転生したらイブキの兄だった件   作:砂糖菓子くん

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前話の反響が過去一でビックリしました
R‐18版の需要が思ったよりもあるみたいなので頑張って書いてみます
ただ官能小説を書いたことはないので、少しお時間をいただくことになると思いますがご了承ください

改めてたくさんの感想ありがとうございます!


事後とワカモと丹花タツミ

(や、やっちまったぁぁぁぁぁ!)

 

ワカモに牛柄の水着を着て誘惑され、ついに張り詰めていた理性の糸がぷつりと切れてしまった俺様。

その結果、俺様はワカモをベッドに押し倒して彼女の望み通りそれはもう俺様の口から言うのもはばかられる具合には彼女をぐっちゃぐちゃの滅茶苦茶にしちまった。

最中のことは理性が切れていたおかげでうっすらとしか覚えていないけど、ひたすらワカモの名前を呼びながら彼女へ溜まりに溜まった欲をぶつけていた気がする。

 

襲ってしまった責任、ワカモとの今後の付き合い方……

そんな思考が俺様の頭の中をぐるぐると駆け巡る。

 

昼間に先生にワカモとのファーストキスのことを【そういう行為】だと勘違いされたけど、まさか本当にワカモとそういう行為をしてしまうとは思ってもみなかった。

一応、あれから先生にキツめに説教をされて避妊の大切さについて説かれていたため何故かワカモの持ってきていた避妊具をしっかり使ったから、子どもは出来てはいない……はず。使い方も見たから大丈夫……多分。

と言うか避妊具を持ってきているってことは、ワカモはどう考えても最初から俺様とそういうことをする気満々だったと見ていいだろう。

俺様は欲望のままにベッドの上でワカモを貪ったけど、もしかしたら食われたのは俺様の方だったのかもな……

 

まぁ何にせよ、今更何を言おうが後の祭りだ。

俺様とワカモは確かにこの部屋で体を重ねちまった。

それは紛れもない事実なのだから。

 

「すぅ……すぅ……」

 

そんなワカモは現在俺様と同じベッドの上で横になっており、俺様の横で幸せそうに寝息を立てて眠っていた。

彼女の体は先程までの激しい行為のせいかじっとりと汗ばんでおり、首筋や鎖骨には俺様が暴走して刻み込んだキスマークや歯型などが大量に残っている。

 

「やっちまった……俺様は最低だ……」

 

頭を抱えながら俺様は自分を責めるように吐き捨てる。

そりゃ元はと言えばこんな刺激的な水着を着て俺様に自分を抱けと迫ってきたワカモが悪いけど、我慢できずに手を出しちまったのは完全に俺様の責任だろう。

付き合ってもないのに体を重ねて、あまつさえテロリスト以前に女の子であるワカモに欲をぶつけて滅茶苦茶にしてしまうなんて……俺様は最低だ、最低な男だ。

 

「うぅ、ごめんなイブキ……お兄ちゃんは最低な男だ……」

 

俺様は天井を見上げつつそう呟いた。

……と言うか、イブキを始めとする女性陣は確か談話室で女子トークやトランプ大会などをやっているはずだけどもう夜も更けて来る頃だしそろそろお開きの流れになっても何らおかしな話ではないだろう。

そう思った俺様は慌ててスマホを開いて時計を確認するが時刻はそろそろ深夜23時になろうかと言う所だった。

 

……まずい、これは非常にまずい。

本来、この部屋は俺様とイブキの相部屋だ。

時間帯的にもそろそろイブキが帰ってきてもおかしくはないのに、この部屋には明らかに【そういうこと】をしたであろう俺様とワカモがお互いにほとんど何も身につけていない状態で1つのベッドで一緒に横になっている。

この状況はマズい。誰がどう考えたってマズい。

 

(うわぁぁぁぁ!やばいやばいやばい!)

 

こ、こんなところを見られたらイブキはおろか先生やアビドスの皆からもゴミを見る目で見られるのは確定だ!

確かに手を出したのは俺様なんだから正直に白状してワカモに土下座して謝って責任を取るべきだし皆に隠すのも良くないとは思うんだけど、何にせよ今のままの状況でこの部屋にイブキを入れるのはどう考えてもダメだ!

それだけは……それだけは何としても避けなければ……!

