ありふれた転生者は異世界でも無双する   作:白の牙

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第01話

 

 

 

 天寿を全うし、死んだと思っていたら、意識と記憶がある状態で赤ん坊になっていた男、上條刀真。流れに身を任せ、生きること17年。彼は今、

 

 「ガァアアアアア!」

 

 木々が生い茂る森の中でゲームや空想の中に出てくるオーガと対峙していた。

 

 「おっと」

 

 オーガの剛腕を紙一重で躱すと、懐にもぐりこみ跳躍を加えた蹴りで顎を蹴り上げる。強力な蹴りだったのか魔物巨体が宙に浮かぶ。

 

 「これで終わりだ。“獣厳”」

 

 刀真は蹴りを叩き込んだ足で力強く地面を踏みつけ、落ちてきたオーガに拳を叩き込み、消滅させた。

 

 「ふぅ~~~~~」

 

 ゆっくりと息を吐き、残心を解く。

 

 「やっぱり、この世界のこの森は修行にもってこいの場所だよな。俺、限定だけど」

 

 森、というより魔境と言われてもおかしくない場所を見回しながらそう呟く。

 

 転生して17年。これといったことも起らず、何気ない日常を送るも、刀真は物足りなさを感じていた。転機が訪れたのは2年前、一緒に暮らしていた祖父が亡くなってからだ。遺品を整理しながら家を片づけていた時に偶然見つけた隠し部屋。そこには祖父が集めたであろう様々な物があり、その中でも目立っていたのが鎮座している切り取られた扉。

 

 引き寄せられるようにその扉を開けた先で見たのは隠し部屋の一部ではなく木造の家の中だった。

 

 扉をくぐり家の中に入ると、ゲームのメッセージのような物が表示され、“異世界を訪れた者”と表示された。訳が分からなかったが外に出て確認すると、刀真にとって見覚えのある存在が家の敷地内に入ろうと見えない壁にぶつかっていたのだ。その存在は刀真に瞬殺されたが、手に残る感触がこれが夢ではないと否応にも理解させられた。

 

 その日を境に色のなかった世界に再び色が戻った。刀真は毎日のように扉を潜って別世界に行き、魔物を狩り続けている。

 

 

 

 

 

 「2日合わせて2千万弱か」

 

 家に戻り、手に入れた素材やアイテムを換金し終えると、ソファーにもたれかかる。

 

 「出費よりも収入の方がはるかに大きいよな~~」

 

 年頃の男子ということで漫画やラノベを読み、ゲームもするのだが、減る額よりも入る額のほうがはるかに大きいのだ。

 

 「今日の飯はどうすっかな~~~・・・・・・園部の店にでも行って食うか」

 

 時計を見ると夕飯時だったので刀真はクラスメイトの両親が経営している飲食店で夕食をとり、帰りにスーパーによって明日の買い出しをしていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、

 

 「行ってきます」

 

 返事が返ってこないと分かりつつも刀真は声をかけてから家を出た。これは決して刀真がいらない子だからという理由ではない。ただ単に両親が仕事の都合で海外に赴任しているだけだ。

 

 「(今日の晩飯何にしようかな~~)」

 

 まだ朝だというのに夕飯の献立を考えながら登校していると、

 

 「とーくん」

 

 1人の少女が話しかけてきた。

 

 「おはよう」

 

 「おはよう千癒」

 

 少女の名は医山千癒。刀真の幼馴染の1人だ。小柄だが出るところは出ているトランジスターグラマーな少女。刀真に対してのみスキンシップが激しい。

 

 挨拶を終えると千癒はいつものように刀真の腕に抱きつく。柔らかく、張りのある2つの果実に腕が挟まれる。その光景を見てあまたの男が血の涙を流し、殺意を放つ。そんなものを無視して2人は仲良く登校する。そんな時、

 

 

 「あれは」

 

 見覚えのある後ろ姿を見つけた。刀真はその人物に悟られないよう気配を殺して忍びより、

 

 「わ!」

 

 「うわぁ!?」

 

 近所迷惑にならない声量で声をかける。突然の大声にかけられた人物は驚き、数センチだが跳び上がった。

 

 「よ、ハジメ」

 

 「刀真君か~~~驚かせないでよ」

 

 「おはよう南雲君」

 

 「医山さん、おはよう」

 

 声をかけられた人物、南雲ハジメは驚かせた者が刀真だと知ると、胸に手を当て、ホット息を吐いた。

 

 「随分と眠そうだな?また徹夜で手伝ったのか?」

 

 「あはは、実はそうなんだ」

 

 目元に熊が出来ているのをしった刀真がハジメに尋ねるとハジメは後ろ頭を掻きながら苦笑いで答えた。

 

 「お前の将来のためにやってるのは分かるがちゃんと体を休めないとそのうちぶっ倒れるぞ?」

 

 「これでもちゃんと休んでるよ?」

 

 「授業中の居眠りは休んだことにはいらん、むしろさぼりだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「よぉ、キモオタ!また、徹夜・・・へぶ!?」

 

 「ひ、ひや・・・へぶ!?」

 

 学校に到着し、教室に入ると1人の男子生徒がハジメを馬鹿にするような言動をしてきたが、刀真が指弾で飛ばしたスーパーボールが額に当たると、白目をむいて気を失う。倒れた男子の取り巻きが心配するがその男子も同じように跳弾を利用した指弾で額を撃たれ、気を失った。

 

 周りがまたかとざわつくが、それを行った当人は知らん顔で席に着き、授業が始まるまで音楽でも聴こうと、音楽プレイヤーを取り出そうとすると、

 

