ありふれた転生者は異世界でも無双する   作:白の牙

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第07話

 

 

 

 溶解液で満たされたプールを超えた先の部屋に入った刀真とロクサーヌがその広さに驚く。

 

 長方形型の奥行きがある部屋で両壁には無数の窪みがあり騎士甲冑を纏い、大剣と盾を装備した像が並び立っていた。更に部屋の奥には大きな階段があり、その先は荘厳な扉があった。

 

 「いかにもって感じだな」

 

 「何がですか?」

 

 「これは俺の世界の小説、作り話に出てくることなんだが。今のように武装された像が置かれていると決まって」

 

 一歩も進んでいないの、何かが押された音が鳴り響く。すると、騎士達の目がどこぞの一つ目の巨大兵器のように光り出した。そして、金属の擦れ合う音を上げながら窪みから騎士達が抜け出てきた。

 

 「今見ている光景のように動いて、侵入者・・・すなわち俺達に襲い掛かってくるんだ」

 

 窪みから出てきた騎士たちは盾を前に構え、大剣を突きの型で構える。

 

 「魔法が使えないこの場所で何で動けるのか、どういった原理なのかは知らないが立ちふさがるなら、斬って進むだけだ」

 

 総勢50体の騎士を前に刀真は笑みを浮かべながら鞘から刀を抜き、構える。続くようにロクサーヌも剣を抜いて構える。

 

 「ロクサーヌ、加減はいらない。魔物を倒すときと同じ感覚で戦うんだ。ペース配分には気をつけろよ」

 

 「はい」

 

 戦う者の顔になったロクサーヌに一声かけた後、騎士達との戦闘を始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 「疾っ!」

 

 騎士達との戦闘開始そうそう、刀真は瞬動で一気に距離を詰めると武装色と闘気を纏わせた刀を一閃し、構えていた盾ごと5体の騎士を纏めて斬り捨てた。刀を振りぬいた状態でいるところを1体の騎士に襲われるが、ロクサーヌが刀身の部分に剣を当て、突きの軌道をずらし、返す形で剣を振り下ろしたが、刀真の用に鎧ごと斬ることはできず、逆に手が痺れてしまった。

 

 「・・・・」

 

 このままでは刀真を助けるどころか足を引っ張ってしまうと思ったロクサーヌは剣を鞘に納めると、紐を取り出し、剣が鞘から抜きでないようしっかりと縛ると、その状態で騎士を打ち飛ばした。

 

 「(斬れないと分かるや否、鞘での殴打に切り替えたか)」

 

 ロクサーヌの状況判断能力に刀真は感心する。だが、その戦法も長くは持ちそうにないことも視えていた刀真はマジックバッグにしまっているある物を取り出そうとしたが、騎士達が襲ってきた。

 

 「邪魔をするな。朧・流水斬・打潮」

 

 刀真は淀みない動きで斬撃を繋げ、騎士達を纏めて斬り捨てると今度こそマジックバックに手を入れ、中から目的の物を取り出すと、

 

 「ロクサーヌ、受け取れ」

 

 ロクサーヌへと投げ渡した。

 

 「わわ」

 

 戦っている最中に物を渡されるとは思っていなかったロクサーヌは騎士たちの攻撃を躱しながら投げられた物を受け取り、何なのかを確認する。

 

 「これは剣?」

 

 刀真から渡されたものそれは剣だった。剣が通じない相手と戦っているのに何故、剣を渡したのか、刀真の考えていることが分からずロクサーヌが動きを止めた。そんなロクサーヌを1体の騎士が背後から襲い掛かる。

 

 「っ!?」

 

 金属の擦れる音で背後からの奇襲に気づいたロクサーヌは咄嗟に渡された剣を抜いた。

 

 剣が鎧に弾かれると思っていたロクサーヌだったが、その予想に反し、剣は騎士を切り裂いた。

 

 「・・・え?」

 

 簡単に騎士が斬れたことにロクサーヌは驚く。

 

 「驚いてるみたいだな」

 

 「刀真様、この剣は一体?」

 

 「出会ったとき、討伐した魔物のことを覚えているか?」

 

 「は、はい、覚えています。鳥と獅子が合わさった魔物ですよね?」

 

