悪役貴族転生【女装】悪役令嬢ルート~99通りで断罪される悪役に転生して女装したら死亡フラグが無くなる代わりに周囲の目が怖くなってくんだけど?~   作:あずももも

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148話 結構な女装をして町へ繰り出した

「はぁ……」

「お美しい……」

「今日はユリア様も着飾られて……」

 

――最寄りの町ルシヨン、その新装開店なお店の中。

 

警護はそこそこに、ソフィーヌ母さんの主張により外から目立つテーブルで僕たちはランチ会。

 

まぁ目立たないだけで、店の内外やこの区画一体ががっちがちの警備なんだけどね。

 

店の外は普段遠征に駆り立てている兵士や町の中の衛兵が市民を威圧しない程度に増強され、店内は客に扮したベルトランやエミリーちゃんほか普段遠征へお供してくれている冒険者と、つまりは上位のモンスターや数百人規模のゲリラ兵でも居なければ万が一もない布陣。

 

……あ、エミリーちゃんが盛大にカップをぶちまけている。

 

とってもほほえましいね。

特に、今日はその被害が僕に飛んできてない点がね。

 

「普段の冒険者な凛々しいご格好も惚れてしまいますが、本日のお姫様なご格好にも……惚れてしまいますわねぇ……」

「やはり、かつてのお母上と同じく王家の血筋……もしやあれは、やがてはお母上の復讐をと言外に……」

 

ざわざわ、ざわざわ。

 

しばらくエミリーちゃんへ注がれた視線がふたたびに僕たちへ――僕へ。

それと同時に好き勝手……けれども好意的な会話が反響する。

 

……うん、わかってる。

 

お金を持っている貴族として着飾り、それを領民にお披露目することでお店へも貢献する。

貴族の血というやつで生まれつき美形な容姿で、なによりも領主一家として、お店の広告塔になる。

 

こういうことの積み重ねが領民からの信頼と安心と親近感へつながり、ついでに僕としてはなによりも大切な革命と蜂起の阻止にもつながる。

 

定期的に領民と交流し、嘆願があれば聞き……今回のように「普段の姿」を観察できるような機会を作ることで、自然、親近感というものも生まれる。

 

……それがまあ、女装したユリアな僕への、貴族令嬢としてのそれってのは……僕が撒いた種だから諦めるしかない。

 

――この町の治安は、3年前と比べて格段に良くなっている。

 

数々の政策で衛兵は増え、冒険者の質も向上した。

浮浪者は、田舎から流れ着いたばかりのそれ以外は存在せず、すぐに衣食住を支給された上で仕事を得る。

 

親なき子は居ない、あるいは発見され次第丁重に保護され、メンタルケアを施した上で募集済みの里親へ渡している。

そんな状況をひっくり返そうとするスパイ――人間も魔族もどちらも――対策は、豚貴族さんのおかげもあって完璧。

 

だから、こうして町中で堂々としていても平気だ。

 

それはわかってる。

わかってはいるんだ。

 

けども。

 

「………………………………」

 

ざわめく群集に見られ、唱う乙女たちの中……僕は、気がつけば体を見下ろしていた。

 

普段は簡素なスカート、あるいはズボンでおおわれている足元は、今はふわっふわひらっひらしたスカートに包まれていて。

 

両腕にも「貴族令嬢として当然」だったり今流行りだったりする腕輪――って言って怒られたからブレスレット――に、何かしらのアクセサリー。

 

首元にもネックレスからなにまで、とにかくアイテムの数が多い。

 

こういう格好してると、普段はもう感じなくなっている「男である僕が女の子を真似して着飾っている女装男だ」って改めて感じさせられる。

 

事実は事実でも、気にしなくていいレベルまでなってたのを……最近になって、より悪化した形で見せられているんだ。

 

「ユリアさまっ」

「ユリアおねえさま?」

 

「ユリア? 具合でも悪いのかしら? ……ごめんなさい、馬車で負担をかけてしまったでしょうか……」

 

気が付いたらそれなりに下を向いていたらしい僕は、その声へ首を持ち上げる。

 

――そこには、不安そうな顔が3つ。

 

「……いえ。少し、コルセットを締めすぎたようで。こっそり緩めたので大丈夫です」

 

うん……コルセット、この年齢からするんだね。

 

本当の、地球の欧州中世でやってたかどうかはわからないけども、ここはゲームの世界に近いなんちゃって中世だから、子供のうちはおしゃれアイテムとして軽く巻く程度なんだけどね。

 

「それは良かったけど……アメリア? 頻繁に社交パーティーに出るお年頃にもなると、コルセットの地獄は月に何回もあるのよ? 令嬢はみんな、苦痛を抱えながら笑顔を見せるものなの。……当然、お付きとして参加するエミリーも」

 

「「うぇー……」」

 

「というわけで、甘いものを楽しみましょう? ええ……そのうちに体型を維持するため体重をぎっちぎちに管理せざるを得なくなるのですから」

 

女の子って大変だなぁ……そして窮屈な女の子の格好をすることになる、僕も大変だなぁ……。

 

そんなこんなで、僕たちは優雅には少しばかり騒がしい午後を楽しんだ。

 

 

 

 

「そう。楽しかったのね? ……私が居ないあいだに」

「ひゅっ……」

 

その数日後。

 

僕は、マルテルさんに詰められた。

 

……女の子って、やっぱり怖い。

 

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