「(さて、どうしたもんかね~)」
未知の魔物を倒し、夢で見た亜人の少女を助けた刀真。あの後、倒した魔物をマジックバックにいれ自動解体で素材と魔石を入手、襲われていた少女を故郷である森にまで送ろうとしたが少女はかたくなにそれを拒み、連れて行って欲しいとお願いしてきた。
「(放っておくのもなんだから町まで連れてきたけどどうすっかな~~)」
ここ数日で仲良くなった門番とキャサリンの助言で森から出てきた亜人の大半は奴隷で首に奴隷の証である首輪等が付けられているおり、それを付けていない亜人は捕縛の対象となるらしい。
特に刀真が助けた少女は絶世の美女といっても過言でもないので付けておいた方がいいと教えられたので、異世界で手に入れた特殊な首輪を少女に付け、仮契約を結んだ。
「(まぁ、取り合えず)刀真、上條刀真だ。君の名は?」
「ロクサーヌと言います。これからよろしくお願いします刀真様」
「(様付け)それで?なんで俺についてきたいと言ったんだ?」
刀真は少女“ロクサーヌ”に自分についてきたい理由を尋ねる。
「夢で教えられたんです」
「夢?」
「はい。夢で1人の女神さまに出会い。いつか貴方の運命を変えてくれる私にとっての英雄が現われると」
「(女神?)それが俺だと?助けられただけで判断するのは早いんじゃないか?」
ロクサーヌの言った女神という言葉に少し引っかかった刀真だったが、一度助けられただけでその相手を自分だと思うのは早いのではないかと言う。
「そうかもしれません。だけど、助けられた時に感じたんです、この人が運命の人なんだと」
「俺と一緒に来るってことはもう家族とは会えなくなるんだぞ?それでもいいのか?」
最終手段として家族への情を使って諦めさせようとする刀真だったが、
「森に帰る場所はありません」
「え?」
ロクサーヌから帰って来た返事は予想外のものだった。
「帰る場所がないってどういうことだ?」
「私が魔力を持って生まれからです」
「魔力を持って生まれたのが原因?どういうことだ?」
「実は・・・」
魔力を持っているのが帰れない理由なのだと言う。そのことに疑問を感じた刀真はロクサーヌにどういうことなのと尋ねる。そして、ロクサーヌは話し始める。
人族や魔人族と違い、亜人は魔力をもたない種族であること。だが、稀に魔力を持って生まれる亜人がおり、その子は忌子と言われ処分することが亜人の習わしなのだということ。それはロクサーヌも例外ではなく殺されそうになったが、一族は表向きいない子だと周りに認知させ、こっそりと育てられたのだという。
「ですが今日、帝国の兵士たちから家族を守るために魔法を使ってしまい、私が忌子だということが他の一族に知られてしまいました。ですが魔法を使ったことに悔いはありません、そのおかげで家族を守ることができたんですから」
ロクサーヌは気丈に振舞っているが体が震えていることから強がっているいるのは明白である。
「お願いします。刀真様と一緒にいさせてください。どんなことも致します、刀真様が望むのでしたら、その夜のお世話も・・・」
恥ずかしくなったのかロクサーヌは顔を赤くして最後まで言葉を紡げなかった。
「・・・・・・・・分かった」
ロクサーヌの境遇、話を聞いた刀真はしっかりと考えた末、ロクサーヌと一緒にいることを決めた。
「これからよろしく頼む」
「はい。こちらこそよろしくお願いします」
「(明日はロクサーヌの必需品を買わないとな。後、武器も。俺が打った方がいいのかもしれないが、それは後だな)取り合えず、今日は寝よう」
「はい」
話はここまでにして寝ようと提案すると、ロクサーヌは服を脱ぎ始めた。
「何で服を脱ぐんだ!?」
「えっと、夜の奉仕をしようと」
驚く刀真を他所にロクサーヌは服を脱ぎながら話、脱ぎきるとベッドに寝っ転がった。
「刀真様、こちらへ」
そして、両手を広げ、刀真を誘う。
