ありふれた転生者は異世界でも無双する   作:白の牙

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第06話

 

 

 

 

 遂にライセン大渓谷のどこかにあるという大迷宮へと続く手がかりを見つけた刀真とロクサーヌ。しっかりと休み、万全の体調で迎えた翌日、2人は大迷宮へと挑むのだった。

 

 刀真が壁に手を添えると忍者屋敷のように開く。完全に閉まらないようロクサーヌに扉を押さえいてもらい、刀真が中へと入る。中は真っ暗で何も見えず、松明が必要だと刀真が思っていると、無数の風切り音と僅かだが魔力の反応を刀真は感知した。数秒後、暗闇の中から無数の矢と岩の礫が刀真へと向かってくる。

 

 「ほいっと」

 

 そのことが分かっていた刀真は慌てることなくアイテムボックス内から短剣を数本取り出し投げる。真っ暗で場所が分からないというのに刀真が投げた短剣は的確に矢と礫へとあたり、撃ち落とした。

 

 更に感知能力で礫を放ったであろうものの場所をつきとめていた刀真は追加の短剣を取り出し、魔力反応が合った場所に投擲する。数秒後、投げた場所からガラスが砕けるような音が鳴り響いた。

 

 「刀真様、大丈夫ですか!?」

 

 入口で待っていたロクサーヌだったが、鼻の他に耳もよかったので何が起こったのかを察知し、慌てて刀真の元にやってきた。

 

 「大丈夫だ。それにしてもこう暗いと道が分からないな・・・ん?」

 

 こう真っ暗では進めないと刀真が言おうとしたとき、中央らしき場所に立てられていた石碑が淡く輝きだした。

 

 「刀真様、石碑が」

 

 「・・・どういう仕組みで光ったのかは知らないがこれで奥に進めるな」

 

 これ幸いと刀真とロクサーヌは淡い光を頼りに奥へと続く道を探し、見つけ進んでいくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『え~~~~~、石板の文字を無視して行っちゃったよぉあの子たち』

 

 とある部屋で全身をローブで覆いフードを被った人物がモニター越しで刀真とロクサーヌのことを見ていた。

 

 「戻ったよ~」

 

 部屋のドアが開き1人の少女が入ってきた。

 

 『およ?お帰り~~~〇〇ちゃん。お目当ての物は買えた?』

 

 「うん。所で誰か来てるの?」

 

 モニターから人の声が聞こえてくるのに気づいた少女が尋ねる。

 

 『そう!そうなんだよ!見てみて』

 

 人物は横にずれて少女達にもモニターの映像を見えるようにした。

 

 『亜人の子の実力は分からないけど、こっちの子は手練れかな~~。真っ暗なのに入口の罠に気づいたんだ~~』

 

 「・・・・」

 

 『あれれ~~?もしかして〇〇ちゃん、一目ぼれしちゃった?』

 

 「ち、違うよ!?」

 

 『本当~~~?顔真っ赤だよ?』

 

 「~~~~~っ!?」

 

 『ちょ!?〇〇ちゃん!?』

 

 からかわれたことに怒ったのか、少女はどこからともなく100tと書かれたハンマーを取りだす。揶揄いすぎたと思った人物だったが時すでに遅く、しばらくの間、少女と鬼ごっこをするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「これはまさに迷宮だな」

 

 道なりに通路を進み、広大な空間にでた刀真とロクサーヌ。広大な空間には、階段や通路、奥へと続く入口が何の規則性もなくごちゃごちゃに繋がりあっており、幼少期に遊んだブロックを無造作に組み合わせて出来ていた。

 

 「迷いそうですね」

 

 「まぁ、何とかなるだろう。それより魔物はいるか?」

 

 「・・・・・すみません」

 

 「そうか(嗅覚が優れているロクサーヌでも分からないってことはそうとう広いってことか?)。何にせよ進まないことには始まらないな」

 

 ここでじっとしていてもどうにもならないと思った刀真は近くにある入口の一つへと歩を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「入口と違ってここは明るいですね」

 

 「・・・・うっすらとだが、壁が光っている」

 

 最初の辿り着いた部屋とは違い、2人が入った通路は外の明るさに比べれば微々たるものだが、視界を確保するには充分なほどの明かりが壁から灯っていた。

 

 「・・・・・・付近に魔物はいないみたいです」

 

 風が運んでくる匂いを嗅ぎ、魔物がいないことを確認したロクサーヌが先行しようとしたとき、

 

 「ロクサーヌ、止まれ」

 

 刀真が動かないよう言うが、少し遅く、ロクサーヌは一歩踏みだしていた。すると、“ガコン”という音とともにロクサーヌの足が深く沈んでいく。

 

 「え?」

 

 突然の出来事にロクサーヌが驚いていると、刃が滑るような音と共に左右の壁から高速円形でノコギリ状の巨大な刃が飛び出してきた。刃は回転を始めると薙ぐように2人へと迫ってくる。

 

 刃はそれぞれ首、腰を切断できる位置に配置されており、回避しなければ、“さようなら~~”となるのは間違いないだろう。

 

 そんな危機的状況の中、何を思ったのか刀真は刀を抜き上段で構えた。そして、

 