 

「ん……んぅ……」

 

俺様が頭を抱えながら目を白黒させていると、俺様の横で寝ていたワカモからそんな声がする。

思わずそちらに視線をやると、そこでは目が覚めたのか眠い目を擦りながら起き上がるワカモの姿があった。

 

「ふぁぁ……ふふ、おはようございますタツミさん♡」

「あ、あぁ……おはようワカモ。」

 

ワカモは眠たげな目をこすりながら、俺様にニッコリと微笑みながらそう声を掛けてくる。

その屈託のない笑顔に、俺様は少しだけドキッとしながらもぎこちなく返事を返した。

するとワカモは喉が渇いていたのか、ベッドの横に置かれているペットボトルを手に取るとキャップを外してその中身を煽り始めた。

 

……よくよく考えたら、俺様ってワカモとさっきまで【そういうこと】をしていたんだよな。

普段の飄々とした様子はどこへやら、ベッドの上で俺様の手でひんひんと鳴くワカモはとても可愛くて……同時にとても愛おしかったのは覚えている。

そのせいで俺様にも更に火がついてしまったのだが……

 

だ、だって仕方ないだろ!普段は飄々としていてスカしたクソむかつく女が、目にハートを浮かべながら俺様にされるがままになってるんだぞ!?

あんなの、男だったら誰だって夢中になるっつーの!

 

「ウフフ♡やっと手を出してくださいましたね♡このような破廉恥な水着を用意して、恥じらいを我慢してタツミさんを誘惑した甲斐がありましたわ♡」

「う、うるせぇな!仕方ねぇだろ!こちとらお前に誘惑される前から悶々としてたんだよこのアホォ!!!」

 

そう、元はと言えば今日の俺様は先生やアビドスの皆の水着姿を1日中視界に入れていた。

小鳥遊先輩の健康的な肌、十六夜先輩のデカい胸、砂狼先輩の鍛えられた体、黒見の控えめながらもしっかりと主張する胸、奥空の脱いだら案外すごかった体……そして先生のダイナマイトボディ。

そんなものが四六時中視界に入っていたのに加えてそこへワカモが俺様好みの水着を着て現れたり、更にはそこから先生と十六夜先輩に日焼け止めを塗ったり……

 

……いや、それでよく今まで我慢できてたな俺様。

決して言い訳をするわけじゃないけど、正直どこかで理性が決壊していてもおかしくはなかっただろう。

そんな状態で崩壊寸前の理性をなんとか気力で繋ぎ止めていた所にワカモの牛柄のビキニを着てあの熱に当てられた雰囲気での全力の誘惑……もうあそこまでいくと我慢がどうとかのレベルでない、明らかに思春期の男子高校生が制御できるキャパシティを超えていた。

……まぁ、それでも理性を保てずにワカモに飛びかかって滅茶苦茶にしちまったのは俺様が悪いんだけどよ。

 

「ウフフ♡まさかタツミさんがベッドの上ではあんなにも激しいとは思いませんでした♡ほら、見て下さい。タツミさんからの愛の証がこんなにも……♡」

「だぁぁぁぁ!忘れろ!忘れてくれぇぇぇ!!!」

 

首や鎖骨、更には胸や腹などいたるところに付けられた俺様からのキスマークや歯型を愛おしそうに撫でながら恍惚とした表情で微笑むワカモ。

あぁくそっ!恥ずかしさで顔から火が出そうだ……!

 

「忘れろと言いましても、現にこうして私の体に刻まれてしまっているわけですしね。ウフフ♡」

「うるせぇ!と言うかお前だって俺様の首筋や体に大量にキスマークを付けやがって!どうすんだよこれ!隠すのメチャクチャ大変なんだが!?」

「ウフフ、私だけ一方的に愛をいただくのも不公平でしょう?ですのでそのお返しです♡」

「いや、そりゃそうかもしれねぇけどよ……!」

 

と言うか、よくよく考えたら俺様ってファーストキスもこいつで卒業したし本当の意味でのそういう行為もこいつで卒業したってことになるんだが……?

嘘だろ……?俺様の初めての相手、両方ワカモなの……?

ぜ、前世を含めた初めての相手があの災厄の狐って……ははっ、一体何の冗談だよこれ……!

 

「んっ……」

 

そんな事を焦りながら考えていると、俺様の横でワカモが小さくそう声を漏らす。

何事かと思ってそちらへ目をやると、そこではワカモが自身の下腹部に手を当てながら少し顔をしかめていた。

 

……そうだ、何も初めてだったのは俺様だけじゃない。

彼女だって行為の最中に血が出ていたし、最初は痛がっていたから当然初めてだったに違いない。

そう考えると、俺様が自分の欲望を彼女に何の遠慮もなくぶつけたのは良くなかったんじゃないか?

