悪役貴族転生【女装】悪役令嬢ルート~99通りで断罪される悪役に転生して女装したら死亡フラグが無くなる代わりに周囲の目が怖くなってくんだけど?~   作:あずももも

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39話 オートメス堕ちフラグ立て、それとも悪役令嬢フラグの加速

ギルドの出口にて。

 

「ほ、ほんとうに今日はありがとうございましたっ……!」

「ええ、ルーシーもがんばりましたね」

 

おつかいのおひねりでもらった籠に現物支給品を詰めた彼が、ぺこりと頭を下げる。

 

……まさか本当に着の身着のまま、服以外は何もない状態で「食べものは町へ行って自分でなんとかしろ」って言われてほっぽり出されたとか。

 

追放ものでもそうそうないレベルの追放されっぷりだよね。

 

まるで、ゲーム内でさらっと「農家な実家を長男が継ぐから」って理由で追放されたって言ってた主人公くんだ。

 

おかげでヒロインたちとか善性なキャラとかからの初期好感度が高いって設定があったりしたっけ。

 

「で、では僕はこれで……」

 

そして彼は、いそいそと僕に背を向け――――

 

「――どこに行くのですか」

 

「ど、どこって……」

 

――そのまま出ていこうとするの――止める。

 

悪いね。

 

僕っていう悪役貴族に目をつけられた以上、君には自由の選択肢がないんだ。

 

こんな僕だって悪役貴族ではあるけども、行動基準は前世の――どうあがいても善性に傾くしかない社会で生まれ育った一般庶民なんだ。

 

「僕が泊まっている宿は個室ですので……朝食をつける金額だけ追加で払えば泊まれるはずです。泊まりなさい」

 

「ふぇっ!? い、いや、でも、ぼくなんかが一緒なんてっ」

 

「ルーシー? 僕と一緒は嫌ですか?」

「い、いやとか! そういう問題じゃっ!?」

 

真っ赤な顔になっている、いたいけな少年。

 

……その顔を見ていたら、なぜか嗜虐がこみ上げる。

 

「――くすっ。夜中、僕に何か……するつもりなのですか?」

 

「ふぇっ!?」

 

ふむ。

 

――僕たち貴族は、こんな中世の世界でも……まるで現代みたいな暮らしをしている。

 

家族はそれぞれの個室があって、プライバシーっていうものが確保されている。

 

けども――前世の知識からすると、農民とかは基本的に家族、下手をすると親戚も含めて10人単位でひとつの――仕切りのない空間で生活することになる。

 

そして、農民は子沢山。

 

つまりは……うん、そういうのを見聞きするのも、農民や平民の方が、ずっと早い。

 

そして兄弟が多いってことは、そういう知識も上から早く教わるもの。

 

たぶん貴族は年頃になってから「そういう作法」として――お勉強として家庭教師から教わるだろうことも、この子たちは子供のころから知っている。

 

なによりも、忙しいけども娯楽はいっぱいある貴族よりも娯楽なんてない農民、庶民の方が、そういうものへの依存は高いはず。

 

そうかなって思ったのは――見るからに真っ赤で目を回している少年を見れば、一目瞭然。

 

……7歳児くらいでこれだもんね……いや、前世換算だと6歳、小1くらいで。

 

まぁ冒険者が子供からOKって時点で子供も実質大人な扱いの世界だし、貴族はともかく平民は年頃になったらそのまま結婚とかするんだろうし――つまり、感覚としては中学生くらいってことで。

 

そんなことを考えていると――ふと、悪い気持ちがこみ上げてきて。

 

「――――――僕と、子を作るようなことをしたいのですか?」

 

「     」

 

そんなことを、口走っていた。

 

――ぞくっ。

 

謎の高揚感で、僕までどきどきしてきちゃう。

 

けど大丈夫、僕は男だから――――――じゃないじゃない!?

 

これ、完全にメス堕ちフラグ進んでるじゃん!?

なにこれ、完全に無意識に入り込んできてるメス堕ちとか怖すぎるよ!?

 

……昼間もツンデレしたりご令嬢らしく振る舞ったりしてたけど、あんなのをいきなりできるわけもないんだ。

 

………………………………。

 

僕の運命……もうメス堕ちで固定とかないよね?

 

ね?

 

「       」

 

「というのは冗談として置いておきまして。そもそも僕たちは子供ですから、そういうことがないのは分かっていますし」

 

「       」

 

こういうときは怖い系美人――じゃないじゃない、オラオラ系イケメンになることが確定しているジュリオン様フェイスの整いっぷりを使って、真顔になることで一切の恥ずかしさとかを見せずに済む。

 

「今日の稼ぎでは、大部屋での雑魚寝しかできないでしょう。手癖の悪い大人も多い場所へ、おのぼりさん丸出しの子供が居たら。……翌朝に身ぐるみ剥がれていてもおかしくありませんよ?」

 

「       」

 

昨日と一昨日で、町の物価はそれなりに調べたつもりだ。

 

つまり、宿に泊まろうにもルーシー君にはそこまで上等な場所は望めないし、彼の性格だから野宿でもしちゃうだろう。

 

――そんなのは、悪い大人や銅貨1枚=50円~100円でも欲しい孤児たちの餌でしかないもんね。

 

「――ということで、今夜は僕の部屋に泊まりなさい。まだ朝のことを引っ張って、言うことも聞いてもらいます。良いですね?」

 

「       」

 

ということで、前世の知識と今世の脳の回転力のせいで無駄にこの子の今後が分かっちゃう以上、たとえメス堕ちフラグが加速しようとも――1度でも拾っちゃった捨て子のルーシーくんを見逃すことはできない。

 

……どうせフラグと主人公くんの選択次第では断罪される悪役なんだ。

 

僕の良識の範囲内でなら……好きにしても良いよね。

 

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