ガンダムSEED 太陽の少女 side night   作:黄金鷹

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アカデミー時代のシン達の話しです。独自の設定を入れた結果本家よりもとっつきにくいシンにルナマリア達がどうやって仲良くなったのか・・・という話しです。


馴れ初め

「ねぇマユ。シンの好きなものって何か分かる?」

「えっ?急にどうしたのルナ?」

 

休み時間にルナマリアに問われたマユは首を傾げながら質問する

 

「いやだってシンの奴、同じ班になったってのに全然打ち解ける気ないじゃない。ならこっちから行動しないとって」

「あ〜それはあるかもね」

 

振り返ってシンの席の方を見るマユとルナマリア。そこには席に座ったシンが読書をしているところだった。シンは休み時間の時はトイレや購買に行く以外では基本的に自分の席で読書をしている事が殆どで誰とも話したがらなかった。その上いつも何かを睨みつける様な目つきで常に不機嫌そうな顔をしており誰もが声をかける事を躊躇している状況だった。

 

「一応あれって怒っているわけじゃ無いんだよね?」

「うん、あれは本を読むのに夢中なだけだから・・・」

「でも授業中とかもシンはいつもあんな顔してるよお姉ちゃん。あれも集中してるって事?」

「それに声かけても一言だけだし。人と話したがらない奴なのかな?」

 

横からやってきたメイリンやヴィーノもシンの方を見ながら話しに入ってくる。学部が違う為に関わる事も多くない二人ではあるがそれでもシンの態度になんとか打ち解けたい思いはあった。

 

「だからシンの趣味趣向とか分かればなんとか打ち解けるきっかけになるかなって・・・けど私達みんな読書しないからさ」

「それで好きなものを聞こうと・・・と言っても私もそんなに詳しくは無いよ。読書以外はその日の復習とか筋トレくらいだし、あとはご飯作れるくらいしか」

「「シンって料理出来るの」」

 

驚愕のあまり声が出てしまうルナマリアとメイリン。シンの意外な特技に思わず大声を出してしまいそれは読書中だったシンの耳にも聞こえていた。

 

(んだよ、急に大声出しやがって・・・そんなにおかしいかよ)

 

内心煩わしそうにしながらも横目で様子を伺うシン。それに気づかないままルナマリア達はマユに話しかけている。

 

「えっ凄っ⁉︎そんなのも作れるの!凄いじゃん!」

「私達よりも料理上手いじゃん!いつも?いつも作ってるの?」

「う、うん。毎日作ってもらってるけど・・・」

 

話しが盛り上がるマユ達を見ていたシンは目線を戻して読書に戻ろうとする。その直後に授業開始のチャイムが鳴り響く。

 

「あ、ヤベ!もう戻らねーと。またな」

「じゃあまた後でねお姉ちゃん、マユ」

「うん、また後で」

 

それぞれの席に戻っていくメイリン達。そのまま授業を受け、昼休みの時間にまたマユの席に集まっていた。

 

「あ〜お腹空いた。早く食べようよ」

「アンタのお弁当、ほんと美味しそうよね。これもシンが?」

「うん。お兄ちゃんの手作りだよ」

「うん・・・なんか負けた気がする」

「分かるよお姉ちゃん。まさかシンの方が女子力高いとはね・・・」

 

マユ達が盛り上がる様子を横目で見ていたシンも昼食を食べようとするがカバンの中に自分の弁当が入ってないことに気づく

 

(ん?無い・・・やっべ⁉︎家に忘れてる!)

「お〜い、お兄ちゃん。一緒に食べない?」

「えっ⁉︎急にどうしたんだ?」

「偶には良いでしょ。いつも一人なんだしさ」

「そうよ。同じ班なんだし互いの事知った方が良いでしょ?」

「いや、良いよオレは・・・」

「忘れたんだろ?さっきの慌てぶりを見るに」

「「「へっ⁉︎」」」

 

声をかけられた方へ振り向くシン達。そこにはレイが飲むゼリーで食事をとるレイがいた。

 

「珍しいわねレイ。どうしたの?」

「飯を忘れて慌てるシンを見かけたからな。ほら、少し分けてやる。食わなければ午後からキツいぞ」

「良いよ、お前が食えば良いだろ。ていうか分けてやるって・・・コレ?」

「これ以上渡せるものは無いぞ。足りないかもしれんがそこは我慢してくれ」

「まてまてまて‼︎寧ろ申し訳なくて貰えねーから!」

 

レイがシンにゼリーを渡そうとしていたがシンは受け取るのを躊躇していた。ただでさえゼリー2つは少ないと思っていたがそれを分けようとするのは関係性とか以前に申し訳なさが上回っていた。

 

「別に良いから!今から購買行けばなんかあるだろ!」

「だがこの時間は混むぞ。それに残っているとも限らんぞ」

「だからってコレは流石に申し訳ねーよ!お前が食え!というかもう少しなんか食えよ!」

「俺は少食だからな。これで十分だ。寧ろお前の細さの方が心配になるぞ」

「オレは良いんだよ!これでも頑丈なんだから!」

「あ〜あ、なんとか買えたな」

「あの短時間であんなに減るとはな・・・俺らで最後だったな。危うく買えなくなるところだったぜ」

 

購買から戻ってきたヨウランとヴィーノが教室に入ってくる。その会話を聞いたレイがシンにゼリーを押し付けようとする。

 

「ほら見ろ。もう受け取るしか無いだろ」

「別に良いから!オレは一食くらいなら問題無いから」

「それはダメだよお兄ちゃん!私のおかず分けてあげるから」

「マユ・・・しれっとピーマン押し付けるな。好き嫌いせず食べなさい」

 

