人工の羊は夢を見るか?   作:爆死san

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やめて!

ゼンゼロのビビアンガチャで、天井爆死したら、課金で財布と繋がってる作者の精神まで燃え尽きちゃう!

お願い、死なないで作者!

あんたが今ここで倒れたら、ブルアカや原神のガチャはどうなっちゃうの?

お金はまだ残ってる。ここで引ければ、次のガチャも引けるんだから!

次回「作者死す」デュエルスタンバイ!


6:登校

 

 

 

 

 寮のロビーに降りると、銀髪の女子生徒がソファーに腰掛け、本を読んでいた。

 

「おはよう、坂柳さん。早いね」

 

「おはようございます。慎君も予想より早かったですね。折角ですし、起こしに行ってさしあげようかと思っていたのに」

 

「いや、そもそも俺の部屋番号知らないでしょ……」

 

「413号室ですよね?」

 

「えぇ……なんで即答できんの?」

 

 というか、普通に合ってるんですけど……えっ? マジで何時から露呈してたの? 

 

 昨日か? いや、でも部屋番号を見せた記憶もないんだけど……

 

 どうやら俺のプライバシーというものは、昨日貰ったプリント紙より薄いものらしい。

 

「ふふっ、冗談ですよ。そんなに狼狽しないでください。でも、慎君がどうしてもと言うのなら、毎朝起こしに行くのもやぶさかではありません」

 

「それは俺が社会的に死にそうだから遠慮しておくよ……」

 

「あら、残念です」

 

 また、心にも無いことを……いや、そうか。今まではきっと違ったんだろうな。

 

 彼女は天才と呼ばれる分類の人間だ、それは疑いようもない事実だし、それを否定する気もない。

 

 だが、多くの人は彼女の域には届かない。それ故に理解が出来ない。

 

 凡人──言い方は少し知性に欠けるが、多くの人にとって彼女の考え、その姿は気味悪いものに見えてしまう。

 

『出る杭は打たれる』という言葉があるように、人間の社会というのは異質なもの、或いは一つ飛び抜けたものに対して忌避する傾向にある。

 

 無論、彼女はそれを理解している、彼女は天才だから。

 

 だからこそ、彼女は諦めている──自分と対等な理解者が現れることを。

 

 そして今、彼女の隣にいる俺も結局はアンドロイド。

 

 どれだけ、姿形が似通っていたとても、俺は人間じゃない。

 

 どこまでいっても──たとえ俺がいくら望んでも、俺は人間にはなり得ない。

 

「慎君? どうかしましたか?」

 

「……いや、なんでもない。そろそろ行こうか。今の時間なら人の通りも少ないだろうしね」

 

 そう言って、彼女に手を差し出す。

 

「ふふっ……ありがとうございます」

 

 彼女もその手を取って、彼女の身体を引き上げる。

 

 やっぱり、軽いな……なんて、そんなことを本人に言ったら、また機嫌を悪くするんだろうな。

 

 彼女は天才ではあるが、同時に1人の人間だ。

 

 些細なことで機嫌を悪くするし、逆に自分の思い通りになれば当然、上機嫌になる。

 

 嫌なことは嫌だし、嬉しいことは嬉しい──そんた当たり前の感性を持った人間なのだ。

 

「ほら……鞄も持つよ。昨日もどうせ持ったんだし」

 

「最後のが無ければ50点でしたね。でも、ご親切にありがとうございます。では、お言葉に甘えさせていただきますね」

 

 無くても50点しか貰えないと考えるべきか、これだけで50点も貰えると考えるべきか。

 

 どちらが正解かは分からないが、彼女の反応を見る限り、今回は間違った対応をしてはいないらしい。

 

 その事実に少し安堵しながら、彼女から鞄を受けとる。

 

 雇われの護衛と護衛対象──何時か終わる、仮初めの関係。

 

 それが契約満了の時か、或いは俺の最期の瞬間なのかは分からない。

 

 もし、そんな仮初めの関係でも、彼女がほんの少しでも居心地が良いと思っているのなら、それを守れるよう尽力しよう。

 

 それこそ、デキる護衛の仕事と()うものだろう? 

