仮面ライダー×仮面ライダー トラベラーズヒーローズ 作:地水
果たしてオーズは倒すことができるのか?そして……!
オーズ・セイバー・ブレイズ達3人がヤミー達と戦っているその頃。
彼らの戦いぶりを遠くの屋上で見守っている人影がいた。
それは、先程まで飛羽真達と共にいたイージスその人だった。
「アレが仮面ライダーオーズ……と、仮面ライダーセイバー。聖剣に選ばれ本の力を使って戦うソードオブロゴスの剣士か」
勇敢に戦うオーズと共にヤミーを切り結ぶセイバーの姿を見て、ポツリと呟く。
今イージスがいるのは先程までいた高級ホテルに設けられた空中庭園から覗き見ていた。
ヤミーという人々の安全を脅かす怪物がいる時点で無事でいられる保証はされてないが、無論承知でイージズは仮面ライダー達の観覧している。
だが、どちらかといえばイージスの関心はセイバーやブレイズといったソードオブロゴスの剣士達より、オーズというコアメダルを用いたライダーシステムで戦っている『彼』の方に向いていた。
「……火野映司、10年前のグリードとの戦いをオーズとして勝ち抜いた伝説の男。知識では知ってはいたが改めてその戦いぶりを見ると、驚かされるなあ」
平和を守る仮面ライダーとして、そしてコアメダルを自在に操る欲望の王として、そのどちらの姿でもオーズがヤミー達を圧倒していく様子にイージスは好奇心を動かされていた。
そんなオーズ達仮面ライダーがヤミー達へトドメの一撃を決めようとした瞬間。
何者かが白い残光となってヤミー達へ襲撃を仕掛け、ヤミー達を肉塊ならぬセルメダルの塊へと変えてしまった。
オーズによく似たその仮面ライダーはセルメダルを片手でかき集めた後、何処かへと去っていく。
その白い仮面ライダーを見て、ポツリと呟いた。
「どうやら今回も上手く回収したようだな。アイツは……」
イージスは手元に握っていたPCタブレットを取り出す。
……そこに映されていたのは、大量のセルメダルが山のように積みあがった場所だった。
倉庫の奥深くに封じられているセルメダルの量は凡そ数十億枚……その中央には、先程オーズ達の前に姿を現した白い仮面ライダーの姿があった。
「無事か、アストレア」
『……ええ、大丈夫、です』
「そうか。セルメダルをそこにおいては厄戻ってこい」
『了解いたしました』
アストレアとの会話を終えると、イージスは通信を切って建物の中へと去っていく。
その一方で、某所にある倉庫。
通信を終えたその仮面ライダーは暫し無言のまま佇む。
「……イージス」
白いライダーは先程まで通信していた相手の名前を口にした後、その場を後にした。
オーズ達の前に現れたその白い仮面ライダー。
その名は『仮面ライダーアストレア』。
未知のコアメダルを駆使する白き戦士である。
~~~~
時間は少しだけ遡り、エリセド公国の高級ホテル前。
成長体ヤミーとの戦いを終えたオーズ、セイバー、ブレイズの三人。
突如現れた謎の仮面ライダーにセルメダルを回収され、セイバー達剣士組は呆気を取られていた。
「あの白い仮面ライダー、一体なんだったんだ?」
「あの怪人達の体を構成していた銀色のメダルらしきものを回収したようですが、なんだったのですかあれ?」
自分達の知らないライダーについて顔を見合わせるセイバーとブレイズ。
あの見たこともない白い仮面ライダーについて二人とも気になっている所だが……どうやらオーズの方も口に出すほどを気になっていた。
「俺も知らないコアメダル……なんなんだ、あのライダーは」
自分の知らない真っ白なコアメダルの存在にオーズ……映司は驚くしかなかった。
そんな最中だった。自分の名前を呼ぶ懐かしい声を聞いたのは。
「オーズ! ってことは、映司君なの!?」
「その声って……比奈ちゃん!?」
自分の名前を呼んだ声に気付いて振り向くと、こちらへ走ってくる数年来の知り合いの女性……泉比奈の姿が見えた。
どうやら怪人が起こした騒ぎを聞き付けてやってきたそうだ。
彼女は後ろから追ってくる芽依と知世子のことなど気にかけず全力で走ってやってきて、オーズへと駆け寄っていく。
