作者の砂糖菓子くんです
この前までコロナにかかっており執筆活動が難しく、投稿延期のお知らせを小説を投稿する場所へ投稿してしまい運営様より非公開の処分を受けておりました
該当の箇所は消去対応をさせていただきました
今後は活動報告の方でお知らせは行うよう徹底致します
重ねていきなり小説が非公開になり多大なご心配をおかけしてしまった読者の皆様、大変申し訳ございませんでした
もちろんルールを破った私の不徳ですので、今後は注意したいと思います。重ねて申し訳ありませんでした
今後もきちんと完結まで書いていきますのでよろしくお願いします
「男友達が欲しい……!」
とある日の昼下がり。
今日も今日とて執務室にこもりながら書類を捌きつつ、俺様はそんなことをボヤいていた。
「キヴォトス、何故か女しかいねぇからなぁ……」
書類にサインをして印鑑を押し付けつけながら、俺様は目の前にあったマグカップを口につけてぬるくなったインスタントコーヒーを啜る。
そう、このキヴォトスには何故かは知らんが俺様以外の男子生徒が全くと言っていいほど見当たらないのだ。
冷静に考えてそんな狂った男女比にはならんだろと言うくらいにはマジで男子がいないのだが、まぁ原作のブルーアーカイブも主人公である先生くらいしか男がいなかったため当然と言えば当然と言えるだろう。
そりゃ獣人やオートマタならいくらでも男はいるんだけど、やっぱり獣人やロボットでは人間である俺様とは感性が違うから話が合わないことが多いんだよな。
こっちは好きな食い物の話をしたいのに、どこのメーカーのバッテリーが美味いだのここのメーカーのドッグフードがイケるだの言われても反応に困るし。
そういう意味でもきちんとした人間の男友達がほしいんだけど、知っての通りキヴォトスにおいて人間ってのは主に女子生徒ばかりだからなぁ……
唯一の例外として先生がいるけど、彼女も女性だし。
そもそも先生は外から来た人間だしな。
そりゃ端から見れば俺様の置かれた環境はさぞ羨ましいように見えるかもしんねーぜ?
キヴォトスの女子生徒ってのは基本的には超美少女だ。
前世ではモデルやアイドルをやっていてもおかしくないくらいの顔とスタイルの整った女の子が、その辺を歩けばいくらでも居るような世界ではある。
万魔殿で言えば羽沼議長はほんとに顔だけはいいし、棗先輩も可愛らしいし、京極先輩は凶悪なスタイルをしているし、元宮先輩も地味ながらきちんと顔は整っている。イブキに関してはもう天使としか言いようがない。
そんなアイドル顔負けの美少女達に囲まれて何が不満なんだと思う連中も当然いるだろう。
確かに初めの方は俺様も男なら一度は夢見る美少女に囲まれた生活に心弾んでいた時期もあったが、彼女達と過ごすうちに段々とその気持ちは鳴りを潜めていった。
というのも、キヴォトスは女所帯だから俺様みたいな人間の男に対する概念や設備がほぼ皆無なのである。
そりゃ考えてみたら俺様以外に男子生徒なんてほぼいないんだろうから女子生徒を優先するのは当然のことなんだが、流石に出かけた先のショッピングセンターで女子トイレしか無かったとなると悲しくなってくる。
まぁそりゃオートマタはロボットなんだから排泄は必要ないんだけど、男の獣人は居るんだから男子トイレくらい作ってくれても良くないか?ひどくね?
他にも万魔殿総出でプールに行ったときに女子更衣室しか無くてその辺の茂みで着替えたり、ゲヘナの寮も女子寮しかないので万魔殿の権限で物置を俺様の部屋に無理矢理改造して使ったりしているからな。
他にも問題はある。
それはキヴォトスの女子生徒達は男の目を気にしていないようなエグい服を着ていることが多いという事だ。
そりゃ普通に生活する上では同性の目にしか晒されないんだから問題ないだろうが、それが異性である俺様の目にはあまりにも毒すぎるのだ。
代表的なのは天雨行政官のバカみたいな服や、梅花園のシュン教官のような天雨行政官が可愛く見えるくらいの露出度の高い服装など。
そしてそれらに隠れがちではあるが、京極先輩のその豊かな胸部装甲をこれでもかと晒しているあの格好も大概ヤバいし、空崎委員長も下を履いてないのか?と言うくらいスカートが短い。
火宮はタイツで足を隠してるけど何故か赤タイツだし、ココナ教官も11歳がしていいスカートの丈ではない。
それでなくても、キヴォトスの女子生徒達は何故か基本的には短いスカートを履いていることが多い。
それはもう短い、マジで短い。
カップラーメンの待ち時間くらい短い。
少しでも風が吹いたら見えちまうんじゃないかというくらいには短いのがデフォルトなのだ。
それで銃撃戦をするわけだからまぁその……な?