 

 俺は、捨てられたとはいえ、戦闘用のアンドロイドとして生まれた──故に誰もが忌避(きひ)する汚れ仕事こそ、俺の本懐(ほんかい)なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 唐突だが、諸君らは動物園のパンダの気持ちというのを考えたことがあるだろうか。

 

 世間一般でいうパンダは愛くるしい見た目に、ひたすらに笹を食べている姿が浮かぶだろう。

 

 ところで、パンダという動物は笹を食べているイメージに反して、思いっきり肉食動物に分類される生き物だ。

 

 事実、パンダが笹を食べても消化できるのは20%程でしかなく、人々にとって愛くるしく笹を頬張る姿は、彼らにとっては死活問題というのが現実である。

 

 つまり、何を言いたいのかというと、人々が捉える事象と、現実の事象とで乖離(かいり)が発生することが時折あるということである。

 

 そう、まさに今、この瞬間のように──

 

「そ、その……坂柳さんと篠坂君って……つ、付き合ってたり……?」

 

「付き合ってない」 「ふふっ……どう思います?」

 

 もう、これで似たような事を聞かれたのは何度目だろうか……? 

 

 いや、隣の彼女も彼女で、なんで否定してくれないんだ? 

 

 君が否定すればすぐ済む話だろうに……はぐらかすせいで無駄にややこしくなっているんだが? 

 

 というか、何時からこんな話が出回ってるんだ? アレか、誰かの策略か? 俺、何か悪いことしちゃったのか? 

 

「慎君、私は悲しいですよ……私、初めてだったのに」

 

「言い方ズルくない? 俺、何もしてない筈なんだけど?」

 

 こうやって免罪は生まれていくのか……実際、俺は何もやってないんだけど。

 

 ここまで来たらいいだろう。どんなことを言われても、俺は無罪を主張し続ける所存だ。

 

「でも昨日、ケヤキモールで手を繋いでたって!」

 

「とても大きな手でした♪」

 

 ──ワンアウト。

 

「カフェで一緒にいたの見かけたって!」

 

「とても素敵な話ができました♪」

 

 ──ツーアウト。

 

「そもそも入学式前に坂柳さんを抱き抱えてたって!」

 

「初めての経験でした♪」

 

 ──スリーアウト、チェンジ! 

 

 駄目だ、明らかな語弊(ごへい)はあるのは確かなのに、やった事は全て事実なんだが……

 

 いくら、Aクラスに選ばれた面々と云えど、最近までは多感な中学生だったのだ。

 

 こういった話は必ず盛り上がるし、右から左へと尾ひれを付けて、瞬く間に伝播(でんぱ)していく。

 

 ……あれ? これ完全に詰んでないか? もう、チェックどころかチェックメイト掛けられてないか? 

 

「しかし、その何というか……篠坂もやることやってるんだな」

 

「おかしいな。やることはおろか、そもそもの時点で何もやってないんだが? 」

 

 何か納得したように、うんうんと頷く男子生徒は橋本(はしもと)正義(まさよし)

 

 俺自身、クラスの面々とそこまで交流がある訳ではないのだが、彼はとても印象に残っている。

 

 あくまで俺の経験則に基づく見解だが、彼はとてもよく他人を見ている。

 

 そして、彼が人間を評価する点は1つ──自分にとって有益か、否かだ。

 

 それを踏まえると、彼は諜報員(ちょうほういん)としてはとても優秀な人材だ。

 

 他のグループに違和感なく入り込むことが出来ることに加え、本人は常に最悪の事を考え、臨機応変に立ち回れる。

 

 この能力はある意味で貴重だ。何せ、諜報は勿論、内部工作においても、うってつけの能力だからだ。

 

 故に味方にすれば極めて有益だし、逆に敵にすれば厄介極まりない──それが俺の彼への見解だ。

 

 況してや、今のAクラスの現状──クラスのリーダー枠を坂柳さんと葛城……だったか。その二人がリーダーという椅子を奪い合っている状況だ。

 

 彼の能力が必要になるのは、火を見るよりも明らかだろう。

 

 無論、相手の葛城さんが無能だと言うつもりない、現に入学式の後、最初に行動を起こしたのは彼だと聞いている。

 

 だが、何時だって戦いというのは優秀なだけでは勝てない。

 

 彼は良い意味でも、悪い意味でも考えが保守的過ぎる。

 

 確かに安牌を取りたいのは分かるが、仮にその安定が崩れるような事があれば、それはそのまま致命傷になる。

 

 最悪の場合、このAクラスの座を他者に受け渡さざるを得ないことになりかねない。

 

