたん?」
……燃え尽きたぜ。真っ白な灰に。
「というわけで、ほな、またな!」