悪役貴族転生【女装】悪役令嬢ルート~99通りで断罪される悪役に転生して女装したら死亡フラグが無くなる代わりに周囲の目が怖くなってくんだけど?~   作:あずももも

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7話 現庭師・元・王国騎士団長ベルトランおじいちゃん1

「~♪」

「はぁ……おねえさまの素肌……」

 

さて。

 

僕の男としての些細なプライドよりも命の安全という大目標を選んだおかげで、「7歳のジュリオン様としての自我」がかろうじて残っていたとしても、女装という――ある意味最も男らしい行為で砕け散っただろう。

 

思考能力精神年齢成人男性社会人経験有だろう僕なら上司の靴を舐めるがごとくに耐えられるそれも、わがままボーイでプライドしかなかったジュリオン様には特効のはず。

 

ジュリオン様、恨まないでくれ……この体は有効活用するし、そもそも君は僕の来世の幼い精神だから実質的に融合とかそんな感じだって信じてるからおとなしくしてて……。

 

――今朝までのジュリオン様本人が目覚め直しての、乗っ取り。

 

そんな気配はみじんもないけども、たとえ来世ではあっても前世の僕が今世の僕(ジュリオン様)を乗っ取った形が現状なわけで、その発端はエミリーちゃんの冷たいお水がハートを直撃したかなにかっていう、割としょうもない理由で。

 

つまりは同程度の衝撃で――実は意識があって僕の行動に歯噛みしていたジュリオン様が目覚めて乗っ取り返し、全部を台無しにする可能性もあるわけだけども……まぁこんだけのことをやったら早々には出てきたりはしないだろう。

 

むしろ目覚めても冷水ひっかぶって恥辱にも耐えられる頑丈な僕に交代してくるだろう。

 

なにしろ使用人たちに妹の前で女装だもん、恥ずかしくて出てこられないよね?

 

おーい。

 

………………………………。

 

……反応は無し。

 

「ジュリオンさまぁ、下着は……あ、このままで良い?」

「いつか、いつかわたしのをはかせてさしあげます……!」

 

ちょっと怖いけど、起きてまだ時間経ってないからなんとも言えないし……乗っ取り返されたらそのときはそのときだ。

 

で。

 

今の僕の大目標は、生存ルートを目指し――かつ誰にも敗北しないでメス堕ちするルートも回避し、なんとか成人までを生き延びるというほっそい道を辿ること。

 

さすがに成人――ああ、前世の感覚だったけども、原作ゲームのエンディングである学園卒業、すなわち高校卒業、18歳で自由に動ける身分になるまでで女装はおしまいで良いだろう。

 

以降の描写はなにひとつない――一応各エンディングで、主人公とくっついたり仲の良かった親友キャラとかたちとのその後が語られはするけども、ジュリオン様関係はなかった……はず。

 

そもそも基本的に死んでるしな、ジュリオン様。

 

ただしメス堕ちルートを除く。

メス堕ちルート怖い……。

 

「ジュリオン様が、女性の服を……」

「畏れ多いのに、どうしてこんな……」

 

今、僕が、そんなメス堕ちに直結するだろう女装をしているのは――メス堕ちしてるのはあくまで表向き、ゲーム通りかどうかは分からないけどもそうだといいなって思ってる、世界のルール的な存在を欺くため。

 

ついででアメリアちゃんメアリーちゃんタッグのおかげで僕が女装大好きっ子っていうメス堕ちに限りなく近い存在だって認識させられたはずだしな。

 

そんなわけで、ゲームで描写されなくなるエンディング後まで行っちゃえば大丈夫なず。

 

多分ね。

 

「アメリアさまぁ、そのリボンいただけますぅ?」

「はい! これでさらにかわいらしくなれますね!」

 

――10年後、主人公たちがどのルートをたどるのかは分からない。

 

そもそも同い年のはずの主人公くんは現在7歳の平民だ、しかも農村出身のはずだからまだ鼻垂れボーイでしかないはず。

 

そんなボーイもとい主人公くんも、大体のルートで人類圏の安寧を確保して勇者となってのエンドだった記憶があるし、そこまで行けば彼らとも狭い学園で遭遇する危機に怯える必要はない……はずだ。

 

「この世界がゲーム通りに進むだろう」っていう希望的観測による大前提での女装で、早速生存ルートに近づいたって信じるとして――次の目標は、僕自身が強くなる――レベルを上げること。

 

なにしろ魔王ルートでは、自身は人間のくせに魔族の王になって、主人公パーティーその他モブたちの大軍勢と1対数千って戦いを繰り広げるジュリオン様だ、ゲーム通りならそのポテンシャルはすさまじいはず。

 

「ジュリオンさまが……!」

「せかいでいちばんおうつくしいです!」

 

魔王ルートは特別に強いんだけども、多分なにかしらの強化イベントをいくつも経験しないと駄目なんだろうけども、魔王様にも届く強さは――世界観的に、不可能ではないはずだ。

 

それでも主人公の方が、操作キャラとあって優遇されてはいる。

なによりも、シナリオ上ではあっても数の力を使える方が圧倒的に有利だし。

 

ゲームでは実際、主人公側でそこまでやりこまなくとも倒せる――攻略チャート通りに進めてレベリングとかしてたら、初見でも魔王ジュリオン様を倒せるくらいだし。

 

むしろ動画とかでは「どれだけ舐めプしてジュリオン様を倒すか」とか「パーティーメンバー1人でジュリオン様を倒してみた」とか「最短でジュリオン様をメス堕ちさせます」とか「モブヒロインでジュリオン様をギリ倒せたRTA」とかが流行ってたけども、攻略サイトとか動画を全く見ずに魔王ジュリオン様と戦うと普通に負ける程度の難易度。

 

まぁ魔王ルートは最高難易度だからこそそうなっているけども、それ以外の魔族ルートとか国家転覆ルート、ダンジョンマスタールートでもジュリオン様は「油断するとセーブしてなかったのを後悔する程度の敵」として立ちはだかっていた。

 

たまーに雑魚ルート引くこともあったけども……うん、そのときはだいたいサブヒロインルートでさくっと終わるから……まぁその場合でもジュリオン様は死ぬけど。

 

なお、どのルートでもだいたい恨まれてるジュリオン様、トドメはヒロインたちとかいう贅沢っぷり。

 

どれだけあのゲーム、ジュリオン様がメインなんだろうね。

あまりにもジュリオン様が好きすぎる。

 

「ジュリオンさまに、一生ついて行きますぅ……」

「わ、わたしもですっ」

 

……あと、君たち、仲が良いんだね……。

 

エミリーちゃんとアメリアちゃんの相乗効果で、なんか空気が和みすぎてる気がするよ……?

 

ほら、かわいいいきものと幸薄病弱系妹のシナジーで、こう……どんな危機感でも霧散するようなデバフが、僕の思考回路をにぶらせてこようとしてるし……。

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