 「南雲君、おはよう!今日もギリギリだね。もっと早く来ようよ」

 

 1人の女子生徒がハジメに話しかけた。ハジメに話しかけた少女の名は白崎香織。学校で二大女神と言われている女子の1人で、男女問わず絶大な人気を誇る少女だ。そして、ハジメがクラスのいや、男子生徒の敵愾心をもたれる原因でもある。

 

 「(天然にも程があるだろうあの女。・・・・・・男子同様、気絶させようかね)」

 

 っと、文字通り、学校中の男子生徒を敵にするであろうことを刀真が考えていると、

 

 「おはよう、刀真、千癒」

 

 1人の女子生徒が話しかけてきた。

 

 「ん?雫か、おはよう」

 

 「おはよう」

 

 「・・・取り合えず、弾き飛ばそうとしている弾をしまってくれないかしら?」

 

 「はぁ?何を言って・・・・・いつの間に」

 

 話しかけてきた女子生徒、八重樫雫に朝の挨拶を返すと雫に指摘され指を見る。すると、スーパーボールをいつでも飛ばせるようになっていた。

 

 

 「・・・・・。んで、あれをどうにかしてくれないか?」

 

 刀真はスーパーボールをしまうと、香織に加え2人の男子生徒に詰め寄られ、何とか切り抜けようとしているハジメを見て言う。

 

 「・・・はぁ、直ぐに止めてくるわ」

 

 それを見た雫はため息を吐きながら事態を収拾させるべき動くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 そして、時が過ぎお昼になった。

 

 「くぁ~~~~~」

 

 「やっと起きたか。不真面目野郎」

 

 「・・・・・・おやすみなさい」

 

 「(こりゃあおじさんとおばさんに相談した方がいいかもしれないな)」

 

 居眠りの常習犯であるからか起きるべき時間を体で覚えていたハジメが起きる。ハジメが起きたことに気づいた刀真が揶揄うが、それを無視してハジメは10秒でチャージ出来る定番のお昼を取り出し、文字通り10秒で午後のエネルギーをチャージするともうひと眠りしようと机に突っ伏す。それを見た刀真が将来のためとはいえ積極的に手伝っているハジメの手伝いをやめるよう進言すべきかと思案していると、

 

 「南雲君、珍しいね教室にいるの。お弁当?よかったら一緒にどうかな?」

 

 場の空気を一切読まない1号(2号はハジメに絡んでいた男子の1人)である香織が弁当箱を持ってハジメに声をかけてきた。

 

 再び教室に不穏な空気が漂い、ハジメはどこで覚えたのかモールス信号で刀真に救援要請を送るが、

 

 「さて、俺も飯にしよ~~~と」

 

 刀真はそれを無視して鞄(正確にはアイテムボックス)から日課である朝のロードワークの途中で立ち寄ったコンビニで買った菓子パン、コンビニ弁当を取り出し机に並べる。

 

 「今日はお弁当じゃないのね」

 

 「珍しい」

 

 「あぁ。昨日は外だったし、作り置きもなかったからな。たまには俺も楽したいしな。てか、あれ止めなくていいのか?」

 

 並べたパンの一つを食べながら雫の問いに答えながら刀真は朝と同じようにハジメに絡んでいる香織と男子生徒を指さしながら尋ねる。

 

 「注意したところで聞かないわよ。それに香織は少しでも南雲君に好印象を与えておきたいのよ。だけど」

 

 「印象は+の反対・・・-」

 

 千癒の言葉は的を得ていた。

 

 良くも悪くも香織という少女は自分がどれだけ慕われているのかを理解していない。男子のハジメへのあたりが強いのもそれが原因だ。

 

 「(ハジメにあたるならアタックすればいいだけの話しだってに。まぁ、アタックしたところで玉砕するのがおちか)」

 

 いつの間にか食べ終えていた2個目のパンが入っていた袋をゴミ袋にいれ、3個目のパンを食べようとしたとき、

 

 「っ!?」

 

 クラスに見たことのない魔法陣が展開され、慌てふためくクラスメイトの姿、その数秒後、光にのまれ誰も居なくなった教室が見えた。

 

 「っ、全員!今すぐ教室から出ろ!!」

 

 その光景を見た刀真は大声で教室から出るよう言う。

 

 「と、刀真?」

 

 「とーくん?」

 

 いきなり訳の分からないことをいう刀真に教室にいた生徒が“何ってるんだこいつ?”っといった視線を刀真に向ける。

 

 「いいから早く出ろ!まにあわな・・・」

 

 教室から出るようせかすも誰一人出ようとせず、強制的に教室から出させようと動こうとしたとき、ハジメに絡んでいた男子生徒を中心にさっき見た魔法陣が展開された。

 

 「くそ、間に合わなかったか」

 

 見た光景そのものとなり、教室内にいる生徒がパニックとなる。

 

 「(こうなったら力がばれるのを承知で魔法陣を壊すしかないな)」

 

 後から何を言われるか知ったことではないとアイテムボックスから得物を取り出そうとしたとき、

 

 「(何だ?意識が・・・)」

 

 意識が遠くなっていく感覚を覚えた。

 

 クラスメイトとは別の意味で困惑する刀真を他所に魔法陣は教室全体に広がり、輝きを増していく、それと同時に刀真の意識も遠くなっていく。

 

 そして、刀真の意識が完全に亡くなると同時に魔法陣の光が最高潮に到達。教室を光が包み込み、光が収まると、教室には誰も存在しなかった。

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