ガンダムSEED 太陽の少女 side night 作:黄金鷹
アークエンジェルが砂漠に降り立った頃の事。医務室で眠り続けるセナの看病をフレイはしていた。看病と言っても他にやる事が無いのでセナのすぐ近くに座って様子を見ているだけだった。
「・・・起きないわねセナ。まさかこれ、死なないわよね?」
フレイが不安になるのも無理は無かった。アークエンジェルが砂漠に降り立ってからもう半日程経過していたがセナが起きる気配は微塵も感じなかった。
「大気圏突入をモビルスーツだけで行ったのよね。しかもナチュラルで・・・ほんと羨ましいわね」
フレイは父親を殺したザフトに恨みを持っており、直接自分の手で殺してやりたい程だったが、今の自分にはモビルスーツに乗って戦う事もアークエンジェルの砲撃手として敵を撃つ事も出来なかった。目の前で殺るか殺られるかをただ見ているだけなのは思いの外心にくるものだった。
そんなフレイからすれば軍人として訓練を受けていなければコーディネイトされていないにも関わらず、あれだけ戦えるセナの才能を羨ましく思っていた。
「どうしたらアンタみたいになれるかしらね・・・それだけの強さがあれば私は」
セナの事を見つめるフレイの目は冷たかった。セナの事は友達とは思ってはいるものの、憎しみに囚われている今のフレイにはセナも自らの復讐を手助けする駒の一つにしか見えなかった。
「何があってあんな無茶をしたから知らないけど、速く起きてきなさいセナ。そしてまた、アイツらを殺してよ。もっと、もっともっと。いっぱい多く殺してよ」
邪悪な笑みを浮かべながらセナを眺めているとセナが僅かに動く気配を感じた
「ん?やっとお目覚めかしらね。長かったわね」
フレイの予想通りにセナが目を覚ます
「ん、うぅん・・・あれ、ここは?」
「気がついた?」
「フレイ?なんでここ、ウッ!」
起きあがろうとしたがその場でうずくまるセナ
(流石に体は完全には治ってないわね。そりゃセナはナチュラルだもんね。そう簡単には行かないか)
「ダメよ、急に起きちゃ。ここは艦の医務室。セナ、着艦した時に倒れたの覚えてる?キラとフラガ少佐にキャッチしてもらわなければ大怪我してたんだから」
「着艦・・・ならここは」
「地球よ、砂漠。昨日の夜ここに降りたのよ」
「そう・・・ん?フラガ少佐?」
(あ、そういえばセナは階級の事、まだ聞いてなかったわよね。仕方ない。ここで適当に恩でも売ってみようかな)
セナに自分達の階級について説明しているとトールとミリアリアが見舞いにやってきた。それから少し会話をした後にセナはミリアリアと共に自室に向かっていった。
(セナは今はこれくらいかしらね。まぁ次はキラの方ね。なんか知らないけど元気になっててムカつくわね)
フレイからすれば同じコーディネイターでもあるキラには出来るだけ戦って苦しんでほしいと思っていた。それはただの八つ当たりである事はフレイも内心分かってはいるが、それでも自分には抑えられないものだった。
「なぁフレイ。大丈夫か?さっきまでずっとセナの看病をして疲れただろ?よかったらフレイも休んだらどうだ?」
「ありがとう・・・けど私は大丈夫よサイ。私もやれる事はしないとね」
(何かしらでキラと接触して、私の為に戦ってくれる様にしないとね)
「そうか・・・なら俺もやる事あるし、じゃあまた後でな」
フレイが内心何を考えているのかを知らないサイはそのままブリッジに戻っていった
「さて、まずは偶然を装うとこからかしらね」
医務室から出て通路を渡っていると丁度キラが駆けていくのを見つけたフレイ
(あら、タイミング良いわね。それに丁度人もいないし、これなら・・・)
理由は定かでは無いが急いでいるキラとタイミングを合わせ出会い頭にわざとぶつかるフレイ
「キャァ⁉︎」
「わっ⁉︎フレイ!ごめん、大丈夫?」
思いの外キラの勢いが強く、その場で倒れ込んでしまったフレイに手を差し出すキラ
「え、ええ。ありがとうキラ」
(痛いわね・・・こんな細い体のどこにあんな力があるのよ!)
内心の愚痴をなんとか押し留めながらキラの手を借りて立ち上がるフレイ
「それよりもどうしたのキラ?そんなに慌てて」
「あ、ごめん。セナが目を覚ましたと聞いて。居ても立っても居られなくて走っちゃったんだけど・・・どこにいるか知ってる?」
「う〜ん・・・私もどこに行ったか分からないのよね。今は医務室には居ないし。良かったら一緒に探しましょう」
「良いの?ありがとうフレイ」
本当は自室に行った事を知ってはいるが敢えてその事を伝えずに探すふりをしてキラと接触する時間を伸ばそうとすふフレイ。そのまま共にセナを探しにしばらく通路を歩いていた。
「そういえばキラはさっき何をしてたの?」
「僕はストライクのOS調整を。大気圏内だから今までと同じ様には行かないからね。少しでもザフトに対抗出来るようにしないとね」
「そうなんだ・・・凄いねキラは」
(ザフトと戦うのに抵抗は無い、寧ろ以前より乗り気ね。良い傾向だわ)
キラがセナの分も戦おうと気合いが入っているのを知らないフレイだったが、キラが対ザフトに尽力しているのを確認して一人ほくそ笑むフレイ
(けどキラの事だし、どこかで精神的に参る時が来る筈。その時に私が慰めれば・・・行けるわね)
心の中でキラを籠絡するための計画を練るフレイ。だがキラが精神的に参る頃にはフレイの復讐心が薄れた頃になるとはこの時は知る由は無かった。
この頃のフレイはザフトへの復讐で頭がいっぱいなのですが自身が戦えない、戦う才能が無いと思っていた頃なので自分で倒すという考えがありません。そして戦争が悲惨な事だと知れば復讐心が薄れてしまいキラやセナの事を止めるようになります。
フレイがモビルスーツに乗れる頃には既に復讐心は無くなり戦争を終わらせる為に戦いだしたのでこの頃に乗れるようになっていたらおそらく生存フラグは立たなかったと思います。