転生したらイブキの兄だった件   作:砂糖菓子くん

96 / 138
今回はトリニティ編です
犬猿の仲である学校でのタツミの評価は……


【番外編】他生徒から見た丹花タツミ トリニティ編

“さて、という訳でトリニティまでやって来た訳だけど。”

 

“トリニティと言えばゲヘナとは犬猿の仲なのは有名でお互いの生徒が出くわしでもしようものならすぐ闘いが始まるのはキヴォトスでは有名な話……らしいけど、最近はナギサとタツミの尽力でその関係も少しづつ変化してるって話も聞いているしね。”

 

“ハスミっていう分かりやすいくらいにタツミに矢印を向けている子も居るくらいだし、シスターフッドのみんなもタツミのことは目に見えて好意的に接してるし……ゲヘナは言うまでもないけど、本来なら良くない関係のはずのトリニティの生徒からもそんなに好かれているなんてタツミの人柄が伺えるよね。”

 

“……それじゃあ、聞き込みをしていこうかな。”

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

〜ティーパーティー現ホストの場合〜

 

「タツミ議長代理……ですか?そうですね、彼自身はとても努力家かつ真面目な方だと思っておりますよ。突如降って湧いたゲヘナの議長代理……1年生にして学園のトップに立つという重圧は生半可なものではないでしょう。ですが、彼はその重圧から逃げなかった。選挙で自分に票を投じてくれた人のために、投じなかった人のためにもこの責務から逃げるわけには行かないと仰っていました。まさに、人として尊敬に値する方でしょう。」

“あれ、随分とタツミの理解度が高いんだね?”

「最近はトリニティとゲヘナのエデン条約後の後処理を含めてお互いの学園の代表同士、タツミ議長代理とはお会いする機会が多いですからそこでお互い学園のトップを務める者同士、意外と同じ悩みで苦悩している話などで盛り上がってしまいまして……最近は彼とモモトークでお話させて頂いたり、彼からも私からもお互いに相談事をしたりもしていますね。」

“(……なるほど、タツミとナギサは今はゲヘナとトリニティのトップ同士。犬猿の仲の2校とは言え2人は同じ苦労人同士気があっているみたいだし、トップ同士でしか分からない苦悩もあるだろうから……これはもしかしたら意外な伏兵かもしれないね?)”

 

「それにしても、こんな事を先生に言うのもおかしな話ではあるのですが……やはりタツミさんが議長代理になってからはゲヘナとの会談がスムーズに進んで大変助かっております。」

“……あ、やっぱりマコトの時はあんまりうまく行ってなかった感じなんだね?”

「はい。マコト議長時代はトリニティとの会談と聞くだけで顔を顰められて、条約の話をする前に彼女の自慢話と出した紅茶への文句を3時間は聞かされていましたからね……」

“あはは……マコトらしいね。”

「その点、タツミ議長代理はすぐ本題へ入れる上に要点の理解も迅速なので助かります。彼が議長代理になってからは正義実現委員会と風紀委員会の委員長も含めて活動範囲の取り決めや不良の引き渡しの条約を制定して揉め事もヘリましたし、最近はエデン条約……とまでは行きませんがトリニティとゲヘナ間での友好条約についての話も上がってきている次第です。」

“おー!いいじゃん!”

「はい。私としても2校が長きにわたっていがみ合っているこの風習をいつまでも良しとするわけには行きませんからね。まだまだ偏見や差別も根強いものがありますがタツミ議長代理とであればそれらも徐々になくしていけると思っておりますわ。」

“そうだね。キヴォトスの歴史に対して私があれこれ言うのもおかしい話だけど、やっぱり生徒には仲良く居てほしいからナギサとタツミの取り組みはとてもいいことだと思うよ。”

「そう言って頂けると心強いですね。実は今度トリニティとゲヘナでの合同でのちょっとしたイベントを企画しておりまして、正式に開催が決定した暁には是非先生もご招待させて頂きますね。」

“うん、楽しみにしてるね!”

