ガンダムSEED 太陽の少女 side night 作:黄金鷹
本編と繋がってはいますが、これを見なくても問題は無いです。
「ハァ、ハァ、ハァ・・・まずい」
穏やかな朝の中で、一人だけ慌ただしく走るオレンジの髪の子供
「このままじゃあ・・・」
すれ違う人らもとりあえずぶつからない様に道を開けてあげるが、それらに特に反応を示さず、ただただ走り続けていた
「・・・また居ない様だが、もういい。今から授業を始めるぞ」
教室に入り、一人だけ空いてる席を見つけて不機嫌になる教師。この光景はこのクラスの担任になってから何度も見た光景だった。
「じゃあまずこの」
「すいません!遅れました!」
勢いよく教室の後ろ側の扉を開け、開口一番に頭を下げながら謝罪するオレンジの髪の子供。突然の出来事に近くの席の子供も体をビクッとさせ、驚いていた。
「全くお前という奴は!今回で何回目だと思ってる!今日という今日は許さんぞセナ・ヤマト‼︎」
「ヒェ、ごめんなさい先生〜」
C.E 68年 ヘリオポリスの崩壊から始まる姉弟の戦いの4年前、後に太陽の少女と呼ばれるセナが、まだ子供の頃の話しである。
「あ〜今日もこってり絞られた・・・来たばっかなのにもう疲れた」
担任からの説教が終わり自分の席で死んだ様に伏せるセナ。昔から通学路で寄り道をしてしまい、気づいた頃には知らない場所に来てしまい、慌てて戻るも遅刻して怒られる事を、何度も繰り返してきた遅刻常習犯だった。
「もう、いつもいつも何をしたらそうなるのよセナは・・・」
「セナちゃんって朝起きるのは出来るタイプなんだよね?ならもっと速く家を出た方が良いんじゃないの?」
セナの席に近寄り話しかける二人の女の子。セナとはクラスでの友達だった。
「そうなんだけど、そうじゃないのよね・・・どれだけ速く出ても、結局寄り道したら迷うもん」
「なら寄り道するなよ!ていうかどうやったらそんな迷子になるんだよ毎回毎回」
「仕方ないじゃん!あんな可愛い猫いたら、つい触りたくなるじゃん!」
無類の動物好きであるセナは、可愛いと思えるものを見つけたら一目散に近寄り、愛でてしまう。たとえその動物に逃げられても見失うか捕まえるまで追いかけてしまい、気づけば隣町にまで追いかけてしまう程だった。
「確かに猫は可愛いだろうがな・・・そこまでするか普通?」
「ていうかセナちゃん、動物なんでも好きだよね?その、この前はトカゲを追いかけたりしてたし」
「動物というか生き物全般好きだよ私は。哺乳類も鳥類も。魚類とか両生類爬虫類、なんなら虫とかでも行けるよ」
「マジかよ⁉︎絶対に私の前に虫連れてくるなよ!虫だけはダメなんだから私」
「そんな子供みたいないたずらしないよ、なんだと思ってるのよ私を」
(可愛いのを見かけたら追いかけるのは子供だろ・・・)
(可愛いのを見かけたら追いかけちゃうのは子供っぽいけど・・・)
セナの友人達は子供っぽいと内心思っていたが、口には出さず心に留めてくれた
「そんな見た目だけで判断するのは良くないと思うんだけどな・・・たとえばヘビとか目とかクリクリで可愛らしいし、それに手触りだって」
授業開始のチャイムが鳴る
「あら、授業始まるな。じゃあまた後でな」
「また後でねセナちゃん」
「分かったよ」
それぞれ席に着くセナの友人達。そのまま授業を受け、休み時間には他愛のない話しをし、放課後の帰り道は方向が違う為すぐに別れてそれぞれ帰路についた。
「ただいま」
元気よく扉を開けて自宅に入るセナ
「お帰りなさい。今日は遅刻しなかったでしょうね?」
迎えてくれたセナの母、カリダはセナに尋ねる
「そ、そりゃあもちろん・・・ごめんなさい」
一度は誤魔化そうとしたが無理だと悟り、白状するセナ
「貴女ねぇ、気をつけなさいよ全く・・・」
「ごめんなさい・・・」
「もう良いわ。帰ってきたのなら手を洗って、手伝ってくれる?」
「はーい」
カリダに返事をすると着替える為に自室に向かうセナ。部屋に入るとくつろいでいる茶髪の男の子、弟のキラが居た。セナとキラの部屋は一室にまとめられており、部屋の右側をセナ、左側をキラのベッドや荷物などが置いてあり、分断されているのだった。
