仮面ライダー×仮面ライダー トラベラーズヒーローズ 作:地水
飛羽真の目の前に姿を現した仮面ライダーオーズ。
彼はその手に握った刀剣型武器・メダジャリバーを構えてミイラ男らしき怪人達へ立ち向かっていった。
「とりゃあ!」
襲い掛かってくる手を搔い潜ってオーズはメダジャリバーを振るって思いっきり叩き切る。
ミイラ男の一体は叩き切られ、その傷口から多くのセルメダルを勢いよく吐き出した。
「こいつら、やっぱりグリードから生み出された方のヤミーか……!」
オーズは目の前にいるミイラ男がかつて過去に戦った『白ヤミー』だと悟って警戒する。
一方で三体の白ヤミーはオーズの方を改めて見ると、一斉に襲い掛かってきた。
『うがぁ!』
「くぅ!?」
一斉に襲い掛かってきた白ヤミーはオーズを攻め立てる。
最初の一体は攪乱するように素早く動き回って翻弄。
次の二体目は両腕を時間差に振るって鋭い斬撃を叩き込む。
そして三体目はボディプレスによる一撃をお見舞いした。
白ヤミー達の連続攻撃をまともに受けてしまい、オーズはメダジャリバーを手放しながら吹っ飛ばされてしまう。
「うわぁ!?」
地面へと転がり込むオーズ……そこへ間髪入れず襲い掛かる白ヤミー達。
オーズはなんとか両腕の虎クローを展開して攻撃を防いで凌ぐが、相手は異様な連携を駆使して追い詰めようとする。
欲望に忠実かつ単体で強い白ヤミーがここまで連携をしてくる様子に流石のオーズも内心焦っていた。
「なんなんだこのチームワーク!? だったら……!」
オーズは新たなるコアメダルを取り出し、オーズドライバーにセットした。
腕に当たる真ん中のトラメダルからゴリラのデザインが刻まれた灰色のコアメダル・ゴリラメダルに。
脚に当たる左のバッタメダルをチーターのデザインが来様れた黄色のコアメダル・チーターメダルに。
それぞれ交換して装填すると、再びオースキャナーで三枚のコアメダルを読み上げた。
【タカ!ゴリラ!チーター!】
電子音声と共にオーズの姿がタトバコンボから別の姿へと変わっていく。
両腕はゴリラの太い腕を思わせる灰色のゴリラアーム。
足はチーターの模様が入った黄色のチーターレッグ。
オーズはタカゴリーターの姿へと変わると、一気に走り出す。
「ハァァァァ……セイヤー!」
チーターレッグによる超高速ダッシュで白ヤミー達と一気に距離を詰め、その勢いを利用したまま剛腕で白ヤミー達を殴り飛ばす。
見事にきつい一撃を受けてしまった白ヤミー達は地面へと転がりながら吹っ飛んでいく。
そこへ間髪入れず、ゴリラアームによる鉄拳を何度も叩き込んでいく。
だが白ヤミーの一体が負けじと再びボディプレスを叩き込もうとするが、そこへすかさずメダルをチェンジする。
【サイ!ゴリラ!タコ!】
今度は頭部を灰色のサイヘッドへ、脚部をタコレッグへ変化させ、オーズ・サゴリタとなって迎え撃った。
タコレッグによる吸盤で地面に張り付き、ゴリラの筋力で白ヤミーのボディプレスを受けて何とか踏みとどまる。
そしてお返しと言わんばかりにサイヘッドによる頭突きをお見舞いした。
「ハァァァァ!!」
『グォッ!?』
白ヤミーは再び打っ飛び、なし崩し的に追い詰められてしまう。
そんな歴戦の勇士のようなオーズの戦いぶりを見て、飛羽真は驚きの声を上げていた。
「すごい、あの仮面ライダー……強い!」
オーズの戦う姿を見てある種の歓喜を覚える飛羽真だった。
……だが、そこでヤミー達に異変が起きた。
3体のヤミーは一瞬その動きを止めると、体に纏っていた包帯が崩れ去ってその姿を変貌し始めたのだ……一体はゴキブリのような不気味な姿、一体は頭部にライオンのようなタテガミを生やした姿、一体はクジラのような巨躯を誇る姿。
ゴキブリヤミー、ライオンヤミー、クジラヤミー……成長を遂げたヤミー達にオーズは驚いた。
「成長した……!?」
目の前で変貌を遂げたヤミー達を前にオーズ・サゴリタはいつでも迎え撃てるように身構える。
だが、ライオンヤミーから放たれた光の旋風がオーズに襲い掛かり、一瞬怯む。
その隙を狙ってか、ゴキブリヤミーが不可視の速度で走り出し、オーズへ両腕による連撃を叩き込む。
そしてトドメと言わんばかりに怯んだオーズへ、クジラヤミーの放った潮吹きをお見舞いした。
「うわあああああ!!」
クジラヤミーが繰り出した潮吹き攻撃によって吹き飛ばされ、何処かの建築物へ叩きつけられ、地面へと放り出される。
奇しくもそこは飛羽真がいた高級ホテルの建物とすぐ近くであった。