「(どうする?正直ロクサーヌは俺の好み。出会ったばかりでいけないと頭では分かってるが、体が本能が俺のものにしろと言っている)」
刀真の意思とは裏腹に体が勝手に動き、少しづつベッドへと近づいていく。
「(そういえば黒歌の時もこんな感じだったな)」
昔のことを思い出しつつも体は勝手に動く。
「(据え膳食わぬは男の恥。なるようになれ!)」
僅かに残っていた理性を捨て、刀真は目の前の御馳走に飛びつくのだった。
「疲れてるみたいだけど大丈夫かい?」
ギルドで受付を行っていたキャサリンはやつれたとまではいかないが妙に疲れた刀真を見てそう尋ねた。
「大丈夫です。昨日、ハメを少しばかり外しただけなんで」
「・・・何となくわかったよ。それで後ろにいる亜人の女の子はどうするんだい?」
刀真とは対照的に妙に肌が艶艶しているロクサーヌを見て察したキャサリンはそのことに触れずロクサーヌについて尋ねた。
「色々あって俺の奴隷にすることにしました。俺自身は奴隷とは思ってないんですが、世間体もあるんで。この子のステータスプレートの発行をお願いできますか。それと、亜人用の服も取り扱っているお店もあるなら教えてください」
「あいよ。ちょっと待ってておくれ」
キャサリンは椅子から立ち上がるとステータスプレートを保管している棚を開けてプレートを取り出し、持ってくる。
「ご注文のステータスプレートだよ。値段は〇〇コルになるね」
「〇〇コルっすね。はい」
「うん、丁度だね」
ステータスプレートの代金をキャサリンに渡し、刀真は未登録のプレートと針をロクサーヌに渡し、登録のやり方を教え、ロクサーヌは教えられた通り、指の先に針で小さな穴を開け、その穴から出てきた血をプレートに刻まれている魔法陣に擦りつけ、登録が完了した。
「刀真様」
「見ていいのか?」
「はい。私は刀真様の所有物ですので」
周りの視線を無視して刀真はプレートに記載されたロクサーヌのステータスを確認する。
ロクサーヌ 16歳 女 レベル:15
天職:獣戦士
筋力:100
体力:110
耐性:90
俊敏:110
魔力:2050
魔耐:2200
技能:雷公、剣術、格闘術、魔力操作[+身体強化]
ロクサーヌの大まかなステータスを確認しおえると、プレートをロクサーヌへと返す。
「それと、その子の服だけどあんたに教えた店でなら買えると思うよ」
「あの店っすか」
キャサリンの言う店に刀真は何とも言えない表情を浮かべる。
「おや?何か問題でもあったのかい?」
「いや。店自体は悪くないんですよ。規模のわりに質のいいものを取り扱ってますから。だけど、店長がねぇ~~」
「・・・・・昔はまともだったんだよ。だけど、気が付いたらああなってたんだよ」
刀真の言いたいことが分かったのかキャサリンがため息を吐きながら話題の人物について語った。
その後、刀真とキャサリンの話題になっていた人物の店に行き、ロクサーヌの服を数着買った。訪れた際、店長を見てロクサーヌがたいそう驚いていた。服を買った後は武器屋でロクサーヌ用の剣を数本買い、宿に戻った。
「・・・・・」
借りている部屋に入り、荷物の整理を終えるとベッドに寝っ転がり宿屋の主から受け取った手紙を見る。
「(差出人不明の手紙・・ねぇ。宿屋の主も最初は断っていたらしいが、気づいたら預かってたっていう曰く付きの手紙か。何が書かれているのやら)」
刀真は封を切り、中に入っている手紙を取り出し読みだす。
「(ライセン大渓谷にある大迷宮に挑み、クリアせよ。そして、この世界の真実を知りなさい)これは予想の斜め上の内容だな。それに世界の真実を知りなさい・・・か。まさか、魔法世界と同じでここも作られた世界とでも言うんじゃないだろうな?」
かつてのことを思い出し苦笑いする刀真だったが、ロクサーヌを鍛えるには丁度いいと考え、癪だが、手紙に書かれていた通り、大迷宮を探し、攻略することを決めるのだった。