 

「しかし、タツミ議長代理は本当に素晴らしい人格者ですね。トリニティにはゲヘナを嫌っている方も多いのですがまさかあの筋金入りのゲヘナ嫌いで有名なハスミさんがあそこまで入れ込むとは……」

“……うん、本当に不思議な子だよね彼は。”

「はい。かくいう私も最近は彼にしょっちゅう悩みを打ち明けてしまっている気もしますし……ふふっ、本当に不思議な方ですね。」

 

〜ティーパーティーパテル派リーダーの場合〜

 

「丹花タツミ?あぁ、ナギちゃんと仲良くしてるゲヘナの子?うーん……先生は私がゲヘナ嫌いだって知ってるよね?なんでわざわざそんな事聞くの?」

“いや、ミカがタツミのことをどう思っているか気になったんだよ。ナギサから聞いたんだけど、タツミはトリニティに来たらミカに近況を尋ねにここに来てるって話をしていたからさ。”

「もーナギちゃんってば余計なことを……うん、そうだね。確かにあの子は何故かトリニティに来るたび私に会いにここへ来てるよ。まったく、私は初対面の時にあいつに対して散々嫌味を言ったのにそんな相手に会いに来るなんて、物好きなやつだと思わない?」

 

“まぁ、タツミにも何か考えがあるんじゃないかな。”

「そうかなぁ。それにしてもタツミくんってば、ここへ来るたびに外で最近何が起きてるか話してくれるし、いらないって言ってるのに毎回ゲヘナのお土産を押し付けてくるし……ゲヘナの物は私の口に合わないって言ってるのに毎回だよ?どう思う先生。」

“あはは……なんだかタツミらしいね。”

「……まぁ彼の作るクッキーは優しい味がして嫌いじゃないけどね。」

“え、なにか言った?”

「ううん、なんでもない!とにかく、私に嫌われているのにも関わらずおかしな子だなーとは思うよ!」

“(……いや、あのゲヘナ嫌いのミカが無条件で嫌ってないだけかなり好印象なのでは?)”

 

〜ティーパーティーサンクトゥス派リーダーの場合〜

 

「丹花タツミ……あぁ、先のエデン条約の際に大活躍だった彼の事かい?」

“うん、セイアは直接面識は無かったんだっけ?”

「あぁ、彼は何度もナギサとの会談でトリニティに赴いてはくれているのだが生憎私の体調がその時に限って芳しくなくてね。まだ顔を合わせられてはいないね。」

“あ、そうなんだね……”

「しかし、彼のことはナギサから聞いているよ。自分が傷ついてもアリウススクワッドを説き伏せて救い、その人柄でトリニティとゲヘナの架け橋になろうとしているキヴォトスでも珍しい男の子……と聞いているね。」

“うん、大体それで合ってるかな。タツミは本当にいい子だからきっとセイアも仲良く慣れると思うよ。”

「彼は歴代のゲヘナの議長とは違い、長年にわたって続いてきたトリニティとゲヘナの確執を無くそうと積極的にナギサと会談を開いていると聞いている。そんな歩み寄りを見せる彼を評価する者、批評する者と様々だが……個人的に、私は評価したいと思っているよ。是非顔を合わせて話をしてみたいものだね。」

“うん、早く体調が良くなって会えるといいね。”

「そうしたいものだね。それにナギサも彼には随分と心を開いているようだしあの筋金入りのゲヘナ嫌いで有名なミカでさえ彼に対してはそこまで悪印象を抱いては居ないようだ。二人の友人としても礼を言いたいしね。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

〜シスターフッドの長の場合〜

 

「タツミさんですか?そうですね、所属する学園のイメージで語るのはよくありませんが……ゲヘナに所属しているのが不思議になるほど善良な御方、でしょうか。」

“……サクラコの気持ちはわかるかな。私も所属する学校でどうこう言いたくはないけど、ゲヘナだけはね……”

「はい……まぁそれはともかくとして、タツミさんはとても素晴らしい方です。ナギサ様との会談後には必ずと言って良いほどシスターフッドに顔を出してくださっているのですが、シスターヒナタやシスターマリーを始めとするシスターたちにもとても慕われていますし、よくシスターフッドの仕事を手伝ってくださっています。」

“うん、ヒナタやマリーにもよく聞いてるよ。タツミはいつも仕事を手伝ってくれて助かってるって。”

 

「はい。それに前に一度服が濡れてしまった彼に神父服を貸し出した事があったのですが、最近はシスター達の頼みでシスターフッドで手伝いをしてくれる際は神父服を着てくれているらしく……ふふっ、ゲヘナの方がシスターフッドの制服を着て活動に参加してくれるのはまさに両校の架け橋と言った感じですね。」

“(それはとても素敵なことだと思うんだけど、万魔殿の皆の感情的に両校の火種にならないか心配だなぁ……)”

「かく言う私も彼の人柄の誠実さや、口調は荒いですが根は真面目な部分はとても好ましく思っています。女性に対しての気遣いも心得ておりますし、何より彼はシスターフッドに来た際に必ず私の元へ来て悩んでいることがあれば相談に乗ってくださっておりますので……」

“あ、そうなんだね?”

