食堂は思ったよりも近かった。
今いる校舎とL字になるように繋がっている校舎、その一階に食堂があり、さっきいた部屋から歩いて5分程で着くぐらいの遠さ。
食堂の扉はガラス戸の両開き。そして、食堂の中には複数の机を繋げたのだろう繋ぎ目がある、大体正方形の台。台の上には六人分の空のお茶碗と漆器とお箸、水の入ったプラスチックのコップが置かれている。
その台の周りの椅子にはさっき会ったすずお姉さんや受付のお姉さんが座っている。また、もうひとり知らない金髪のお姉さんも席についていた。
あゆむお姉さんがガラス戸を押すと鈴が鳴る。
その音に反応してか、金髪のお姉さんがこっちを見た。
「あら、あなたが麗さんの言っていた小さな魔法少女?本当に小さいですのね。」
そして、お姉さんはこちらにいらっしゃいと空いている右隣の席を指差し手招きをする。拒否する理由もないので言われた通り座る。
あゆむお姉さんはレテの左手側、受付のお姉さんの居る側に腰を下ろした。コトイリは椅子が用意されていなかったので、レテの膝の上に乗せた。もふもふだ。
「それは……ぬいぐるみでしょうか?何と言うか随分と独特な形状をしていらっしゃいますね。」
「いえ、私はぬいぐるみではなく異次元生命体です。」
コトイリが話し出したからか金髪のお姉さんが目を丸める。
「……マスコットではなくって?」
「いいえ、私は異次元生命体です。」
「それは──
ゴーンと鐘が鳴った。続けて同じ鐘の音が六回鳴らされる。それらが鳴り終わると厨房の扉が開いた。
「みんな、出来たわよ!今晩は
垂れ目の優しそうなお姉さんが寸胴鍋とおひつをそれぞれ右と左に抱きかかえてこっちへとやって来て、それらを台の真ん中に降ろす。そして厨房に戻って今度はほうれん草のお浸しが六皿お盆に乗って持ってこられる。同じ様に
ご飯と味噌汁は自分でつぐ形式のようで、他の人達はもうつぎ終わっている。
レテもしようとしたら既にお茶碗と漆器は満杯になっていた。……多分コトイリの仕業だろう。視線を落とすとドヤっているから間違いない。
垂れ目のお姉さんは全員ご飯が用意出来たことを確認して、口を開いた。
「さて、皆さんお疲れ様でした。急に魔物が発生したにも関わらず、誰も引退することが無かったことを嬉しく思います。」
……来た時に受付のお姉さんが忙しそうだったのも校舎に誰も居なかったのも、魔物の対処に追われていたからなのかな。
「そして今日、この魔法少女寮に新たな魔法少女が加わります。星華さんの隣に座っている女の子のことです。」
垂れ目のお姉さんと目が合った。
「自己紹介、お願いできるかしら。」
微笑みかけられた。人を、安心させるような笑顔だ。
レテはコトイリを横に退けて、立ち上がってお辞儀をする。
「レテ、と言います。さっき魔法少女になったばかりの初心者ですが、よろしくお願いします。」
「よく出来ました。私も自己紹介しないとね、私の名前は
「もうしたよ」
「さっきやったな」
──ということだから、浦西さんと麗さんお願いできる?」
すると、受付のお姉さんの方から話し始めた。
「私は
そう言うと受付のお姉さん、はぜきお姉さんは頭を下げた。そんなことしなくてもいいのに。
「ううん、気にしてないよ。レテこそちょっと疲れてて、わがまま言ってたから。」
はぜきお姉さん一人しかいない状況で門を離れてしまっては誰か来た時に対応できなくて困ってしまう。そういうことを考えられないくらいには疲れてたんだろう。……それなりに広いこの場所に事務員さんが一人しかいないのはどうかと思うけど。
はぜきお姉さんは少しほっとしたような顔をしている。
「じゃあ次は
せいかお姉さんは金髪碧眼で口調もあって、お嬢様という感じがする。名前的に日本人なんだろうけどハーフなのかな。
みさきお姉さんが注目を集めるように手を打った。
「自己紹介も終わったことだし、ご飯を食べましょうか。手を揃えて」
「いただきます」
つやつやと白く輝くご飯、薄茶色の麩が浮く味噌汁、青々とした白ごまがアクセントのほうれん草のお浸し、しっかりと焼けているのが分かるアルミホイルに乗った二尾の
どれもとても美味しそうだ。
まずほうれん草のお浸しを口に運ぶ。ポン酢がきいていて程良く酸味があり美味しい。そこにご飯。甘さが引き立ちとても合う。
味噌汁の麩を箸で取って食べる。麩に味噌汁が染み込んでいてとても美味しい。ご飯とも勿論合う。
美味しいご飯を堪能していると、向い側から視線を感じた。みさきお姉さんだ。
「あー、そんなに美味しい?」
「うん、とっても美味しい」
「そう、それは良いんだけど……さっきのお話聞こえてた?」
………………?
「そう、全然聞いていなかったのね……。もう一度言うからよく聞いて、レテ、あなたには名古屋に行ってもらいます。」
「え」