悪役貴族転生【女装】悪役令嬢ルート~99通りで断罪される悪役に転生して女装したら死亡フラグが無くなる代わりに周囲の目が怖くなってくんだけど?~   作:あずももも

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144話 アメリアちゃんとルーシーちゃん

「それにしてもアメリアさまぁ、ずいぶん起きていられるようになりましたねぇ。わたしが来たころはほとんど寝てたのに」

 

「きっとユリアおねえさまをかわいくできるようになったからです! ね、ユリアおねえさま!」

 

「……それで元気になるのなら、いくらでも好きにしてください……」

 

僕の髪の毛をあみあみしながら実に楽しそうな――原作で見ていたように真っ青ではなく、どころかほっぺたが赤くなって生気のあるアメリアちゃん。

 

……ゲームのキャラクターならともかく、こうして生きている人間……しかも家族だ、しかも子供だ、ずっと苦しそうにしていてお見舞いに行くとつらそうに起き上がってくるよりは、こうして僕を弄ぶくらいは感謝しないといけない奇跡だもんね。

 

うん……だから僕は、おしゃれが好きな義妹の犠牲になる義姉として生きるしかないんだ。

 

そうだ、僕は姉……姉として義妹のために生きるんだ……。

 

「ルーシーさまも、もっと髪の毛伸ばしたらどうですか? わたし、ルーシーさまのかわいさも引き出したいんです!」

 

「ぼ、ぼくは良いですぅ……なんだか良く分からないけど、あんまりおしゃれするのとか、小さいときから好きじゃなくて……」

「ほぇぇ、ルーシーちゃんもかわいいのにぃ」

 

僕が弄ばれるのを眺めながらもじもじしているルーシーちゃん、そんなルーシーちゃんを狙うアメリア&エミリーコンビ。

 

僕と同じく獲物として弄ばれる系統のルーシーちゃん。

 

待ちで拾ってきた3年前よりも肉付きが良くなって、それまでの貧農生活での栄養失調を取り戻す勢いで大きくなってきた結果、とうとう僕より――1、2センチだけど身長で勝っている彼女。

 

小学生くらいまでって、結構女子の方が背が高くなるんだよね。

ジュリオン様な以上、将来の高身長は確約されているとはいえ同学年くらいの子に抜かされるのは悲しい。

 

確か男子って中高で急に伸びるはずだから、それまで……あと2、3年は雌伏の時だ。

というか、周囲の同世代の女子はことごとく僕以上の背丈になってきてるのを思い出したら、なんだか余計に悲しくなってきた。

 

そんなルーシーちゃんは、メイド服もそこまで好きじゃないらしい。

 

女の子らしく、着れば着たでこっそり自分を鏡とかを見てるのを何度も目撃しているけど、確かにそんな印象はある。

着飾るのとかにはそこまで興味がないって感じなのかな。

 

女の子と言ったって、全員が全員、女の子らしくしたいとは限らないし、ふりふりのスカートが好きなわけでもない――少なくとも人前では。

 

それは前世でも男勝りな女子とか、男よりも漢らしい女子とか――そういえば前世では女子もスラックスとかいう時代だったね、僕の世代でそういう女子が身近に居たかはやっぱり思い出せないけども――「別に服装はどうでもいいけど周りがそうしてるから」って人もそれなりに居たはずだ。

 

特にルーシーちゃんは、保護してから3年も経つのに自分自身の呼び方は「ぼく」――どちらかというと感性としてはおとなしい男子って感じなんじゃないかな。

 

庭でときどきやってるベルトランの鍛錬とか楽しそうに見てるし、1人のときは棒きれを――鍛錬でもないのに振り回したりしてるし、魔力がないのに適当なワードでいかにもな呪文を唱えたりしてるの見たことあるし……あ、そういうのは女子でもハマる人はハマるか。

 

「それじゃあルーシーさまっ! おかあさまがくださった口紅、つけてみましょう! 髪の毛はダメでも口紅はいいですよね!」

「わ、わっ……だ、ダメですぅ、顔! 顔が近いですぅ……!」

 

ルーシーちゃんをかわいくすることへ興味が移ったらしいアメリアちゃんが、ぴょんと僕の膝から飛び降りるとどこから出したのか口紅を塗るやつをかざし、ルーシーちゃんへ迫っている。

 

「……ユリアさまぁ……」

 

主人――僕の義妹からのおめかしが、嫌だけど断れない。

その想いは、潤んだ瞳越しに僕へ届く。

 

「ルーシー」

「ユリアさま……!」

 

「諦めなさい」

 

でもね、ごめんね……僕もまた同じなんだ。

 

そういう気持ちを込め、僕は目を伏せる。

 

「そんなぁ……」

 

「ふふふ……おねえさまから許可が出ました……!」

「えへへ……ルーシーちゃん、かんねんしましょう……!」

 

じりじり。

 

メイド、使用人という立場上アメリアからは逃げられず、同僚のはずのエミリーちゃんに退路を断たれたルーシーちゃんは、すっかりへっぴり腰。

 

「……ユリアさまぁ……」

 

潤んだ瞳で僕を見てくるメイド姿の中性的な少女は……やっぱり女の子だなって思った。

 

 

 

 

【元勇者因子保持者ならびに現保持者と「3年間同じ敷地内で過ごした」ために「アメリアルート」は消失しています】

 

【「義理のお兄様なお姉様との背徳的な恋をしたい」ルートが発生しています】

 

【「屋敷の中での幼い時間をいつまでも」ENDが発生しました】

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