「はい。先生にも一度お話したことがあると思いますが、私は勘違いされやすい性分です。そんな悩みを彼は真摯に聞いてくださり、アドバイスなども送ってくださるので……ふふ、私もついつい彼に甘えて悩みの相談をしてしまっています。」

“そっか。サクラコもずっと抱えてばかりじゃ疲れちゃうしね。良ければ私も相談に乗るから、遠慮なく相談してきていいからね?”

「ふふ、はい。ありがとうございます先生。」

 

「それで最近は彼と話す機会も多いのですが、彼は本当に聞き上手なのでついついモモトークで深夜まで話し込んでしまったり、この前などは私がそのせいで執務室で寝落ちてしまっているところをお姫様抱っこして仮眠室まで運んでくださり……はっ!?」

“(うわぁ……また勘違いされそうなことを。タツミにとっては100%善意なんだろうけど、女の子は悩みを聞いてくれて心を許してる男の子にそんなことされたら絶対意識しちゃうって。)”

「と、とにかく!とても素晴らしい方だと思います!」

“分かった、ありがとうサクラコ。”

 

「それにしても、最近はシスターの方からヒナタさんと備品室で汗だくで何かをしているとか、マリーと聖堂で礼拝をした後に二人でどこかへ行っている等の証言を聞くのですが……だ、大丈夫ですよね?」

“……うん、多分心配するような事はしてないと思うよ。”

 

〜シスターフッドの備品管理係の場合〜

 

「た、タツミさん……でしょうか?」

“うん。シスターフッドの中でもヒナタってタツミとよく話してるでしょ?それでどう思ってるのかなーって。”

「そ、そんな……どう思ってるかだなんて……えっとその、とても素敵な男性だなぁと思っています。初めてお会いした時に私を助けてくださって、その後初対面にも関わらずお話を聞いてくれて私を励まして下さりましたし、モモトークでもよくお話して相談に乗ってもらっています。タツミさんはまるで神父様のような方でして、とてもお優しい方なので私もついつい甘えてしまいますね……」

“(サクラコに続いてヒナタもか……タツミって結構色んな子の相談窓口になってるけど、ちゃんと夜眠れてるのかなぁ?)”

 

「あ、そうだ。神父様と言えば、タツミさんは最近シスターフッドのお手伝いをしてくださる際に神父服を着用なさってくださっておりまして……それを見ていると本当に神父様のようでとても素敵です、ふふっ。」

“あ、それはサクラコからも聞いたよ。ちゃんと相手に合わせた接し方をしてくれるのもあの子良い所だよね。”

「はい。この前、彼がシスターフッドを手伝ってくださっている時に私とタツミさんの二人で近所の公園にボランティアへ赴いたのですが、その時にとてもお似合いですね!とお子さんを連れた方に言われてしまいまして……そんな、私なんかがタツミさんとお似合いだなんて、なんてもったいない……えへへ……♡」

“(あっ、これは恋する女の子の表情だぁ……)”

「あとはお庭で草むしりをしていた時に思ったよりもその日は暑くて、お互いに汗をかいてしまいまして……私は前に先生に相談した通り汗っかきなのをコンプレックスに思っているのですが、タツミさんはそれも私の個性だと肯定してくれまして……本当に嬉しかったです。」

“(……うん、そりゃ心も許すよなぁ。)”

 

「……はっ!そ、それはともかくタツミさんは私なんかの悩みもとても真剣に聞いてくださって、お仕事のお手伝いもしてくれて、この前なんかは私が備品整理中に足首をくじいてしまった時にすぐに飛んできたかと思えば私を抱えて救護騎士団まですっ飛んでいってくれたり……本当に素敵な方だと思いますっ!」

“……うん。頑張ってねヒナタ。ライバルは多いよ?”

