転生したらイブキの兄だった件   作:砂糖菓子くん

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予期せぬ出会いとは一体……?


予期せぬ出会いと丹花タツミ

「……すっかり遅くなっちまったな。」

 

時刻はすっかり日も沈み、キヴォトスの夜空に綺麗な月と無数の星星が浮かぶ頃。

俺様は超高層ビルであるサンクトゥムタワーの下に広がる綺麗な夜景を窓から眺めつつ、自販機で購入したホットコーヒーを啜りながらそうボヤいていた。

 

あれから連邦生徒会長室にて七神代行と今後クーデターを企てている黒幕をどうあぶり出すか、どう探るかについての相談をした俺様と七神代行。

まず話し合った結論から言えば、今後しばらくはお互い身辺には充分警戒しつつ出来る範囲で怪しい人物に対して探りを入れると言う無難なものに落ち着いた。

いくら黒幕を早急に見つけ出さないといけないとは言え急にこちらがあまり派手に動いては黒幕も尻尾を出してくれないかもしれないので、急ぎこそすれど焦らずに行こうということで俺様と七神代行の意見は一致。

 

ひとまず七神代行は幹部達の怪しい行動に目を光らせつつも、連邦生徒会内部の詳細なデータを確認。

過去や現在の幹部達の勤務状態に不審な点がないかや報告と食い違う行動や証言が無いか、怪しい書類の決算がされていないか、それ以外の役員達にも怪しい動きがないかを出来る範囲で照らし合わせて内側から監視。

そして、少しでも不審な動きがあれば即座に探りを入れて黒幕へ対してプレッシャーをかけていく事になった。

 

そして俺様はゲヘナとの業務の連携のために各部署へ立ち寄った際にそこの室長達とやり取りをしつつ俺様から見て不審な点がないか、さり気なくSRTの話題を出すなどして反応を伺いつつ慎重に観察する。

俺様は黒幕に対して宣戦布告とも挑戦状とも言える言葉を叩きつけているので、いくら黒幕がポーカーフェイスに長けた人物とは言え俺様を前にすれば多少不審な行動が出てしまってもおかしくはないはずだ。

そのため、そこを見逃さないようにしながら外側から黒幕へ対して探りを入れていくようにする事となった。

 

そして今後俺様が連邦生徒会に立ち寄った際には今まで通り必ず七神代行と会ってお互いの情報を共有し、協力して黒幕をあぶり出す……と言う方針で決定した。

今回の黒幕は俺様を襲撃する際に一人になるタイミングをずっとFOX小隊に伺わせていたことからも、相当慎重かつ用心深い人物だ。

となると、そう簡単にボロは出してくれないだろう。

 

であれば、内側からの探りだけではダメだし外側からの探りだけでもダメ。両方からじわじわと探りを入れつつ黒幕の余裕や隠れる場所を少しづつ潰す必要がある。

正直今取れる手段としてはこれ以上のものは思いつかないし、先程も言ったがあまり派手に動いては黒幕が尻尾を引っ込めてしまうかもしれない以上は今はもどかしいが少しづつ情報を揃えて行くしか無いだろうからな。

 

一応俺様も今後連邦生徒会に顔を出す頻度は増やすつもりだし、万魔殿の業務があるとは言え羽沼議長達への面会やRABBIT小隊の連中のこと、シャーレの当番などでDU地区へ来る用事は案外いくらでもあるからな。

その際ついでに連邦生徒会に顔を出すくらいであれば、別に造作もないことだろう。

それにもし万魔殿の業務が忙しくて連邦生徒会に行けない場合はモモトークで七神代行と連絡を取り合うつもりだから、最悪七神代行と対面で話が出来なくてもなんとかなるとは思う。多分。恐らく。

 

まぁもっとも議長代理になってからは今までも連邦生徒会に来る頻度はかなり増えたし、そもそも最近七神代行とは毎日のようにモモトークと通話をしているからあまりその辺の頻度は変わらないような気もするが……

それはともかく、俺様達が今打てる精一杯の手を打ちながら黒幕を徐々に追い詰めてやるとしよう。

 

ちなみにだが七神代行と相談した結果、七神代行の強固な支持者である岩櫃調停室長と由良木の二人には今回の件を全て説明した上で協力を仰ぐこととなった。

いくら七神代行が黒幕に内部から探りを入れてくれるとは言え、流石に毎日あの業務量をこなしながら1人で黒幕の監視まで行うのではどうしても限界があるからな。

 

それに俺様も彼女を守るとは言ったものの、現実問題として連邦生徒会の外部の人間である以上は四六時中彼女を傍で見守るのは難しいと言わざるを得ない。

もちろん今後できるだけ連邦生徒会に来る頻度は極限まで増やすつもりだし、時間を許す限りは七神代行の傍にいてやるつもりではあるのだが……それでも、流石に24時間365日彼女に着いているのは難しいからな。

あれだけデカい口を叩いておきながら申し訳なさでいっぱいだけど……そういう問題があるのは確かだ。

 