なるべく見ないようにはしてるんだけどな?
あの格好で飛んだり跳ねたりするわけだからこう……な?
それに、問題はもう一つあって俺様に対する距離感と言うか警戒心がほぼ皆無なのだ。
普通年頃の女子ってのは見知らぬ男子を見かけたら警戒するもんだと思うが、キヴォトスの女子生徒はまるで女友達の相手でもしてんのかってくらい距離が近い。
これもひとえに男子と触れ合わない故の耐性の無さなんだろうが、俺様にとっては心臓に悪すぎんだよ。
そんな同性に接するかの如く距離の近い女子達があんな過激な服を来て無警戒に近寄ってくるわけだ。
俺様も健全な男子高校生。
それが毒にならないわけがないのである。
それに、なんやかんやで女所帯で生活していると気を遣うからたまには気を遣わずに頭を空っぽにしてバカをやれる男の友人が欲しいんだよな。
もちろん万魔殿や風紀委員会、俺様と仲良くしてくれている人達は皆いい人ではあるんだけどやっぱり同性特有の何も気遣わなくていいやり取りがしたいんだよ。
まぁ簡単に言うと肩身が狭いのである。
ものすごく。
「んー……とは言え男を探すってのも……」
それはそれで面倒ではあるしなぁ。
と言うか、俺様は万魔殿である以上結構色んな所へ顔を出してるわけだが男の影など見たことがないし。
「……あ、そうだ!」
なら、彼女に頼んでみよう。
俺様は最後の書類に印鑑を押し付けると、椅子から立ち上がって執務室を出た。
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「と言うわけで銀鏡先輩、ちょっと男装してくれませんか?」
「お前はバカなのか!?」
ゲヘナ風紀委員会の本部にて。
銀鏡先輩を訪ねて風紀委員会へやって来て、彼女を見つけた俺様は銀鏡先輩を呼び止めて話をしていた。
「いきなり失礼っすね、俺様は至って真面目っすよ?」
「うるさいこのバカ!と言うか、そもそも何で私が男装なんてしなきゃいけないんだよ!?」
「いや、俺様にとって銀鏡先輩っていい意味で気を遣わなくてもいい相手なんですよね。だから男友達みたいだなーって前々から思ってたんで男装してもらえば名実ともに男友達になれるんじゃないかと……」
「なぁバカだよな!?お前やっぱバカだよな!?」
顔を赤くしてそうまくし立ててくる銀鏡先輩。
失礼な、俺様はバカではないぞ。
「そもそも男友達みたいってどういう事だよ!私が女らしくないってことか!?」
「いえ、銀鏡先輩は空崎委員長に褒められた時に見せる笑顔とかはすごく女の子らしいと思いますよ?」
「え、そ、そうか?へへ……」
「それに口では文句を言いつつもなんだかんだで面倒見が良かったり、後輩から慕われているところとかもすごいなぁと思ってます。」
「そ、そんなに褒めても何もでないぞ?」
「いや別に見返りが欲しいわけでは……まぁそれはそれとして、改めて考えると俺様が現状で今一番気安く接することが出来てるのって銀鏡先輩だと思うんですよ。」
銀鏡先輩はサッパリした性格をしており、俺様の模擬戦にも幾度となく付き合ってくれているが実に爽やかかつ頼り甲斐のある性格をしているからな。
普段も会ったらわりと気兼ねなくやり取りしてるし、面倒見も良くて後輩からも慕われているし。
なんというかこう……姉御肌と言うやつなのだろうか。
「俺様は男なんで、なんだかんだ女の子と接するのって結構気を使うんすよね。その点、銀鏡先輩はいい意味で気を使わなくてもいいので楽なんすよ。色々と。」
「だ、だからって男装するのはいくらなんでも……」
「……あら、何だか楽しそうな話をしているわね?」
俺様と銀鏡先輩がそんな話をしていると、いつの間にか外回りから帰ってきたらしい空崎委員長がひょっこりと顔を出してきた。
「い、委員長!?」
「お疲れ様です、空崎委員長。」
「お疲れ様二人とも。」
俺様が軽く頭を下げると、空崎委員長は少しだけ笑顔を浮かべて片手を挙げた。