「……やっぱりそうですよね。私も勇気を出して彼をお買い物にお誘いしたりはしているのですが、好意にはちっとも気づいてもらえません。シスターである私がこんな感情を抱くのは良くないことなのかもしれませんが……」

“ううん、そんなことはない。その感情は女の子なら必ず持っていていいものだよ。私も応援してるからね。”

「先生……はいっ、ありがとうございます!」

 

〜シスターフッドの見習いシスターの場合〜

 

「えっ、タツミさんですか?」

“うん、同じ1年生としてマリーがタツミをどう思っているのか気になって。”

「そうですね……タツミさんは私と同学年にも関わらずゲヘナと言う大きな学園の代表を任されています。1年生ながらそのような重圧を背負えるだけでもすごいのですが彼はその立場に決して奢らずに謙虚でとても腰の低い方ですから……尊敬できる、憧れの方と言う印象です。」

 

「それに彼はそのような立場ながらとてもフレンドリーでして、シスターフッドに来た際は礼拝や私達の活動を理解しようとしてくださっています。そういう距離の近さもシスター達に人気の理由なのかもしれません。」

“タツミは行動派……と言うか現場気質だからね。やっぱり現場の人間としては理解を示してくれるのは嬉しいよね。”

「はい。それにタツミさんが来た時は礼拝の時間になると一緒に礼拝をしてくださるのですが、初めはぎこちなかった彼も今ではすっかり慣れたのかスムーズにこなせるようになっていて……ふふ、大聖堂にいらっしゃる時は神父服姿なのもあって本当の神父様みたいです。」

“サクラコやヒナタも言ってたけど、タツミの神父服姿かぁ……一度見てみたいかも?”

「それでしたら是非タツミさんがシスターフッドへいらしている時に起こしください。きっとご覧になれると思いますよ。」

“うん、一度そうしてみようかな。”

 

「それにしても、タツミさんはシスターフッドに来るとサクラコ様とよく二人でお話されていたり、ヒナタさんと二人でどこかへ行かれたりしているようですが……タツミさんは上級生の方に人気なのでしょうか?」

“(上級生に人気と言うよりは悩みを聞くのが上手だったり気遣いができるから、仕事で疲れていたり悩みを抱えている子達に好かれやすい気はするけどね……)”

「でも、私もこの前タツミさんと二人でトリニティの街へ行った時に丁寧にエスコートしてくださったので……タツミさんの女性人気が高いのも納得ですね。ただ、密かに想いを寄せているサクラコ様はともかくあれだけ表に出ているヒナタさんの好意に気づかない鈍感さは間違いなくタツミさんの短所だとは思いますけれど……」

“……うん、彼はクソボケだからね。”

「人の気持ちには敏感で私が落ち込んでいるとすぐ元気づけてくれるのに自分に向けられる好意には気づかないなんて……もしかして彼は……?」

“(……なるほど、同学年で距離が近い分マリーは思ったよりタツミをしっかり見ているみたいだね。友達として良い距離で付き合ってるみたいだし、大丈夫そうかな。)”

「……であればこの際、サクラコ様に直談判してタツミさんをしばらくシスターフッドで預かることも……」

“(……あれ、大丈夫だよねこれ?)”

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

〜正義実現委員会委員長の場合〜

 

「た、タツミですか?何故先生がそのような事を……?」

“いやほら、タツミってゲヘナ所属にも関わらずトリニティの皆から慕われてるでしょ?だから、ツルギはタツミのことをどう思っているのかなーって。”

「……そうですね、私は彼はとんでもない実力者だと思っています。」

“……と、言うと?”

「実はタツミとは勘違いで一度刃を交えた事があるのですが……あの隙のない立ち回り、銃弾を一発たりとも後ろへ通さない鉄壁の守り、ヘイローのないあの体で恐怖心を抑え込んでショットガンの有効射程で戦闘を行える並外れた精神力……どれをとっても一級品です。少なくともキヴォトスでも上澄みなのは間違いないでしょう。」

“なるほど、ものすごく強いツルギがそこまで評価すると言うことはタツミはとんでもなく強いんだね。”

「はい。彼自身の突破力や守りの堅さもさることながら、タツミ自身の一番の強みは戦場全体を把握できる視野の広さと咄嗟の判断力、味方を活かす立ち位置を取りすぐにカバーへ入れるように構えるカバーリング能力。そして何より、部隊を率いることの出来るカリスマ性……彼一人でも脅威なのは間違いないですが、火力の出せる後衛と組むとその真価をより発揮できるでしょうね。」

“火力の出せる後衛……例えばハスミみたいな?”

