悪役貴族転生【女装】悪役令嬢ルート~99通りで断罪される悪役に転生して女装したら死亡フラグが無くなる代わりに周囲の目が怖くなってくんだけど?~   作:あずももも

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20話 魔王の右腕(種族:サキュバス)を倒した

「………………………………」

 

すちゃっ。

 

僕は、剣を構える。

 

「ええ、そうですわぁ魔王様……この数年でしかと、娼館で学び尽くしました床の技術を余すことなく……ですから、そのぉ……」

 

イマジナリー魔王様(僕)とお話ししてる彼女へ――僕は、剣を振り上げる。

 

「……彼女でご満足いただけましたら、どうか、どうか私に……」

 

「……えびる」

 

極小の掛け声で――けれども魔力は限界まで込めながら――

 

「……あん、そんな! まだ湯浴みも――――――――は?」

 

「――ジャッジメント」

 

ごうっ。

 

一瞬で膨大な魔力が彼女へ押し寄せる。

 

「――何この魔力は――――まさか、魔王――――様――――――……」

 

 

 

 

「ふぅ……」

 

僕は、今日来たばかりの初心者ダンジョン、その何階層かから――天井にぽっかりと空いたお空を見上げている。

 

「……初日から、やっちゃったなぁ……」

 

体にみなぎる――「レベルアップ」の感覚。

 

それも、1とか2とかちんけな量じゃなく。

 

「……魔力も……余計にプールされちゃってるなぁ……」

 

――ゲームでは、レベルアップでHPとMPが全快する仕様で。

 

複数回のレベルアップを――新規加入キャラのパワーレベリングとかでするとHPは最大値になるだけだけど――MPだけは「バーを突き抜けて回復するバグ」がある。

 

ユーザーに有利ではあってもメインシナリオでほんのちょっぴり有利になることがある程度だからか、結局修正されなかった「仕様」。

 

このおかげで――うん。

 

「……この必殺技何回分くらいプールされたっぽいし……実質的に、僕、得しただけ……?」

 

………………………………。

 

「……今日は帰ろっと……ちょっとイベント起き過ぎたし……」

 

……普通なはじめてのだんじょんにならなくて、ちょっぴり残念だけど、それでも将来の特大爆弾を爆破処理できた爽快感で、僕は機嫌が良かった。

 

……けど、次はちゃんと普通のダンジョン攻略しよっと。

 

 

 

 

――その数時間の後。

 

ジュリオンもとい「ユリア」がこっそり抜け出したダンジョンへ、上級冒険者数名に手練れの兵士百数十名を含む――初心者ダンジョンに対するものとしてはありえない規模の大軍勢が到着した。

 

日は陰り、空気は凪ぎ、動物は息を潜め、人々は固唾を呑む。

 

そのような黄昏の郊外――魔族の出現とあって厳戒態勢の元に、この町の最大戦力がすべて注がれる大作戦が発動。

 

夜には近隣の町からも応援が駆けつけ、聞くところによると「現在当主及び次期当主が不在ながらも、非常時のための最大戦力が貸し出される」という情報もあるほどだ。

 

人類の脅威に対する決死の――そして、身を挺してその情報を届け、冒険者仲間の少女たちを救った「少女」の無事を祈りつつの奪還作戦。

 

そして「魔王」――近い未来に復活するであろう存在の名を口にしていたという、恐らくは上級魔族だろう存在に関する情報。

 

しかも、上層部だけの極秘事項として――受付嬢からの「恐らくは貴族令嬢、それも銀の髪」という情報もあるため、上の立場になるほどにもうひとつの意味でも緊張感は否が応でもましており。

 

――人々は、全滅も覚悟で――けれども、自分たちの町を守るために突撃する。

 

ダンジョンの前では、祈りを捧げる少女たちの姿もあり――大音声の掛け声とともに、今、洞窟のような小さな空間へ、いざ――――――――――――――。

 

 

 

 

「「………………………………」」

 

しかし――その数十分後。

 

「「……なんだこれ……」」

 

――恐らくは魔族が放ったであろう、高位の魔法により外壁まで貫通している床。

 

ダンジョンの内壁どころか外壁までを破壊されており――想像上の存在としか考えられていない「極大魔法」でも行使しなければ不可能な事象が確認され。

 

後の調査によると闇魔法――魔族が得意とする魔法が使用された形跡があり。

 

ために、そこではまるで「魔王と勇者の決戦」に近い規模の死闘があったと結論づけられ。

 

そして、

 

「「……なぁにこれぇ……」」

 

――魔族と思しき残骸が、わずかに残っており。

 

それは――歴戦の兵士により、高位の魔族であること、かつ――その魔族は確実に葬られたであろう事実が、告げられ。

 

「「……どこぉ……?」」

 

しかしながらその存在を打ち倒した――あるいは相打ちになったはずの「少女」の姿も遺留品もなく。

 

日が昇るまで、ダンジョンの隅々まで……あとついでに隠し部屋が10近く発見されてちょっとした騒ぎになるほどに徹底した調査が行われた。

 

――一方でその「少女」は、そのころ。

 

「なんか騒々しいな」とか思いつつ、その日に獲得した魔石をいくらか交換して――なぜか朝に会った美人の受付嬢が居なかったから別の相手に――ほくほく顔で堂々とギルドを後にし。

 

初めての宿屋を見て回り、値段交渉を楽しみ、夕食を求めて食べ歩き、酒を購入し、呑んでほくほくし――それはそれは楽しい時間を過ごしていた。

 

 

【END/No.87:エロディー「魔王様……私が、お護りします。散り散りになった貴方様の魂をかき集め――魔界の奥深くで、いつまでも」――回避】

 

 

◆◆◆

 

 

??「人助けをして報告をせずに帰宅? 別に普通のことじゃ? だってめんどくさいし」

?????「んむ」

???「あ、ちょうちょ」

 

 

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