 「あぁ。その剣、“荒鷲”は討伐した魔物から得た素材を使って作った剣だ」

 

 襲い来る騎士をさばきながら刀真はロクサーヌに渡した剣“荒鷲”について説明する。

 

 「使った魔物の素材のおかげなのかわからないが切れ味が凄くてな、直ぐに渡したら慢心しちまうかもしれないから基礎がしっかりとできるまで渡さないつもりだったんだが、そうも言ってられない状況だからな。その剣なら騎士達も余裕で斬れる。だけど、斬れるからって気を抜かないようにな」

 

 「はい。ありがとうございます刀真様」

 

 受け取った剣のおかげで足手まといになることはないと分かったロクサーヌは剣を振るい騎士達を斬っていくが、斬っていくうちにあることに気づいた。

 

 「(これだけ斬っているのに数が全然減っていない)」

 

 数げ減らないことに不思議がっていると、僅かだが床に窪みが出来た場所に辿り着いた。

 

 「(こんなところに窪み?地面に叩きつけたわけじゃないのに何で?)」

 

 謎の窪みに不思議がり、視野を広げ場を見通していていると刀真に斬られ床に倒れた騎士の像。ほんの少しの間、床に転がっていた騎士が何事もなかったかのように起き上がり、向かっていく姿を目にした。

 

 ロクサーヌは急いで騎士が倒れていた場所に行き、床を見ると、さっき見た謎の窪みが出来上がっていた。

 

 「(もしかして、床の一部を使って損傷を直した?もしそうなら)刀真様、この騎士達は倒しても、床の一部を使って直ってしまいます」

 

 「何だって?」

 

 刀真自身、騎士達の数が減らないことに気づいていたが、理由が分からなかったのだが、ロクサーヌから数が減らない理由を伝えられると、斬るのではなく、殴打へと切り替えた。

 

 「(自己修復機能付きか。明らかに消耗が目的だな。力を消耗することなく抜ける方法は・・・あれだな)ロクサーヌ、今から騎士達を纏めて斬り払う。合図をしたらしゃがめ」

 

 「はい」

 

 作戦を伝え、ロクサーヌの返事を聞いた刀真は息を吐きながら刀に闘気を注ぎ込む。注ぎ込まれた闘気の一部を放出し、それを長大な刃へと変える

 

 「ロクサーヌ」

 

 「っ!?」

 

 名を呼ばれたことが合図なのだと理解したロクサーヌは言われた通り、その場でしゃがんだ。

 

 「朧・断頭輝刃」

 

 その場で一回転しながら長大な気の刃を携えた刀を振るい騎士達を纏めて斬り払った。

 

 「今だ、ロクサーヌ、走れ」

 

 騎士達の損傷が回復する前に2人は奥の階段へと走る。包囲網を抜けると、刀真はマジクバックから懐中電灯サイズの筒を取り出し、クラッカーの要領の後ろの紐を引っ張ると、

筒の先端から網が撃ちだされ、騎士達を覆った。

 

 「とあるマッド少女が開発した特注のネットだ。刃物でも斬ることが出来ないうえ、糸にはトリモチのように粘着効果があるから逃げられねぇよ」

 

 傷の修復は終わったが、もがけばもがくほどネットが体に付着し、身動きが取れなくなって行く騎士達。

 

 「おまけだ、受け取れ」

 

 刀真はおまけとばかりに追加の網を発射し、更に身動きが出来ないようにするのだった。

 

 「さて、扉の前まで来たのはいいが、どうやって開ければいいんだ?」

 

 「刀真様、これを見てください」

 

 階段を上り切り、扉の前に立ったというのに扉は開かず、いっそのこと斬るかと考えていると、ロクサーヌに声をかけられ振り返る。彼女の手のひらには黄色の水晶が乗っていた。

 

 「それとあれを」

 

 そして、ロクサーヌの視線を追うと、扉には三つの窪みがあった。

 

 「水晶のブロックに扉の窪み・・っか」

 

 その2つが示すものが何なのかが分かった刀真は水晶のブロックを手に取り、様々な角度からよ~~く観察した。そして、このブロックが幾つもの小さな立体ブロックが組み合わさって出来ていることに気づいた。

 