その点、岩櫃調停室長や由良木であれば七神代行と親しい上に同じ連邦生徒会の所属だからな。

であれば彼女達の協力が得られれば単純に監視の目が3つになるだけではなく、もしも七神代行に何か会った際には彼女達が駆けつけてくれるという事にも繋がる。

更に彼女達は連邦生徒会内部でも影響力のある幹部と言う立場の人間だから、同じ幹部である黒幕の動向もある程度は探りやすい立場にあると言えるだろう。

 

岩櫃調停室や由良木は七神代行を慕っているし、彼女のことを深く信頼して尊敬もしている居る二人だ。

黒幕のターゲットが七神代行の支持者である以上は、彼女達が黒幕である可能性はほぼ限りなくゼロに近い。

であれば彼女達の身も危険なので今回のことを説明して協力を仰ぎつつ身辺に注意するよう伝え、お互いに何かあった際は即座に連携できるようにしておくのは非常に重要だし理にかなっているだろうからな。

 

七神代行はこの後連邦生徒会長室へ二人を呼んで事情を説明すると言っていったが、きっと七神代行を慕っているあの二人なら喜んで協力してくれるに違いない。

そうなれば七神代行はもちろん、俺様にとっても彼女達は非常に心強い味方になるだろう。

俺様も出来ればその場に居合わせて共に説明したかったんだけど、流石にそろそろゲヘナへ帰らないとイブキや万魔殿の皆が心配してしまうだろうからやむを得ない。

 

まぁそれはともかく、そうなれば今後は集めた情報を交換する時は四人で集まることもあるかもしれないし俺様が顔を出せない場合にオンラインで対応する場合に備えてモモトークの連絡先を知っている岩櫃調停室長はいいとして由良木の連絡は聞いておくべきだろうな。

まぁとは言えどのみちまたすぐに連邦生徒会へは顔を出す予定だし、最悪七神代行か岩櫃調停室長に聞けばいいだけだからそこまで深く考えることでもないか……

 

そう思いつつ俺様は手にしていた缶コーヒーの中身を胃の中へ流し込むと、自販機の横に備え付けられていたゴミ箱の中へと空き缶を投げ捨てる。

そして時刻を確認するためにスマホを取り出してディスプレイを確認すると、そこには20:58と言うゴシック体の数字がデカデカと表示されていた。

 

「げっ、もうこんな時間かよ……」

 

その時刻を見た俺様は思わずため息を吐き出した。

そりゃ日も沈むわけだ、足元に広がっている綺麗な夜景も今は恨めしく思えてしまう。

まぁとは言えそもそもシャーレを出たのが夕暮れ時でそこから七神代行とはかなりの時間話し込んでいたのだから、遅くなってしまうのは当然と言えば当然だろう。

話の内容的にも決して妥協できるものでなかったから仕方ないと言えるだろうな。

七神代行との話し合いが早めに終わったのならこれから財務室や防衛室に挨拶回りにでも出向いて幹部内に潜んでいる黒幕に顔でも見せておくかと思ったのだけど、流石に今からじゃあ時間的にも黒幕以外の幹部に迷惑がかかってしまうだろうからまた後日にしておこう。

 

(せっかくだし今度は【手土産】でも持ってきて渡しておいてやるとするか。)

 

俺様はまだ見ぬ黒幕に対して口元を吊り上げながら心のなかでそう呟いた。

……まぁそれはともかく、のんびりしてはいられない。

ひとまず早急にゲヘナへ帰る必要があるだろう。

 

幸いこの時間ならまだ電車は余裕で動いているはずだしここから駅までのんびり歩いたとてゲヘナへの終電を逃すような事態にはならないはずだ。

まぁ仮に終電を逃したとしてもDU地区にはホテル等の宿泊施設がいっぱいあるし、最悪先生に事情を説明してシャーレに泊めてもらえばいい話ではある。

……とはいえ、流石に朝帰りはマズいだろうからな。

 

それに、事情が事情とは言え21時まで万魔殿やゲヘナを留守にしてしまったのは申し訳ないとしか言えない。

お詫びに、俺様が留守の間に万魔殿を守ってくれている京極先輩には何か土産を買って帰ってやるとしよう。

そのついでにイブキのプリンや、今日非番だった棗先輩達の分の土産も確保しておくとするか。

 

(それにしても……)

 

俺様はそんな事を考えつつ周囲をキョロキョロと見渡すと、サンクトゥムタワー内部の俺様の居るフロアではまだ廊下や各部署の電気が灯っていてその中では役員が忙しそうに動き回っている姿が確認できる。

 

「ふえーん!書類仕事が終わらないよぉ!これじゃあまた徹夜になっちゃう……昨日も徹夜だったのにぃ!」

「泣き言を言わないの!ほら半分貸して!こっちは終わったから手伝ってあげるから!」

「ごめん誰かそこのエナドリ取ってくれない?もうこんなの飲まなきゃやってられないよ……」

「うぅ……今日も徹夜だと3徹目になっちゃう。なんとしても今日は寮に帰って温かいお布団で寝るんだ……!」

 

書類の束を抱え、半泣きになりながらも目を回しながらせわしなく走り回っている連邦生徒会の役員達。

そんな大量の業務を抱えている彼女達の姿は気の毒であると同時に、現在も連邦生徒会の業務がまだ終わっていないと言うことに他ならないものであった。

 

