仮面ライダー×仮面ライダー トラベラーズヒーローズ   作:地水

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※ちゅういじこう※
 この作品は仮面ライダーシリーズの二次創作であり、公式とは関係ありません。
物語の展開の都合上オリキャラが出てきますのでご注意ください。

仮面ライダーダブルやオーズといったライダーをメインとしたクロスオーバー作品。かつてのライダーゲーム作品『仮面ライダー バトライドウォー』シリーズや『仮面ライダー トラベラーズ戦記』などをオマージュした内容が多大に含まれています。苦手な方はブラウザバックしてくださいませ。


プロローグ:爬虫類と異国ともう一人の戦士

 欲望。

それは、人々の生きる糧となる無限のエネルギー。

食物も、器物も、家も、建物も、街も、国も。

全て人の"欲しい"という思いからできた欲望の塊。

 

 

赤ん坊が生まれたとき、"欲しい"と言って泣く。

生きるとは、"欲する"こと。

その最大にして最強の力から生まれた生きた塊を人は『コアメダル』と呼んだ。

そのコアメダルを最大に集めたとき、生まれるのは『∞《無限大》』。

さらに、それすらも凌駕する存在が……。

 

 

――――『OOO(オーズ)』。

 

 

 

 

【タカ! トラ! バッタ!】

 

 

 

【タ・ト・バ! タトバ・タ・ト・バ!】

 

 

 

「セイヤァァァァ!!」

 

 

 

歌のような電子音声と共に、青い上空から降り立つのは一人の仮面の戦士。

鷹の意匠が入った緑の複眼を持つ赤い頭部、虎の爪を宿した黄色の腕、飛蝗の脚を模した緑の脚。

胸の紋章・オーラングサークルにはタカ・トラ・バッタの紋様が刻まれており、腰部には三枚のメダルが入ったバックルのベルト・オーズドライバーが備え付けられていた。

 

――――その名は『仮面ライダーオーズ』。

 

彼はとある国のとある街中の広場の中、獲物へ襲い掛かる虎のような構えを取りながら、目の前に立つ敵へと走って行った。

 

「ハァ!」

 

『グゥ!?』

 

オーズの繰り出した素早い蹴りとパンチによって、彼の目の前に立っている敵はダメージを追った。

その姿は橙色を基調とした爬虫類のような怪人であり、顔は人のような顔をしている一方で、両腕はワニの顎が合わさっている様になっている。

見覚えのある特徴を見て、オーズは呟いた。

 

「お前、ヤミーか!? なんで、グリードはもういないはずなのに!」

 

『いかにも、俺はヤミー……火野映司、もといオーズ、お前に用がある!』

 

そう言いながらワニの怪人――ワニヤミーは両腕の顎を合わせ、オーズを捉えようとした。

オーズは咄嗟に両脚に力を込めて飛び退き、ワニヤミーは近くにあった投函ポストへと文字通り食らいついた。

 

『どっせぇぇい!』

 

ワニヤミーが力を籠めると、ぐしゃりと投函ポストが地面の根本から引っこ抜かれ、派手な音を立てながら歪んでしまった。

まるでワニが全身を回転させて食らいついた獲物の肉を引きちぎる"デスロール"という技によく似た光景を見て、オーズは仮面の下で冷や汗をかいた。

 

「あんなの喰らったら俺ひとたまりもないよ!?」

 

『左様、この程度でくたばってもらっては我が牙が泣くぞ!』

 

「うわぁ、こっち来たぁ!」

 

標的をポストから本来の獲物に変えたワニヤミーは再び構えながら突進し始め、それを見たオーズはバックステップで逃げていく。

一度食らいつけば体の一部が持っていかれるか、最悪上半身と下半身と泣き別れになりかねない。

どうにかして活路を見出したいオーズが周囲を見回すと、とあるものが目についた。

それは、道端にセルメダル用の自販機――ライドベンダーの姿であった。

 

「あれだ! おりゃ!」

 

『なっ、目つぶし!?』

 

オーズは腕から展開させた鉤爪・トラクローで地面をひっかき、土煙を舞い上がらせた。

突っ込んできたワニヤミーは勢いを止められず土煙をもろに被り、視界を塞がれてしまう。

無理矢理腕を振り回し、土煙を払おうとした所、そこへバイクの排気音が聞こえてくる。

 

『なんだ!?』

 

「これでもくらえぇぇぇ!」

 

やっと視界が晴れた頃に見えたのは、マシンバイクモードになったライドベンダーを駆るオーズの光景。

不味い、と思ったワニヤミーは咄嗟に腕を構え、突撃してきたライドベンダーを受け止めた。

一体何を思ってこんな行動を、とこのまま引きちぎってやろうとしたところで先程まで乗っていたオーズの姿がない事に気づく。

 

『アイツ、一体どこに!?』

 

【スキャニングチャージ!】

 

『なに!?』

 

オーズドライバーの電子音声に気づき、頭上を見上げると、そこに舞い上がっているオーズの姿が見えた。

オーズは赤、黄、緑の円のエフェクトを潜りながら、突き出した両足による一撃を叩き込む。

 