「ところで、2人で何の話をしていたの?」
「いや、ちょっと銀鏡先輩に男装してくださいってお願いをしてたんすよ。」
「えっ……?」
サラッとそう言うと、空崎委員長は頭にハテナマークを浮かべつつ困惑しながら首をかしげる。
「……なにか変なものでも食べたのタツミ?」
「空崎委員長、俺様は至って正常ですからね?」
「だってそうじゃないと貴方が突然そんなマコトみたいなことを言い出すとは思えないもの。」
「えっ、俺様あの人と同レベルなんですか?」
「少なくとも今この場においてはマジでそうだぞ。」
不思議そうな表情で腕を組みながらそう言う空崎委員長と、不服そうにジト目を向けてくる銀鏡先輩。
「いやその……ほら、キヴォトスって俺様以外に男がいないじゃないっすか。俺様もやっぱり同性の友達が欲しいんですよ。だから気安く接することが出来る銀鏡先輩に男装してもらえば気分だけでも男友達になれた感覚を味わえるんじゃないかと……」
「……タツミ、それは男友達じゃなくて男装してる女友達なんじゃないのかしら?」
「そうだよな!?やっぱりそうだよな委員長!?」
空崎委員長の言葉を聞いて目を輝かせる銀鏡先輩。
いや、それは俺様だって分かっちゃいるんだが……ほら、見た目の問題って結構大事じゃん?
銀鏡先輩って気安く接することが出来るから忘れがちだけど、整った顔立ちに銀髪のツインテールは凄い似合ってるし、よく見ると色々と華奢だし、スカートはやたら短いし……女の子って感じの格好ではあるんだよな。
だけど性格はさっぱりしていて頼り甲斐があるし、口調も男勝りだし、なんというかこう……男装してくれればマジで今以上に気兼ねなく接する事が出来そうなんだ。
いくら気安く接することが出来るとはいえ銀鏡先輩は紛れもない美少女、そのままの格好ではやはり異性として意識せざるを得ないわけで……
「とにかく!私は絶対にイヤだからな!」
「えー、そんな事言わないで騙されたと思って一回だけでも良いですから!ね?」
「いーやーだー!というかお前そんなキャラじゃなかっただろ!日々の激務で頭がやられちゃったのか!?それとも万魔殿のトップの座に座ったやつはみんな頭がおかしくなるのか!?」
「だからさっきも言いましたけど俺様は至って真面目ですよ。羽沼議長はともかく万魔殿のトップの座に座ったからって頭がおかしくなるわけないじゃないですか。」
「……時々、貴方がマコトを尊敬しているのかバカにしているのかわからなくなる時があるわ。」
「いや、羽沼議長の事は尊敬してますよ?あの人はあれでいて確実に俺様なんかよりもトップの座にふさわしい人間ですし、良い所もたくさんあります。何よりあの人は俺様の恩人でもありますから。そうじゃなきゃ俺様は議長代理なんて役を引き受けたりしませんよ。」
そう、俺様は口ではさんざん羽沼議長の事をボロカスにけなしてはいるけど彼女のことは心から尊敬している。
だからこそ俺様は議長代理を引き受けたのだから。
彼女が罪を償い、議長として万魔殿へ戻って来たその日に彼女の帰ってくる場所を守るために。
……まぁ、もちろんイブキ達を守るためやゲヘナの皆の期待に応えるためってのもあるんだけどな。
「それだけ聞くと1年生なのにあの議長よりもよっぽど真面目で尊敬できるんだけど、現に今言ってきているのが男装してくれだもんなぁ……」
「……まぁタツミも普段から私達では考えられないような重圧を背負っているんでしょう。私達みたいにゲヘナ内での活動だけじゃなくて他校とのやり取りもあるし。イオリ、少しだけ付き合ってあげたら?」
「委員長!?」
「おっ、これは思わぬ助け舟が……」
「い、いくら委員長に言われても嫌なものはイヤだからな!?」
なお、その後も説得を続けてみたが結局銀鏡先輩が男装をしてくれることはなかった。
……男友達云々を抜きにしても銀鏡先輩だったら男装は普通に似合いそうなんだけどなぁ。