 

「す、すまんワカモ。大丈夫か?」

「いえ、まだ少し痛むだけですので……大したことではありません。」

 

俺様はワカモの肩に手を乗せながらそう言うが、ワカモは笑顔を浮かべながらそう答えた。

 

「いや……でも俺様も初めてのことだったし、何よりもさっきまでの俺様は理性が飛んでいた。だからお前のことなんて何も考えずに乱暴を……」

「そんなことはありません。タツミさんは避妊だってしっかりしてくださいましたし、理性が切れていてもきちんと私のことを大切に扱ってくださいました。少々乱暴だったのは初めてだったので仕方ないですし、それよりも私はタツミさんが私だけを見てたくさんの愛をくださったこと……その事が嬉しくて仕方ないのです♡」

 

そう言うと、ワカモは俺様に向かって優しく微笑みながらそう声を掛けてくる。

 

「……そっか。なら良かったよ。」

「ウフフ、それにしてもまさかタツミさんがベッドの上ではあんなにも積極的だとは思いませんでした♡」

「う、うるせぇな!それを言うならお前だって普段と違ってあんなに俺様にされるがままだとは思わねぇだろうが!ひんひん鳴いていたくせによく言うぜ!」

「あら、ではこのタツミさんを誘惑するわるぅーい女狐にもう一度お仕置きをしてみますか?♡」

「誰がするかボケェ!!!」

 

蠱惑的にそう言って微笑むワカモに俺様はそう大声で叫んだ後にベッドから飛び出すと、着ていた寝間着を慌てて引っ掴んでそれを大急ぎで身につけていく。

あぁくそ、首筋にキスマークがついているせいでシャツだけじゃ隠しきれねぇ!仕方ないから、絆創膏でも貼って虫に刺されたって誤魔化すしかねぇ……!

……これ、意地でも海へ行った時にシャツを脱ぐわけには行かなくなっちまったなぁ。

 

「ワカモ!お前もいいからさっさと服を着ろ!あとトイレにはシャワーも付いてるから浴びてこい!こんなところを誰かに見られたらマズいだろうが!」

「あら、私は今から2回戦をしても構いませんよ?さっきは散々タツミさんに鳴かされてしまいましたので、今度は私が手玉に取って差し上げますわ♡」

「本気で言ってんならぶっ飛ばすぞてめぇ!そろそろ時間的にもイブキが帰ってくるんだよ!こんな現場をイブキに見せるわけには行かねぇだろうが!」

「ウフフ♡私としてはタツミさんにしっかりと愛して頂いたことを見せつけるのも悪くないと思いますが……タツミさんがそういうなら仕方ありませんね♡」

 

ワカモはそう言うと渋々と言った様子でベッドから立ち上がると、持ってきていた小さなカバンを持って再び備え付けられたトイレへと入っていく。

そしてドアが閉まった音がした少しあとに、トイレの個室の中に一緒に備え付けられているシャワールームから湯の出てくる音が部屋の中に響き渡った。

くっ……このホテルが無駄に設備が良くてそれぞれの個室にトイレとシャワーが一体化したユニットバスもどきが備え付けてあるのは不幸中の幸いだった、少なくとも匂いでバレることは無さそうだ。

 

俺様はその間に寝巻きの上着を羽織るとワカモとの行為で汚れてしまったシーツをベッドから剥がし、後で洗濯するために一旦部屋の備品として備え付けられていた洗濯籠へ入れ、クローゼットから新しいシーツを取り出してそれをマットの上から被せて張り替える。

 

そして、その後に俺様は持ってきていたリュックの中から消臭剤を取り出すと部屋中にそれを散布していく。

……よし、時間があまりないだろうからこのくらいしか出来ないだろうけどとりあえずはこれで大丈夫だろう。

あとはこのシーツをこっそり洗濯室へ持っていって洗濯を済ませれば、ここで起こったことはバレないはずだ。

 

あとはこの使用済みのゴムの処理だが……仕方ないのでこれは後でこっそり俺様が捨ててくるしか無いだろう。

とりあえず今はビニール袋に入れて密閉して、俺様のカバンの中にでも隠しておくしかない。

 

