〜給食部にて〜
「こんにちは、愛清先輩。」
「あら、タツミじゃない。こんにちは。万魔殿での書類の処理は大丈夫なの?」
「相変わらず山のように積み上がっていましたけど、午前中に気合で終わらせてやりましたよ。」
「それはお疲れ様ね……」
「いえ、給食部の方はどうです?」
「丁度いまさっきピークが終わったところよ。せっかくだし、なにか食べていく?」
「いいんですか?丁度昼飯を何にしようか考えていたところなので、それはありがたいです!」
「ううん、タツミにはいつもお世話になってるしこのくらいお安い御用だわ。リクエストは何かある?」
「あ、いえ。昼のピークのときに余ったものとかで全然いいですよ?わざわざ作ってもらうのも悪いですし。」
「別に構わないわよ。どっちみちさっきまでずっと料理してたわけだし、今更1人分作るも作らないも対して変わらないから。それにさっきも言ったけどタツミにはいつもお世話になってるんだから遠慮しないの。ほら、言ってみなさい。手間のかかるものでも構わないわよ。」
「うーん……ならお言葉に甘えて、オムライスを作ってもらっても構いませんか?」
「オムライスね。分かったわ。パパっと作っちゃうからそこの椅子に座って待ってて頂戴。」
「ありがとうございます、愛清先輩。」
「はい、出来たわよ。ご注文のオムライス。」
「わぁ……!すっげぇ!ここまで綺麗なオムライスは俺様初めて見たかもしれませんよ!」
「適当に作っただけなのにそんな大げさな……まぁでも褒めてくれるのは悪い気はしないわね。さ、冷めないうちにさっさと食べちゃいなさい。」
「はい、いただきます!……うめぇ!」
「ふふっ、それは良かった。足りないならお代わりも作ってあげるからいっぱい食べていってね。」
「ありがとうございます!んぐ……そう言えば、新しく入った部員たちは上手くやってますか?」
「えぇ、私とジュリで仕込みをみっちり教え込んで手際のいい子には私の調理補助をお願いしているからまだまだ一人前になるのは時間がかかりそうだけどあの様子だときちんと育てばいい人材になりそうだわ。」
「それは良かったです。前まで給食部の人材難は致命的なものがありましたからね……」
「えぇ、好きでやっていることとは言え流石にゲヘナの全校生徒分の料理を私とジュリで捌くのにも限界があったからね……しょっちゅうタツミが手伝ってくれてたけどそれでも限界だったから、タツミが議長代理に就任して人材を紹介してくれて本当に助かっているわ。」
「いえ、むしろ今まで何も出来なかったのが申し訳ないくらいですよ。給食部はゲヘナに所属しているなら毎日世話になる部ですし、そこの部長の愛清先輩のお役に少しでも立てたなら俺様は嬉しいですから。」
「ありがとねタツミ。それ以外にも食材の発注ルートの整備や美食研究会に壊された備品の車の購入費用も出してくれたしタツミには頭が上がらないわね。」
「いえ、ほんとに気にしないでください。愛清先輩や牛牧はいつも頑張ってくれてるんですから仮にもゲヘナの長としてそれをサポートするのは当然のことです。」
「……ふふっ、タツミが議長代理に就任するって聞いた時は驚きもあったけどどっちかと言うとやっぱりなって気持ちのほうが強かったんだけど、タツミを見ていても目に見えて自身がついているように見えるし、ゲヘナもどんどん良くなっているし良いことずくめね。」
「いえ、それもこれも羽沼議長が上に立つ者としての心構えを教えてくれたおかげですよ。あの人ああ見えてなんやかんやでトップの器を持っている人ですからね。」
「確かにマコト議長はカリスマだけはあったから納得かもね。……さ、手が止まってるわよタツミ。まだまだたくさんあるからお腹いっぱい食べていってちょうだい。」
「はい、ありがとうございます愛清先輩!」
「……あれ、タツミくん?」
「あ、よう牛牧。お疲れさん。」
「いらっしゃってたんですね!今日はフウカ先輩と予算の相談ですか?」
「まぁそれもあるけど、給食部の様子を見に来たんだ。俺様が紹介した人材の様子とか、食材の仕入れルートはきちんと機能してるかとかな。」