(この時間でまだあんなに業務が残ってんのか……)

 

万魔殿とは規模が違うから比べるのはお門違いかもしれないけど、少なくとも万魔殿なら21時にもなれば余程業務量が多くない限り殆どの業務は片付いているからな。

それが21時なってもこの状態だと言うことは、業務量に作業量が追いついていないということに他ならない。

……現状の連邦生徒会に人手が足りていないのは明白だ。

前々から人員が少ないとは聞いていたけど、まさかここまでとは思わなかった。そりゃ七神代行も徹夜を繰り返して目の下にあんなに大きなクマを作るわけだ。

 

(……大変そう、とか言うレベルじゃねぇなこりゃ。)

 

と言うか冷静に考えると、七神代行があの二人に今から黒幕関連の事情を説明するってことは少なく見積もっても話の規模的に解散は22時を超す計算になるよな……

22時に業務を終えることは俺様も別に珍しいことではないけど、彼女達はそこから更にそれぞれの書類仕事もあるだろうから仕事を終えて帰れるのは早くても日付を超えるだろう。気の毒としか言いようがない。

 

まぁそれらも含めて、早いとこ連邦生徒会長が帰ってきてくれれば全て解決するんだろうけども……

そもそも何故連邦生徒会長が失踪したのかは俺様にはさっぱり分からないが、七神代行達が苦しんでいる以上はサッサと帰ってきてやってほしいものである。

 

「このままじゃまた徹夜だよ!ほら、手を動かす!」

「うぇ〜ん!先輩、もうむりですぅ〜!」

(……とは言え、流石にこれはなぁ。)

 

忙しそうに動き回っている彼女達の姿を見るとなにか手伝ってやれることはないだろうか……と思うけど、流石に部外者である俺様が機密情報も多いであろう連邦生徒会の書類仕事を手伝うわけにもいかないからなぁ。

手伝えることがあるなら手伝ってやりたいのは山々だけど、それだとかえって迷惑になりかねないし。

……残念だけど、俺様に今できるのは精々心のなかで彼女達へエールを送ってやることくらいだろう。

 

それに俺様は京極先輩に万魔殿の留守を任せているし、長いこと万魔殿を空けるのもしのびないからな。

これ以上時間を食って、遅くなるのは良くないだろう。

俺様は心の中でそう呟きながらポケットへスマホをしまうと、忙しそうに走り回る役員達に心のなかでエールを送りつつ連邦生徒会を後にするために一歩前へ足を踏みだした……

 

「……おや?」

 

その瞬間だった。

突如、その場に聞き覚えのない声が響き渡る。

 

「これはこれは……このような場所に何と珍しい。」

 

続いて、そう言葉を続けてくる謎の声。

その謎の声に反応した俺様は反射的に声のする方を振り向くと、そこには前世で言う巫女服のようなものを身に着けた1人の女性の姿があった。

 

(……え、誰だこの人?)

 

その女性は胸の横から脇と二の腕にかけてざっくりと生地をなくした大胆な巫女服を身に着けており、彼女のよく整えられた黒髪のショートヘアのてっぺんには片方がポッキリと折れた鬼の角のようなものが生えている。

更に彼女はその魔改造とも呼べる巫女服にプリーツスカートを合わせており、何故か片方の足のみにニーソックスを履くと言うよく分からない格好をしていた。

そんな手元に畳まれた扇子を持ち、左目の下に泣きぼくろのある糸目で飄々とした笑みを携えた女性。

そんな女性が、そこには立っていた。

 

「あらあら……ふぅん……ほぉ……?」

 

まったく見覚えのない女性に俺様が困惑していると、その女性はつかつかと俺様に歩み寄ってくるとジロジロと俺様の頭のてっぺんからつま先に舐め回すような視線を送ってきた。

 

(えっ……なんだ……?)

「ふむふむ、顔は悪くない……むしろちょっと好みかも……なるほど、これは面白くなりそうかもね?にゃはは♪」

 

彼女から醸し出される独特の雰囲気に俺様が戸惑っていると、その黒髪の巫女服の女性は俺様をひとしきり確認したあとに楽しそうにそんな言葉を口にした。

 

「……あの、失礼ですが貴方は?」

「おや、これは失敬。まさかこんな時間に連邦生徒会にキヴォトスでは滅多に見ない殿方がいたものですから、ついつい舐め回すように見てしまいましたよ〜♪」

 

流石に怪訝に思った俺様は彼女の名を尋ねるためにそう言葉を口にするが、その言葉を聞いた黒髪巫女服の女性は手にした扇子を口元に当てながらそう呟いた。

……いや、と言うか舐め回すように見てきたのは否定しないのかよ。別に俺様は男だから良いけど、初対面の女の子にそんなことしたらいくら女性同士とは言え普通にセクハラだと思うから気を付けた方が良いと思うけど……

 

「おっほん。それでは改めて、お互いに自己紹介と行きましょうかね。」

 

俺様がそんな事を考えていると、目の前の黒髪の女性は手にした扇子をバサッと開きながらこちらへ独特の糸目を向けながら口を開いた。

 