「よし……とりあえずはこれで……!」

 

……と、そんなこんなしている内にワカモの方もシャワーと着替えが終わったらしくトイレのドアがガチャリと音を立てて開いたかと思うと中からワカモが姿を表した。

着替えを終えたワカモは先程までの牛柄のビキニではなくきちんといつものヒラヒラとした和服に身を包んでおり、俺様はその姿を見てホッと息を吐く。

湯上がりの彼女はほんのり顔を赤く染めており、タオルで拭いただけでまだ乾ききっておらずに水に濡れたきれいな黒髪が首筋に張り付いて非常に色っぽかった。

 

……やっぱり、こいつには牛柄のビキニとかよりも普段のこのヒラヒラした和服が一番似合っている気がするな。

まぁこれでも一般的な服よりは露出の高い方だとは思うけど、さっきまで着ていた牛柄のビキニよりは遥かに肌を隠せていて健全に見えてくるのだから不思議だ。

もちろん、普段から見慣れてるってのもあるだろうが。

 

……そ、そりゃ確かにあの牛柄のビキニを着たワカモだって可愛くてそりゃもうドエッチだったけど……って一体何を考えてるんだ俺様は!?

今はそんな事を考えてる場合じゃないだろ!

しっかりしろ!

 

「ふぅ……ウフフ、やはりタツミさんを誘惑するためとは言えあの水着は少しばかり恥ずかしかったので、こちらの方が落ち着きますわね。」

「……そうだな。お前にはそっちの和服のほうが似合ってると思うぞ。」

「ウフフ、タツミさんが望むのであればまたあの水着を着てもいいのですよ?」

「いやお前は俺様の理性を何度殺せば気が済むんだ?」

 

確かにあの水着を着たワカモの破壊力はやばかったけどあんなもんを毎回見せられたらたまったもんじゃない。

 

「それより……いくらお前に誘惑されたからと言ってお前のことを押し倒して好き放題したのは完全に俺様の責任だ。付き合えないなんて言っておいてお前を襲っちまうなんて、謝っても許されることじゃないと思うけどそれでも謝罪させてくれ。本当に済まなかった。」

 

そう言って、俺様はワカモに対して頭を下げた。

そう、俺様はこいつの告白を断っておいてそれでいて本来であれば正式に付き合ってから行うべき体を重ねるという行為を理性を制御しきれずにやってしまった。

到底許されることではないし、今回やったことの責任は取らなければならないだろう。

 

「あんな事を言った傍からこんなことをしてしまって本当に申し訳ない。だから責任を取ってお前と……」

「……その話はそこまでです、タツミさん。」

 

俺様が頭を下げ続けながらワカモに謝っていると、ワカモは俺様の前まで歩み寄ってくると静かにそう言った。

 

「まず今回のことですが、タツミさんは悪くありません。いえ、厳密にはタツミさんがクソボケすぎるあまり強硬策を取ることになったので完全に悪くないとは言い切れないかも知れませんが……元はと言えばタツミさんが私に襲いかかってきたのは私がタツミさんを誘惑したからに他なりませんので。」

 

にこやかな笑みを浮かべ、言葉を続けるワカモ。

 

「なので、貴方が責任を取る事など考えずとも構いません。今回は私が不意打ちでタツミさんの理性を焼き切ったから起こったこと。事故のようなものですから。」

「い、いや。でもいくら理性を揺さぶられたからって、お前のことを襲っちまった責任は取らないと……」

「いいえ、取る必要はありません。一度抱いたからと言って責任を取って付き合うだなんて、罪悪感に漬け込む形で貴方を手に入れても面白くありませんもの。」

 

俺様の言葉を遮り、キッパリとそういうワカモ。

その言葉を聞き俺様が言葉に詰まっていると、ワカモは俺様に一歩近づきながら口を開いた。

 

「……ですので、次はタツミさんの意思で手を出して頂きます。今回のように私が反則を犯して理性を焼き切るのではなく、タツミさんの意思でこの女を抱きたいと思わせて見せます。」

 

俺様の胸を人差し指で突付きながら、ワカモは笑顔で総言葉を続ける。

 

「タツミさん、貴方は必ず私に惚れて頂きます。必ず私に夢中にさせて差し上げます。そしてタツミさんが私に惚れ、私のことを手中に収めたいと思った時……体を重ねた責任は、その時に取っていただくことにします♡知っていますかタツミさん、狐は肉食なのですよ♡」