 そこからの刀真の行動は早かった。ブロックをばらし、ばらしたブロックから扉の窪みにはまる形へと組み直していく。一方、ロクサーヌは刀真がブロックを作り直すのに集中できるよう、動けない騎士達を見張ると同時に伏兵の騎士がいるかもしれないと思い、周囲を警戒していた。

 

 「・・・・出来た」

 

 作業に没頭すること5分。刀真は3つの窪みにはまる結晶を組み上げ、窪みにはめ込むと、水晶が淡く輝き、扉が開かれ始めた。

 

 「さて、何が出るかね~~~」

 

 少しワクワクした声色で刀真は扉が開き切るのを待っていた。そして、扉が完全に開き切り奥へ進むと、そこは無数の大きなブロックが浮かぶ空間だった。

 

 「まるで宇宙だな」

 

 デブリのように浮かび、移動するブロックを見て刀真が思ったことを口にする。

 

 「刀真様、宇宙とは?」

 

 「あぁ、この世界の住人にはなじみがないか。宇宙ってのは星の外に存在する空間のことだ。そこは重力がなく、浮かんでいるブロックのようになる。あと、空気がないうえ、生身の体ででうようものなら一瞬とまではいかないが体が凍り付きそのまま死ぬ」

 

 「お、恐ろしいところなんですね」

 

 「だが、ブロックのみが浮かんでいることや、ちゃんと空気があることを見るに模倣して作った空間ってところかな」

 

 『へぇ~~~、見ただけでわかるだなんて博識な子だね~~』

 

 刀真がロクサーヌに宇宙について説明、この空間について考察していると、聞き覚えのない声が響き渡った。

 

 「っ!?」

 

 「・・・上か」

 

 声を聞いてロクサーヌが周囲を警戒する中、刀真は上を向く。すると、大きな塊が落ちてくる。このままだと塊に潰されると感じ取った刀真はマジックバックから鉄球を1個取り出し、気を纏わせ

 

 「ふん!」

 

 『ミギャ!?』

 

 落ちてくる塊に向かって投げた。固い物同士が当たった時にでる甲高い音が空間内に鳴り響く。ついでに人の声が聞こえてきたが気にしないことにした。鉄球に当たった塊は、近くに浮かんでいたブロックに激突、更に周りに浮かんでいたブロックを巻き込みながら下が見えない奈落へと落ちて行った。

 

 「刀真様、今のは?」

 

 「・・・ただのブロックじゃないのは確かだろうな」

 

 『いや~~~落ちてくる最中に攻撃されるだなんて、思ってもみなかったよ』

 

 奈落へと落ちて行ったものについて話していると、落ちて行った物が上ってきた

 

 それは全長20メートル弱の超巨大な騎士甲冑を纏った何かだった。

 

 『さて、ちょっと予定が狂ったけど改めて。ようこそ私が作った大迷宮へ!私がみんな大好きミレディ・ライセンだよぉ~~~』

 

 「「・・・・・」」

 

 その巨体と風貌からは想像もできない軽いノリで挨拶をされたことに刀真とロクサーヌは惚けてしまった。

 

 『あのねぇ~~~挨拶したんだから何か返そうよ。最低限の礼儀だよ?全く、これだから最近の若者は・・・・もっと常識的にならないと』

 

 「・・失礼した。まさか、友好的に話しかけてくるとは思ってもいなかったものでな。それと、いきなり襲い掛かってきた奴が常識を語るな」

 

 『・・・・・・・』

 

 言い返されるとは思っていなかったのか巨人、基、ミレディはだんまりを決め込んだ。

 

 「だんまりか・・・まぁいい。立ちふさがるなら斬るまでだ」

 

 刀真は鞘から刀を抜き、切っ先をミレディに向け、そう宣言する。

 

 『おぉ~~~やる気満々だね~~。意気やよし、かかってきな~~~!!』

 

 「んじゃあ、遠慮なく」

 

 ミレディの言葉を合図に最後の試練が幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 先手を取ったのは刀真だった。ご挨拶とばかりの刀を振るって斬撃波を飛ばして、片腕を切り落とした。

 

 『・・・・・今の攻撃、光魔法の“天翔閃”に似てたけど、この空間は魔力の分解速度が更に速いから魔法じゃないことは確かなんだけど、何したの?』

 

 「何って、斬撃を飛ばしただけだ」

 