「セイヤァァァァァァ!!」

 

『ぐぉおおおおおお!?』

 

オーズの必殺キック『タトバキック』を食らい、爆発を巻き上げた。

爆炎の中からオーズが出てくると、先程までヤミーがいた所へ振り向く。

……そこには、深い傷を負って体から銀色のメダル・セルメダルを吹き出すワニヤミーの姿があった。

 

『見事なり、当世のオーズ……ゆえに、我が使命を果たす』

 

「使命だって?」

 

『エリセド公国……そこで我を生み出したグリードがいる!』

 

勝者として立つオーズにそう言い残すと、ワニヤミーの体が崩れ落ち、最後にはセルメダルの山となって消滅した。

残されたセルメダルの山に近づいて見やりながら、オーズは変身を解いた。

 

「エリセド公国……か。個人的にも気になるし、ちょっと行ってみるか」

 

そう言いながら、何処かエキゾチックな服装を身に纏うその男性――『火野映司』は呟いた。

それは9年前、かの欲望の権化『グリード』達との戦いを勝ち抜いた人物でもある。

 

 

 

無限に渦巻く欲望の国。

交わる事のない何人ものライダーが今ここに、姿を現した。

物語は、新たなる新天地にで幕を開ける。

 

 

 

 

『仮面ライダー×仮面ライダー トラベラーヒーローズ』

 

 

 

 

2021年、はるか上空。

乗客を乗せたジャンボ旅客機が飛ぶ最中、目の前に広がる雲海を一人の人物が眺めていた。

その女性・須藤芽依は、隣の席に座る青年に話しかける。

 

「うわぁぁあああ、空の上!」

 

「もう、芽依ちゃん。子供じゃないんだからさ」

 

にこやかか笑みで彼女を宥める青年の名前は、神山飛羽真。

名の売れた小説家であり、神秘の剣・火炎剣烈火に選ばれた炎の剣士『仮面ライダーセイバー』その人である。

かつては異世界・ワンダーワールドの命運をかけてメギドと戦い、死闘の果てに戦い抜いた彼は、再び小説家として執筆業に勤しんでいた。

今回は『取材旅行』のために日本から離れて海外へ旅に出たのだった。

余程嬉しいであろう海外旅行の様子を、二人のいる席から通路を挟んで向こうの席から微笑見ながら見ている人物がいた。

芽依より年上のその女性は身を乗り出しながら感謝の言葉を告げる。

 

「二人ともありがとうね。編集長の伝手でここまで来てもらって」

 

「いえ、とんでもないです知世子さん! こちらこそ誘っていただいてありがとうございます!」

 

「フフフ、こちらこそ」

 

二人の様子を見て妙齢の女性――『白石知世子』は笑って返した。

普段は料理店の店長をやっている彼女と共にいるのは、その理由は芽依の上司の知り合いである知世子の付き添いとしても日本から出て遥々外国へやってきたのだ。

そしては知世子は海外にいる"ある人物"に招待されたからだ。

 

「確か知世子さんを呼んだ比奈さんって、確か今世界で注目されているファッションデザイナーですよね?」

 

「そうよ〜芽依ちゃん。元々はアタシの店でバイトとして働いていた子なんだけどね……今じゃ世界を駆け巡る白鳥となって世界中を飛び回ってるよの」

 

「ああ、そんなに素敵なスーパースターと意外なご縁があるなんてね。凄いもんだ」

 

芽依の質問に知世子はにこやかに答え、飛羽真は手元にあるタブレットをいじってとあるネット記事を見つける。

そこに書かれていたのは『エリセド公国の首脳記念式服 日本人ファッションデザイナー・泉比奈が就任』。

ファッションデザイナーではない統人達にとってはわからぬが、どうやら国を代表する要人の記念式服のデザイナーとして大役を仰せつかったようだ。

 

本来だったら知り合いである知世子と、泉比奈の兄である『泉信吾』といった知人達が集められる予定だったが生憎日程が合わず、代わりに古くからの知り合いの伝手で飛羽真と芽依がお呼びに預かったのだ。

 

「さぁ二人とも、着いたら大忙しよ! なんたってまだ見ぬ国が目の前で広がっているんだから!」

 

「はい! 何処までもついていきますよ!」

 

「盛り上がるねぇ、二人とも!」

 

年の差も超えてはしゃぐ芽依と知世子の間に挟まれて、飛羽真はその様子を眺めていた

ふとタブレットを操作して眺めていると、一つの記事に目が留まる。

それは、『エリスド公国 新たな王が生まれるか?』という記事。

飛羽真は液晶画面に表示されたエリスド公国の名前をなぞり、少しばかり思案する。

 

 

(エリセド公国、か……確か、ドイツとフランスとスイスの間に位置する小さな小国)

 

(元々はドイツの一部だったが、先の世界大戦前後のいざこざで独立。戦後も確かな存在感で世界の諸国と渡り合ってきた)

 

