悪役貴族転生【女装】悪役令嬢ルート~99通りで断罪される悪役に転生して女装したら死亡フラグが無くなる代わりに周囲の目が怖くなってくんだけど?~   作:あずももも

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4話 母さんの亡霊は女装した僕1

「――ひぃっ!? セレスティーヌ様!?」

「お願いしますお願いしますどうかお許しをお屋敷の手入れに不備がございませんよう……!」

 

「………………………………」

 

「セレスティーヌ様の……セレスティーヌ様の亡霊が……!」

「ああ、我らが腑抜けていたから……!」

「そうです、あの御方が存在しなくなるなどあり得なかったのです……!」

 

「………………………………」

 

「只お一人で魔王軍を退けた程度でお命を失うことになるだなんて、信じておりませんでしたセレスティーヌ様……」

「ああ、セレスティーヌ様が還ってこられた! これでこの領地……いや、王国、人類は安泰だ!!」

 

「軟弱にもほどがある王国直属兵たちを助けるためにとしんがりを引き受けられた、慈悲深きセレスティーヌ様が、数年の時を経て蘇られた……!」

 

「漸く、あのクソ王――親父殿に一矢報いられますな姫様!」

 

「最後まで旦那様とのご結婚に反対されていたあの盆く――失礼、口ばかり出して来た無の――ご実家を焼けますな! 何時でもご助力致します!」

 

「お、おう……? なにかあったら、頼むぞ……?」

 

そんな感じ。

ドン引きな感じ。

 

過去世に目覚めた僕が、この世界そっくりなゲームにて、生存エンドで必ず身につけていた女性用の服装――母さんの幼い頃の服に袖を通し。

 

この世界にあるかもしれない死亡フラグさんに「ほらほら僕はもうすでにメス堕ちEND迎えてますよ」って錯覚させ、無事生存ルートに入っ――てたらいいなと思いつつ。

 

どうせだからって屋敷を練り歩いてた僕(+周りをちょろっちょろちょろちょろ真横→前→後ろ→真横のループなエミリーちゃんはぴょこぴょこしてるポニテがかわいいね)。

 

……その前でことごとくにひれ伏しむせび泣き髪をかきむしり、見たこともない顔をしていた使用人たち。

 

つまりはほぼ全員が発狂している。

その発していた言葉の一部抜粋がこれだ。

 

大丈夫、これでもまだ聞き取れて理解できる範囲のだから。

 

なんかもっとやばいこととか叫んでたのとかは、無事僕の意識がカットしてくれた。

 

聞いてない、クーデター計画とか聞いてないからね。

 

さりげなく母さん没後から牙剥いてたとか知ーらない。

屋敷から地下トンネルで軍事基地あるとか知ーらない。

 

……え?

 

これ、どう考えても大丈夫なんてものじゃない?

 

うん、そうだねぇ……。

 

だから、僕はがんばった。

 

僕、ジュリオン様、母さん、違う。

蘇り、違う、女装、思いつき。

 

あとついでにジュリオン様……過去世に目覚めた……とは言えないから、なんか母の声が聞こえた気がするだけなんだ。

 

だから母さんの遺品を着てるのを見てからの反応がどう聞いてもパパンを殺すor王国を殺すって究極の選択肢にしないでね?

 

――って説明すると、一様にスンッとなり。

 

「……成る程、そういうことでしたか」

 

なにが「なるほど」なんだろうね?

 

「これまでの癇癪にも既視感しかありませんでしたが」

「やはり、母君の血と魂をすべて受け継いで居られた……!」

 

ママン、おもしれーけどやべー女だった。

 

「兄君はあまりにも平凡――こほん、少々お行儀が良すぎる御方ですからな。やはりセレスティーヌ様の血を引かれるご子息はこうでなくては!」

 

兄さんが盛大にdisられてるね。

 

「お怒りになる対象は、すべて屋敷の手入れが怠っているだとか言葉が足りないだとか……ああ、つい先日のように思い出されるセレスティーヌ様の幼き頃の高潔な精神! 己の職務を遂行せよという激励のお言葉!」

 

そうかなぁ……?