 『なに言ってるんだこいつって顔してるけど、常識的に考えて斬撃を飛ばすだなんて出来ないからね!?ミレディちゃんの昔のお仲間でもできないよそんな芸当!?』

 

 「何をそんなに驚いてるんだ?飛ぶ斬撃なんて珍しく何ともないってのに」

 

 あっけらかんとした表情で言う刀真にミレディはこいつ(刀真)、相当やばい奴なんじゃないのかと思ってしまった。

 

 「それより、俺ばっかり見てていいのか?お前の相手をしているのは俺だけじゃないんだぞ?」

 

 『へ?』

 

 「隙ありです」

 

 刀真に言われて始めて、隣にいたロクサーヌがいつの間にか消えていたことにミレディは気づいた。だが、気づくのが少し遅く、背後からロクサーヌが頭部を切り落とそうとした時、上から無数の光が雨にように降り注いだ。

 

 「ロクサーヌ!(魔法が分解されるこの場で魔法だと!?いったい誰が?)」

 

 魔法が使えないこの空間で魔法が使われたことに刀真が驚く中、爆煙の中から無傷のロクサーヌが出てき、近くに浮かんでいた浮遊ブロックに着地した。

 

 「大丈夫かロクサーヌ?」

 

 「はい。ギリギリ間に合いました」

 

 「・・・直撃だったはずなのに無傷だなんて・・・何かカラクリがありそうだね」

 

 ロクサーヌの所まで移動した刀真が安否を確かめていると、上から1人の少女が舞い降り、ミレディの肩に降り立った。

 

 「・・・人?」

 

 「遅くなってごめんねミレディ。支度に手間取っちゃった」

 

 『ううん、グットタイミングだよラーちゃん』

 

 突如現れた少女は、刀真とロクサーヌに視線を映すと、

 

 「初めまして、ミレディ・ライセンに協力しているライザリン・シュタウト、気軽にライザって呼んでね」

 

 2人に挨拶をするのだった。

 

 「(まさか、人がいるとは驚いたな)ロクサーヌ」

 

 「はい」

 

 「ミレディ・ライセンは俺が担当する。お前は、ライザって名乗った子の相手を頼む」

 

 「分かりました」

 

 人が現われたことに驚いた刀真だったが、逆にロクサーヌの対人練習に丁度いいと思いルーナの相手をロクサーヌに頼んだ。

 

 『あのねぇ、そんな話を聞いて、黙ってその通りにさせると思う?』

 

 「してもらうさ」

 

 ミレディにそう返答すると、刀真は剃を使ってミレディの肩に立っているライザとの距離を瞬時に詰め、正拳突きを繰り出す。だが、その拳はライザの腹部の少し手前で止まるも拳を繰り出した際に発生した風圧で大きく吹き飛んでしまった。

 

 「っ!?」

 

 突然のことに驚くライザだったが体勢を立て直し、近くを漂っていたブロックに着地、直ぐにミレディの所に戻ろうとするが、

 

 「貴方の相手は私です」

 

 ロクサーヌが斬りかかってき、その剣戟を持っていた杖で受け止めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『パンチを当ててないのに吹き飛ばすだなんて・・・・ちょっと非常識過ぎない?』

 

 「鍛えれば誰でもできる」

 

 『さっきもいったけどミレディちゃんの昔の仲間でも魔法無しでそんなことできないからね!?』

 

 「あの非常識の塊であるおっさんに比べれば俺なんてかわいいもんだぜ?」

 

 『君以上に非常識な人がいるの!?』

 

 「いたんだな~~~これが」

 

 驚くミレディに刀真は前世で出会った最強の傭兵だったおっさんのことを思い出し、遠い目をする。

 

 「それより、のんきに話してたりしていいのか?ここはもう俺の間合いだぜ?」

 

 峰で肩を軽くたたきながら刀真が言う。

 

 『確かにそうだね~~。でも、私の間合いでもあるんだよ?』

 

 「じゃあ、どっちが早いか試してみるか?」

 

 『残念、ちょっと遅かったねぇ~~~』

 

 どちらが早く一撃を与えられるか勝負するかと刀真が言うが、ミレディの残念そうな声でそういうと、頭上が暗くなった瞬間、激突音が空間内に鳴り響いた。

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