「ああ、やっぱり映司君だ! 映司君もこの国にやってきていたんだ!」
「久しぶりだね比奈ちゃん! あぁそっか、知世子さんから海外で大きな仕事任されているって聞いていたけど、エリセド公国のことだったんだ!」
久しぶりに会ったかのように嬉しそうな表情をしている比奈と、その彼女と同じようにオーズ/映司も嬉しそうな声を上げる。
二人の仲の良さにセイバー達は呆然としており、ブレイズは何が何だか戸惑っていた。
「ど、どういうことですか?」
「待って、比奈さん……って、倫太郎!? なんでここに!?」
「あっ、どうも芽依さん。取材旅行中にお邪魔しています」
異国の地でブレイズこと倫太郎がいることに芽依は驚き、ブレイズも申し訳なさそうに謝る。
そうして、『変身していたままじゃ話が進まないな』とセイバーとブレイズは聖剣ソードライバーを腰から外し、変身を解いて元の姿に戻った。
オーズもそのことに気付いてオーズドライバーを腰から外し、元の姿へと戻った。
……だが、映司に戻った姿を見て、比奈と知世子は眉を潜めた表情を浮かべる。
「ふふっ、映司君……再会して束の間だけど、その恰好って何?」
笑いをこらえていた知世子が思わず噴き出しながら訊ねた先にあるのは、映司の服装。
それもそのはず、今の映司は燕尾服を模した使用人の恰好をしていたからだ。
映司は"何処かおかしなことがあるのか?"と見直しながら、知世子の質問に答えた。
「ああこれですか? 今、イージスさんって人の所で雇われて使用人やってるんです」
映司の言葉を聞いて、一瞬その場が静まり返る。
そして、比奈と飛羽真は異口同音で叫んだ。
「「うそぉ!」」
彼ら二人の驚愕の叫びが、エリセド公国の街にて響き渡った。
~~~~
夜。
飛羽真達一行は比奈がエリセド公国で滞在している家へと招かれた。
用が済んだ倫太郎もソードオブロゴスの本拠地であるノーザンベースへ戻る予定だったが、芽依に誘われてご相伴に預かる事となった。
だがその滞在している家に飛羽真と芽依は表情が引けていた。
「あの、ここってどうみても……」
「お……お城?」
飛羽真達の前でそそり立っているのは、歴史を感じさせるほどの古城だった。
国の文化遺産にでも入っていそうなその雰囲気に、目を丸くする他なかった。
……驚いている飛羽真と芽依の二人の隣では目を輝かせてはしゃぐ倫太郎と知世子達だったが。
「これが、エリセド公国で今も現役に使われているフリッツ城! 建築されたのは凡そ800年前にもかかわらず、その機能美は現代の高層建築物に引けを取らないと言われている!」
「へぇ、物知りじゃない倫太郎ちゃん!」
「いえ、本で読んだ知識だけですが! でもこうして現物を見るのはなんというか、気分が上がります!」
まるで子供のようにはしゃぐ倫太郎と、そんな彼を嬉しそうに生暖かく見守る知世子。
二人のやりとりを見て飛羽真は内心『好奇心旺盛なことは倫太郎のいいところなんだけどね』とツッコミながら城の中へと入っていく。
間も無くして飛羽真は使用人を務める映司の案内によって城内の客室に通されると、一息ついた。
「はぁ……ついて早々また剣士として戻るとは思わなかったなぁ」
「あはは……でも、キミのお陰でオレや皆が助かったよ。ありがとう」
映司は苦笑しながらも、あの時助けられたお礼を飛羽真へと告げた。
あの時、生身でヤミーへ一撃を与え、さらにはセイバーとして共に戦い、ヤミー達を退けた。
今の映司の言葉を聞いて、飛羽真はにっこりと笑った。
「ありがとう……あ、そうだ自己紹介まだだったね。俺は神山飛羽真。仮面ライダーセイバーです」
「ああ、こちらこそ。俺は火野映司。またの名を仮面ライダーオーズ」
飛羽真と映司、互いに自己紹介をした二人は握手を交わす。
しっかりと握り締めて笑顔を向ける二人には『友情』という名の繋がりが生まれたのであった。
数分後、フリッツ城・食堂。
飛羽真達日本からの客人が豪勢なテーブルの前に座っており、テーブルの上には様々な料理が並んでいた。
