割と誤字が多いことを指摘されてしもうたので只でさえ遅いのに更に遅くなっているので何とか頑張っていきたいです・・・。
蛇さんは0から10の物を作る事が得意な奴です。
そこから更に100とか1000とかに変えてしまうのが貴人さんの領分です。
この違いがいつ表に出せるかと言うと・・・はい当分ございません(
まずは全体の需要分布を作っていく事から始めなければならない。
精霊の里と言う多種族が一塊に集まったコロニーを形成しているとは言え、各種族で各々に求める物は違ってくる。
例えばエルフは長命であるがゆえに、身体の不具合が重なっていきやすい。
若々しい見た目でも案外、デンタルヘルスなどは結構な消耗が起きている。
例えばドワーフ。
彼らは鉱石と金属製品の取り扱いや製造に長けた種族だが、鍛冶というのは溶かした金属を扱うので長時間、強光を目にするのでたとえ収斂進化を遂げたとしても眼球へのダメージを受けやすいことに変わりない。
弾けた鉄が目に入って失明にも繋がるのも往々にして存在している。
獣人たちもまた多種多様の細やかな問題を抱えている。
調べれば調べる程、仕方がないとして諦めるか、出来得る限りの工夫をしても漏れる問題が山積していた。
ただこれらは現地の素材やアイテム次第でどうとでもなるとカムンは考えている。
というか帰れない状況下で本来の活動次元にある高性能部品を使うのは不可能。
どちらかと言うと彼らに持続的な消費を促すための経済基盤を作ってもらう方が重要だ。
彼らの製品をこちらが買い取って運搬し、中卸しで稼ぐ。
これが一番であると彼らの牧歌的とも言える生活を見てカムンはそう考えた。
少なくとも、余って勿体ないと思うところにリソースを振り分けてもらえればそれで良いのである。
消費社会に放り込むことは必ずしも幸せにつながらないのだから。
それと並行してカムンはリオと共に精霊術に関する講習を受けていた。
最もリオは兎も角、カムンは世界の基礎技術を把握するために受けている為、割と面倒なぐらいに質問を投げかけた。
いわゆる、素人ながら質問ですが、という事である。
中には返答を思わず窮してしまうような経験口伝では把握できない事も間々あった。
他にもカムンは精霊の里を通した世界の歴史も把握に努めた。
この世界がいま、どのように成り立っているのか。
全ては過去からの積み重ねである。
それが一度、壊れたりすればその爪痕は必ず残るし、これからそういう【天災】が起こるかもしれない。
この大陸、ユーフィリアには千年ほど前に突如として魔物と彼らが呼称している怪物が出現して大陸全土にわたって被害を齎した。
カムンはこれを【汚染構成子】の【噴出穴】が現れて反生物が生成された結果、起こった次元災害だと考えている。
もちろん、細かい理論は別であろうが概ねそういう認識に近いことだと判断した。
そのあとは世界が壊滅的な被害を受け、事態を重く見た精霊王たちも出師したが帰ってくることはなかったのは知っての通りだ。
信仰の核であり、守護者でもあった精霊王たちが消えたことや精霊を隷属させる術式の開発により、ただでさえ負けていた人族以外の人種と精霊は生存競争で敗北した。
以後、彼らの扱いは人族―――ホモ・サピエンス(と思える人種)の嗜好品に堕ちたのである。
手厳しいことを言うのならばヒトを見限って離れたなどと華々しい事を言っているが、結局は土地争いに負けて追い出された負け犬の遠吠えに過ぎない。
迫害から逃れる彼らは種族の壁を越えて団結し、人がより付けない未開森の奥底で腰を据えるほかなかったのだ。
本来のホモ・サピエンスはそこまで他人種を排斥するような攻撃的な存在ではなかったという。
それもあくまでリソースが豊富にあって【共有】できるからであって、定住化と人口増加によって【所有】が生まれて【共有】が失われれば【仲間】以外は敵である。
精霊の里が多人種構成でありながら団結しているのも【数】とリソースが何とかそのバランスを保てて【共有】できているからに過ぎない。
これが崩れれば立ちどころに内部抗争が勃発し、四散するであろう。
これらの手厳しい意見をもう少しウェットとオブラートに包んだ表現で伝えたところ、渋い顔をしつつアースラ達はそれを認めざるを得なかった。
問題はその事実を受け入れてどう次につなげ、どう未来を作り上げるのかが重要だとカムンは考えている。
幾星霜に亘る文明の興亡を見て、幾度と同じ問いを繰り返し投げかけ続けた末にたどり着いた変哲もない結論だ。
まぎれもなく客観的な事実なのだから、顔を真っ赤にしようが今の隠者も同然の暮らしをしているのは否定しようもない。
ただ、その不幸が果たして功を奏して【文明の欠点】を持たず、なんやかんやで幸福度の高い生活をしているのは何とも皮肉と言うべきだろうか。
彼らは団結した後も苦労と衝突を重ねてどうにか今の状態を作り上げたそうだ。
これだけでも一つの物語が作れそうだが、今回はあまり深堀しないでおこう。
