サラザール・スリザリン:純血主義の起源と思想   作:かかもばな

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2-3.ホグワーツ創設の背景

 10世紀末、ヨーロッパのマグル社会は十字軍遠征をはじめとする数多くの宗教戦争や領土紛争により、社会的混乱が続いていた。ブリテン島も例外ではなく、戦火が各地に広がり、多くの孤児が生まれたことが記録に残されている。その影響は魔法族の世界にも及び、マグルの戦争に巻き込まれた魔法族の子供たちも親を失い、社会の片隅に追いやられる存在となっていた。

 

 そんな時代背景の中で、「マーリンの魔法塾」で互いに学んだ創設者たちもそれぞれの道を歩み、社会に貢献しようと考えていた。しかし、彼らが直面したのは、単なる学問の追求ではなく、社会の混乱に直接影響される現実的な問題であった。特に、孤児の増加という問題は、魔法族とマグル族に共通する深刻な課題であった。

 

 その中で最初に社会的使命感を形にしたのがヘルガ・ハッフルパフであった。彼女はイングランドでキリスト教の修道女としての身分を装い、戦争で親を失った子供たちを保護する孤児院を設立する。彼女の活動は、魔法族とマグルのいずれに属する子供たちにも開かれていたことが記録に残っており、いわゆる「ヘルガ孤児院」として知られることになる。この孤児院では、魔法を使える子供たちも含めて、多くの孤児が集められ、育てられた。

 

 しかし、ヘルガの活動は虚しく、孤児の数は年々増加し、次第に対応に行き詰まるようになる。特に深刻だったのは、魔力の暴走事故であった。孤児たちは親を失い、精神的にも不安定な状況にあったため、魔法のコントロールが効かないことがしばしばあった。

「マーリンの魔法塾」はあくまでも師弟子制度であり、創設者たちを除けばマーリンの弟子として確実視されている人物は10人にも満たない。魔法はあくまでも親から子に受け継がれえる技術であるというのが一般的であった。

 

 そのため、孤児院で起こる魔力の暴走事故は、孤児たちの魔法の使い方が未熟であることに加え、精神的な不安定さと無秩序な環境が絡み合っていた。これにより、孤児院は次第に存続の危機に直面していた。ヘルガは孤児たちの魔力の管理に限界を感じ、ついにはかつての仲間であるサラザール・スリザリンに助けを求めることになる。

 

 なぜサラザールであったのか。当時、サラザールはマーリンと共に古代魔法の体系化に尽力しており、特に親から子に遺伝する魔法やその影響について深い知識を持っていたとされる。孤児院の記録では予言や変身能力を持つ孤児の記載がある。また、彼女はサラザールの理論的な洞察と冷静な判断力を高く評価しており、孤児院で起きている問題を根本から解決するには、彼の助力が不可欠だと考えたのである。

ヘルガからの要請を受けたサラザールは、状況を慎重に分析し、すぐにかつての仲間であるロウェナ・レイブンクローとゴドリック・グリフィンドールにも連絡を取った。ロウェナは理論と知識の体系化に長け、教育的アプローチを重視する立場から、魔法教育の場を整備する必要性を訴えた。一方、ゴドリックは勇敢かつ実践的な人物であり、当初は戦うことで魔法族の立場を守るべきだと主張したが、最終的には他の3人の説得を受け入れ、教育機関設立の方向に同意することになる。

 

 孤児院では、サラザールたちが訪れた矢先にも魔力暴走が発生し、子供たちが制御できない魔法で建物の一部が崩壊する騒ぎがあった。目の当たりにした惨状は、彼らの間で「魔法族のための学校」の必要性を決定的なものとするに十分だった。ここでサラザールが提案したのが、魔法を持つ子供たちが安全かつ体系的に学べる教育機関、すなわちホグワーツの設立である。

 

 その後、4人は具体的な構想に動き出し、各自の専門性を生かして学校の設計に取りかかった。全寮制を基本とする体制が採用されたのは、まさにヘルガの孤児院がモデルとなっていたからである。魔法族の子供たちが身寄りを失ったとしても、ホグワーツが「新たな家」として機能することを目指していたのだ。

 

 こうして、社会的混乱と孤児たちの救済という現実的な問題意識から、ホグワーツ魔法魔術学校は誕生の道を歩み始めることとなる。

 

 

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