どうやら比奈の客人ということで、城の料理人たちが腕を振るって作ったそうだ。
「皆さん、今日は来ていただいてありがとうございます。今回は厨房の人の御好意でいっぱい用意してもらえました」
「うわぁぁ!すっごいわぁ! うちの店にもだしてみたいわぁ!」
「ドイツとフランスといった料理がお祭りのように並んでいます!」
音頭をとる比奈と目の前に用意された料理に喜ぶ知世子と倫太郎。
三者三葉で喜んでいる中、何故か緊張している飛羽真と芽依の姿があった……。
本来の二人ならいつものように楽しそうにしているのだが……その理由は、今日知り合った『彼ら』が同席しているからだ。
「いえーい! 美味しい食事会の開催ですー! 楽しい!!」
「アミラ、お前も音頭を取ってどうする」
そこにいるのは、もう既に食べはじめているアミラと、彼女を嗜めるイージス。
昼間の時とはフランクな態度をとっているアミラにイージスは少し眉を潜めて嗜めている。
まさかこの国のお偉いさんと食事をとる機会を巡ってくるとは飛羽真も芽依も思っても見なかったのだ。
「えええ……なんで俺、お偉いさんと同じ席にいるんだ?」
「私の方が聞きたいよぉ……」
「飛羽真、芽依さん、このシュニッツェルとても美味しいですよ」
「「少しは畏まって倫太郎!」」
仔牛の肉をカツにしたドイツ料理の一つかぶり付く倫太郎。
そんな呑気そうな彼にツッコミをいれる二人。
すぐ横を見れば高級エールらしきお酒を注ぎ合ってグラスを傾けるアミラと知世子。
それぞれが楽しい雰囲気の料理を口にしながら、食事の時間が流れていく。
……そんな彼らを見ているのは、使用人である映司と、自分を使用人として雇うきっかけを作ってくれたヒナコ。
今のヒナコは最初に映司と遭遇した時の女の子らしい恰好とは異なり、全身紺のスーツ姿というシンプルなものの姿となっていた。
彼ら二人は席には座らず、遠くの部屋の隅っこから飛羽真達の食事風景を立ったまま見ているだけであり、映司は話題を口にした。
「いやぁ、みんな楽しそうだね。美味しい料理をいっぱい味わってくれるといいな」
「あなた……行かなくていいの? 聞いた話によるとあなたって泉さんのお知り合いだったじゃない」
「そういうヒナコちゃんこそ、まだ食事はしてないよね? なんか、一人だけ取り残すとなんか気が引けちゃって」
申し訳なさそうにしている映司を見て、ヒナコは呆れた表情を浮かべる。
まだ出会ってもまもないのにこのお人よしの良さに彼女自身も困ることがあるのだ。
ヒナコはポツリと毒のあるボヤキを口にした。
「アナタ、お人よしすぎるわよ。そんな様子だと損するよ」
「ははっ、よく言われる」
「訂正……損ばっかりってところね。火野さんって」
まるで見知った相手に容赦なく言うように棘のある一言を映司のハートへ突き刺していくヒナコ。
だが、そんな皮肉は今は遠くの地にいる【仲間達】からよく言われてきたので、慣れっこだと言わんばかりにスルーしていく映司。
……そんな二人の様子を見て、イージスの方から不意に声をかけてきた。
「火野、ヒナゲシ、お前達も一緒に食事をとれ」
「えっ、いいんですかイージスさん? 俺達も食事を参加してしまって……」
「暖かい料理を冷ましてしまうのはもったいない……オレがいいと言っているんだ。一緒に食べろ」
若干高圧的な声音で言いながら、映司達との同席を求めるイージス。
彼の様子に映司は何か引っかかるものを感じながら、ヒナコと共に空いているテーブルの席に座る事だろう。
映司は飛羽真の隣の椅子に座り、ヒナコはイージスの隣に着席した。
その際、一瞬少しだけアミラの量の瞳が見開き、その後に上機嫌になりながらお酒を飲んだ気がしたのだが……。
イージスは一息つくと、エールが注がれたグラスを掲げて告げた。
「ようこそ、偉大なる友人たち。このエリセドの地に」
まるで乾杯をするかのようにグラスを上げるイージス。
――その際、表情が若干嬉しそうにも悲しそうにも見えたのは、映司の気のせいだったか。