 「奥義“斬岩剣・顎”」

 

 素早く刀を振り下ろして刃の半分を断ち切り、返す刃で刀を振り上げ残りの半分を断ち切った。

 

 「魔物がいない代わりに致死性の高い罠が仕掛けられてるってわけか面倒だ・・・な!」

 

 そう言いながら刀真はアッパーのように左拳を振り上げ、遠当ての要領で拳圧をとばし、天井を砕いた。

 

 岩粉に混じって砕け散った刃物も落ちてくる。

 

 「一筋縄では行かなそうだな」

 

 前の世界で入った迷宮での冒険を思い出したのか、刀真はそれはそれはいい笑みを浮かべながら呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『なに・・・あの子?』

 

 モニターの向こう側で楽しそうに迷宮を進む刀真を見てフードを深くかぶった人物は唖然とする。

 

 まるで何処に仕掛けた罠が発動するスイッチがあるかが分かっているかのように奥へと進み、ロクサーヌが罠を押してしまっても刀真が破壊して進んでいく。

 

 『身体強化魔法が使えるとはいえこれは異常だよ』

 

 この大迷宮内は外の渓谷と同じで魔法を分解し、唯一使えるのは身体強化魔法のみ。だが、いくら身体強化魔法が使えても迷宮内に設置した一部の罠に使用している金属は非常に硬く、そう簡単に壊せる代物ではない。だというのに、刀真は道端にある小石を蹴る感覚で斬り、砕いていっている。

 

 『このままだとまずいかな~~。いや、迷宮を作った私としては嬉しいんだけど・・・う~~~ん』

 

 迷宮を攻略しに来た者達の阿鼻叫喚を姿を想像しながら罠を仕掛けたが、想像したものとはかけ離れたものを見せられている。

 

 『〇〇ちゃんもお願いを了承してくれたけど、帰って来たばっかりで最低でも今日1日はゆっくりと休んでほしいんだよね~~・・・・・全部壊されたり、軽々と突破されるきしかしないけど、こっちで罠を発動させて時間を稼ぐしかないかな』

 

 時間を稼ぐべくフードの人物は手動で罠を発動させるため端末を操作し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「う~~~ん」

 

 「どうしてこんな状況で落ち着いていられるんですか!?」

 

 「ただ滑っているだけだからな。でもまぁ、それだけじゃないのは確かなんだろうが」

 

 ロクサーヌを抱き寄せ、急斜面を滑りながら刀真はこうなった経緯を思い出す。超直感で罠が仕掛けられている場所を見抜き、踏まないようずれて進んでいたら仕掛けられた罠が勝手に発動したのだ。このことから推測するに、

 

 「(俺達のことを見ている誰かが、手動で罠を発動させたってことか)」

 

 そう、刀真は結論付けた。

 

 「(でも、何でいまさらになって手動で罠を?)」

 

 「刀真様、出口です」

 

 意図が分からずに考えていると出口が近づいていることをロクサーヌが告げた。この速度で放り出されればどうなるのかを理解した刀真は改めてロクサーヌをしっかりと抱き寄せる。

 

 そして、スロープが終わり、2人は空中に放り出された。放り出された状態で下を見ると、岩を削って作られたであろう岩針が無数に設置されていた。それを見た刀真は抱きしめていたロクサーヌを横抱きにしなおすと空中で一回転し、そのまま落下する。このままでは串刺しになるのは間違いないと思われたが、なんと刀真は何事もなく針の先に着地した。

 

 「っお、横穴見っけ」

 

 岩針に乗った状態で周囲を見回した刀真は横穴を見つけ、“ぴょん、ぴょん”と岩針を飛び移って横穴まで進み、横穴に入ると、ロクサーヌを地面におろした。

 

 「と、刀真様」

 

 「ん?どうした?もしかして怪我したのか?」

 

 「い、いえ。刀真様のお陰で怪我はありません。ですが、刀真様の方こそ大丈夫なのですか?足に穴が空いたりは」

 

 「ん?大丈夫、大丈夫」

 

 心配してくるロクサーヌを安心させるべく、刀真は両足をロクサーヌに見せて無事なことを教える。

 

 「でも、どうして無事だったんですか?」

 

 「渓谷で教えていた力のコントロール、あれを使ったのさ。一部の魔力、俺の場合は“気”だな。その気を足にのみ集中させて、強化させると同時薄い膜を作って防いだのさ。勿論、それだけじゃないけどな」

 

 刀真の返答を聞き、教わった技術をものにすることが出来れば自分も今のようなことが出来る用になるとことを知ったロクサーヌはやる気を漲らせる。

 

 「やる気を出すのはいいが今は迷宮の攻略な」

 

 「はい!」

 

 興奮するロクサーヌをなだめた後、2人は入った横穴を進んでいく。出た先は6~7mぐらいの幅広さの通路でさっきまでいたスロープと同じように傾いているうえ緩やかに右に曲がっていた。

 

 「(ここに仕掛けられてる罠が何なのかなんとな~~く分かった気がする)」

 

 刀真がそんなことを思っていると、上の方から何かが転がってくる音が聞こえてきた。

 