箸でシンの口にピーマンを入れようとするマユをやんわりと嗜めるシンにマユは口を尖らせながら抗議する

 

「え〜だって苦いんだもん。お兄ちゃんは食べれるんだからそれで良いでしょ。そもそもピーマンなんて食べなくても他に野菜食べてるから問題無いしこの程度の量食べなかったくらいで体が悪くなるわけ無いんだしそれなら食べたい人だけが食べれば良いんだよ私はピーマンなんか食べなくても生きていけるから良いのよなのですお兄ちゃんが食べれば良いと思うの」

「凄い早口で言い訳している・・・」

「マユもそういうところは年相応なんだね・・・」

 

一息で言い切ったマユに少しだけ引いているルナマリアとメイリン。だがマユの反撃は終わっていなかった。

 

「それにお兄ちゃんだって好き嫌い多い癖に。ナスとか貝とか。あと酸っぱいの苦手な癖に」

「そ、それとこれは別だ。今はオレの好き嫌いじゃなくて」

「へぇ、そうなんだ。意外〜」

「な、なんだよ。それがどうしたっていうんだ。大体だけどあのブヨブヨな食感とかグニグニした食感が嫌いなだけであって別に子供舌ってわけじゃないしあんなの普段から食わなくても他で補えばなんとなくなる程度の栄養素しかないし食べなくてもオレは良いんだよそれに酸っぱい味が苦手とか言ったけど逆に聞くがあんな味を好む奴がいるのが疑問だね誰だ酸味なんて味考えた奴そんなもん無くたって人間生きていけるんだからオレは食わないだけだ」

「うわっ、そういうとこ兄妹だね」

 

マユと同じく一息で言い訳するシンに再び引いているルナマリアとメイリン。横から未だにゼリーを渡そうとするレイを無視しながらシンとマユはお互いに肩で息をしていた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ・・・良いから食べなよ。贅沢言える立場じゃないでしょ?」

「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ・・・良いから自分で食え。そもそもそれだけ貰っても変わらねーよ」

「なら私のも分けてあげようか?プチトマトは食べれるでしょ?」

「だったら私も。あげるよグリーンピース」

「だから良いって・・・お前らも嫌いな奴押し付けてないよな?」

「イヤ、ソンナコトナイヨ」

「チガウヨ、コドモジャナインダシ」

「嘘つけ‼︎急にカタコトになってるじゃないか!」

「なんだなんだ?珍しい集まりだな」

 

騒ぎを聞いてヴィーノとヨウランもシン達の方に寄ってくる

 

「どうしたんだ?早く食べないと昼休み終わるぞ」

「だってさ。だからほら、食べなよ」

「「ほらほら、遠慮しなくて良いから〜」」

「だからオレは良いって、ちゃんと食えよお前ら」

「ああそういう・・・ほらよ、こんなもんでよければやるよ」

「しょうがねーな、ほい。コレで良いか?」

「だから良いって・・・なんでどっちも飲み物なんだよ!というかなんだこの飲み物‼︎」

 

シンはヨウランとヴィーノに渡された青い飲み物を見て絶叫する

 

「どこに売ってんだよコレ!」

「いや自販機にあったから面白そうで」

「けどどんな味か想像出来ねーし飲むの怖いと思ってな」

「オレを実験台にすんな‼︎責任持って自分で飲め!」

「シン。なんでも良いから食った方が良いぞ。午後から体術訓練があるんだぞ」

「お兄ちゃん、良いから食べなよ。ほら」

「だから・・・ああもう!分かったから!食うからそこ置いとけ!」

 

ヤケクソ気味に叫ぶシンに微笑みながら食べ物を恵むマユ達。先程よりも不機嫌になっているシンだったがそれが逆に親しみやすさを感じていた。

 

「なんかイメージ変わるよな。思ったより怖くなさそうだし」

「案外いじりやすい奴かもなシンって」

「クソッ、もう弁当忘れねーからなオレは!」

「そっか・・・じゃあ私が忘れたらおかず分けてよね?」

「そん時はナスでもやるよ」

「好き嫌いは良くないよお兄ちゃん」

「そうだよ。なんでも食べないと」

「お前らが言うな!それはそれとして意外と美味いなこのジュース。飲むか?」

「「美味いのかよ!?」」

 

賑やかにしているシン達。その様子を教室の外にいたエリスが覗いていた。

 

(どうしよ・・・せっかく渡そうと思っていたのに)

 

シンが弁当を忘れているのを見かけて渡そうとしていたがシンがいじられているのが面白くて静観していたら入るタイミングを失っていた

 

(う〜ん、仕方ない。コレは私が食べるか。それにしても)

 

もう一度シン達の方を見るエリス。ぎゃあぎゃあ騒いでいる様子は年相応の学生らしく様子を見ていたエリスは満足げに微笑んでいた。

 

(シンの奴、楽しそうじゃない・・・先日から心配してたけど、あれなら大丈夫そうね)

 

この日以降シンはルナマリア達に声をかけられる事が増え、ヴィーノやヨウランにおかずをたかられ、レイにゼリーを渡される様になりツッコミを入れる事が増えていた。態度には表していないがシンは以前よりも楽しそうにしているとエリスには感じていた。




本編でもシンにはやたらとツッコミをさせてる気がしますが多分アカデミーの頃からこんな感じだったと思います。このメンバーに後にエリスが隊長として入って更に騒がしくなるのが本編での関係性だと思います。
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