悪役貴族転生【女装】悪役令嬢ルート~99通りで断罪される悪役に転生して女装したら死亡フラグが無くなる代わりに周囲の目が怖くなってくんだけど?~   作:あずももも

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8話 ベルトランさんはぽんこつじいさん2

 

「はっ……! この老いぼれが、思わず感激の涙を流してしまうほどに……!」

 

うぇ、涙と鼻水がえらいことに。

 

もー、おじいちゃんったらー……ん?

お、ちょうどいいもんがポケットの中に。

 

「……ベルトラン。このハンカチを使え」

 

「なんと!? その気配りの届きようは、まさに亡き母君の……!」

「あ、私のハンカチ……まぁいいや、ジュリオンさまですし」

 

うーん、エミリーちゃんの天然に感謝。

 

なんかスカートと上着のポケットにいろいろなアイテムが――明らかなゴミとかどんぐり(良い形)とか石ころ(良い色)とか謎の草(草臭い)まであるけども――あったから差し出すと、さらに高まるおじいちゃんの耄碌っぷり。

 

あの、僕、ジュリオン様だからね?

そこまで期待とかしないで?

 

ほら、レベリングが追いつかなかったり、実はやっぱり才能なかったり、ルート選択ミスったり、僕の鍛え方に比例して主人公も実は強くなります仕様でゲーム開始後即敗北即死亡orメス堕ちとかあり得るからね?

 

あと、前世である僕の意識がいつまで残るか分からないからね?

明日になったらやっぱ戻りましたとかあり得るからね?

 

「……お見苦しいところを。では、『初級ダンジョンを単独踏破できる程度』の実力を私めが」

 

「ああ、頼む」

 

そうそう、『初級ダンジョンにチャレンジできる程度』の基礎的なノウハウをね。

 

初心者同士の臨時パーティーで、なんとかお荷物にならない程度にね?

 

ほら、ゲームとは違ってここは現実で、だからたとえジュリオン様ボディが最初から高スペック高出力だったとしても、現段階ではただのお坊ちゃまボディ。

 

レベルアップごとに増えていく数値も、レベル1だとメインヒロインどころか主人公でもほぼモブたちと同じ=今の僕はよわよわってことだし……しかも7歳児だし。

 

とりあえずで最弱のモンスターたちとやり合えるお墨付きさえもらえば、あとはダンジョンでの戦いとか罠とか冒険者どうしてのあれこれとか「これだけ知っててできれば自力でなんとかなる」程度を教われたら嬉しいんだ。

 

相手は元とはいえ2年前まで騎士団長、それも国王直属のだ……きっと教える方だけでも心強いはず。

 

2年間土いじりだけで多少ぼけてても、まぁなんとかなるだろう。

師匠ポジのじいさんとかはそんなもんだから大丈夫なはずだ。

 

「しかし……そのお召し物で?」

 

「ああ。当面はこの姿で活動する予定だ」

 

じゃないと、世界に「メス堕ちしてますよ」って喧伝できないからね。

 

「……!! 成る程……!」

 

なにが?

 

「銀の髪に紅の瞳は王家の血の証……そして紫の髪はデュクロワ家の象徴。ダンジョン踏破で名を馳せ注目が集まるまで少女のお姿となられ、母君の血を濃く受け継ぐジュリオン様だと発覚するのを少しでも遅らせる計画ですな……!」

 

「ほへー?」

 

ほへー?

 

なんだろうねー?

 

僕もわかんないやー。

 

「……そういうことだ。このことは可能な限り秘密で頼む」

「『そういうこと』――勿論でございまする」

 

僕の本音はエミリーちゃんに代弁してもらい、口ではそれっぽいことを言っておく。

 

メインキャラ――大半の貴族に才能のある平民、もちろんほとんどが主人公の攻略キャラとしての美少女だ――や、打ち倒した後のスチル、死亡時とメス堕ち時の1枚絵の数でそのヒロインたちをも圧倒するジュリオン様の見た目は、モブであるその他のキャラとはまるで違う。

 

現にこの屋敷の中でも、貴族である僕たちやエミリーちゃん、スポット出演するイケジジイ(今は耄碌してる)のベルトランさんは別格の見た目。

 

あ、あと何人かのメイドさんはモブでありながらイベントスチル――1枚絵に写るだけあって美人さんだね――まぁ角度次第で目が隠れるほどに前髪長いけど。

 

ああ、作画コスト。

 

この世界の格差ってば残酷だね。

 

で、これがこの世界そのものに適用されているのなら――町に出たとき、一目で「あ、お貴族様だ。んであの目と髪の色は……」で、僕の出自が即バレしてしまう。

 

なら女装で――少なくとも学園で本格的に社交デビューするまでは、ボケ爺さんの言う通り、性別を偽装するだけでもちょっとはマシなのかもな。

 

貴族のぼんぼんが女装するだなんて、普通は想像すらしない。

 

いや、そもそもこの世界の宗教的に女装や男装――異性装は基本的にアウトだから、平民ですら滅多にしないはず。

 

だから「女装してる」って想定で見られることは、僕がミスらない限りはまずあり得ない。

 

母さんの嫁いできた王家の血――銀髪は、かなりの貴族に含まれている。

あと、普通に貴族がお手つきした平民の子供にも発現したりする。

 

だから、とりあえず女装しといて「女装してます」って言わなきゃ、少なくともうちの領内で「あ、ジュリオン様だ」とはならず「薄いかもしれないけど王家の血を引いてそうな少女」として見られる……んじゃないかなぁ。

 

あ、でもベースの銀髪は。

 

………………………………。

 

……灰でもかぶるか?

 

白髪なら、まぁ平民でも居るって設定だったはずだし……。

 

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