 

「その的確な指示のおかげで、王国の財政がなんと20%近くも向上したとか……!」

 

え、すごくない?

 

「セレスティーヌ様――いえ、ジュリオン様……我ら使用人、より一層に……!」

 

冷静にはなったものの、やっぱりちょっとおかしいっていうか焦点の合わない目で僕の斜め後方を拝んでるっていうか。

 

あと知りたいないことばっか知らせてきたね。

 

ああ……そういや現代享年成人男性な僕がゲームの世界っぽいとこに輪廻転生したくらいだ、ジュリオン様ママンが亡霊で復活してもおかしくはないよねぇ……。

 

実際、魔王だって設定上ははるか昔に討伐されて死んだのが、魔族の手引きで復活したって形だし。

 

なお低くない確率で、その魔王様に僕が選ばれるんだけど。

 

けど……え?

 

僕は振り向いてみる。

 

「あー、ジュリオンさまぁダメですぅー、髪の毛梳かしてるんですからぁー」

 

そこにはぷりぷりと怒っている、緑髪のかわいいメイドしかいなかった。

 

けど……え、見えないけど僕の真後ろにママン立ってるの?

 

仁王立ちなの?

 

ホラーママンなの?

 

いや、息子の後ろで監視する母親とかちょっと……。

 

そういうの、今どきはNGだからね……ほら、今どきはそういうのも虐待ってなるからね……?

 

「ジュリオン様!」

「どうか……どうか、同志への招集を!!」

 

そういうのは後(時期未定)でね。

 

「……とにかくこんな格好だが、僕はジュリオンだ……母上の末息子として……いや本当、こんな格好しておいてなんだけど頼む……あと、なにかするなら事前に知らせろ……」

 

こんな感じで「楽にしててね、いや本当に」って言い含めつつ離脱してひと息なの。

 

――けども、ママン。

ジュリオン様ママン。

 

貴女、一体どういう人だったんですか?

 

なんか貴女が連れてきた使用人たちもパパンの家の使用人たちも、みーんなおんなじ反応しかしないんですけど?

 

いや、今朝までの扱いよりはまだマシだけど、それにしてもさぁ……。

 

困った。

 

悲報、実母がやべー女ムーブしてた。

 

んで僕も、そんな実母のやべー成分受け継いだ認定された。

 

もうやだ。

 

「ほぇぇ、セレスティーヌさまってそんなに怖い方だったんですねぇ。私、小さいころにお膝に乗せてもらってなでなでされた記憶しかないですぅ。ほぇぇぇ……」

 

そんな使用人たち――母さんの実家、王家から来た使用人たちが、母さんの小さいころの服を着て女装した僕を見て発狂とも言える反応をするのを見てぽやんと発したエミリーちゃんのセリフ。

 

ああ、エミリーちゃん……君はいつまでもそのままで居て……いやほんと、この予想外の状況では君だけが癒やしなんだ。

 

天然は最強、天然こそ最強。

 

この子だけが僕のメンタルを支えてくれる。

 

僕の付き人だから、あと10年はがんばってね……その後は主人公くんといちゃいちゃできるからね……。

 

というか多分さ、母さん……エミリーちゃんの天然ドジをかわいく思って甘やかしてたフシあるよね……息子なジュリオン様にはそこまでの記憶はないのに。

 

まぁ母さんが死んだのが僕たちの5歳のときだし、奉公に来させられた哀れな親戚の子が3歳とか4歳児で天然だったら、そりゃあかわいいわ。

 

天然でも人なつこいし普通に可愛いしちょろちょろくっついてくるし……なんならジュリオン様よりお気にだったりしてませんでした?

 

僕ならそうします、確実に。

 

ドジっ子スキルのせいでの壊滅的なドジさえなくなれば、本当にかわいいからなぁ……伊達にメインヒロインの中でもトップ層の人気ではないのがエミリーちゃんだから。

 

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