「あ、おかえりセナ。また遅刻したの?いい加減治しなよ遅刻癖」
「分かってるんだけどね・・・今日は逃げられたしね。次はあのルートから回り込めば」
「・・・駄目だこりゃ」
全く反省の色が見えないセナに呆れる様にため息をつくキラ
翌日、学校が休みのセナはキラと共に外に出かけていた
「ねぇ、なんで僕まで連れてくるのさ・・・家でゆっくりしてたかったんだけど」
「そう言って学校以外は外に出ないじゃない。偶には体動かしなよ。コーディネイターだろうとも運動不足は良くないのよ」
「別にまだ若いんだし、そんな心配いらないよ」
「そんな事言ってると可愛い彼女が作れないぞ。いつまでも私に甘えられるわけじゃないんだから」
「甘えてないでしょ!もう」
不機嫌そうに歩いてはいるが、セナと歩幅を合わせて歩くキラ。元々身長はセナと同じくらいではあるのだが、基本的にセナがいる時はセナの隣を陣取っている事が多いキラはなんだかんだ言ってセナの側にいたがるちょっとだけシスコンだったのだ。
「というか今日は何するの?買い物じゃなさそうだけど・・・」
「何するって、ただ歩くだけよ。何か可愛い子、見つけたいしさ」
「はぁ・・・なら一人で行ってよ。僕いる意味ある?」
「一応念のためね。あの時はたまたま近くに人がいたからなんとかなったけど、あれは・・・ちょっと危なかったしね」
「もしかして今日はヘビ探すの⁉︎まだ懲りて無かったの?」
少し前に一人で散歩していたセナがヘビを見つけて戯れていると、首に巻きつかれて絞められてしまう事があった。偶々通行人に助けられて事なきを得たのだが、それ以降セナは一人ではヘビに近づかない様にしていた。
「当然よ!前のは少し大きいからヤバかっただけだし、小さい子なら行けるかなって。それに助けてくれる人がいるなら問題無しよ」
「いやいや、僕にどうしろと・・・他にも可愛い子いるでしょ。ウサギとかハムスターとか」
「その子達も可愛いけど、この辺に居ないからね・・・それにみんなに好かれる子達はみんなといる時に行くからさ、あんまり会えない子と会いたいのよね」
「僕だってヘビは苦手だよ・・・あっ、でっかいカエル」
手のひらよりも大きいサイズのカエルを見つけたキラ
「よく見つけたわね。可愛い顔!」
カエルを刺激しない様に近づき、色々な方向から眺めて愛でるセナ
「そうかな?もっと小さい奴とかならともかく」
「こんなにつぶらな瞳をしているのよ!可愛いじゃない・・・なんでこの辺の子は動物苦手な子ばっかなんだろ」
「セナ程の動物好きは珍しいと思うよ・・・世界中探しても」
「いやいやそんな事無いよ。きっといるよ、同士が」
「いると良いね・・・セナは多分動物園のスタッフが転職かもしれないよ」
「動物園か・・・それより動物学者とかの方が良いかも。世界中の子達を見て回れるなら楽しそうだし。キラは将来何になりたい?」
突如将来の夢について聞かれて困惑するキラ
「えっ?・・・いや特になりたいものは」
「漠然としたものでも良いから、何か無いの?ほら誰かのお婿さんになりたいとかさ」
「それどちらかというと女の子が夢見る奴じゃ無いの?お嫁さんになりたいって奴」
「そうかも・・・というかキラがモテるイメージが無いかも」
「酷くない⁉︎」
「いや、顔とかスペックとかじゃなく、そのめんどくさがりな性格がさ・・・面倒見てくれる子見つかるかなと」
「あのね、僕だってもうやらないといけない事はやる様にはなったんだからね」
「それこそキラの事を好きになってくれる子がこの世界のどこにいるのか、そっちの方が大変そうね」
「人の恋愛を気にするより自分の事心配したら?セナを受け止めてくれる男の人なんてそれこそ居なさそうだし」
「言ったわね!いつか見つけるもん!」
セナとキラ。仲良し姉弟の他愛のない休暇の時は、それからもしばらく続いていた。だが外の世界ではナチュラルとコーディネイターの争いがある事を、それらに巻き込まれその中心に立たされることなど、この時の二人には知る事はできなかったのだ。
思いついた話しを少しずつ出すだけなので、不定期更新になります。ご注意ください。