「申し遅れたけど、私の名前は天地ニヤ。百鬼夜行連合学院の3年生で、陰陽部の部長をしとる者です。以後、お見知りおきを〜♪」

 

そう言うと、目の前の黒髪の女性……もとい天地先輩はニヤニヤとした笑みを崩さずにそう言い放った。

 

百鬼夜行連合学院。

言わずとしれた、キヴォトスの中でも特に観光業や飲食業が盛んな大きな桜の大木が特徴的な学校だ。

前世が日本人だった俺様にとっては街並みや雰囲気も含めて非常に馴染みの深い学校でもあり、街を歩いているだけでもどこか懐かしく落ち着いた雰囲気を感じられる学院……と言った感じだろうか。

そして先のロストパラダイスリゾートで活躍した河和先輩や……今は停学処分を受けているものの、災厄の狐ことワカモの所属している学院でもあるわけだな。

 

(百鬼夜行……か。)

 

……何故ワカモが停学処分を受けるに至ったのかは気になるところではあるけど……まぁそれは今気にすることではないのは確かだろう。

 

ちなみに、百鬼夜行は飲食業が盛んであると言うこともあって飯の美味さに定評があり俺様も前世で食べていた日本料理の懐かしい味を求めて百鬼夜行へ食べ歩きへ行く機会は多くある。

で、百鬼夜行には料亭みたいな高級料理屋もあれば屋台のようなジャンクフードを提供しているような店まで色んなものがあるのだが……その中の屋台で売ってる焼き鳥が俺様は特にお気に入りなんだなこれが。

そこで出会った法被みたいな青い上着を羽織った自称焼き鳥通の白髪の女性曰く、あそこの屋台の焼き鳥は百鬼夜行でも一二を争う美味さらしいのだが……まぁあれほど美味いのであれば納得……っと、話が逸れたな。

 

で、俺様はそういうわけだから百鬼夜行にはそれなりの頻度で行っているわけなんだけどその中で陰陽部と言う部活の話題が挙がることはそれなりにあった。

まぁ要は早い話が百鬼夜行においての陰陽部は他の学園で言う生徒会のような役割を担っているらしい。

で、そこの部長と言うことは……目の前に居る天地先輩は事実上百鬼夜行の生徒会長ということになる。

 

……って、ちょっと待て。百鬼夜行の生徒会長だと!?

な、なんでそんな人がこの時間に連邦生徒会なんかに居るんだ……!?

 

「し、失礼しました。俺様はゲヘナ学園所属の1年生で万魔殿の議長代理をさせていただいている丹花タツミと申します。よろしくお願いします、天地先輩。」

 

あまりにも色々と唐突すぎて俺様は混乱するが、何はともあれ百鬼夜行の生徒会長ともあろう人の前で失礼な態度を取るわけには行かないだろう。

俺様はその場で即座に背筋を立ててお辞儀をすると、失礼のないように丁寧に自己紹介を行った。

 

「んふふ、そんなに畏まらなくてもいいですよ。もっとリラックスしてください。私は別に初対面の男の子を取って食うようなわる〜い女じゃありませんから。」

「い、いえ。だとしても百鬼夜行の陰陽部の部長ともあろう人に失礼な態度を取るわけには行かないので……」

「にゃはは、真面目なリアクションだぁ。それにしても貴方があのゲヘナの議長代理ですか……」

 

そんなわたわたと慌てる俺様を見て天地先輩は愉快そうに笑うと、俺様に一歩近寄ってきてニヤニヤとした笑みを崩さずに口を開く。

 

「噂はかねがね聞いていますよ。何でもマコト議長の代理として就任した優秀な1年生が居るとかで。」

「ゆ、優秀だなんてそんな……俺様は出来ることを精一杯やってるだけで、まだまだ未熟ですよ。」

「おや、そうですか?噂によればタツミさんはゲヘナの長年の天敵であったあのトリニティと良好な関係を築いているやり手のお方だとお伺いしとりますよ?」

「いえ、それはトリニティの人たちがみんないい人だからで……俺様は彼女達と失礼のないように接させていただいているってだけですから。」

「ふんふん、なるほど。謙虚なんですね、にゃはは♪」

 

俺様の周りをゆっくりとした足取りでくるくると回りながら観察するようにこちらを伺ってくる天地先輩。

そんな彼女の動きと得体の知れない雰囲気に落ち着きのなさを感じつつも、俺様はしっかりと視線を彼女の顔へと合わせ続ける。

 

「それにしても、まさかこんな所で噂のゲヘナの議長代理にお会いできるとは思いませんでしたねぇ。」

「それはお互い様では?俺様だってまさかこんな所で、しかもこんな時間に百鬼夜行の生徒会長にお会いするなんて思ってもみませんでしたし……」

「にゃはは、ちょいと財務室に野暮用がありましてアオイ財務室長とついつい話し込んでいたらこんな時間になってしまいてねぇ……それで、そちらは?」

「そうですね、俺様も七神代行と少し大切なお話をしていましたので……天地先輩と似たようなもんですね。」

「ははぁ、なるほどなるほど。あのいつも仏頂面の気難しいリン行政官とお話ですか……んふふ、もしやタツミさんは女たらしというやつですかねぇ?」

「ちょ、人聞きの悪いこと言わないで下さいよ!?」

「にゃはは、冗談冗談♪」

 

