悪役貴族転生【女装】悪役令嬢ルート~99通りで断罪される悪役に転生して女装したら死亡フラグが無くなる代わりに周囲の目が怖くなってくんだけど?~   作:あずももも

41 / 148
24話 モブ子ズは良い子たち

「……分かりました。謝礼は後日受け取りましょう」

 

この見た目――いや、ギルドの応接室――しかもすっごく良い調度品とかあるから、これたぶん貴族とかおもてなしする用の場所だし。

 

さすがにこんな場でフード被ってるわけには行かないからフルオープンで――だから美人受付嬢さんを始め、何人もの職員さんたちに「何%かはともかく、僕が高位貴族の血を引いてる」ってのは確定で知られちゃったんだけどね。

 

銀に紫の肩まで下ろした髪、赤い目、整いすぎている顔。

 

服はエミリーちゃんの町用の普段着だけども、あの子も一応は貴族令嬢だ、きっと仕立ては良いもののはず――言葉ひとつや服装の装飾ひとつで身分を表したりするのが貴族だ、貴族相手に慣れている人ならなんとなく察しはつくはず。

 

だけど、それ以上の情報は不明――だと思う。

 

大丈夫、この世界なら王族その他のお貴族様のお手つきでのハーフとかクォーターとかわんさかと居るし、まだ大丈夫。

 

なにしろ魔力さえ発現すれば、少なくとも冒険者として中の上以上の生活が期待できるんだ。

 

むしろ貴族の男がひとりでうろついたら、目をらんらんと輝かせた淑女たちにそのへんに引っ張り込まれて――とかあるってあのおじいちゃんが言ってた。

 

大丈夫?

 

その知識、妄想してたのがボケたことで定着したとかじゃない?

 

あるいはこの世界を舞台にしたゲームな前世の祭典とかの情報が流れてきてたりしない?

 

ほら、前世のSF的な展開だとよくあったりするじゃん?

 

「上位世界は下位世界を観測できるから、上位世界の中での物語として下位世界が取り込まれることがある」って。

 

――さて。

 

今朝ここに来るまではふわっとしか決めていなかったけども、こうなったからには「それなりに良さそうな貴族のお嬢様」をやるしかない。

 

昨日の受付嬢さんにしか知られていなかったはずの、この銀髪が――ギルドの上層部と思しき人たち&下位貴族モブ子ズに見られちゃったからね。

 

さすがにこの子たちみたいに「ですわ」「ですの」「ですわよ!」とかは無理だけど、普通に社会人としての常識的な範囲の落ち着きと丁寧さで押し通そう。

 

そもそもが7歳児だ、落ち着いてるだけでそれなりには見られるはずだし。

 

え?

 

ジュリオン様の、全てを下に見たあの口調?

 

あれは……うん、使用人さんたち身分の差が歴然、かつ多少は畏怖を持ってもらわないと反乱とか裏切りとか怖い人たち相手限定だから……。

 

……1番怖いのが実家とかなぁ……ほら、あの人たち、なんか怖いし……あ、エミリーちゃんとアメリアちゃんは除くけどね。

 

「その他にもなんなりと――命の対価に見合う要求を」

「わたくしたち、貧乏ではあっても貴族の家柄」

「何をしてでも、可能な限りの伝手を」

 

うーん……しかし重い。

 

いやまぁあのエロディーさんのしようとしてたことを聞いちゃってるからしょうがないんだけどね……てかほんとなんであんな場所に魔王ルートの超重要人物が……?

 

まぁ復活を10年ミスったぽんこつさんだし……あ、これ、もしかして魔王ジュリオン様ルート外れる条件だったりする?

 

だったらいいなぁ。

検証不可能すぎるイレギュラーだけど。

 

「……ええと、その前に、ひとつ良いでしょうか。そもそもあれは――」

 

とと、そもそもなんであのエロディーさんはあんなとこで出現した?

 

それだけは聞いておきたい。

 

「……? あの魔族でございますか?」

 

「ええ……確か、なにかの罠をわたくしが踏んづけてしまいまして……」

「かちっと言いましたわ!」

「転移魔法の罠、だったと思うのですが……」

 

ふーむ。

 

確率は低いけども、ひとまずその罠でどっかで眠ってて復活しようとしてたあのえっちサキュバス(薄い本常連)が本当に偶然で、この子たちの前に出ちゃったってわけか。

 

確かに転移魔法の罠――召喚陣で別の場所に自分orモンスターが転移するのはゲームでもあったし、おかしくはない……のか?

 

それにしても初心者ダンジョン、しかも階層も低いところで……災難な。

 

そのLUK値の低さ――まさにイベントを起こすため&犠牲になる担当のモブキャラだね。

 

や、僕としては生きて話している目の前の子たちをそうは思いたくないけど、世界の設定的にね……。

 

ちなみにあのエミリーちゃんのLUK値は堂々のマイナス、全キャラ中ぶっちぎり。

 

……うん、スキルの副作用だから……主人公くんにいずれ取り払ってもらって反転するから……。

 

「けれど……あの凶悪な魔族をも一撃で屠る魔法など……」

 

「しっ! ……申し訳ございません、恩人の方に詮索を」

「大変失礼しましたわ。処分は如何様に……はい、寛大さに感謝を」

 

お、やっぱこの子たち良い子だ。

あと普通に気配りとかもう中学生並み。

 

すごいね。

これが厳しい世界で育った7歳児だぞ?

 

やっぱり厳しい世界だと子供からして精神年齢が高いんだなぁ……それこそ、覚えていないながらも前世の精神年齢を引き継いでるはずの、転生チートなはずの僕でも押されるくらいには。

 

――そうだ、ここはリアルな世界なんだ。

 

僕は、この世界で――この世界ごとうっかり滅ぼされないよう、まずは僕自身を10年間生き延びさせないといけない。

 

うん。

 

今後はダンジョンとか潜るときも、お試しとかでもソロはやめておこう。

臨時パーティーでも護衛着けてでもいいから。

 

ちょっと窮屈にはなるけども、命には代えられないもんね。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。