 

そう言うと、ワカモは俺様に更に近づいてくると……今度は唇ではなく俺様の頬に軽く口付けをした。

 

……まったく、こいつも変な所で頑固なやつだよな。

正直、先程まで俺様は体を重ねてしまった責任を取ってワカモの告白を受け入れるつもりでいた。

けど、ワカモに言われてよくよく考えたらその通りだ。

 

仮に俺様とワカモが体を重ねた罪悪感で付き合ったとしても、その関係は恋愛感情によるものでない。

そんな恋人関係が上手くいく訳が無いし、お互いにとってもそれは良くないことなのは間違いない。

そして……何よりも、それは俺様の事をこんなにも想ってくれているワカモに対する最大の侮辱でしか無い。

 

くそ、こんな簡単なことに気づかないなんて……

つくづく、俺様は最低な男だ。

 

「……すまんワカモ。」

「いいのですよ。私は貴方のそういう律儀な所や責任感の強さにも惚れたのですから♡責任を取る、というのも貴方の優しさからくる考えなのも理解しております。ですので今夜のことは私と貴方二人の秘密にしておきましょう、タツミさんもそれでよろしいですわよね?」

「あぁ……ありがとう、恩に着るよ。」

「ウフフ♡なのでいつの日か、私は必ず貴方を私に夢中にさせてみせますので……覚悟してくださいね?♡」

「……へっ、上等だ。やれるもんならやってみろ。」

 

俺様とワカモはお互いに顔を見合わせると、どちらからともなく笑いあった。

 

果たして俺様がワカモに本気で惚れる日が来るのか、それは今は分からないけど……一つだけ言えることがある。

それは今回の件で、俺様はワカモを女の子として意識せざるを得ないだろうなと言うことは間違いないだろう。

 

何をどうしたって、俺様はこいつと体を重ねた。

お互いにとって初めての相手なんだ。

そんなの、意識しないって方が難しいだろう。

と言うかもう若干意識してしまっている自分がいるし……

 

それに世間では災厄の狐と言われている彼女も、ベッドの上ではただのか弱い女の子……って駄目だ駄目だ!

それは今は考えるな!無心!無心だぞ俺様!!!

 

「ウフフ♡それではタツミさん、子どもは何人くらい欲しいですか?」

「……は?子ども?」

「えぇ。先程宣言したように貴方は私に惚れていただきます。そして私も貴方に惚れている……それはつまり私達は将来夫婦になるということ。であれば、子孫を残すのは当たり前のことでしょう?ウフフ、その日が来たらたくさん子どもを作りましょうねタツミさん♡」

 

至極当然とでも言うように、ワカモは口元に手を当てながらくすくすと笑った。

 

「いや何の話をしてんだてめぇは!?ってか俺様がお前に惚れることは確定事項なのかよ!」

「もちろんです。私は狙った獲物は逃がしません♡」

「ハッ!今まで俺様に何度も逃げられておいてよく言うぜ!こっちだって、お前を捕まえて矯正局へブチ込むまではどこまでだって追いかけてやるからな!」

「まぁ、なんと情熱的なお言葉……♡これはもう告白と言っても過言ではありませんよね?♡」

「ドアホ!どう考えても宣戦布告だボケェ!!!」

 

くそっ!ダメだ!やっぱりこいつムカつく……!

 

「と言うか用意周到にゴムまで持ってきやがって!お前初めからそのつもりだっただろ!」

「あら、当たり前ではありませんか。でなければあのような破廉恥な水着は着ませんわよ?それともやはり2回戦をお望みですか?それなら今から早速子作りを……♡」

「ふざけんなぁぁぁ!!!もう黙ってろお前ェ!!!」

 

くそっ!いくら誘惑されたとは言え、まさかよりにもよってワカモに手を出しちまうなんて……!

イブキに……俺様はイブキになんて顔向けすれば……!

 

「さぁさぁタツミさん、子どもは何人欲しいですか?♡私とタツミさんの子どもであれば、このワカモ。何人でも産んでみせますわ♡」

「いや、だから何の話をしてんだてめぇは!?」

「一般的な過程を目指すのであれば2人か3人ですが、大家族を目指すのであれば5人以上という手も……ウフフ♡私と貴方の子どもなら、さぞ可愛いことでしょうね♡」

「おいこらワカモてめぇ人の話を聞けやァ!!!」

 

俺様は頭を抱えながらそう吐き捨てる。

くそっダメだ!こいつまるで話が通じねぇ!