「ぐぅ……このままじゃ……!」
危機感を感じたオーズは一旦距離を置いてオーズドライバーのコアメダルを変えようと考えた。
だが、ゴキブリヤミーに妨害され、他二体の攻撃を捌くので精いっぱいでメダルチェンジの隙を与えなかった。
苦戦するオーズの姿を見ていた飛羽真は悔しい表情をしていた。
今の自分には怪人達に立ち向かう術がないからだ。
「くぅ、今の俺には火炎剣烈火はない……」
それは、彼の愛剣とも言うべき聖剣・火炎剣烈火は今手元にはない。
飛羽真自身は仮面ライダーセイバーとして戦っていたが、今は小説家として新しい物語を書くために元の管理していた組織・ソードオブロゴスへ返還したばかりだった。
自分が聖剣を振るうときは世界に危機が迫っている時であり、つい最近起きた『ディアブロ事件』にて炎の剣士として復帰したばかりだった。
だが、返還した今となってはそれが仇となってかえってきてしまった……白ヤミー達に追い詰められている未知の仮面ライダーである彼を助けられない。
そう悔やんだ時だった……オーズが使っていたメダジャリバーが建物の壁に突き刺さっている所を見つけた。
「これを……!」
飛羽真は咄嗟にメダジャリバーを握り、力強く引き抜いてそのまま走り出す。
向かう先には未だオーズがピンチの光景が広がっており、白ヤミーの一体が再びボディプレスを叩き込もうとしていた。
そうはさせまい、と飛羽真はメダジャリバーを構えるとそのまますれ違いざまに真横で振りかざした。
「はぁ!!」
放たれた斬撃が白ヤミーの一体に炸裂し、他の白ヤミーを蹴散らして軽く吹っ飛ぶ。
突如現れた飛羽真の登場にオーズは驚いた。
「あ、アナタは……!?」
「大丈夫!? 無事!?」
「あ、ありがとう」
助け出されたオーズは飛羽真からメダジャリバーを受け取りながらしっかりと会釈する。
だが、倒れていた白ヤミー達が態勢を整えつつある。次なる一手を決めなければ先程と同じ状況になってしまう。
どうするべきか、と飛羽真がオーズと共に悩んでいると……すべてを焼き尽くさんとするほどの熱気が二人の肌をひり付かせた。
「「ん……!?」」
あらぬ方向からすさまじい勢いで飛んできた炎が白ヤミーを流し飛ばした。
一体なんなのか、と思っていると飛羽真の元へ炎と共にやってきたのは一本の刀剣。
――火炎剣烈火、それはかつてメギドとの戦いを共に駆け抜けてきた炎の聖剣である。
「火炎剣烈火……!? なんでここに!?」
「飛羽真!」
驚く飛羽真に対し、誰かが自分の名前を呼んだ。
振り向けば制服姿の見知った男性がこちらへやってくることに気付いた。
――『新堂倫太郎』、ソードオブロゴスの剣士にして飛羽真の戦友。
彼がやってきたことに飛羽真は驚いていた。
「倫太郎!? なんでここに……!」
「火炎剣烈火が急に何かに反応するように熱くなって、ソフィア様から"飛羽真に何かあったのだ"と届けるようにと言われて!」
「いや、助かった。今の俺には助けたい人がいる!」
飛羽真の言葉を聞いて、倫太郎は周囲の状況を確認する。
後ろには傷を負った仮面ライダー・オーズ、前方にはメギドとも異なる生物を模した怪人・ヤミー3体。
どうやら自分達が出張る状況だと把握した倫太郎は飛羽真と共に並び立った。
「なるほど、これは僕達剣士の出番ですね」
「ああ、行くぞ!」
【聖剣ソードライバー!】
飛羽真と倫太郎はそれぞれの聖剣が納められた変身ベルト・聖剣ソードライバーを腰部に装着。
そして小さな本型アイテム・ワンダーライドブックを手にし、それぞれページを開いた。
【ブレイブドラゴン!】
【かつて、全てを滅ぼすほどの偉大な力を手にした神獣がいた】
飛羽真の持つのはドラゴンが記された赤いワンダーライドブック・ブレイブドラゴン。
【ライオン戦記!】
【この蒼き鬣が新たに記す、気高き王者の戦いの歴史】
倫太郎が持つのはライオンが記された青いワンダーライドブック・ライオン戦記。
二人の背後に本型の幻影が飛び出し、そこから赤い龍と青いライオンが出現。
そしてそれぞれの聖剣を勢いよく引き抜いた。
「「変身!」」
荒々しい炎と研ぎ澄まされた水飛沫が舞い上がる中、飛羽真と倫太郎の二人はその姿を変えていく。
飛羽真は赤い腰マントが特徴的な赤い剣士へ。
倫太郎は胸にライオンの装甲を有した青い剣士へ。
まるで自分と同じ仮面ライダーへと変身を遂げた彼ら二人にオーズは驚いた。
「仮面ライダー!?」
