名古屋に出現した魔物を倒したレテ達は、物陰で魔法少女衣装から普段着へ切り替えてから徒歩で名古屋駅まで移動した。
名古屋駅は、当たり前だけども、米原駅よりも賑やかで人通りも多い。何とか空いているベンチを探し、座って朝ご飯を取り出す。
それは途中にあったコンビニで買ったサンドイッチ。ハムチーズと卵のやつが一つづつ。それを齧り、同じくコンビニで買った280mlペットボトルの水を飲む。
せいかお姉さんはおにぎりと麦茶だ。
「駅についたけど、ここからどこへ向かうの?」
卵サンドイッチの欠片を口に含みながら、せいかお姉さんに今後の予定を尋ねる。
「東山線の電車に乗りますわ。二駅移動して、そこで食事にする予定ですの。」
「寮の方に戻らないの?もう魔物は倒したし、帰って寝たい」
「……残念ながら、寮に戻るのは少し先になるかと思いますわ。」
せいかお姉さんは次の
「先程の魔物を退治した後連絡が来ましたの。滋賀のある場所に出現した魔物を倒せなかった、と。」
「寮に戻るのは、そいつを倒してからってこと?」
「そうですわね。」
滋賀の魔物について語るせいかお姉さんの顔は暗い。心配、なのだろうか。魔物が強くて倒せないかもしれないことが。
「大丈夫だよ、せいかお姉さん」
「……レテさん?」
戸惑うせいかお姉さんの前で、ベンチから立ち上がって、大げさに両腕を広げてみる。せいかお姉さんを元気付けようとする。
「レテは強いから、どんな魔物だって倒せるよ」
いざとなったら最初に魔物を倒した時のように、『
せいかお姉さんは、無反応だった。……もしかしてレテの気のせいだった?それとも的外れだった?
それは、ちょっと恥ずかしい。
「ふふ、先ほどまで魔法の使い方がよく分かっていなかったではありませんの。大丈夫ですよ、レテさんに全部を任せなければいけない程
ベンチを立ったせいかお姉さんに頭を撫でられる。やっぱりレテの行動は的外れみたいだった。確かに、せいかお姉さんはレテよりもずっと長く魔法少女をしているんだから、レテよりも強いに違いない。
それでも……さっきの暗い顔が頭に残る。
「せいかお姉さん」
「何でしょう。」
「レテはせいかお姉さんよりもずっとずっと弱いけど、それでもちょっとぐらいなら、きっと力になれるから。だから、頼ってね」
「……えぇ。では、このゴミを捨ててきてくれるかしら。」
せいかお姉さんはレテにおにぎりのゴミを差し出す。それを受け取って、少し遠くにあるゴミ箱にサンドイッチのゴミと一緒に捨てた。
戻ると、よく出来ましたねと褒められた。……なんかはぐらかされた気がする。まぁ、いいか。
電車に乗るということで、券売機に切符を買いに行く。結構な人がいるけど、その分券売機も多いから、そこまで待たずに買えた。
切符を改札機に通して、ホームに入る。電車は直ぐに来た。あまり混んではいない。
二駅というのは短くて、五分もしない内に目的の駅に付いた。
「少し歩きますわよ。」
「はーい」
駅の構内を歩き回って、4番出口から出て、さらにせいかお姉さんの後を付いて行く。
しばらく、十分程歩いたところ、大きめのビルの前でせいか姉さんが立ち止まって、ここの3階の店が目的地だと言う。入って、移動してエレベーターを待つ。
思ったよりも時間がかからなかった。周りの時計を見る限り、まだ十時過ぎで昼ご飯には早すぎる。
「せいかお姉さん、昼ご飯にはまだ早いよ。さっき朝ご飯食べたばかりじゃん」
せいかお姉さんはにっこりと微笑む。なぜか圧が強い。
「レテさん、あなた服全然持ってないでしょう。」
「うん」
というか、レテが持っているものなんて水のペットボトルしかない。後含めるのならコトイリ。
「それでは駄目ですの。お金は私が出しますので、昼ご飯の前に服を買いますわ。ちょうど、お店があるところにはいろんな服屋さんがありますの。」
エレベーターが開く、それは地獄の始まりだった。
◆◆◆
「……疲れた」
「レテさん、よく似合ってますわよ。」
「レテも大変ですね……」
レテの今の服装は、青いリボンが付いた白のブラウスに黒のスカート、それと黒い革靴になっている。髪はほぼそのままだけどせいかお姉さんに梳かしてもらった。
今着ているもの以外にもせいかお姉さんは私に色々な服を買った。それらは魔法少女寮の方に送るらしい。あの部屋のクローゼットに収まるのかな。
「疲れた」
「あー、レテ、大丈夫ですか?」
「大丈夫、今からご飯だから」
試着に次ぐ試着。違う店に行ったかと思えば、さっきもう行った店に戻ることもしばしば。途中からはコトイリも呼び出して、評価させたり。
最後の方の服は違いなんて分からなかった。
「それにしても、私を呼んでいいのですか。新幹線の時も出てくるなと言っていらっしゃいましたのに。」
「あなた
「へえ、コトイリってレテ達以外には見えないんだ。」
「今そうしているというだけで、普通に出てきたのなら、全ての人間から視認できますよ。」
「ふーん」
「さて、では入店しましょうか。」
何度も通り過ぎたお店のエントランスに入る。いくつもの丸い小さな石のテーブルと黒い線のお洒落な椅子に、店の輪郭にそって配置されている薄緑のソファー。壁には一定の間隔で絵が飾られている。少し暗い照明も相まって、高級な感じのお店だ。
「ここで何を食べるの?」
「ふふ、驚かないで聞いて下さいまし、アフタヌーンティーですわ!」