精霊幻想歪伝   作:四重茶

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後から投稿すると微妙にやっぱ変えたくなる習性があります。



蛇なる魔神篇
第1話:放棄された箱庭


多次元宇宙空間。

マルチバースとは並行する宇宙を指す。

同じ道をたどった世界もあれば法則すらも異なる宇宙もある。

ここは、その多次元世界の狭間。

泡のようにある無数の世界の隙間。

そこにはとある世界の混沌としつつ外来種の侵入を拒否する入り口があり、それらはその前に佇んでいた。

 

「ここが社長が新たに発見したエリアですか」

 

人影は二つ。

しかし、それは人と呼ぶにはあまりにも存在が大きく感じられてしまう。

 

「おう、そうさ。まるでコソコソ隠れるようにして入り口が分かり辛くなっていてな。誰かさんの【放棄された箱庭(リナンシエイション・サンドボックス)】だと推測しておる」

 

『社長』と呼ばれた齢が50を数える初老にみえるも、髪は確かな色を湛え、その際は蒼黒い。

背丈は190もありそうな長身の男は愉快そうに目の前の固く閉ざされた異世界への入り口を見ていた。

 

「こんなメジャーハイウェイが通っている【回廊(ロード)】の近くにある隠蔽口。どう見ても厄ネタ満載の香りしかしないのだが・・・」

 

楽しそうにする長身の男と違い、もう一方の175ぐらいはある気品を感じさせる男は渋い顔をして懸念を指摘する。

 

「なぁに、我々にとっては星でも常食してるような奴がわんさかいる世界でもなければ危険ではなかろうよ?それより、ここには商機を感じるぞ」

 

やはりそういうことか、と気品の男は呆れながら長身の男の意図を察する。

本来、このような新たな入り口を見つけた際は、しかるべき機関にしかるべき報告を行う必要がある。

生成されて間もなければそれはカオス空間であり、物質すらまともに存在しえない最原始宇宙であり、入ったら最後、消し炭もあり得る。

【終之理】が居るならばそれは寿命を全うした、あるいは引き返せない間違いによって剪定された宇宙であり、干渉は厳禁だ。

下手をすれば【終末】に巻き込まれてしまう極めて危険な状態だからである。

そういったことを鑑みるに、多次元宇宙の調査機関へ報告するのが一般的な感覚といえよう。

どんなに庭が広がろうとも、危機に対する凡人の対処方法は敬遠の一言に尽きる。

しかし、彼らは凡人とは一線、いやそれ以上を喫する文字通りの怪物だ。

その自信は、自らの足跡(そくせき)によって確かなものとなっている。

 

「商機、か・・・」

 

気品の男は皮肉気に呟きながら入り口を見る。

 

「なぁに、この私が先行して道を作るがな。心配は要らんよ。取り敢えず、ひと月ほど連絡を寄こさなかったら諦めて報告すれば良い」

 

「社長が手に負えない厳しい案件とか誰も彼もやらないでしょうに」

 

十中八九【彼ら】の世話になるだろ、と気品の男は流し目を長身の男に向ける。

多次元に展開する大組織と言えども星を喰った張ったするようなバケモノが跋扈する世界でまともに生き残ることは困難だ。

それこそ、単騎でそれに匹敵する力を持つ超越的な存在でもなければ、だ。

 

「確かにのぉ」

 

長身の男は改めて考えると一理ある、と顎に手を当てながらしげしげと答えた。

しかし、開けてもいない箱の中身に腰が引けているようでは掴める未来も利益も得られることはない。

リスクを受け入れない商人に稼げる余地なし。

 

「その時はその時であろう。では、行ってくる。細事のことを頼むぞアークライト」

 

長身の男はバッサリと余計な事を考えるのをやめると気品のある男――アークライトと呼んだ自らの腹心に出立の意を伝える。

もはや何を言っても無駄だろうし、それはそれとしてこの男は大抵の面倒なことなど力押しでどうとでもなってしまうのもまた事実である。

 

「了解いたしましたよ。テレイズ社長」

 

どこか不安を覚えながら、アークライトは自分の所属する会社の社長―――カムン・テレイズを見送った。

別世界へつながる歪んだ穴にすっと消えていく(カムン)の姿が見えなくなっても、一番弟子(アークライト)はしばらくの間、その場を動かずにいた。

一月後、カムンからの連絡が途絶えたままとなり、予期された事態に則ってアークライトは代替の再配置や採用を行うこととなる。

彼らが起ち上げた多次元運送会社【マルチバース・ロジスティク】は社長の行方不明という最大の経営危機を迎えることとなったが、それよりも深刻な事態が起こる事をまだ彼ら自身ですら知る由もなかった。

 




よくわかんない単語は渋にて設定資料がおいてあります。
こっちの方でもそういうのが分けて作れたらいいんですけどねぇ・・・。
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