俺様の抗議対して、天地先輩は愉快そうに笑いながら持っていた扇子を口元へと持っていく。

……なんと言うか糸目で独特な雰囲気といい冗談を良く言う所といい、飄々としていて掴み所のない人だなぁ。

 

「あぁそれと、先程タツミさんは私のことを百鬼夜行の生徒会長と仰っていましたが……間違ってはいないですけどちょっと認識がズレているかもしれませんねぇ。」

「あれ、違うんですか?前に百鬼夜行に行った時にある白髪の女性から聞いた話だと、陰陽部は百鬼夜行の行政的な事を担っている組織だって言ってましたけど。」

「それは間違いではないですけど、百鬼夜行連合学院はそもそも数多くの学校が集まって構成されている学校ですからねぇ。他校の生徒会……つまり、頂点に君臨するみたいな組織は存在しておらんのですよ。」

「え、そうなんですか?」

 

意外な新事実に、俺様は目を丸くする。

 

「にゃはは、だから私たち陰陽部は上には立たない。そうじゃなく一歩引いた立ち位置で百鬼夜行の歴史と伝統を支える存在であり、だからこそ尊敬を集めていると言う側面がありますからねぇ。」

「……とは言え、実際に百鬼夜行内の行政処理とか他校との外交は陰陽部が行っているんですよね?」

「それはそうですけど、組織が大きくなるとそういう役割は必ず誰かがやらねばならないものですからねぇ。それがたまたま私達だったってだけのことですよ。普段の私たちはあくまでも学院のバランスを保つ調停役ですからね、にゃははは〜♪」

 

いや、それなら実質的な業務内容は他校の一般的な生徒会と同じなんだし事実上の生徒会みたいなもんじゃないのかと思わなくもないんだけど……

まぁとは言え、色々な学校が集まっている連合学院の頂点に立とうとすると問題が起こるのは確かだ。

それは元々は別々の学校が集まって出来た学園であるトリニティだって同じだし、現にトリニティはティーパーティーと言う3大派閥で出来た組織のトップが交代で生徒会長を務めることで何とかバランスを保っているからな。

それでもトリニティの内部では今でもドロドロとした派閥争いや権力争いが日常化しているし、あの桐藤先輩でさえ対策をしているとは言え全てを抑え込めない辺り総合学園や連合学院の運営をするのは難しいと言える。

 

そう言う意味では、陰陽部のあくまでトップではなくて学院の調停役と言う立ち位置で居るのも学校を運営するうえでは必要な方便なのかもしれない。

くだらない立場やどうでもいい肩書にこだわる連中というのはいつの時代も、どこにだっているんだから。

 

まぁ言うてゲヘナはゲヘナで色々な意味で毎日問題しか起こらないような学校だし、学園のトップに立っている組織があるからと言って安定した学校運営が出来るかと言うとそうじゃないのも政治の難しいところだがな。

俺様も議長代理として、上に立つ立場の人間として日々努力してはいるつもりでも毎日毎日道路や建物が粉微塵になったりすると流石にキツイものがあるし。

 

と言うか、最近は議長代理の業務にも慣れてきて周囲からの呼び方も変わってきたからすっかり忘れかけていたけど改めて考えると俺様って今は代理とは言え1学園のトップなんだよな。

……俺様はちゃんとトップにふさわしい言動が出来ているのだろうかと、今になって心配になって来た。

 

「……おや?難しい顔をされてどうされました?」

「あ、いや……何でもないですよ。お気にせずに。」

「ふぅん?ならいいんですが……それじゃあ話を戻しますけど、まぁ陰陽部の実態としてはアイドルみたいなもんだったりするんですよ。公演をやったり、占いの放送をしたりとかですね。」

「えっ、アイドル……?アイドルと言うと、あのステージの上で歌って踊るアイドルのことですか?」

「はい、その歌って踊るアイドルのことですね。」

 

俺様の質問に天地先輩は首を縦に振って頷く。

……なんと言うか、こう言うと失礼な話だけど天地先輩がステージの上で歌って踊りながら愛嬌を振りまいている所はちょっと想像できない気もするんだが。

 

「……なんか、今とーっても失礼な事を想像された気がするんだけど気の所為ですかねぇ?」

「あはは……き、気のせいじゃないですかね……」

 

糸目のままじとーっとした視線を向けてくる天地先輩に対して、俺様は苦笑いを浮かべながらそう返す。

 

「うーん……まぁいいか……それで、ウチの部にはチセって言うそれはそれはもう目に入れても痛くないような超可愛い大人気な子がいるんですよ。あとは、カホって言うクールだけど隠れファンが多いっていう子もね♪」

「なるほど、自慢の部員たちなんですね。」

「えぇそれはもう。ところでタツミさん、ここで会ったのも何かの縁。良い機会だから話しておきますけど……実はマコト議長がまだ在任していた時に百鬼夜行とゲヘナで交流会を開こうという話をしていましてねぇ?」

「えっ……そうなんですか……?」

 

天地先輩の口からサラリと出た言葉に、俺様は思わずそんな言葉を口にする。

 

「おや、その様子だとマコト議長からは何も聞いてないのですか?」

「……はい、お恥ずかしながら。」

「なるほど……交流会の話が進んでいたかと思えば突然ゲヘナからの音沙汰がぱったり途絶えたので不思議に思っていたのですが……まさかそういう事だったとは。いやはや、ようやく合点が行きましたよ。にゃはは♪」

 

そう言って天地先輩は愉快そうに笑うが、俺様はダラダラと冷や汗を流して青い顔をしていた。

くっ……あんのバカ議長、そんな大切な事を他の学園と進めてたならちゃんと引き継ぎしていけよな!