オーズの目の前に現れたのは、二人の仮面ライダー。
飛羽真が変身したのは火炎剣烈火に選ばれた炎の剣士『仮面ライダーセイバー』。
倫太郎が変身したのは水勢剣流水に選ばれた水の剣士『仮面ライダーブレイズ』。
二人の剣士は聖剣を携えると、向かってくるヤミー達を迎え撃った。
まず高速移動を仕掛けてくる白ヤミーに対して迎え撃ったのはセイバー。
目に留まらぬほどのスピードで駆け巡るゴキブリヤミーに対し、セイバーは正確無比な一撃を叩き込む。
『グアッ!?』
「悪いけど、速い相手には慣れているからね」
セイバーの脳裏に思い浮かべるのは、かつて共に戦った二人の剣士の姿。
片や雷の剣士、片や風の剣士……どちらも速さが自慢の剣士であり、時に同じ敵に立ち向かい、時に敵同士として刃を交えた。
そんな二人と比べると目の前にいるゴキブリヤミーの速さなど今の自分のとっては慣れたものだった。
その隣で戦うのはライオンヤミーと戦うブレイズ。
奇しくもライオンの姿を有する相手と戦っているブレイズは独りでに呟く。
「相手もライオン、なんだか戦いづらいけど……てやぁ!」
『グォッ!!』
ライオンヤミーから放たれた眩い閃光に対し、ブレイズは水勢剣流水を振るってできた水鏡で対抗。
反射された逆光がライオンヤミーへ返って襲ってしまい、怯んでしまったところへ斬りつけられる。
二人のライダーの参戦によって対等な状況に戻った所で、オーズはすかさずオーズドライバーのコアメダルを変えていく。
【タカ!トラ!バッタ!】
【タ・ト・バ! タトバ・タ・ト・バ!】
元の基本形態であるタトバコンボへ戻ると、オーズはメダジャリバーを持って走り出す。
その先にいたのは、……今まで力を溜めるために静観していたクジラヤミー。
普段の体の倍以上に膨れ上がったそれは蓄えた水分を一気に放とうとしてるからだ。
狙いは他のヤミーと対峙しているセイバーとブレイズ……彼ら二人目掛けて一気に放とうとした瞬間。
その時だった。
「させるか、セイヤー!!」
クジラヤミーの潮吹きの噴射口目掛けてオーズの突き出したメダジャリバーが見事に刺さった。
まるで破裂するまで溜まっていく水風船の如くクジラヤミーの体が文字通り炸裂。
全身にできた傷口から大量のセルメダルが鮮血の如く噴き出し、大ダメージを負ってしまう。
それと同時にセイバーとブレイズによって蹴散らされたライオンヤミーとゴキブリヤミーがクジラヤミーの足元まで斬り飛ばされ、一か所に集まる。
なんとか凌いだオーズの元へセイバーとブレイズの二人が駆け付けて話しかける。
「大丈夫ですか!」
「上下三色の仮面ライダー……驚きです!」
「ありがとう、二度も助けられたね!」
セイバーとブレイズに対してオーズは感謝の言葉を口にした後、オーズ達と共にヤミー達の方へ振り向いた。
あとは暴れるヤミー達を倒すだけ……。
そう思ってオーズとセイバーとブレイズ、三人の仮面ライダー達はそれぞれの武器を構えて必殺の一撃を決めようと動こうとした。
――その時であった、突如ヤミー達へと襲い掛かるの一つの真っ白い閃光。
「タァァァァ!!」
眩い程の白い閃光の【ソレ】はヤミー達を紙きれのように切り裂き、セルメダルの塊へと化していく。
突如現れた乱入者にオーズ・セイバーは驚いた。
「なっ……あれは!?」
「――仮面ライダー……!?」
そこに現れたのは白を主体とした一人の仮面の戦士。
オーズによく似た姿をしており、特に胸の紋章・オーラングサークル、腰部にはオーズドライバーとよく似たベルトが見たこともないコアメダルと共に備え付けられていた。
だが、特筆すべきはその姿形。
コウモリを模した両翼を象った藍色の頭部・コウモリヘッド。
ラーテルの意匠が入ったグレーの腕部・ラーテルアーム。
ウサギの意匠が入ったアンカージャッキがついたをパールホワイト色の脚部・ウサギレッグ。
謎の仮面ライダーはオーズ達三人を一瞥した後、散らばったセルメダルへ手を向ける。
すると地面にばら撒かれたセルメダルのがライダーの片手へ集まっていき、大きな塊へと変わっていく。
すべてのセルメダルを回収し終わると、その場から去っていこうとする。
「あっ、待ってください!」
ブレイズは呼び止めようとしたが、強靭なウサギレッグによるハイジャンプよって逃げ切られた。
一体何だったのか、と思いながらセイバーとオーズはその謎の仮面ライダーを去っていくところを見守るしかなかった。
これが、このエリスド公国で起きる大波乱の幕開けのはじまりだった。