 「やっぱり」

 

 その音でこの通路の罠が何なのかを刀真は確信する。その数秒後、上から巨大な岩が転がり落ちてきた。

 

 「(斬るは駄目だな。斬っても通路ギリギリの大きさだから分かれて進むことはない。っとなると)砕くしかないなが、あの大きさを一気に砕くとなるとこれが一番だな」

 

 刀真は右足を半歩後ろに下げ、両拳を腰に添え、気を練り上げる。そして、大岩が拳が届く距離に入った瞬間、

 

 「“獣厳・双重”」

 

 古式空手で言う山突きのように両拳を同時に大岩に放ち、拳が触れた瞬間に中国拳法でいう寸勁や浸透勁のように岩の内部に練り上げた膨大な気と覇気を送りこみ、内側から岩を粉々に破壊するのだった。

 

 「ふぅ~~~~~~」

 

 体内に取り込んでいた空気を一気に吐き出しながら残心し、息を吐き終えるとゆっくりと残心を解いた。

 

 「さて、先にすす・・」

 

 ロクサーヌの方に振り向き、先に進もうと言おうとしたとき、後ろで何かが落ちた音が聞こえてきた。恐る恐る後ろを振り返ると、数秒前に粉々にした大岩と同じ物があった。

 

 「“獣厳”」

 

 刀真は数秒前に砕いた大岩と同じように内側から破壊する拳撃で大岩を粉々に破壊する。すると、別の場所に大岩が落ちてきた。

 

 「(あ~~~~これは壊してもすぐに予備のが落ちてくる仕様だな)」

 

 このまま続けても体力の無駄だと判断した刀真は瞬動でロクサーヌの元に瞬時に移動すると、ロクサーヌを抱える。

 

 「と、刀真様!?」

 

 「逃げるぞ」

 

 抱えられたことに驚くロクサーヌを無視して、刀真は一言告げ、通路を駆け下りる。

 

 「刀真様、自分で走れます」

 

 「俺が抱えて走った方が早い」

 

 刀真の言葉通り、人一人抱えて走っているのにもかかわらず大岩と刀真の距離はどんどん離れていく。

 

 しばらく走ると、匍匐前進をしてやっと通れる穴があった。ロクサーヌをおろし、差に行かせても余裕で間に合うほど大岩との距離は離れているが、刀真の直感がそれは悪手だと告げる。その直感に従い、刀真は片手でロクサーヌを抱えなおすと、右手を後ろ腰に装備しているマジックバッグの中へと突っ込み、中から脇差を取り出し、順手に持ち替えると、

 

 「ロクサーヌ、鞘を握ってくれ」

 

 「はい」

 

 脇差を抜くため、ロクサーヌに鞘を握るようお願いする。お願いされたロクサーヌは言われた通り、刀真が脇差を引き抜けるよう鞘を握る。

 

 ロクサーヌが鞘をしっかりと握ったのを確かめると刀真はすぐさま抜刀。

 

 「秘剣“五月雨斬り”」

 

 目視すらできない速さで脇差を振るい一瞬で壁をバラバラに切り刻んだ。

 

 「これは」

 

 「対応策がなかったらドロドロだな」

 

 壁の向こうには道がないうえ、下にはプールのように謎の液体で満たされていた。その危険性は切り刻まれた壁の破片が一瞬で溶けるほど。

 

 「溶解液かよ」

 

 「刀真様、次の部屋に続く道がありません」

 

 刀真に抱えられた状態でロクサーヌが周囲を見回すが部屋へと続く道がないことを報告する。ロクサーヌからの報告を聞いた刀真は脇差を鞘に納め、マジックバッグへとしまう。

 

 「ロクサーヌ、しっかり捕まってろ。向こう部屋まで一気に跳ぶ」

 

 「はい」

 

 ロクサーヌの返事を聞くと、刀真は後ろを向いてタイミングを計ってジャンプして大岩の上に乗り、着地するとすかさず大岩を踏み台にして溶解液の向こう側にある部屋へと思いっきりジャンプした

 

 踏み台にされた大岩は勢いよく溶解液に落下。その衝撃で溶解液が飛び散る。飛び散った溶解液が刀真とロクサーヌに注がれるが、

 

 「風よ」

 

 刀真が発動した風魔法で防ぎ、何事もなく部屋に着地した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『うっそ~~~ん。もうここまできちゃたよ』

 

 モニターで様子をうかがっていた人物は一日足らずで最奥の部屋へ続く最後の難所にまで到達した刀真達に驚き、頭を抱える。

 

 『どうしよう、今の部屋を突破されたら私が相手をしなくちゃいけなくな・・・って、本当ならそれが正しいんだけど』

 

 「どうかしたの?」

 

 『いや~~~例の2人がもうそこまで来てるんだよね~~~』

 

 「え!?もう来たの!?」

 

 部屋に入ってきた少女が部屋の主の言葉に驚き、手に持っていた物を落としてしまう。

 

 『ごめんだけど準備して試練間に来てくれる?』

 

 「分かった。準備が済んだらすぐに行くね」

 

 『よろしくね~~~。さて、私も行きますか』

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