と言うか、今はこんな事をしている場合じゃない!

 

ひとまず部屋の片付けは終わったけど隠してるだけで見られたら困るから処分しなければならないものがたくさんあるし、そもそも俺様だってシャワーを浴びなければ汗をかいているからこの事がバレる可能性だってある。

そもそも隠してるっつったってシーツは洗濯籠に入れて上からカバーをかけただけだし、使用済みのゴムは俺様のカバンの中にビニール袋に入れて隠してあるだけ。

万が一見つかったら全員の前で正座して一から十までことの発端を説明しなければならないだろう。

それはどう考えたってマズいとしか言いようがない……!

 

けど、現在の時刻は23時付近。

イブキが帰ってくるのは時間の問題だ。

流石に今からシーツやらを処分しに行く時間はないため気づかれないことを祈って、イブキが部屋で眠り始めてからこっそりと処分しに行くしかない。

くっ、頼む……頼むから気づかないでくれよ……!

 

「と、とにかく俺様は速攻でシャワーを浴びてくるから部屋をノックされても出るんじゃねぇぞ!」

「ウフフ♡承知いたしましたわ♡」

 

俺様はベッドに腰掛けたワカモを指さしながらそう言うと、慌ててカバンの中から予備で持ってきていた寝間着を引っ掴んでトイレの真横に備え付けられていたシャワールームへと駆け込むのだった。

 

クソっ!もうイブキが帰ってくるまでに時間がない!

とっととシャワーを浴びて、ワカモに部屋から一旦出て行ってもらわないと……!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ふぅ……いい湯だったぜ。」

 

あれから速攻で温かいシャワーを浴びて、ワカモとの行為でかいた汗や色々なものを綺麗に洗い流した俺様。

さっきまではテンパりすぎて色々な思考がぐるぐると頭の中を巡っていたのだが、シャワーを浴びたおかげかスーッと頭がクリアになり今の俺様はある程度の冷静さを取り戻していた。

ともあれ、何とかイブキが帰ってくるまでにシャワーを浴び終えることが出来て何よりだ。

そんなことを思いながら、俺様はカバンの中から持ってきた予備の寝間着を身に着けていく。

 

「うわ……すごいなこれ……」

 

寝間着を着る途中でシャワールームの鏡に写った俺様自身の姿を見て、俺様は思わずそう呟いた。

鏡の中の俺様の上半身……主に胸板や首筋にはワカモから付けられたキスマークが大量に刻まれており、その数は両手の指では到底足りないほどの量である。

その刻印の殆どは幸い服を着てさえいれば隠せる位置ではあるものの、首筋の一部はどう頑張っても隠しきれそうにないから絆創膏を貼って誤魔化すしかなさそうだ。

大小さまざまなキスマークはワカモとそういう事をしたんだと言う現実を俺様にまざまざと突きつけてくるものに他ならなかった。

 

「くっ……」

 

目立つ場所にまで刻まれた刻印を見て思わずそんな声が漏れるが、ワカモとて行為中は余裕なんてある様子は微塵もなかったから加減が出来ないのは仕方ないだろう。

と言うかそれを言うなら俺様だって完全にタガが外れてワカモには大量のキスマークを刻み込んじまったし、何なら歯型までも付けちまっている始末だ。

この大量のワカモからの刻印を隠しきれるか自信はないけど、俺様がした事を考えたら文句は言えないだろう。

 

「さてと、急がないとな……!」

 

そうこうしているうちに寝巻きに着替え終わった俺様はシャワールームのドアを開けてトイレを経由し、更にトイレのドアを開けて部屋へ戻るとそこにはベッドに深く腰掛けて髪をとかしているワカモの姿があった。

照明の光を反射してキラキラと輝く長い黒髪をとかしている彼女の姿は先程まであんなに乱れていた姿とは程遠く、まるで絵画のような美しさだった。

 

「あら……ふふ、お帰りなさいタツミさん♡」

「あ、あぁ。ただいま。」

 

その姿にしばし見惚れていると、こちらに気づいたワカモがニッコリと微笑みながら俺様に声をかけてくる。

彼女からかけられた声にハッと我に返った俺様は、ベッドの上のワカモに対してぎこちなくそう答えた。

 