「あ、食材といえば仕入れ先として玄武商会を紹介して頂いてありがとうございました!あそこの食材は全て質が良いものですし、ルミ会長も気前の良い方でよくおまけをしてくれるので本当にありがたい限りで……」
「あぁ、玄武商会系列の店の料理はどれも品質の良い食材と腕の良い料理人によって作られているからな。ここなら仕入先として間違いないだろうし、少し打算も入っちまうがゲヘナと山海経の交流のキッカケとしてもうってつけだっただろうからな。」
「はい!ルミ会長は料理人同士フウカ先輩とも気が合うようですし、私も玄武商会の料理好きな子とお友だちになることが出来ました!今度ルミ会長やレイジョさんからから給食部のメンバーを玄武商会へ招いてくださると言うお話も出ているので、本当にタツミくんには感謝しないとですね。」
「なーに、俺様はあくまでツテを使っただけだ。ここまで朱城会長や鹿山先輩と仲良くなって信頼を勝ち取ったのは間違いなくお前や愛清先輩の頑張りのおかげだよ。もっと胸を張ってもいいんだぜ?」
「……ふふっ、タツミくんは本当に謙虚なんですね。」
「謙虚というか、さっきも言ったけど俺様は取り引き先として玄武商会を紹介しただけだからな。それ以上のことは何もやってないわけだし、朱城会長や鹿山先輩とお前達が上手くやれてて安心したよ。」
「あ、そう言えばこの前玄武商会に行ったときに黒髪の背の高い女性と白髪の小柄な女の子の姉妹とお会いしましたよ。確か……春原シュンさんと春原ココナさんだったでしょうか?」
「あ、シュン教官とココナ教官にも会ったんだな。まぁ梅花園も玄武商会から食材を仕入れているから当然と言えば当然ではあるか……」
「タツミくんはその梅花園の教官と言う方とお知り合いなんですよね?」
「あぁ、山海経へ遊びに行ったときに知り合ってな。梅花園は簡単に言えば保育所のようなもんでその二人はそこの教官なんだが、たまに手伝いに行ってるんだ。」
「なるほど、それでタツミくんのことをご存知だったんですね。二人ともタツミくんによろしく、と仰っていましたので。」
「そうだったのか。考えてみれば最近は忙しくて梅花園に顔を出す頻度も減っちまったからなぁ。今度また子ども達とあの二人の分のケーキでも作って持っていってやるとするかね。」
「……随分と慕われているんですね?」
「いやいや、別に俺様は休みの日に手伝いに行っている程度だぜ?」
「普通ならお仕事がお休みの日に保育所のお仕事を手伝いに行こうなんてことにはならないと思いますけど……」
「まぁ確かにそれはそうかもしれねぇけど、子ども達の面倒見んのは結構好きだしシュン教官もココナ教官もいい人たちだからな。俺様が好きでやってることだからあんま気にしないでくれ。」
「なら良いですけど……」
「それにココナ教官はイブキと仲良くしてくれている友達でもあるからな。イブキは飛び級だからキヴォトスで同年代のダチがいなくて寂しがっていた所もあるし、そういう意味でも梅花園とあの二人には感謝してんだ。」
「確かにイブキちゃんは1年生ですけど、イブキちゃんにとって同年代の子は皆小学生ですもんね……と言うかココナさんって11歳で教官をされているんですか!?」
「おう、めちゃくちゃしっかりしてるだろ?そこらの大人よりよっぽどしっかりしてると思うぜあの子は。」
「じゅ、11歳で子どもの面倒を見るなんて……私には到底無理な話かもしれません。」
「あぁ、俺様だってそんなことはできないさ。まぁともかく上手くやれているなら良かったよ。」
「はい!ありがとうございます。呼び止めてすみませんでした、お仕事頑張ってくださいねタツミくん!」
「おう!牛牧も体に気をつけてな!」
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「さてと、給食部も上手く回っているみてぇだし良かったぜ。次は救急医学部の様子を見に行って、その後はトリニティとのリモート会議の後に連邦生徒会へ顔出しにも行ってこねぇと……やることが山積みだなぁ。」
「まぁでも仕方ねぇか。もうひと頑張りしますかね!」
そろそろ本編に戻りたいと思います