悪役貴族転生【女装】悪役令嬢ルート~99通りで断罪される悪役に転生して女装したら死亡フラグが無くなる代わりに周囲の目が怖くなってくんだけど?~   作:あずももも

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3話 死亡ルート回避策――「女装ジュリオン様」2

メス堕ち。

 

男が(男に限らないけども)、心と体のどちらか、あるいは両方ともに男としての尊厳を剥奪され、女にさせられること。

 

それが、僕の唯一の勝ち筋だ。

 

「でも、それは嫌すぎる……」

 

命の対価としては――冷静な部分では「それで助かるなら」ともなるけども。

 

いや本当に、主人公やヒロイン、モブ、市民、モンスターや魔族に殺されたり吊されたり、見世物として苗床にさせられたりするバッドすぎるエンドと。

 

男としての尊厳を徹底的に破壊されながらも――少なくとも魅力的な健康を維持するために、栄養たっぷりで美貌を維持させられて生きてはいるエンドだ。

 

死ぬよりはマシではある。

本当の瀬戸際で。

 

だけども男としての本能で「いやいや死んだ方がマシだ」ともなる――ごくごくノーマルな性癖の僕としては、ぜひともに回避したい未来。

 

男としては屈辱的すぎるし――なによりも、いずれにしても僕は今世の貴族としての立場や資産をすべて失うし、その後どうなるかも不明だ。

 

今は生きてるけど将来には父親も兄も死に、血が断絶。

 

いくらかは遺されるにしても、義母と義妹の取り分は少ないはずだ。

 

だから貴族としての僕の家に雇われていた人たちも路頭に迷うし、領地だって切り分けるのに血だって流れるだろう。

 

唯一でメインヒロインであるエミリーちゃんだけは、たとえ彼女のルートでなかったとしても最後まで生存し、無事主人公くんのハーレム入りして安泰の人生を過ごすのは確実――だって、メインヒロインだから。

 

だけども、それだけ。

 

回避できるものなら回避はしたい。

 

「……それに、どうせそういう格好をさせられるのなら」

 

――なら。

 

まずは「死亡ルートには無い条件」の「生存フラグ」として、かなり可能性の高い「それ」に掛けるしか、ない。

 

運命を逆手に取った、逆転劇。

 

その起爆剤とは――。

 

 

 

 

「ジュ、ジュリオン様……」

「おお、なんと……」

「セレスティーヌ様、お許しください……」

 

「ほへぇ……ジュリオンさまぁ、かわいいですぅ」

 

「――ふむ。これが、僕……か」

 

鏡の前の姿に見惚れる程度には、絶世の美少女――美幼女が爆誕していた。

 

――紫の混じった銀の髪は、貴族のお坊ちゃまらしく肩くらいまで伸ばして結っていたのを下ろしつつ、ついでに大きなリボンで彩られ。

 

不満そうだけど、惹きつけて放さない深紅のつり目。

 

そして――着せられるのでも数分かかった――あとすっごく古いからカビ臭いけどもどこか懐かしい匂いのする――ふりっふりのロリータ衣装。

 

しかもこれは前世のなんちゃってロリではない……正真正銘の、ふりふりすぎて服が重いし動きにくいレベルのロリータだ。

 

まさに貴族のお嬢様。

 

ついでに産みの母親は王家出身でビジュアルもそのまま受け継いでいて――まさしくに「お姫様」。

 

うん、正直メインヒロインでもおかしくないビジュアルだね。

 

男だけどね。

 

こんなにかわいくても生えてるけどね。

 

うんうん、居そうだよね……悪役系統のお嬢様キャラで、こういう子。

きっと性格も話し方もキツくて、ごく一部に熱狂的な人気があるタイプの。

 

なんなら悪役令嬢で居そうだし居るはずだ。

 

……ここの僕は男だけどね。

 

女装適性高すぎるよ、ジュリオン様……来るべき未来のためかどうかは知らないし、想像もしたくないけど……。

 

「……坊ちゃま。亡きセレスティーヌ様の、幼い頃のお姿とそっくりでございます」

 

「……そうか。母上とか」

 

古巣の使用人が話しかけてきたから、それっぽく思い出に浸る。

 

母上――母さん、母親。

 

2年前。

 

ジュリオン様が5歳の時に亡くなった、ジュリオン様の産みの母親。

セレスティーヌ。

 

死んだのが物心ついてからすぐだったから、この肉体での今世の記憶にもそこまで詳しくはないけども、やはり母親が死んだというのはずっしりとくる。

 

「セレスティーヌ様さえご存命であられたら……」

「仕方のないことです……魔王軍との戦闘で……」

 

あー、そうそう。

 

確か、設定かなにかで「ジュリオンの魔王にもなれるポテンシャルと美貌は母親譲り」だとかあったっけ。

 

その母親が遠征先で亡くなったとかで、当時の僕――ジュリオンは泣きわめきながら当たり散らしていたみたいだ。

 

うん……なにしろ政治的な駆け引きの結果での無駄で無意味なしんがり――王国軍が撤退するまでの時間稼ぎやらされたっぽいからね。

 

おかげでジュリオン様は母親を守らなかった父親に強く当たるようになり、父親はそんな僕――ジュリオン様を疎むようになって家に寄りつかず。

 

んでジュリオン様自身は怒りの向ける先がなくなったから今度は使用人に……ってパターン。

 

その前はぼんやりとだけども今世の母親が家のことを仕切っていたし、ジュリオン様もただのわんぱく坊やだったはず。

 

……ていうか、元とはいえ国のお姫様を時間稼ぎで犠牲にとか。

 

いやまぁ、この世界観的に魔力が最も多いのは王族、つまりまだ30代だったはずのセレスティーヌママンはこの国でもトップクラスの戦力だっただろうから、ピンチを任せられたのは不思議ではないけども。

 

「………………………………」

 

あれ?

 

原作でジュリオン様が「ジュリオン様」たる性格になったの……そのせいじゃない?

 

え?

 

じゃあ、もしかして今、僕が真剣に悩んでるジュリオン様がジュリオン様になってジュリオン様になっちゃう件って――前世の意識が覚醒した時点、遅すぎた?

 

え?

 

もう手遅れ?

 

僕、女装してメス堕ちする以外は本当に、死ぬしかない……?

これに気づいてなかったら、油断してたところでなにかしらで死んでた?

 

すでに手遅れ?

 

いやいや。

いやいやいや……。

 

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