賭ケグルイ 転   作:神剣狩刃

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第5話 手にする男

妄さんから三行半を言い渡された俺は考えていた。

「『死ぬ覚悟』…あの人に教えてもらうしかないか…」

同じクラスのとある女子に話しかける。

「『蕾奈々美』さん…『債務整理大集会』のことなんだけど…」

 

「まさかお前と組むことになるとはなあ、孤ヶ見?」

「木渡さんと俺が組めば勝ちっすけど…どっちが勝ちます?」

俺は『蕾奈々美に3000万円の借金がある』ということにして

この『債務整理大集会』に参加した。原作の蕾さん通り木渡と組むことになった。

 

参加動機は単純、『蛇喰夢子を実感する』ためだ。金は二の次だ。

「まあ、俺は木渡さんに勝ってもらいたいっすけどね。」

「お前も勝ちに行けよ?家畜に負けたとあっちゃあ、恥もいいところだぜ?」

とりあえず木渡を勝たせる方針にする。

 

「俺と木渡さんが組んでいないような演技をしましょう。仲悪そうにして…」

「通しのサインはこれでいいな?…これで俺たちの勝ちは決まったな。」

作戦会議を終え会場に入る。ほどなくして蛇喰と早乙女が入ってくる。

 

「俺なら恥ずかしくて自殺してるね。家畜は人間に搾取」

「その辺にしとけ木渡…木渡が変なこと言って悪かったな。」

「いえいえ!舌戦もギャンブルには大切ですから!」

「夢子…アンタもうちょっとなにかあるでしょ…」

こうして『結果を知っている』ダブルインディアンポーカーが始まった。

 

原作通りゲームが進み、最終ゲームになる。

俺は早乙女チップを一枚賭ける。

原作通り蛇喰と早乙女がコールする。

(いい勉強になった。少しは覚悟ってものを)

 

俺が木渡から伝えられたのは『ダイヤの2』だった。

木渡の顔を見る。黙って頷かれた。

 

(…嘘だろ…ここで負けたら…)

 

蛇喰チップと早乙女チップの額が入れ替わることを考慮しても4位。

3億1000万の借金を背負うことになる。それは『詰み』を意味する。

 

目の前が暗くなる。

 

ああ、あの時、引き金を引いて死んだほうがましだったのかも。

 

「孤ヶ見さん。諦めてしまって良いのですか?」

 

蛇喰が俺の耳元で語りだす。

 

「生志摩さんに引き金を引いた時の貴方は…とてもいい眼をしていました。

動機は少々不純でしたが…

目標のために『人殺し』のリスクを背負う…紛れもなく『ギャンブラーの眼』をしていました。」

 

「それが今はどうでしょう?絶望に沈んだ『死んでいる眼』になっています。

貴方が望んだものは一つの敗北で諦めてしまえるものなのですか?

それであれば最初から望まないほうが良かったと思いますよ?」

 

「ああ、それとも『諦めたほうがいい』と思ってしまいましたか?

それもいいと思います。私にはまったく理解できませんが…それも一つの選択です。

でしたら早く終わらせましょう。」

 

「『一生諦め続ける』孤ヶ見さん?」

 

お前こんなキャラ好きなの?変わってんなあ…

 

見た目も性格も最高じゃないか!誰が何と言おうと…

俺は妄さんが好きなんだ!殺したいし、殺されたいんだ!

 

知るか!そんなことはよぉお!あたしは!

あたしのヤりたいようにヤるぞっ!!

夢子ぉ!見てろよ!お前には絶対にッ

あたしの全てを奪ってもらうからなァ!!!

 

妄さんは何度負けても、何度拒絶されても諦めなかった。

俺はあの人のその姿が好きになったんだ。

 

なのに俺は

 

一回負けそうになったぐらいで

 

一回拒絶されただけで

 

『諦め』ている。

 

妄さんならこんな状況でも笑うだろう。

 

なぜなら『狂っている』から。

 

「…うへっ…」

 

アダムとイヴは『蛇』に唆され禁断の果実を口にしたという。

『狂気』という禁断の果実を口にしなければ手に入れられないものがあるのならば。

 

「ひゃあっはっはっはぁ!そうだよなあ!?

そうだよなあ夢子ぉ!?こんぐらいで諦めるなら端から追わなきゃいいよなあ!?」

 

俺もあの人を手に入れるなら『狂って』しまえばいい。

 

「負けるならとことん負けてやろうじゃねえか!コール!」

ありったけのチップを場に出す。

 

「孤ヶ見!?てめえ正気か!?」

「『正気』なわけねえだろ!?『正気』で『妄さんを手に入れられる』わけねえだろ!?

俺は負けるために来たんじゃねえ!『妄さんを手に入れる』ために来たんだ!」

俺は高らかに宣言する。気分がいい。晴れやかだ。

 

「素晴らしいです!その眼ですよ孤ヶ見さん!貴方にはその目が似合います!」

夢子が俺に抱き着いてくる。狂気に満ちた瞳を爛々と輝かせている。

「ああ、夢子!『あの言葉』を一緒に言ってくれないか!?俺は変わるんだ!」

「ええ!もちろんです!新しいあなたの門出を祝して…」

 

「「さァ、賭け狂いましょう!」」

 

カードを開く。俺は9のペアだった。

俺を勝たせたくなかった木渡はウソを教えていたのだ。

 

試合が終わり、チップの金額の入れ替えのイカサマが明らかになる。

俺の順位は2位だった。3000万失うが…

 

それ以上のものを手に入れた。




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