「ウフフ、湯上がりのタツミさんもまた素敵ですね♡」

「……世辞は良い。髪は乾いたのか?」

「まだ完全には乾いておりませんが、この分だと時間が立てばそのうち乾くでしょう。お気になさらず。」

「そうか。……お前の髪は綺麗なんだから、ちゃんと傷まないようにしとけよ。」

「まぁ……ウフフ♡はい、そうさせていただきます♡」

 

俺様の言葉に、ワカモは嬉しそうに笑う。

 

「……ん?」

 

ワカモとそんなやり取りをしつつ、髪の毛をタオルで拭いていると……ふと、俺様が洗濯籠に入れていたシーツやカバンに隠していた使用済みのゴムがゴミ袋にまとめられて床に置いてあるのに気が付いた。

 

「あれ……これはさっき俺様が隠したはずじゃ……?」

「ふふ、タツミさん。そちらのシーツや使用済みの避妊具は私がまとめさせて頂きましたわ。」

 

確かに隠したはずなのにおかしい……と俺様が思っていると、そんな俺様にワカモからそう声がかけられる。

 

「え……お前が……?」

「はい。タツミさんの話によるとそろそろ妹さんが部屋に帰ってくるのでしょう?であれば、このような物を部屋に置いておくのはよろしくないでしょう。私は今からお暇させていただきますので、その時についでに持っていって外で処分しておきますわ。」

 

……なるほど、そういうことだったのか。

そいつは正直願ってもない申し出ではある。

 

このシーツやゴム等は本来であれば俺様が責任を持って処理すべきものなのは間違いないだろう。

けど、流石に今から処分しに行く暇はないだろうからそうなるとイブキを部屋に迎え入れて寝かしつけてからになっちまうしそうなるとイブキと同じ部屋に行為後の道具を置きっぱなしと言う事になる。

バレなければ問題ない……いやバレなくても大問題だけど一旦それは置いとくとして、流石にイブキと同じ空間にそんなものを置いておくのは憚られるからな。

 

それに警備ロボットが巡回しているとは言え、俺様達は昼間にヘルメット団の襲撃を受けているから連中が夜襲を仕掛けてこないとも限らない。

そうなると処分しに言っている間はイブキを部屋に1人で放置することになるわけでかなり危険だ。

俺様としてはそれだけは避けたかったので、正直ワカモが処分してくれるのであればこんなにありがたいことはないだろう。

 

「分かった。すまないが、頼んでもいいか?」

「はい、このくらいお安い御用です♡」

「……ありがとう、恩に着る。」

 

俺様が頭を下げながら礼を言うと、ワカモは「気にしないで下さい」と声を掛けてくれた。

 

「ウフフ、それではタツミさんの妹さんと鉢合わせする前に私はこの辺りで失礼すると致します。」

 

そう言うと、ワカモはベッドから立ち上がり使用済み用具がまとめられたゴミ袋を手に取りながらそう言った。

 

「あぁ、色々悪かった。体には気をつけてな。」

 

そんなワカモに俺様はそう声を掛け、彼女を送り出すために部屋のドアノブにてをかけようとした瞬間だった。

 

ーコンコンー

 

突然、俺様の部屋のドアがノックされる。

 

「……!?」

 

あまりにも唐突で予想だにしなかった出来事に俺様は一瞬硬直するがすぐにハッと我に返ると、後ろにいるワカモに対して隠れろとのジェスチャーを送った。

どう考えてもこのノックはイブキが部屋へ戻ってきたと言う合図にほかならないだろう。

となると、この部屋にワカモが居る状況を目撃されるのは絶対にマズいことは火を見るよりも明らかだ。

 

(頼むワカモ!どこかに隠れてくれ!)

(……こくり。)

 

ワカモもそれを理解してくれたのか、彼女は声を出さずに首を縦に一回振るとゴミ袋を持って素早く近くにあったクローゼットの中へと身を隠す。

俺様はしっかりワカモがクローゼットの扉を閉めたのを確認すると、イブキを迎え入れるために扉を開いた。

 

ーガチャリー

 

「よぉ!おかえりイブ……」

“やぁタツミ、遅くにごめんね。イブキを連れてきたよ。”

「……え、先生?」

 

するとそこには、にこやかな笑顔を浮かべながら俺様に向かって空いている片手を振ってくる先生。

そして、先生に背負われ彼女の背中で幸せそうに寝息を立てているイブキの姿があった。

 

(な、何で先生まで一緒に居るんだ……!?)

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