 俺はその点に関しては、別にどうでも良いが、他のクラスメイトからすれば、もっての他だろう。

 

 しかし、今現在においては、傍らの橋本さんも、件の葛城さんも深刻には考えてはいないだろう。

 

 なぜなら──横目で隣の彼女を見やる。

 

 穏やかな笑みを浮かべながら、女子の面々と談笑する坂柳さん。

 

 おそらく、彼女達の話題は俺に纏わる根も葉もない話なのだろう。

 

 そんな彼女らも、今まさに選別を受けている最中である。

 

 現在、クラス毎の評価についての情報を共有しているのは、此処では俺と坂柳さんのみだ。

 

 無論、流石に来月になれば、このシステムの全貌が明らかになるのだろうが、それまでに信頼に足る人材の選別をしなくてはならない。

 

 情報の独占というのは、戦いにおいて大きなアドバンテージだ。

 

 その情報を無遠慮に拡散するなど、愚の骨頂。

 

 まずはこの1ヶ月の期間で、信頼に足る者にはこの情報を共有し、クラス内における派閥(はばつ)を確立する。

 

 無論、葛城さんも同じことをするだろうが、初期の優位を得るのは此方だ。

 

 後は何かの機会に乗じて、彼の派閥の土台自体を崩してやれば、そのまま崩壊していくだろう。

 

 そして、この内戦を終えて、はじめてAクラスは1つの集団へと変わる。

 

 その事実を、今のクラスメイトの面々が知ることは無い。

 

「あ~……腹減った。篠坂、学食行かね? 何なら坂柳も誘ってさ」

 

「いや、何で坂柳さんの名前が出るんだ……」

 

「そんな今更、恥ずかしがるなって。もういくとこまで行ったんだ。後は突き進むだけだぜ?」

 

「いやだから、そもそもいってないんだって……」

 

「ふふっ、面白そうな話をしてますね。慎君が行くなら私もご一緒してもよろしいでしょうか?」

 

 ああ……ようやく落ち着いてきてたのに、また話が拗れていく……

 

「おっ、良いね。ほら、坂柳もこう言ってるんだ。今こそ男を見せねえと」

 

「男を見せるも何も、俺のライフはとっくにゼロなんだけど?」

 

 もう勝負はついたのだ、というか、今回は俺の敗けで良いから解放してくれ……

 

「だが残念、俺が引いたのはモンスターカードだ。ほら行くぞー」

 

 HA☆NA☆SE !! ……などと言えたら、どんなに良かったか。

 

 もはや、今の俺に拒否する権利なんて微塵も無いのである。

 

「……? モンスターカード?」

 

 連行される俺を他所に、件の彼女は首を傾げていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 眼前の盆には、黄金色の炒飯、傍らにはスープが置かれている。

 

「おお……」

 

 あまりの出来栄えに思わず感嘆を漏らしてしまう。

 

 外にいた時は、1日2食のコンビニ弁当が常だったせいか、ちゃんとした料理というのを食べるのは、だいぶ久し振りだ

 

「流石、国のお抱えの学校は学食も違うねぇ」

 

 食事は確かに集団の士気を左右する重要な要素だ。

 

 況してや、生徒はポイントという、謂わば金銭を支払って頼んでいる以上、作る側も相応の責任が発生する。

 

「おっ、うめぇ……イケるぜ、この豚カツ」

 

「そうですね」

 

「ああ……コンビニ弁当より全然美味い」

 

 口に入れた米はパラパラしており、何よりも慣れ親しんだ油っこさを一切、感じさせないどころか香ばしさを感じる。

 

 少なくとも、俺はコンビニ弁当でこれ程のものを食べたことはない。

 

「比較対象がコンビニ弁当って……一体、どんな食生活を送ってきたんだよ」

 

「……少なくとも、世間一般の健全な食生活は送ってないかな」

 

「その……なんだ。……1個食うか?」

 

「いや、大丈夫。ありがとう」

 

 おかしいな、何故か同情されてしまった。

 

 ふと、横を見る。俺達と同じ──いや、2年生、若しくは3年生だろうか。

 

 新入生にある和気藹々とした雰囲気を感じられない。

 

 彼が食べていたのは山菜定食。これは俺達が食べているものと違い、0ポイントで購入することが出来る。

 