リオと共に勉学を行う一方でカムンは里の需要を調査した。
例えばドワーフたちには眼の火傷対策で遮光防護のマスクを作って提供してみた。
顔が蒸れて汗が目に入らないよう冷風機能の魔術を刻印してみたところ非常に好評だった。
遮光機能より冷風機能が喜ばれたのは何とも言い難いものを感じたが喜んでくれるのなら問題なし。
ついでに冷風機能付きのベストを作ってみたらこれも非常に喜ばれた。
鉄火場の中でも涼しい風が吹くことで熱中症対策になり、思考力の低下を防げるようになる。
現状は精霊石(シュトラールで流通している魔物から排出された魔力が篭った結晶体・・・魔石が高純度化したもの)や装着者の魔力を使っているが若干、燃費に問題があり、4時間ほどで平均的なドワーフは限界で精霊石やポーションなしでは彼らの稼働時間に対応できない。
少なくとも12時間は全く苦も無く装着者の魔力だけで稼働できるようにしたい。
その旨を伝えたら苦笑されてしまった。
少ない魔力でどう効率よく維持できるか、腕の見せ所だろう。
その次に取り掛かったのは獣人族の虫問題だ。
人間であったらならば虫の嫌う臭いを付けたりするとよかったのだが、大抵は刺激臭を伴う。
このため、鼻がいい獣人たちは逆にストレスとなってそれどころではなくなるのだ。
虫よけ香も付け方が甘かったりすると短時間で効力を失いやすい。
ではどうするかと考えたとき、魔力を少量使って忌避術式を作れないかと考えた。
魔力って便利だ、とカムンは思って敢えて逆張りも考えたが確実性を追求して魔術方式を採用した。
そこらで捕まえた虫で試すのを繰り返して効力が高い物を採用して腕輪として組み上げた。
果たして結果はと言うと獣人族どころか全員に感謝された。
忌避物質と同じ作用をするパターン波動を虫によく効くレベルで放出するので一回魔術を起動させれば長時間稼働できる。
ツリーハウスも多い精霊の里はやはり侵入する虫問題がもはや風土として諦観されていたが外界の知識を導入して作り上げられたそれは待望のモノだったそうだ。
彼らのレベルからしてこの程度、作れそうだよねとも思っていたがカムンが作ったものより燃費が悪く、普及しなかったそうだ。
この虫よけ魔道具は需要が一定以上存在していたので術式を公開して彼らに提供することとした。
これもまた遭遇戦の不始末との考えだが、さすがにその恩恵が大きすぎることから何かお返しをと真剣に考えられてしまってカムンとしてはちょっと困惑した次第である。
日曜大工のノリで作ったのでここまで感謝されるのは相当な苦労を強いられていたのかと知った次第だが、虫に食われて疫病を患ったり毒虫にやられていたりと非常に困る場面が多かったそうだ。
蚊帳とかも作ったらよろこばれそうだ、とアイディアを提供したら目を点にして驚かれてドワーフたちが速攻で作ってしまった。
蚊とかの影響を吊るすだけで防げる蚊帳は電気が未開の領域では大変重宝される品物だったので思い付きで言ってみただけだが非常に好評だった。
この二例だけで何かと信用されるようになったので上々の成果だとカムンは満足した。
その後は多少の趣味に走った玩具みたいな魔道具を多数作って苦笑されたりしたが時々洒落にならないぐらい便利なものや封印指定せざるを得ない変なものが生まれたりと面白おかしく過ごしていた。
ただ、一点。
最も重要な事である【回廊】へのアクセスがいまだに遮断されているという点を除いて。
「どうにもならんな・・・」
そういう生活をひと月して幾度と密かに帰還をチャレンジしたがすべて最初からノイズと沈黙を以って結果を示された。
ここまでくると完全に【遭難】したと考えるのが妥当だ。
こりゃあ処刑確定だわ、とさしもの星食いの蛇であっても渋い顔をせざるを得ない。
せめてもの言い訳として各地に移動して商人としてのコネと販路を作るべきなのかもしれない。
まあ、帰ってこれない以上、【マルチバースロジスティクス】としての商談ができないのだが。
これ以上の手段はカムンだけでは達成できそうになく、もはや帰還は絶望的と考えるべきであろう。
「・・・・
ならば望み通り、しっちゃかめっちゃかにしてこの糞みたいな箱庭を自分好みに変えてやろう。
どうせ棄てられたものなのだから、拾った奴が好きにしたところで文句はないだろうし、
真夜中、誰もいない森の中で物騒な決意を漲らせるカムンであったが自分の家に到着したとき家の前で人影が何かを振るっている様子が見えた。
何事かと身を構えたがなんてことはない。
家主であるリオが黙々と剣を振るっている姿であった。
少し文量を落としたのですが考察回はどうにも不人気らしく、伸びが悪かったのですが、なるべくそういうのはカットして展開の速度上げて原作に追いついた方がいいですかね。
あと27巻がいよいよ発売なのですが、これ年度中に30巻という一つの終わりに到達できるのですかね・・・?(