「はい。実際、先生もシャーレの奪還戦でハスミとタツミを指揮したことがあるならおわかりになるかと。」

“……そうだね。”

 

「私は戦闘になると熱くなってしまう部分もあるのでタツミの熱いながらも心のなかでは冷静さを保っているあの精神が少し羨ましくもありますね。総じて、見習うべき部分も多い後輩……と言った感じでしょうか。」

“なるほど、分かった。ありがとうツルギ。”

「いえ。先生のお役に立てたのなら良かったです。」

 

〜正義実現委員会副委員長の場合〜

 

「……先生、私の気持ちを知っておいてそのようなことを尋ねられるのですか?」

“う……ご、ごめんってハスミ。でも皆に聞いて回ってるから、ハスミだけナシってわけにはいかないでしょ?”

「それはそうかもしれませんが……はぁ、分かりました。タツミさんのことはもちろんお慕いしておりますよ。」

“よ、淀みなく言い切るんだね。”

「もちろんです。こういうのは押しが肝心だと聞いたことがありますからね。最も、どれだけ押しても肝心のタツミさんがクソボケすぎるせいで私の気持ちにはちっとも気づいてもらえておりませんが……」

 

“改めて聞くけど、ハスミはタツミのどんな所を好きになったの?”

「そうですね……初めはシャーレの奪還戦で私を救ってくださったことでしたが、そこから彼と関わっていく内に彼自身の誠実な人柄、妹さん思いな部分、論理的に見えて実は感情的な部分やちょっと子どもっぽい部分など……もっと彼の長所も短所も含めて知りたいと思うようになっていき、いつの間にか彼に夢中になっていました。」

“(……まぁ、恋ってそういうもんだよねぇ。)”

「まさか私がゲヘナの男子に恋をすることになるなど思いもしませんでしたし、最初は葛藤や抵抗もありましたが……ゲヘナ所属とは言え、タツミさんはタツミさんですからね。色眼鏡をかけて彼を見てしまっては、何よりも彼自身に大変失礼ですから。」

“ふふ、そうだね。”

 

「もちろん最初は大層驚かれましたし、あのゲヘナ所属の男子になんてと言われることもありましたが……前に災厄の狐がトリニティで暴れた際にタツミさんが鎮圧に協力してくれた時に共に戦ったことにより、正義実現委員会の皆の偏見も取り払われたようですからね。」

“あ、そんなことがあったんだね……でも、そういうことならこれを機にゲヘナと仲良く出来たりするかもね?”

「……先生。私は確かにタツミさんをお慕いしておりますがそれとこれとは話が別ですよ?ゲヘナが野蛮で乱暴であるという認識に変わりはありません。ただ、タツミさんが例外というだけですので。」

“(あー……そう言えばハスミは筋金入りのゲヘナ嫌いだったね。タツミと仲がいいからすっかり忘れていたよ。)”

 

「それにしても、最近タツミさんはどうやらイチカやマシロとも親しげにしているようなのですよね。先輩としては喜ぶべきことだと思いますが、イチカもマシロも女性としてはとても魅力的な子ですから……」

“大丈夫だよハスミ。心配しなくてもタツミとの付き合いは君自身が一番長いんだし、彼の長所だって短所だって知ってるでしょ?なら、どんと構えてたらいいんだよ!”

「先生……ふふ、はい。ありがとうございます。」

 

〜正義実現委員会2年生エースの場合〜

 

「え、タツミくんっすか?そうっすねー、一言で言えば面白い男の子って感じっすかね!あの筋金入りのゲヘナ嫌いで有名なハスミ先輩がお熱になってるって聞いてから気にはなってたんすけど、あれは確かにハスミ先輩がお熱になるのも頷けるっすねー。」

“なるほど……ちなみに、どんな部分がそう思うの?”

