悪役貴族転生【女装】悪役令嬢ルート~99通りで断罪される悪役に転生して女装したら死亡フラグが無くなる代わりに周囲の目が怖くなってくんだけど?~   作:あずももも

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19話 魔王ジュリオン様の右腕エロディーさん(サキュバス)2

 

「……貴女たちはもう良いわぁ。魔物たちを量産する糧として大切に使ってあげるからそのへんに居なさぁい。……さぁ貴女? こちらへ来なさい? 大切に、大切に愛でてあげるわぁ……貴女だけは壊さずに、大切に大切に……」

 

お願いします!

 

……って言いたいけど、残念ながらこの体には目覚めた相棒が不在なんだよなぁ……異世界転移で男のままならまず間違いなく手を取るのに、子供過ぎてぴくりともしないよちくしょう。

 

サキュバス魔族お姉さんに飼われる願望はあるけども、それやっちゃうとジュリオン様じゃないからNG――いや、メス堕ちこそジュリオン様だけども、せめてどのルートでもダメそうなときで検討すべき選択肢だからやっぱダメだわ。

 

「……! ……に、逃げてくださいまし!」

「こ、ここはわたくしたちが食い止めます!」

「早く! 早くギルドへ……!」

「せめて、貴女だけでも無事で……!」

 

ターゲットは完全に僕へ移り、彼女たちはもはや視界外。

 

……なのに、距離的に逃げ切れる僕――と思っているだろう彼女たちは、ここでノブレスオブリージュでも発揮したのか、わざわざエロディーさんの前に飛び出して臨戦態勢。

 

完全に犠牲になる覚悟決めちゃっているらしい。

 

「………………………………」

 

あー。

 

あ――。

 

これは――ダメだ。

 

この子たちを見捨てる選択肢は最初から無かったけど――これはもう、傷ひとつ着けずにお家に帰さないと気が済まなくなった。

 

そうだよね、この子たちも生きている人間――女の子なんだ。

それを、同じ世界に生きる人間で――男が、見捨てられるはずないだろう?

 

……や、女装してるけどね……男らしさの欠片もないけどね……あとジュリオン様だけどね……。

 

「……この人たちを、開放しなさい。それなら、ぼ――私を好きにすれば良い」

 

ざっ、と前に出て――ばさりとフードを取る。

 

「……!?」

「きゅんっ……!?」

「か、かわいい……いえ、お美しい……!?」

 

「――――――――あらあ……♥」

 

うん。

 

ここは、エロディーさんの注意を引く。

そのためにこのママン譲りの美形を晒し、さらに「私」で通す。

 

「――如何なる状況であろうとも、身分が下の者を守るが我らの義務」

 

おろ?

 

お口が勝手に動いた?

 

………………………………。

 

……あー、ジュリオン様の英才教育がにじみ出ちゃったかー。

 

まぁ良い感じに言えたから良いや。

 

「私たちと、同じくらいの……!?」

「銀に紫……まさか、王族からの――」

 

あ、さすがに貴族の子女だからそのへんは分かるのね。

 

……ますますこの子たちを守らなきゃいけなくなっちゃったな。

 

この子たちを、無傷、かつ、いたずらされずに帰して――で、それからお口チャックを約束させないとね。

 

「……ほう……この田舎娘共とは比較にならぬ娘……良いでしょう。貴女1人の方が嬉しいわ」

 

お、乗ってきた……ちょろいね、エロい人。

 

「まだ万全ではないから貴女が如何ほどの魔力を秘めているかは分からないけど……そうねぇ。何年か存分に愛でて育て、私色に染めてあげて……見事花開いたら――将来の魔王様への捧げ物として……」

 

あ、ごめんなさい、その魔王様、このジュリオン様です。

 

……あれ?

 

ていうかこのエロディーさん……もしやジュリオン様の力、まったく分かってない?

 

ぽんこつなパターンのエロディーさん?

 

………………………………。

 

あれ?

 

これ――あのエビルジャッジメント、ぶっ放したら……?

 

「……貴女たちは、さっさと逃げなさい」

 

なんかちょっと言ってみたかったセリフを言う。

 

端から見たら自己犠牲の塊だけど大丈夫、僕はジュリオン様だから。

仮に負けてもエロディーさんにえっちなことされるだけだから。

 

「そ、そんな……!」

「でも……!」

 

恍惚とした表情でまだ見ぬ魔王様(ジュリオン様)(僕)から褒めてもらうことを妄想している魔族を警戒しつつも、僕(王族の血を引いてるくさい少女)(女装少年とは知らない)への申し訳なさからか、撤退する決意ができないらしい子たち。

 

……うん、このへんはアクの強いメインヒロインたちでは味わえない普通さだよね。

 

素朴っていいよね。

モブ子っていいよね。

 

「……私は、大丈夫。それより、ギルドへ……魔族を倒せる戦力を」

「しかし、それでは……!」

 

「――貴族としての責務。貴女たちは私の下なのですから、さっさとお行きなさい」

 

「……――っ、分かりましたわ……!」

「ごめん、なさい」

「待っててくださいまし! 必ずすぐに……!」

 

お、けれどもさすがはダンジョンもモンスターも魔族も将来の魔王も存在する世界の貴族の娘さんたちだ、思い切りはしっかりとあったらしい。

 

僕を通り越して駆けていく彼女たち、そして妄想の世界から戻ってこないエロいお姉さんもといエロディーさん。

 

――目撃者は不在、本来よりも相当弱体化してる敵が1体。

 

僕の体には使ってない魔力が豊富、つい数時間前に必殺技の発動を感覚でできるのを確認済み。

 

……あれ?

 

これ、行けちゃう?

 

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