(今となっては『内陸のドバイ』、なんて言われているけど……一体どんな物語が書けるんだろうな)

 

 

一抹の好奇心を抱えながら、飛羽真は期待を胸に気分が上がっていた。

三人を乗せた旅客機は日本から離れた欧州のとある大地へと向かう。

 

 

――――その名は『エリセド公国』

 

 

――――欲望の権化が潜む騒乱の舞台となる国である。

 

 

 

〜〜〜〜

 

 

 

 エリスド公国、某所。

とある建物の中にある、豪華な部屋。

そこに一人の男性が険しい顔をしながら窓から覗く青空を見ていた。

 

「……嫌なものだな。同じ青空が違って見える」

 

男が見上げた空は曇りもない青空そのもの。

その様子を浮かない顔で見ていると、背後から聞こえてきた『声』に反応する。

 

「どーしたの王様、マタニティブルーにでもなっちゃった?」

 

「それは出産のヤツだろ。馬鹿が」

 

「あっはっは! いつもの憎まれ口が吐けるってことは元気な証拠だ!」

 

男の険しい表情ににらまれながら、その『声』の主はちゃらけた態度を見せた。

いつもの様子で辟易すると、男は青空が見える窓を背を向けて、話を続ける。

 

「シューシュ、お前のヤミーをオーズに差し向けたんだろうな」

 

「うん、そうだよー。結構強いんだから、あれくらい乗り越えてくれないと張り合いがないんだから」

 

"王様"と呼ばれた男の前に姿を現したのは、一体の異形。

カメの甲羅を模した編み笠のパーツを被った頭部、ワニの大顎を模した振袖のように垂らした腕、コブラの模様が入った美脚。

豊満な胸と括れた腰つきから女性のようにも見える橙色と白を基調としたその異形――『シューシュ』は、ニヤリと口元を歪めて王様に問いかけた。

 

「ねぇ、王様? 本気でやるのかしら?」

 

「当然だ。例え世界を敵に回しても、目の前に仮面の英雄が立ちはだかっても、俺は手に入れるだけだ」

 

「うーん、傍から聞いても無茶なほどの強欲。グリードのアタシより強欲よアナタ? そんなアナタだからこそとってもいいんだけどね」

 

シューシュは目の前にいる男の言葉を聞いて、呆れながらも笑みを浮かべていた。

男は相変わらずしかめっ面を浮かべ、部屋から出て行こうとする。

扉へ伸ばした手を開いて部屋から出ていくと、シューシュはため息をつく。

 

 

「はーぁ、ついにここまで来ちゃったんだ……たっく、どいつもこいつも強情で強欲なんだから」

 

 

そう言い残しながらシューシュはメダルと塊となって、この部屋から消えた。

残されたのは誰もいない事を意味する静寂だけだった。

 

 

 

〜〜〜〜

 

 

 

エリセド公国内、繁華街。

小さな国にしては先進国レベルの街並みが広がるこの場所にて、一人で歩く黒髪の女性がいた。

その名は『泉比奈』、この国に滞在しているファッションデザイナーである。

今日は近日やってくる知り合いの出迎えるために食材を買い込んでいたのだ。

 

「知世子さん、喜んでくれるかな」

 

比奈が思い浮かべるのは、かつて世話になった人物である知世子の姿。

当時大学生であった自分を雇ってくれた恩人として、今度は自分が恩返しする番だ。

そう思いながら、買い物を続けていた。

 

そんな彼女が、買い物を続けていると、そこで悲鳴が聞こえてきた。

振り向いて見ると、そこには横転してきた貨物自動車に押しつぶされようとしていた車があった。

その車の中には赤ん坊を連れた三人の家族があった。

 

「あぶない!」

 

比奈が叫び、誰しもが悲鳴を上げる中。

そこへ駆け巡るのは、一つの白い影。

まるで氷上を滑るスケーターの如く瞬く間に事故現場を駆け巡ると、倒れようとする貨物自動車を受け止めた。

一瞬"受け止めたのか?"と誰しもが錯覚したが、そうではない。

横転しようとした貨物自動車が氷の楔によって止まっていたのだ。

一瞬の出来事により誰しもが驚いている……そんな中、比奈だけが咄嗟に動いて、押しつぶされようとしていた自動車へと向かう。

 

「どいていてください! ――――ふんにゅううううう!!」

 

三人家族の自動車に駆け寄った比奈はドアの取っ手に手をかけると、力いっぱい引っ張った。

するとバキリ、と音を立ててドアは文字通り外され、そこから三人家族がはい出てきた。

危機一髪だったところを助け出されて涙を浮かべる親達を横目に比奈はもう一人の助け人の方へ振り向いた。

 

 

――そこに立っていたのは、白を基調とした仮面の戦士。

 

――その姿は自分がよく知る人物が変身した姿によく似ていた。

 

 

白い戦士は比奈を一瞥すると、その場から瞬く間に去っていく。

比奈はその姿を見守った後、三人家族と貨物自動車の運転手を助け出して別れたのであった。

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