 

ともかく、そういうことであれば天地先輩が言った一件は百鬼夜行とゲヘナのトップ同士で合意寸前まで話が進んでいたにも関わらず突然こちらからの音沙汰が無くなったも同然と言う話になるだろう。

そんなのはあまりにも天地先輩にとって、そして百鬼夜行にとっても不義理極まりない行為なのは明らかだ。

 

「……申し訳ありませんでした、天地先輩。」

 

そう感じた俺様は、即座にその場で天地先輩に頭を下げて謝罪をした。

 

「あぁいえ、謝罪の必要はありませんよ?マコト議長も突然の収監になってしまいましたからねぇ。言うてこの話も正式に決定しているわけじゃなくて、マコト議長との間の個人的なお話……いわば口約束のようなものでしたしタツミさんが知らないのも無理はないかと。それにそろそろ私としてもゲヘナに問い合わせをしようとしていたところだったので、手間も省けましたしね♪」

「それでも、例え口約束とは言え話をなぁなぁにして放置していたのは羽沼議長の代理である俺様の責任に他なりません。この度は交流会の話を途中で放置するなどという失礼な事をしてしまい申し訳ありませんでした。」

 

そう、理由はどうあれ天地先輩と羽沼議長がそういう話し合いを進めていたならばそれを引き継いできちんと対応するのが議長代理である俺様の役目に他ならない。

今回のことは羽沼議長と天地先輩の間で交流会をしようと双方合意しておいて、羽沼議長が収監されたからと言ってそのまま話を放置していたと言う天地先輩に対してあまりにも失礼なことに他ならないだろう。

それにいくら羽沼議長の矯正局への収監が唐突なものだったとは言え、こちらの引き継ぎの際の不手際なんてものは相手方にとっては一切関係のないことだ。

天地先輩には本当に申し訳ないことをしてしまったと反省するしかないだろう。

 

「頭を上げてくださいな、タツミさん。」

 

俺様が心のなかでそう思いながら頭を下げ続けていると天地先輩から優しい声でそんな言葉がかかった。

 

「大丈夫ですよ、貴方の誠意は充分伝わりました。」

「いえ、ですが……」

「にゃはは、大丈夫ですって。それに、私はそんな小さな事で腹を立てるような女ではありませんよ?私は普段から人に自分のことを器が小さいから態度が大きく見えるだけ……と言っていますけど、流石にそんな些細な事で怒るほどの小さな器ではないつもりですからねぇ。」

 

天地先輩はそう言ってこちらへ近寄ってくると、俺様の肩に手をおいて軽くぽんぽんと叩く。

 

「だから頭を上げてください。それに、代理とは言えあのゲヘナのトップともあろう人がこんな公の場でホイホイ頭を下げるもんじゃないですよ?」

 

そう言うと、天地先輩は持っていた扇子をその場で上下させて頭を上げろというジェスチャーをしてくる。

 

「……すみません。ありがとうございます、天地先輩。」

 

そんな彼女の寛容な心に上に立つものとしての器の大きさを感じつつ、俺様はゆっくりと頭を上げた。

……やっぱり、口ではああ言いつつもこの人も何だかんだでトップの素質を持つ人間なんだなぁ。

独特の飄々とした立ち振舞の中にも、確かに人を惹き付ける物を感じる。

 

「うんうん、謝罪は確かに受け取らせてもらったからそんなに気に病まないでくださいね?」

「はい、そうさせてもらいます。」

「いやーしかし、あのマコト議長の代理と言うからどんな暴君が出てくるかと思いきやゲヘナの生徒とは思えないほど腰が低くて丁寧で、しかも更には責任感が強くて他校の人間に躊躇なく頭を下げられるとはねぇ……」

 

天地先輩は大きな胸の下で腕を組みながら考え込むような表情を見せると、やがて俺様へと向き直る。

 

「タツミさん、私……ちょーっとだけ貴方に興味が沸いてきちゃったかもしれませんねぇ?にゃはは〜♪」

 

そして、彼女は独特の糸目をこちらへ向けて口元を吊り上げながらニヤリと笑うとそんな言葉を口にした。

天地先輩から感じる俺様の事を見定めるような視線に、俺様は思わずその場で反射的に身震いをする。

 

「んふふ、ではせっかくこうして知り合えたことですし是非この後どこかでゆっくりお茶でもしながら話を……と言いたいのは山々ですが、生憎今の時刻は21時。今日は朝から陰陽部を空けていますので、あまりカホやチセを待たせるのもよろしくないでしょうからねぇ……」