 所謂、ポイントが無い者への救済措置なのだろうが、サンプルの写真からみる限り、肉や魚は一切使われておらず、他のメニューと比較しても味気なさを感じてしまう。

 

「ん? 篠坂、どうした……成る程な。確かによく見たら結構いるな。山菜定食頼んでいるやつ」

 

 おっと、どうやら彼も気付いたか。やはり彼はよく人間を見ている。

 

 ポイントの変動はもはや確定。そして、それは学年に問わずの共通事項なのだろう。

 

「ということは月に貰えるポイントは変わってくるってことだよな……来月、俺達も0ポイントだったりして」

 

「その時はもれなく俺達もあちら側になるだけだよ」

 

「げっ、そいつは勘弁だぜ。言っちゃ悪いが、あんま美味そうに見えねえしな……」

 

「節約を強要する訳ではありませんが、ポイントの使い道は考えた方が良いですね」

 

 ポイントの上下幅はまだ定かではないが、来月も同じ高額なポイント支給されるのはごく僅かなグループなのは確かだ。

 

 そして、それが明らかになった直後から、クラス毎の競争──このAクラスにおける内戦も激化していくことだろう。

 

『新入生の皆さんにご連絡いたします。本日、17:00より第一体育館の方にて部活動の説明会を開催いたします。部活動に興味のある生徒は第1体育館の方に集合してください』

 

 同じ内容の校内放送が、二回目の復唱に入る

 

 そういえば、今日は部活の説明があったっけか……まあ、興味は全く無いんだけど。

 

「部活ねえ……篠坂と坂柳は部活とかすんの?」

 

「「しない(しませんね)」」

 

「お、おう……二人揃っての即答とはね」

 

「あら、嬉しいです。慎君とは以心伝心みたいですね」

 

 おっと、おかしいな……さっきようやく終わった筈の話が蒸し返されたきたぞ? 

 

「ま、まあ……今のところはね? もしかしたら変わるかもしれないし……」

 

「そんな……私。寂しいです。慎君と一緒にいられる時間が減ってしまうなんて」

 

 いや、何で坂柳さんはこのタイミングで掩護射撃してくるの? 

 

 というか、寂しいって言う割にはめちゃくちゃ笑顔だな。

 

「……お前ら本当に付き合って──」

 

「ない」「ふふっ……どうでしょう♪」

 

「いや、どっちだよ?」

 

 俺はアンドロイドの特性上、余程のことが無い限り、体調を崩すことはない。

 

 だが、もし俺が人間であれば、湯水のように胃薬を消費していたに違いない。

 

 成る程、これが胃が痛いという感覚か……痛んでもどうにもならないんだが。

 

 突きつけられる無情な現実と共に、俺はまた1つ、人間について学んだのだった。

 

 

 

 




いつもの雑談コーナー


燃え尽きたぜ……真っ白な灰に。

「開幕から目の前の奴が死にかけてるんだが?」

……天井ですり抜けて、確定枠でお迎えしました。

「おう……見事な爆死だな」

……あっ、今回は正義君に来て貰ってます。

「雑だな。おい」

やかましい。質問行きますよ。

『篠坂君は料理出来ない?』

出来ませんよ。これまで必要無かったし。

「しかし、アイツも世間知らずだよな。流石にコンビニ弁当と比較は良くないぜ」

まあ、彼自身、そもそもアンドロイドなんで……食生活の乱れくらいじゃどうにもなりませんよ。

じゃ、2つ目の質問。

『葛城君のアクションとは?』

それは正義君に聞いてみましょう。

「アクションっていう程でもないけどな。所謂、自己紹介だよ。新学年のクラス替えとかでやるやつ」

因みに篠坂君は入学式が終わってから、職員室に直行してるんで居合わせていません。

葛城の行動については坂柳さんから聞いたそうです。

「アイツら、本当に付き合ってないの?」

坂柳さんは面白がって、篠坂君は全否定するでしょうけどね。

じゃ、最後の質問。

『篠坂君ってネットミームに明るい?』

まあ、アンドロイドなんで、定職に就こうにもジャジメントの目がありますからね。

余った時間はネットサーフィンとかで潰していたそうですよ?

「存外に世知辛い事情があるんだな……」

まあ、データが抹消された旧型のアンドロイドといってもそもそも戦闘用なんでね。それなりの脅威ではありますよ。

それに今も生き延びていることが、強さの証明でもあります。

では……また次回に。

「最後までテンション低いな!」
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