ありふれた転生者は異世界でも無双する   作:白の牙

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第05話

 

 

 

 

 「うん。だいぶ登れるようになった」

 

 刀真は足のみで崖を登るロクサーヌを見て頷く。

 

 大迷宮の入口を探しにライセン大渓谷に来て早3日。本来なら血眼になって探さなければいけないのだろうが、何事もメリハリが大事。1時間という少ない時間だが気分転換もかねて刀真はロクサーヌを鍛えていた。現在は人気少年忍者漫画に出てきた力のコントロールの修行をやらせている。

 

 ロクサーヌの戦闘スタイルはゲームで言うところの回避盾。その高い動体視力と反射神経を活かしてギリギリまで攻撃を引き付けて躱し、反撃するというハイリスク、ハイリターンな戦法だ。最初、その戦い方を見せてもらった刀真はスタイルを変えるよういうが“動きが染みついているため出来ません、それに小さいころからやっているので大丈夫です”と言われるも見てるほうはヒヤヒヤなため、代替案が出来るまでその動きは控えるようにというので精一杯だった。

 

 「(ダメージを受けずかつ、安全にロクサーヌの本来の戦闘スタイルをやらせる要になるのはやっぱり目だよな。俺の天眼や思考加速みたいなスキルがあればいいんだがな~~~)」

 

 ロクサーヌの戦闘スタイルに必要なものをリストアップするが、現状それらのスキルはないうえ、渡すこともできない。だが、刀真の悩みは後日解決することとなる。

 

 

 

 

 

 

 

 「ふぅ~~~~~」

 

 日も暮れたため大迷宮の捜索を切り上げた刀真は野営の準備を終えるとあるはずのない風呂に浸かって一日の疲れを取っていた。

 

 「気持ちいいです」

 

 当然、ロクサーヌも一緒に入っており疲れを取っている。

 

 「こんな物があるだなんて刀真様の世界は凄いんですね」

 

 「これは俺の世界っていうよりかは俺の家とつながっている異世界がすごいんだけどな」

 

 今使っている“超豪華携帯露天風呂セット”なるものを倒した魔物が落とすとは思ってもなく、入手した時はこれでもかという目を見開いたほどだ。だが、風呂好きの刀真にとってはかなりありがたく、水道料金も減らすことができ重宝していた。

 

 「今日も見つかりませんでしたね」

 

 「そうだな。探索を始めて3日、そろそろ見つかって欲しい所だな。明日はもう少し捜索範囲を広げてみよう」

 

 「分かりました」

 

 心行くまで風呂に浸かり、身も心もリフレッシュした後、夕食を取って腹を満たし、明日の探索についての話を行った後、軽く武器の手入れを行う。就職時間も近づき、これまた異世界で手に入れたテントに入ろうとするとロクサーヌが陣地から出て行こうとする。

 

 「ちょっとお花を摘んできます」

 

 「魔物には気をつけろよ」

 

 「はい」

 

 刀真に一言告げ、ロクサーヌは陣地から出て行った。

 

 「風呂もそうだが、この野営セットも大分バグってるよな~~。自動で立てられる上、立てれば魔物除けの結界が自動で発動、テント内は自動で最適な温度になり防音付き、更に中の広さはゲルの2個分。遊牧民の人達が知ったら、せり売りが始まるだろうな」

 

 そんなことを思いながら、寝る支度を始めよとすると、

 

 「と、刀真様!」

 

 花を摘みに行っていたロクサーヌが慌てた様子で戻ってきた。

 

 「どうしたそんなに慌てて?」

 

 「一緒に来てください」

 

 ロクサーヌは刀真の手を握ると訳も話さずに引きずるように刀真を連れ出す。

 

 「何なんだ?」

 

 「ここです」

 

 「ここですって」

 

 ロクサーヌに連れられてやってきた場所は巨大な一枚岩が谷の壁面にもたれかかる様に倒れており、壁面と一枚岩との間に隙間が空いている場所だった。

 

 「ここに何があるっていうんだ?」

 

 「・・・・・」

 

 刀真の問いに答えずロクサーヌは無言で岩の隙間へと入る。“どうしたんだ?”と思いながらもロクサーヌに続くように岩の隙間へと入る。隙間は壁壁面が奥へと窪んでいるのか思ったよりも広かった。中程まで進むとロクサーヌが待っていた。

 

 「これを見てください」

 

 「これ?」

 

 ロクサーヌの指先を辿り、刀真は目を見開いた。

 

 そこには壁を直接削って作られ、装飾が施された長方形型の看板があり、こう書かれていた。

 

 “おいでませ!ミレディ・ライセンのドキワク大迷宮へ♪”

 

 「なんじゃこりゃ」

 

 「本物、なんでしょうか?」

 

 「入ってみないことには分からないな」

 

 「早速入りますか?」

 

 現時点で誰も見つけ、入ったことのない大迷宮を発見し、テンションが高くなっているロクサーヌが目を輝かせながら刀真に尋ねる。

 

 「いや、場所はもうわかったんだ。今日は戻ってしっかり休もう」

 

 「入らないのですか?」

 

 「情報も何もない迷宮だからな。万全の状態で挑むのが最良だ」

 

 「分かりました」

 

 主である刀真のめいとあってはロクサーヌは何も言えず、野営地に戻ることに賛同した。野営地に戻る前に念のためにと刀真は看板にマーキングの印を刻んでおくのだった。

 

 そして、野営地に戻り、明日の大迷宮への挑戦に備え休もうとしたが、探していたものが見つかったことで興奮しなかなか寝付けなかった2人は自然と出会ってからほぼ毎晩のように行っている行為を始めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 「さて、準備はいいかロクサーヌ?」

 

 翌日、しっかりと休み、コンディションを整えた刀真が入り口前でロクサーヌに尋ねる。

 

 「はい」

 

 「うし、じゃあ・・・行くぞ」

 

 ロクサーヌの返答を聞いた刀真は朝のうちに探しておいた入口に手を添え、中に入るのだった。

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