 

そんな彼女から飛んでくる俺様を値踏みするような視線に冷や汗を流していると、天地先輩は顎に人差し指を当てながら小首を傾げつつそう言葉を口にした。

 

「そ、そうですね。俺様も今日は万魔殿で留守を預かってくれている先輩がいますので、その人をあまり長く待たせるのはよくないですから……申し訳ないんですけど、またの機会にと言うことでも構いませんか?」

 

天地先輩の言葉に俺様は苦笑しつつそんな言葉を返す。

俺様としても羽沼議長の件で天地先輩には負い目があるので出来れば彼女の要望は聞き入れてあげたいけど、流石に今から茶を飲んでいては終電に間に合わなくなってしまう可能性があるからな……それは良くないだろう。

 

「いやはや、もしこれが立場など関係無ければこのまま夜の街へ消えてのワンナイト……というのも中々ロマンチックで面白そうだったんですけどね。んふふ、タツミさんもそう思いませんか?」

「……いや、別に仮に立場が無かったとしても今会ったばかりの男女が一緒に夜を明かすなんてのは普通に考えて絶対にダメですからね?」

 

弾んだような声で面白そうに笑いながらそう言う天地先輩に対して、俺様は思わずジト目でそんな言葉を返す。

 

「えー?お硬いですねぇ。自分でいうのも何ですけど、こーんな美女がデートに誘っているんですよ?」

「確かに天地先輩が美人なのは否定しませんし、俺様も男ですから貴方みたいな美人からのお誘い自体はすごく嬉しいです。けど、そういうのはもっとお互いのことを良く知って仲良くなってからやるべきことだと俺様は思いますから。天地先輩がいい人だって言うのはこうやって話していても分かりますけど、流石に会ったばかりの貴方と夜の街へ行くなんてのは良くないですし……何より貴方に対しても失礼ですからね。」

 

……それに、そんな事をしてしまってはワカモや七神代行に合わせる顔が無くなってしまうからな。

俺様は我慢できずにワカモとは勢いであんな事をして一夜を共にしてしまったけど、本来男女が一夜をともにするなんてのはそれこそ身内でもなければ余程親しい仲でないと有り得ないことだろう。

 

いや、だからと言って別にワカモと親しくないかと言うとそうじゃないんだけど……って何考えてんだ俺様は!?

あいつは趣味で街一つを消し飛ばすような凶悪なテロリストで、災厄の狐と呼ばれる七囚人の1人なんだぞ!?

そりゃ親しいか親しくないかで言えば間違いなく親しいのは間違いないけど……

だーっ!もう訳わかんなくなってきた!

 

「なるほど、貞操概念は相当しっかりしてそうだし断り方も相手への気遣いが感じられる……うん、これなら問題なさそうだね。にゃはは♪」

 

俺様がそんな事を頭の中で考えながら額を抑えていると目の前の天地先輩は首をひねりながら何かを小声でぼそぼそと呟いているようだった。

その様子に俺様が思わず首を傾げると、やがて天地先輩はゆっくりと俺様へ視線を合わせてくると口元を吊り上げてニヤリとした笑みを浮かべつつ口を開いた。

 

「ありゃりゃ、フラれちゃいましたか〜。」

「ふらっ……!?ちょっと天地先輩!?人聞きの悪いこと言わないでくださいよ!?」

「にゃはは、冗談ですよ〜。」

 

天地先輩はそのままニヤニヤとした笑みを携えつつ、少し前かがみの姿勢になりつつ俺様にそう言ってくる。

……なんと言うか、もしかして天地先輩ってわりと人に対して冗談を言ったりいたずらをするのが好きだったりするのだろうか?だとすればこんなに大人っぽいのに、意外な一面があるんだなぁと思わなくもないけど。

 

「とは言え私たち陰陽部としてもゲヘナの皆さんとの交流会は是非開かせて頂きたいと思っているので、その件についての話し合いはしたいところなんですよねぇ。」

 

俺様がそう考えていると、天地先輩は先程までのいたずらっ子のような笑みを引っ込めると瞬時に落ち着いた女性の雰囲気漂う表情を浮かべつつそう口にする。

 

「そうですね。俺様としてもあのアホ議長……じゃなくて羽沼議長と天地先輩の間で進めていた交流会についての打ち合わせをさせてもらいたいとは思っていますが……」

「うーん……あっ、それではこうしませんか?」

 

俺様がそう言うと、天地先輩は独特の糸目を俺様へ流れるように向けてくるとそのまま口を開いた。

 

「ひとまず今日のところは夜も遅いので一旦解散するとして、また後日交流会についての予定の話し合いをマコト議長から引き継いで頂いた上で我が陰陽部にタツミさんをお招きしてお話をさせていただくというのは。」

「あ、それでしたらもちろん大丈夫です。むしろ百鬼夜行と交流会が出来るのであればこちらとしても願ってもない申し出なので、むしろありがたいです。」

「んふふ、では決まりですね。それではまた後日私の方からタツミさん宛に都合のよい日をお送り致しますのでモモトークを交換して頂いてもよろしいですか?」

「はい、もちろんです。よろしくお願いしますね、天地先輩。」

 