「やっぱ一番はあの善人っぷりすかね。本当に君ゲヘナ所属っすか?ってくらいにはいい子だし、底の見えない呆れてしまうほどのお人好し具合。対して付き合いの長くない相手に対しても律儀っすし、なんと言うかぶっちゃけ彼が嫌いな人はいないんじゃないっすかね?」

“確かに言われてみればタツミを嫌っている子って見たことがないな……ミヤコ達は憎まれ口を叩いているみたいだけど、なんだかんだで心を許している節はあるし。”

 

「それに、彼とは災厄の狐を鎮圧する時に初めて会ったんすけど実力も申し分なかったっす。私だって正義実現委員会の厳しい訓練をこなしている自負はあったっすけど、ヘイローのないあの肉体でツルギ委員長に肉薄するレベルに強い彼を見ると私も負けるわけにはいかないな〜って思うっすね!」

“ふふ、タツミはあのヒナとも互角に戦える実力の持ち主だからね。”

「えっ、あのキヴォトス最強の一角と互角に戦えるんすか彼!?先生、もしかしてタツミくんって実はヘイローがあるのに隠してるだけの可能性とかないっすかね?」

“さ、流石にそれはないんじゃないかなぁ……?”

「まぁそうっすよね……彼自身も力ではキヴォトス人に敵わないから受け流したり、要点を押さえて一点突破することでなんとか渡り合ってるって言ってたっすし。」

“そうなんだね、タツミも苦労してるんだなぁ……”

「なんでも合気道?と言う武道を応用しているらしいっすよ。相手の力を利用して自分の力に変換する、非力でも力のある相手に抗うことが出来る武術らしいっすけど聞いたことないんすよね。ゲヘナの技術なのかな?」

“(いや、多分それは前世の知識だと思うかな……と言うか、結構タツミから色々聞いてるんだねイチカは。)”

 

〜正義実現委員会1年生スナイパーの場合〜

 

「タツミさんですか?そうですね……災厄の狐と戦った時に前を引き受けてくれた安心感に、ツルギ委員長にも引けを取らない圧倒的な強さ。それにゲヘナ所属にも関わらず、トリニティ所属である私を何の躊躇もなく助けてくれたあのフラットな視点……いい意味で、ゲヘナに居るのが不思議なくらいの人だと思います。」

“そっか、マシロはタツミを尊敬しているんだね。”

「はい。彼の掲げる困っている人はだれであっても助ける正義と言うのは、私の憧れでもありますからね。困っているならばゲヘナやトリニティと言った垣根など関係なく助け合い、共に高め合っていく……両校の関係もそうあればいいと最近は思うようになりました。前まではゲヘナに対して偏見があったのですけど……これもタツミさんの影響なのですかね。」

“(……まぁ、タツミって本当にトリニティに対して偏見がないからなぁ。転生者であるってこともそうなんだろうけどそれ以前に彼の人間性が大きい気もするけどね。)”

 

“そう言えばマシロとタツミは同じ1年生だけど、やっぱり同級生らしい話をしたりするの?”

「うーん……とは言っても彼は今やゲヘナの議長代理で私は正義実現委員会のただの部員ですから。感覚的にはタツミさんは目上の方という印象が強いんですよね。最もタツミさん自身は同級生なんだしそんなにかしこまらないでくれとは言ってくださっていますが……」

“うん、タツミはあまりそういうのは気にしないタイプだと思うし……もっと気安く接しても良いんじゃない?”

「……そうですね、そうしてみます。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

“……なんか、ゲヘナに負けないくらいにはトリニティでもタツミの評価って結構高いんだね。エデン条約であんなことがあったから酷評も覚悟してたけど、案外タツミはトリニティのみんなに受け入れられているみたいだ。”

 

“それにしても、やっぱマンモス校だけあってトリニティは生徒数が多いね……これでもまだ半分くらいじゃない?”

 

“さて……じゃあ、もう少し聞き込みをするとしようかな。”




トリニティで1話分になってしまいました。
しかもまだトリニティの生徒は残っているという……
番外編は3話の予定でしたが、残りのトリニティの生徒と他の学校分は次回やってその次に本編に戻りたいと思います。
もしかしたらトリニティで2話分になるかもしれませんがその場合はご了承ください。
もし話数がかさむのであれば、一旦番外編は打ち切って本編の執筆に戻りたいと思います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。