悪役貴族転生【女装】悪役令嬢ルート~99通りで断罪される悪役に転生して女装したら死亡フラグが無くなる代わりに周囲の目が怖くなってくんだけど?~ 作:あずももも
アメリアちゃんとエミリーちゃんがヒマそうだったから、馬車でピクニックに来た先。
ついでに当たり前のようにしれっとマルテルさんが同行してきてるけども、もう諦めてる。
ユリア状態なら、かつマルテルさんを頻繁に構ってあげればそこまで怖くはないし。
……なによりもジュリオン様状態だと隙あらばベッドに誘ってくるのは……女の子って早熟すぎて怖い。
ていうかまだこのジュリオン様ボディ、ジュリオン様のジュリオン様は機能してないよ……10歳の男児なんてアニメとマンガとゲームと棒きれ振り回したりボールを追いかけることしか頭にない生き物なんだよ……女子みたいに色恋に目覚めるのはあと何年かかかるんだよ……。
そもそも原作でもいろんなヒロインへわりと際どいことしたりはしてたけど一切手は出さなかったし、ヘタしたらメンタルもフィジカルも子供過ぎて第二次成長してもその手のことへは興味すらなかったんじゃないかってレベルだしな、ジュリオン様。
さんざんいじめ抜いてたはずのエミリーちゃんへすら手を出してなかったのは――ピュアな男性ユーザーやソシャゲーという宿命で審査機構への配慮もあっただろうけど、設定ではっきりと明言されてたし。
あるいは背丈こそ伸びはしたものの、男性ホルモンが少なかったのやもしれない。
おかげで女装がこれでもかと似合う線の細さになったとかいう可能性すらある。
なにしろ絶対死ぬかメス堕ちするジュリオン様だからね。
「ジュリオン様という概念は成人前に死ぬ or 子孫を残せない」――世界がそう定めてジュリオン様の子孫を残さないためにそうしているのかもとすら思えるし。
……だからこそ、まずはほどほどの断罪に留めて国外追放が第1目標になる。
それだからこその「悪いことはしたけど良いこともしたから首ちょんぱとかメス堕ちはやめたげよっか」って言われるようにするための成果が――遠くにそびえ立っている。
「あれが――人類の、希望。ウォール・ユリアです」
その呼び方とか言葉遣いはまずい気がする。
けど、モノとしてはその通りだし領民からの呼び名もそのままだから反論はできない。
ウォール・ユリア。
それは、領の防御力を底上げするための壁。
……前世の記憶を取り戻し、なんやかんやと動いて僕の提案がほぼ丸呑みされるようになった最初の1年で思いついた公共事業の大半を終えちゃったデュクロワ領。
せっかく改善された治安を悪化させるのは困るからってことで体力が余ってる人には肉体労働を続けてもらおうって考えた結果、ついでで始めたらなんか壮大になってきちゃった、領全体を緩やかに囲む防壁だ。
この世界が僕の前世から変な電波を受信しているのか、その前世で見覚えのある壁よりは相当低くとも印象は似たようなもの。
まぁモンスターの襲撃を防ぐためには高いに越したことはないし、一応低く作ってから少しずつかさ上げする形にしてるから問題はないけども。
というかぶっちゃけ「完成することのない無駄な公共事業」として某前世の某大陸の某長城をイメージして伝えたのに、なんか異様に盛り上がった結果でウォールなんとかな方の電波を純真してるし、ダンジョンを攻略しての資源までを投入して着々と完成度は2割と、およそ1年で1割ペースでできあがっているらしい。
これ、僕が学園に入る原作開始時間軸突入時、ジュリオン様の領地が万全な壁に覆われることになるんじゃ?
ジュリオン様として暴走した僕を主人公くんが討伐しにきても、領内に入れないとかいうバグが発生することになるんじゃ?
………………………………。
……単純に一般市民の被害も軽減できるし、僕が居なくなったあとでも役には立つから……僕が世界を滅ぼすルートに入って主人公くんに討伐されるまでに破壊し尽くさなければの話だけど。
バグについては……なんかこう、ジュリオン様絶対討伐させる世界の意思様がいい感じにしてくれるって願っておこう。
「『ウォール・ユリア』は、現在二重の防壁として機能しておりまして――元来よりありましたそれぞれの町を取り囲むものも含めますと、三重の防御を成しております。近年活発な魔王軍への備えとして充分でございますね」
「はぇー」
「はぇー」
アメリア&エミリーちゃんはいつ見ても癒やされるペア。
ついでで2人に抱きしめられているルーシーちゃんもお口を開けていて非常にかわいらしい。
まぁこの壁は領の端っこにある方のだし、3人は見たことないからね。
普段は屋敷の中か町へ行く程度な子供が地平線を多う建築物を目にしたらこうもなるよね。
「領内のダンジョンも過半の攻略は完了していますし、残りのものもユリア様が攻略される予定でございます。……手の届く範囲内の全ての民が安寧を享受できる日も近いかと」
そんな説明を朗々と語るのは、自分がやったことでもないのに自慢げなベルトラン。
おじいちゃんなはずなのにおじさんなくらいまで溌剌としているね。
「……話には聞いていたけれど……さすがはユリアね。これも『義母様のお告げ』かしら?」
「そういうことにしておいてください」
母さんのお告げ。
僕が3年前から奇行をするようになってから、僕のすることはすべてそうだと解釈されている。
――これくらいの役得っていうか楽に説明できる手段がなかったら、きっとここまでうまくは行っていなかっただろう。
そう思えば、今世の実母の数々の奇行には感謝しておかないとね。