その後、互いにスマホを取り出してモモトークを交換しあった俺様と天地先輩は途中まで目的地が同じということもありサンクトゥムタワーを出てからDU地区の駅へ着くまでの間他愛ない雑談に花を咲かせた。

そして「せっかくなので女視点からのアドバイスを出しましょう」と言ってくれた天地先輩と共に万魔殿で待つ皆への土産を購入した俺様はその後駅に到着すると百鬼夜行行きの電車に乗り込む天地先輩を見送り、ゲヘナ行きの電車へ乗り込んで万魔殿へと帰還するのだった。

……なお、万魔殿へ帰ったあとに頬を膨らませた京極先輩から「遅い!」と叱られたのはまた別のお話。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「……んふふ、これは思わぬ収穫でした。まさか財務室に足を運んだと思えば噂に聞くゲヘナの議長代理の連絡先を手に入れられるとは。いやはや、面倒だけどわざわざ連邦生徒会まで来た甲斐がありましたねぇ。これでようやく凍結していた百鬼夜行とゲヘナの交流会についての打ち合わせが再開できそうです。」

 

「まぁ別に交流会自体は無理矢理やらなければならないものではありませんけど、ゲヘナは過去に数回修学旅行先にウチの学院を選んでもらってますからその縁もありますしねぇ。……それに、ゲヘナを敵に回すのはあまり得策ではないだろうし。にゃはは。」

 

「しかし丹花タツミさんですか……あのゲヘナの議長代理なのですし、先代のマコト議長が失礼ながらちょーっとばかし大きな野望をお持ちの方だったので後釜もそのような人物だとばかり思っていましたが……まさかあれほど腰が低くて丁寧な人物だとは思いませんでした。」

 

「自分が悪いと感じれば立場を厭わず公の場でも相手へ頭を即座に下げられるあの姿勢といい、マコト議長との口約束でしかない交流会の話を気にして罪悪感を抱えているところと言い……んふふ、彼はかなり責任感や正義感が強い誠実な人物なのでしょうね。マコト議長とはまるで正反対と言うか、いい意味でゲヘナっぽくないと言うか……それに、素直に謝罪が出来るというのはある意味才能やからねぇ。なんとなくやけど、マコト議長とは違ってトリニティと上手くやれている理由が分かった気もするかなぁ。1年生にして学園のトップという重圧を抱えながらあの飾らない素直で誠実な振る舞い……さぞ上級生からは気に入られるでしょうね。」

 

「それに軽薄な人物でないか確かめるために軽くカマをかけてみましたが、食いつくどころか逆に初対面の男にそんな事をするもんじゃないと窘められてしまいましたからねぇ……キヴォトスには男子生徒などほぼいないのですから彼は普段から多くの女子生徒に囲まれているはずですし、天狗になっていてもおかしくはないと思いましたがあの貞操概念の高さは大したものです。……まぁ、だからこそ私も彼に連絡先を渡したのですけれどもね。」

 

「地位も権力もあるのに謙虚で誠実、おまけに貞操概念が高くて女性に対しての言い回しも上手い。若干女性の気持ちに対して疎そうな部分はあれど、気遣いができてそれでいて顔もそこそこいい感じとなれば……んふふ、さぞ彼は周りの女性からモテモテなんでしょうね〜。」

 

「恐らく彼であれば陰陽部へ招いたとしても妙な真似をすることはないでしょう。初対面で少し接しただけで信用するというのもおかしな話ではありますが、彼からは不思議とそんな感覚を覚えてしまいますね。恐らく天性の人たらしなのでしょうね、にゃはは♪」

 

「さて、そうと決まればこうしてはいられません。早いとこ陰陽部へ帰って、彼と打ち合わせをする時間を捻出しなくては。いやはや、どうなるか楽しみですね〜♪」




年内の投稿はこれで最後となります
前々から好きだったブルーアーカイブのお話を書きたいと思って4月末からこの物語の執筆を開始して半年以上の間コンスタントに投稿を続け、今年中に節目の100話を迎えることが出来ました
正直自分でもここまで定期更新出来るとは思っておらず今思えばよくこんなにも話数を書いたものだなぁ……と感慨に浸ってしまいますね

それもこれも、全てはいつも温かい感想をくださったり応援してくださる読者の皆様のおかげに他なりません

感想をくださった読者の皆様
お気に入り登録をしてくださった読者の皆様
評価をしてくださった読者の皆様

本当にありがとうございます
作者のモチベーションが続いているのはブルーアーカイブが好きと言うことももちろんありますが、何よりも読者の皆様に楽しんでもらえていると言う事が一番作者にとってのモチベーションとなっています
どうぞこれからも、タツミくんの物語を見届けてあげてもらえると作者としても大変嬉しく思います

改めまして
今年一年読者の皆様には大変お世話になりました
来年もこのペースで定期投稿を続けて、出来れば前のように2日更新に戻していければと思っておりますのでどうぞ来年もよろしくお願いします

次回投稿は4日後の1月4日を予定しております
また年が明けたらお会いしましょう!
みなさま、よいお年を!
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